釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

形を変えて繰り返される歴史

2022-09-30 19:19:00 | 社会
今日も昨日と同じく、よく晴れて、最高気温も同じであった。涼しい風も同じで、とても気持ちがいい。釜石の地元の人は、釜石は小さな街で何もないと言う。しかし、それだけ自然に溢れている。自分ではそれをとても気に入っている。釜石へ来た当初、趣味もあって、岩手県内の各地に出かけて、写真を撮り歩いた。そして、その岩手の歴史を知りたくなった。しかし、古い歴史は記録がなく、どんな時代だったのか、さらに知りたくなった。そんな中で、『東日流外三郡誌』に出会った。古書店から早速入手し、連日読み耽った。敗者となった東北の古代人の歴史が綴られている。この古書を探究していた古田武彦と言う歴史家の存在も知り、その著作も読み耽った。教科書で教えられて来た日本の歴史が虚妄の歴史であることを知った。日本には大和王朝成立以前に、邪馬台国に通じる九州王朝の存在があった。北部九州には玉、剣、鏡の三種の神器が発掘された弥生遺跡が複数存在する。大和弥生遺跡にはそうした遺跡はない。歴史は勝者の歴史でしかなく、敗者の歴史は葬られる。世に事実とされていることが、必ずしも事実ではないのだ。世界情勢や経済も同じだ。20世紀後半までは、メディアもそれなりに昨日し、多面的な視点での論説が見られたが、今世紀に入り、新自由主義がメディアに登場すると、安価な番組、安価な編集が浸透し、メディアの質が急落した。二流・三流の専門家が登場し、論理性が失われて来た。特に、コロナ禍とウクライナ問題では、それが顕著になった。米国シカゴ大学で生まれた新自由主義は米国中央情報局CIAとも結び付いている。新自由主義とは、資本の利益を最大限にすることを目指す経済思想だ。新たな開発投資や人件費を削減し、企業買収や派遣の利用で、利益を少しでも多くする。企業利益が拡大出来れば、投資家たちの利益も拡大する。禁じられていた自社株買いが解除されたのもそのためだ。しかし、新自由主義は投資家の利益を増やした一方で、企業自体の質の低下や、平均賃金の低下をもたらした。要するに実体経済を損なわせた。それは本来の経済成長の低下を意味する。しかし、新自由主義を推進する投資家はメディアをも手中に収め、実質的に情報統制を行なって来ている。この新自由主義を推進する投資家と世界経済フォーラムの利益が一致して、コロナ禍とウクライナ問題が演出されている。新自由主義の投資家による手痛い被害を受けたのがソ連崩壊後のロシアだ。ロシア資産が欧米の資本により収奪され、国民生活はどん底に落とされた。ロシアを再生させたプーチンが最も嫌うのが、この欧米の新自由主義投資家たちだ。新自由主義は政府によるあらゆる経済規制を嫌う。その意味では、中国もこの新自由主義投資家たちには寛容ではないだろう。中国が国内の巨大IT企業であるアリババを抑えようとしたこともその表れだろう。国内企業の成長は望むが、新自由主義的成長は許さない。新自由主義はグローバル化と同義であるように、国家を超え、国家のコントロールを良しとしない。国家のコントロールを良しとしない新自由主義を推進する米国政府は、従って、投資家のための政府であり、国民のための政府ではない。米国は新自由主義を採用した時点で、民主主義を放棄した。日本も同じだ。昨年3月5日、三井住友系列の日本総合研究所(日本総研)は、「国際比較で見た所得格差の状況ーアメリカの特殊性と日本の課題 」を公表した。「アメリカでは所得格差が著しく拡大しているが、所得格差拡大を促す金融緩和やグローバル化・デジタル化はすべての先進国に共通しており、アメリカ以外の先進国でも、程度の差こそあれ、所得格差は拡大している。」、「もっとも、アメリカは他の先進国と異なる特性がある。第1に、富裕層向けの最高税率を筆頭に所得税率が低い。第2に、相続税も低く、格差の固定化を招いている。第3に、低所得者層に対する財政支援措置が乏しい。第4に、最低賃金が低い。第5に、労働組合組織率が低く、賃上げ圧力が弱い。第6に、教育費・医療費が著しく高く、子供への「貧困の連鎖」、格差の固定化を招いている。」とある。米国の「特性」は新自由主義そのものである。