今日も昨日と同じく、よく晴れて、最高気温も同じであった。涼しい風も同じで、とても気持ちがいい。釜石の地元の人は、釜石は小さな街で何もないと言う。しかし、それだけ自然に溢れている。自分ではそれをとても気に入っている。釜石へ来た当初、趣味もあって、岩手県内の各地に出かけて、写真を撮り歩いた。そして、その岩手の歴史を知りたくなった。しかし、古い歴史は記録がなく、どんな時代だったのか、さらに知りたくなった。そんな中で、『東日流外三郡誌』に出会った。古書店から早速入手し、連日読み耽った。敗者となった東北の古代人の歴史が綴られている。この古書を探究していた古田武彦と言う歴史家の存在も知り、その著作も読み耽った。教科書で教えられて来た日本の歴史が虚妄の歴史であることを知った。日本には大和王朝成立以前に、邪馬台国に通じる九州王朝の存在があった。北部九州には玉、剣、鏡の三種の神器が発掘された弥生遺跡が複数存在する。大和弥生遺跡にはそうした遺跡はない。歴史は勝者の歴史でしかなく、敗者の歴史は葬られる。世に事実とされていることが、必ずしも事実ではないのだ。世界情勢や経済も同じだ。20世紀後半までは、メディアもそれなりに昨日し、多面的な視点での論説が見られたが、今世紀に入り、新自由主義がメディアに登場すると、安価な番組、安価な編集が浸透し、メディアの質が急落した。二流・三流の専門家が登場し、論理性が失われて来た。特に、コロナ禍とウクライナ問題では、それが顕著になった。米国シカゴ大学で生まれた新自由主義は米国中央情報局CIAとも結び付いている。新自由主義とは、資本の利益を最大限にすることを目指す経済思想だ。新たな開発投資や人件費を削減し、企業買収や派遣の利用で、利益を少しでも多くする。企業利益が拡大出来れば、投資家たちの利益も拡大する。禁じられていた自社株買いが解除されたのもそのためだ。しかし、新自由主義は投資家の利益を増やした一方で、企業自体の質の低下や、平均賃金の低下をもたらした。要するに実体経済を損なわせた。それは本来の経済成長の低下を意味する。しかし、新自由主義を推進する投資家はメディアをも手中に収め、実質的に情報統制を行なって来ている。この新自由主義を推進する投資家と世界経済フォーラムの利益が一致して、コロナ禍とウクライナ問題が演出されている。新自由主義の投資家による手痛い被害を受けたのがソ連崩壊後のロシアだ。ロシア資産が欧米の資本により収奪され、国民生活はどん底に落とされた。ロシアを再生させたプーチンが最も嫌うのが、この欧米の新自由主義投資家たちだ。新自由主義は政府によるあらゆる経済規制を嫌う。その意味では、中国もこの新自由主義投資家たちには寛容ではないだろう。中国が国内の巨大IT企業であるアリババを抑えようとしたこともその表れだろう。国内企業の成長は望むが、新自由主義的成長は許さない。新自由主義はグローバル化と同義であるように、国家を超え、国家のコントロールを良しとしない。国家のコントロールを良しとしない新自由主義を推進する米国政府は、従って、投資家のための政府であり、国民のための政府ではない。米国は新自由主義を採用した時点で、民主主義を放棄した。日本も同じだ。昨年3月5日、三井住友系列の日本総合研究所(日本総研)は、「国際比較で見た所得格差の状況ーアメリカの特殊性と日本の課題 」を公表した。「アメリカでは所得格差が著しく拡大しているが、所得格差拡大を促す金融緩和やグローバル化・デジタル化はすべての先進国に共通しており、アメリカ以外の先進国でも、程度の差こそあれ、所得格差は拡大している。」、「もっとも、アメリカは他の先進国と異なる特性がある。第1に、富裕層向けの最高税率を筆頭に所得税率が低い。第2に、相続税も低く、格差の固定化を招いている。第3に、低所得者層に対する財政支援措置が乏しい。