新自由主義に染った日本の政治家の好きな言葉は、「自己責任」である。職場の方から、現在、学校で行われているクラブ活動を文部科学省は外部団体に任せる方針であることを聞かされた。これがまさに新自由主義である。本来、公的機関が行わなければならないことを、民間に任せる。公的部門に民間を介入させて、利益を得させることも新自由主義の特徴の一つだ。国鉄民営化、郵政民営化も同じだ。それにより投資家は民営化された鉄道や郵貯を通じて利益を得る。グローバル化とセットの新自由主義は、発展途上国でも収奪を繰り返す。食品グローバル企業のスイスのネスレは、アフリカのコートジボワールやガーナで、低賃金の少年労働でカカオ生産を行なっているが、主要メディアは決して批判しない。米国がロシアのウクライナ侵攻の誘因を導いたのは、プーチンを引き下ろし、ロシアを再び欧米資本による収奪の場とするためである。ロシアの天然ガスの確認埋蔵量は、世界の24%を占め、世界最大である。2 位のイラン16%、3 位のカタール14%を大きく引き離している。石油や希少金属、ウランなどの地下震源がロシアには豊富にあり、特に未開発のシベリアが注目されている。製造業を失い、基軸通貨と言う立場だけが優位な米国は、ドル印刷による富裕層の蓄財を助け、その富裕層のために構築された経済理論が新自由主義であった。大阪大学を拠点とするメディア研究機関Global News View(GNV)は、今年2月24日、「メディアはなぜ急増する世界の格差を報じないのか」を報じている。「コロナ禍での世界格差の急激な広がりは想像を絶する。2020年だけで9,700万人もの人が極度の貧困状態に陥ったことが世界銀行のデータから明らかになった。世界の全人口でみると、極度の貧困状態にいる人数が増えたのは1998年以来のことであり、「歴史上類を見ないほどの増加」でもあると世界銀行は言う。 同年、世界の億万長者たち(※1)の手に渡った富が急激に増加し、その金額は約4兆米ドルにものぼるという衝撃的な数字も世界不平等研究所によって発表された。この億万長者の富の増加も記録的な増加であり、25年前の記録史上最高額となった。」と書き出している。コロナ禍やロシアへの経済制裁による物資不足、物価高の中でも富裕層はさらに富を積み上げ、その一方で、「極度の貧困状態にいる人数」が増えている。富裕層は資産を巨大な投資会社に任せ、投資会社が、あらゆる情報を分析し、何が高値になるかを導き出し、それに集めた投資資金を投じ、利益を得たところで、資金を回収する。これを何度も繰り返すことで、預けられた資金が何倍、何十倍にもなる。資金が投じられたところで何が起きるかは関係ない。利益が得られればいいのだ。こうした資金は発展途上国や低開発国へも投じられている。資本による植民地化である。利益が得られれば引き上げるため、その後その国がどうなるかは考慮しない。中世の王侯貴族が富を集中して所有し、民衆が虐げられた状態と同じである。歴史は形を変えて同じようなことを繰り返しているだけだ。自由や民主主義と言う言葉のぬるま湯に浸って、多くの人が自己満足させられている。「わたしたちが現在陥っている最大の問題はわたしたち自身が
世界のさまざまな領域を支配する欧米のつくった国際ルールを唯一のルールだと信じていることにある。(インド独立の父、マハトマ・ガンジー)」

秋明菊

自滅して行く米国

2022-09-29 19:11:40 | 社会
今日は朝から素晴らしい秋晴れの快晴の1日だった。最高気温は26度で、昨日より高いが、風は涼しく、とても気持ちが良かった。休日でないのが残念であった。朝夕は半袖だとやや寒くなる。昼のTVでは、中国の一党独裁に触れて、日本が民主主義国だと述べる人がいた。その民主主義国である日本は、2019年の参議院選挙の自民党の絶対得票率、投票を棄権した人も含めた有権者全体のうち、何%がその党の候補に投票したかは、わずか18.9%で、昨年の衆議院選挙でも26.4%でしかない。「一票の格差」は延々と是正されず、裁判所は「違憲状態」などと言う官僚用語で、結局は現状を是認している。昨日のImpress Watchは、「「日本ファクトチェックセンター」設立。Googleが150万ドル」を報じている。「セーファーインターネット協会(SIA)は、偽情報・誤情報対策を行なうファクトチェック機関「日本ファクトチェックセンター」(Japan Fact-check Center:JFC)を10月1日に設立する。 運営資金は当面、Googleの慈善事業部門「Google.org」が2年間で最大150万ドル(約2億1,700万円)、ヤフーが1年で2,000万円を提供。」とある。TwitterなどのSNSではすでに検閲が行われている。一昨日の米国ZeroHedgeは、「New Zealand Prime Minister Calls For A Global Censorship System(ニュージーランド首相、世界的な検閲制度の導入を呼びかけ)」を載せている。民主主義とされる国々が実は、民主主義を崩壊させているのが現状だ。その代表が米国である。他国を公然と侵略し、選挙不正まで堂々と行い、FBIと言う公権力を使って前大統領の家宅捜査まで行う。「民主主義」の日本や米国、西欧が支援するウクライナは一党独裁国で、メディアも全て統制されている国である。ウクライナの農地のほとんどが米国資本で買い占められている。メディアはどの国も権力の広報機関に成り下がり、まさしく真実を伝えない。今では、事実は独立系メディアを頼るしかなくなってしまった。先月2日の米国独立系メディアTimes of independentは、「Putin Announces Total Independence from ‘Rothschild-Controlled’ US Dollar??(プーチン、「ロスチャイルド支配」の米ドルからの完全独立を発表か?)」を報じている。「プーチン大統領は就任後、ロシア議会で演説し、世界的な銀行カルテルとロスチャイルドのグローバルマネー提供組織からの「完全な独立」を表明することが、将来の世代に提供できる「最大の贈り物」になるだろうと述べた。」、「彼は、世界貿易の原則を破る全く新しい「制約」は、米ドルの独占が多くの地域にとって脅威であることを世界に理解させると述べた。」、「プーチンは代替通貨について言及しなかったが、準世界通貨となる通貨、特にロスチャイルド系の国際通貨基金やWTOが推進する通貨には反対であると思われる。」、「プーチンは、旧ソビエト連邦共和国の世界の中央銀行に対する債務の最後の支払いを行うことで、ロシアを新世界秩序の銀行システムの圧制から完全に自由になった最初の国にすることで、実際に将来の世代のロシア人がグローバリスト陰謀団に対する金融債務の奴隷として生きることがないことを確認した。」、「国際通貨基金(IMF)と世界銀行は、1944年の設立以来、世界の金融情勢における主要なプレーヤーであり続けている。 悪名高いロスチャイルド銀行一族が独立して支配するこれらの国際銀行組織は、まず国家に圧力をかけて金融部門の管理をやめさせ、民間銀行による経済的略奪を許すようにする。 いったん政府が規制緩和された金融部門を救済することを強いられると、IMFや世界銀行は中央銀行や財務大臣によって秘密裏に融資パッケージを作成し、国家主権を損ない、従業員や家庭、環境に損害を与える緊縮政策を受け入れるよう要求するのである。」、「プーチンは大統領就任早々、ロシアを社会的、精神的、経済的に統一することを優先させた。彼は、ロスチャイルドの支援を受けたオリガルヒのミハイル・ホドルコフスキーの逮捕を命じた。彼は実際にロスチャイルド、ヘンリー・キッシンジャー、アーサー・ハートマンを開放ロシア財団の理事にしていたのである。」、「プーチン、ロシアがジェイコブ・ロスチャイルド卿の「氷の支配」からついに解放されたと宣言」とある。ロシア国民のプーチンへの支持率が高いのも、プーチンがソ連崩壊後、どん底に落ちたロシアを救い、現在のロシアまで引き上げたことを、ロシア国民が知っているからだ。ソ連崩壊後の初代ロシア大統領のエリツィン時代、1992年のロシアの物価は2500%にもなっていた。日本を含めた西側メディアは、ロシア・中国を知らず、米国を唯一善と捉えて報じる。2008年からの米国のウクライナへの関与を無視して、ひたすらウクライナへ侵攻したロシアを非難する。何故、ロシアが侵攻したのかは、ロシアが単純な領土拡大を目指すためとされる。