第4に、最低賃金が低い。第5に、労働組合組織率が低く、賃上げ圧力が弱い。第6に、教育費・医療費が著しく高く、子供への「貧困の連鎖」、格差の固定化を招いている。」とある。米国の「特性」は新自由主義そのものである。新自由主義に染った日本の政治家の好きな言葉は、「自己責任」である。職場の方から、現在、学校で行われているクラブ活動を文部科学省は外部団体に任せる方針であることを聞かされた。これがまさに新自由主義である。本来、公的機関が行わなければならないことを、民間に任せる。公的部門に民間を介入させて、利益を得させることも新自由主義の特徴の一つだ。国鉄民営化、郵政民営化も同じだ。それにより投資家は民営化された鉄道や郵貯を通じて利益を得る。グローバル化とセットの新自由主義は、発展途上国でも収奪を繰り返す。食品グローバル企業のスイスのネスレは、アフリカのコートジボワールやガーナで、低賃金の少年労働でカカオ生産を行なっているが、主要メディアは決して批判しない。米国がロシアのウクライナ侵攻の誘因を導いたのは、プーチンを引き下ろし、ロシアを再び欧米資本による収奪の場とするためである。ロシアの天然ガスの確認埋蔵量は、世界の24%を占め、世界最大である。2 位のイラン16%、3 位のカタール14%を大きく引き離している。石油や希少金属、ウランなどの地下震源がロシアには豊富にあり、特に未開発のシベリアが注目されている。製造業を失い、基軸通貨と言う立場だけが優位な米国は、ドル印刷による富裕層の蓄財を助け、その富裕層のために構築された経済理論が新自由主義であった。大阪大学を拠点とするメディア研究機関Global News View(GNV)は、今年2月24日、「メディアはなぜ急増する世界の格差を報じないのか」を報じている。「コロナ禍での世界格差の急激な広がりは想像を絶する。2020年だけで9,700万人もの人が極度の貧困状態に陥ったことが世界銀行のデータから明らかになった。世界の全人口でみると、極度の貧困状態にいる人数が増えたのは1998年以来のことであり、「歴史上類を見ないほどの増加」でもあると世界銀行は言う。 同年、世界の億万長者たち(※1)の手に渡った富が急激に増加し、その金額は約4兆米ドルにものぼるという衝撃的な数字も世界不平等研究所によって発表された。この億万長者の富の増加も記録的な増加であり、25年前の記録史上最高額となった。」と書き出している。コロナ禍やロシアへの経済制裁による物資不足、物価高の中でも富裕層はさらに富を積み上げ、その一方で、「極度の貧困状態にいる人数」が増えている。富裕層は資産を巨大な投資会社に任せ、投資会社が、あらゆる情報を分析し、何が高値になるかを導き出し、それに集めた投資資金を投じ、利益を得たところで、資金を回収する。これを何度も繰り返すことで、預けられた資金が何倍、何十倍にもなる。資金が投じられたところで何が起きるかは関係ない。利益が得られればいいのだ。こうした資金は発展途上国や低開発国へも投じられている。資本による植民地化である。利益が得られれば引き上げるため、その後その国がどうなるかは考慮しない。中世の王侯貴族が富を集中して所有し、民衆が虐げられた状態と同じである。歴史は形を変えて同じようなことを繰り返しているだけだ。自由や民主主義と言う言葉のぬるま湯に浸って、多くの人が自己満足させられている。「わたしたちが現在陥っている最大の問題はわたしたち自身が
世界のさまざまな領域を支配する欧米のつくった国際ルールを唯一のルールだと信じていることにある。(インド独立の父、マハトマ・ガンジー)」
世界のさまざまな領域を支配する欧米のつくった国際ルールを唯一のルールだと信じていることにある。(インド独立の父、マハトマ・ガンジー)」
秋明菊