かってドイツは米国に対抗するためにEU欧州連合を結成したが、そのドイツも世界経済フォーラムで育てられた政治家が実権を持つようになり、すっかり米国追従国家に成り下がってしまった。今、その代償を支払わされている。欧州はかってのフランスのドゴール大統領のような国益を最優先する人物が登場しない限り、再興は難しくなるだろう。今日のロイターは、「スタグフレーションのリスク長期化も=世銀総裁」で、「世界銀行のマルパス総裁は28日、ロシアのウクライナ侵攻を受けて世界のエネルギー生産をロシア以外に多様化するには何年もかかる可能性があると指摘、スタグフレーションのリスクが長期化しかねないとの認識を示した。」を報じ、ブルームバーグは、「バイデン米政権、英国発の市場混乱に懸念強めIMF通じ圧力-関係者」で、「IMF国際通貨基金は27日夜、英国債やポンド相場の歴史的急落につながった英国の経済対策について、「税制上の措置の再検討」を呼び掛けていた。米国はIMF出資比率が最大で重要案件の議決で実質的な拒否権を持つ。」を報じている。ロイターも他の主要メディア同様に、エネルギー不足がロシアの侵攻のせいであるかのような報じ方をする。肥料やエネルギー不足は、米国と西欧のロシアへの経済制裁そのものにより引き起こされた。エネルギーや物価の高騰に喘ぐ国民のために、英国新首相は、大規模な減税策を打ち出したが、これが英国ポンドや債券の「歴史的急落」をもたらした。欧州の沈没は米国の目論見通りになっている。しかし、事態はまさにこれからだ。エネルギー、肥料、食料の不足はますます長期化し、流通も滞り、製品も価格上昇が止まらない。インフレは容易には治まらない。世界経済フォーラムの目論見通りに欧米、特に米国が意図的にインフレと経済停滞をもたらせているのだ。それにより、米国は優位に立てると思い込んでいるようだ。止まらないインフレが、実は米国こそ最大の経済崩壊になることを知らない。
金木犀


実体経済と金融経済の戦い

2022-09-28 19:15:39 | 社会
ロシアからドイツへバルト海の海底を走る天然ガスパイプライン、ノルドストリーム1、2が3か所で爆破された。西側メディアはロシアが爆破したと報道しているが、米国が行ったものだ。ポーランドの元国防・外務大臣で、現欧州議会議員ラドスワフ・シコルスキーRadek Sikorskiは、「Thank you, USA」とバルト海の爆破写真と共にツィートしている。今日のREUTERSは、「CIA warned Berlin about possible attacks on gas pipelines in summer - Spiegel(CIAがベルリンに警告、夏にガスパイプライン攻撃の可能性 - シュピーゲル誌)」を報じている。爆破された3箇所の近くにはボーンホルムBornholm島があり、今年4月に米軍に駐留が許可され、ロシアが反発していた。今年1月、米国ビクトリア・ヌーランド国務次官は、「ドイツには明確に伝えているが、もしロシアがウクライナをどんな形でも侵略したら、ノードストリーム2は動かなくなることになる」と述べていた。ドイツは欧州最大の工業国で、そのドイツ工業はロシアのエネルギーで支えられて来た。ノルドストリーム1、2は、ロシアとドイツの合意で作られた。欧州を主導するドイツを潰すのが米国の目的だ。戦後、米国は1960年代まで世界一の工業国の座を占めていたが、敗戦国日本にその座を奪われそうになり、1970年代の石油危機で打ちのめされた。1980年代に金融経済へ転換すると同時に、日本を潰しにかかった。失われた30年で日本はもはや再起不能であることが分かると、矛先をドイツに定めた。世界経済フォーラムの育てた政治家がドイツで実権を握ると、ドイツは自ら米国の思惑に乗り、自国を痛めつける状態を招いた。米国に肩を並べかけた日本とドイツが、米国によって抑え込まれると、実体経済の確かなロシアと中国が浮上して来た。米国が築いた金融経済とは、紙幣が紙幣を生み出すシステムである。そして、その紙幣はただ印刷すればいいだけである。サウジアラビアとの密約で、国際的な石油取引を米国通貨ドルで行うことで、何とか紙幣の価値を維持して来たが、ロシアのウクライナ侵攻後、欧米がロシアの海外資産を凍結・没収したことを見た、サウジアラビアは、米国との密約を厳守しなくなった。ロシアがルーブルで天然資源を他国に売る姿を見たことも影響している。多額の経常赤字と多額の政府債務を抱えた米国は、本来ならば通貨価値を失う。しかし、サウジアラビアとの密約がドルを支えてくれた。今、米国はその支えを失おうとしているのだ。紙幣だけで維持された米国の金融帝国は極めて危険な状態に来ている。ウクライナを通したロシア・中国と米国はいわば実体経済と金融経済の戦いでもある。ロシア・中国はユーラシア大陸の西以外で緊密な経済回廊を構築しようとしている。そこにはインドやトルコなどの中東も含まれる。その意図を知る米国は、こうした中露の経済回廊をも破壊しようと策謀している。アルメニアやカザフスタンに米国が接近しようとしているのもその表れだ。しかし、流れは確実に実体経済に向く。米国主導のロシアへの経済制裁は、確実に西欧を痛めつけている。米国さえもが痛めつけられている。資源国ロシアからの資源が入らなくなり、西欧と米国の物価は急騰し、工業は麻痺状態になっている。米国はロシアや中国への経済制裁で、両国を追い込もうと意図したが、裏目に出ている。ロシアの通貨は主要国で最も強くなり、ロシアの外貨準備は過去最大である。米国の物価高は止まらず、中央銀行は予想以上の早さで金利を上げ続け、債務でバブル化した金融市場は、金利上昇で下落が止まらない。西側メディアがロシアの強制と報じるウクライナ4州の住民投票は、国際監視員の監視の中で、ロシアへの編入が決まった。恐らく30日にはロシアが正式に4州をロシアとして認めることになるだろう。4州がロシア領土となると状況は一変する。事実上はNATO軍であるウクライナ軍のこの4州への攻撃は、直接ロシアを攻撃することになる。ロシア領への直接攻撃に対するロシアの反応は、これまでとは違った次元のものになる。西側メディアは今月初旬のロシアのハルキウ撤退をロシアの敗北の深化として報じたが、ロシアは4州併合後の4州の守備を固めるためにハルキウを放棄しただけである。米国はアフガニスタンやイラクで空軍による無差別な絨毯爆撃を行って来た。ロシアはウクライナで制空権を持つにも関わらず、それを行っていない。米軍のような戦い方をやれば、ウクライナ全土を掌握することなどロシアにとっては簡単だ。しかし、ロシアは決してそれをやらない。少なくともこれまではロシアの目的は、東部2州の解放とウクライナの非ナチ化である。残虐行為を平気で行って来たアゾフ大隊のようなウクライナのネオナチスを排除し、東部2州が2度と悲惨な目に遭わないようにすることだ。4州が自分たちの意志で、ロシアへの編入を選択した以上は、それをロシアも受け入れるだろう。4州がロシアに編入された後、ウクライナ軍がどう出るか。それによってロシアは対応を決めることになる。30万人の一部動員は、この4州の守備にあたる。4州は1000Kmに広がる。ウクライナよりも米国がこの事態にどう対応するかだろう。ウクライナは米国主導で2014年に選挙で選ばれた政権を転覆させた。それ以来、ウクライナの実態は米国傀儡政権であり、ウクライナ軍はNATOの訓練を受けて来た。これまでのロシアとの戦いでウクライナ軍は多くの兵士を失い、今では多くが実質NATO軍や外国傭兵となっている。米国は、アジアでも台湾をウクライナ化しようとしている。米国はアフリカ、中東、中南米のような小国を相手にする場合は、自らの軍隊を派遣するが、ロシアや中国のような大国を相手にする場合は、直接介入を避け、間接介入で長期戦に持ち込み、相手を弱体化しようとする。ロシアや中国が米国のような絨毯爆撃で、一気にウクライナや台湾を破壊することはないと知っている。しかし、現在のロシアがそうであるように、中国も台湾を相手にしても弱体化することはないだろう。むしろ一層、非米諸国との交易を強め、ドル離れが加速するだけである。世界ではロシアへの経済制裁に加わらない国の方が圧倒的に多いのだ。そうした国々は、自国の利益を優先して、ロシアや中国の資源や製品を購入しようとする。両国は農産物も豊富だ。金融経済と実体経済の戦いで、金融経済の大敗北は目に見えている。米国覇権の凋落は加速するだけである。
木槿

感染も危険

2022-09-27 19:15:11 | 社会
米国コロンビア大学ジェフリー・サックスJeffrey David Sachs教授は、英国医学誌British Medical Journal(BMJ)のコロナ委員会、委員長として新型コロナウイルスの起源が自然発生ではなく、米国の資金提供を受けた武漢ウイルス研究所のような施設から漏出した人工的なものであることを明らかにした。ウイルスの遺伝子構成があまりにも不自然であった。現在、ワクチンの危険性についての論文が多く出て来たが、ワクチンとウイルスに共通なのはスパイクタンパクである。ワクチンの危険性がネット上でも多く報告されている一方で、そうしたワクチンの危険性を訴える人たち自体が、ウイルスは、特にオミクロン株になってから重症化はしないため、風邪のようなものだとして、多くのウイルス対策の規制を解除するべきだとしている。そうした記事を見ながら、どうしても危惧せざるを得ないことがある。ほんとうにウイルスは危険ではないのか。自然発生したウイルスならば、進化の過程で弱毒化することは納得出来る。しかし、人工的なウイルスであれば、そう安易には楽観出来ないのではないだろうか。どこかウイルスへの危惧が払拭し切れない。久しぶりにThailand Medical Newsを覗いてみた。するとまさにその危惧していたことが載せられていた。7月21日、「BREAKING! Hypothesis That Majority Exposed To SARS-CoV-2 Will Have Shortened Lifespans Validated By Study Showing NSP2 Impairs Human 4EHP-GIGYF2 Complex! (速報! SARS-CoV-2に感染すると寿命が短くなるという仮説が、NSP2がヒト4EHP-GIGYF2複合体を阻害する研究により立証される! )」、8月4日、「BREAKING! Study Finds That Cancer Causing Genes Are Upregulated In SARS-CoV-2 Infected Individuals! (速報! SARS-CoV-2感染者において、癌を引き起こす遺伝子の発現が増加していることを発見! )」、8月16日、「BREAKING! Many Long COVID-19 Patients Have Higher Levels Of Circulating SARS-CoV-2 Viral RNA Compared To Those With Acute Infection! (速報! COVID-19の長期感染者の多くは、急性感染者と比較して、循環血中SARS-CoV-2ウイルスRNA量が多い! )」、8月22日、「BREAKING! Study Finds That Upregulated Interleukin-6 Drives Development Of Rare Liver Cancers! COVID-19 Infections Causes Elevated IL-6 Levels In Many! (速報! インターロイキン6の上昇が希少な肝癌の発生を促進することを発見! COVID-19感染で多くの人がIL-6濃度を上昇させる!?)」がまとめて載せられており、Thailand Medical News自体がやはりウイルス感染は危険だと仮説を立ており、それを証明する論文が次々に発表されていた。新型コロナウイルス感染は、ワクチン接種と同じく免疫を低下させ、様々な癌の発癌性を高め、寿命まで短くすることが研究で明らかにされていた。フランス国立科学研究センターの研究で、「SARS-CoV-2コロナウイルスとその様々なウイルスタンパク質によって破壊、損傷、機能不全に陥る347の既知の細胞経路と様々な遺伝子の283の独自の分析に基づき、楽観的に考えれば、感染者の大多数はあと5年から8年しかもたないと推定される。しかし、絶え間ない再感染と、より新しい病原モードを持つ新型ウイルスへの曝露により、状況はさらに悪化し、これらの残存寿命はさらに短くなる可能性があ流。」、テヘラン医科大学の研究では、「SARS-CoV-2コロナウイルスに感染した人は、特に末梢血単核細胞(PBMC)において、様々な発癌性遺伝子の発現が増加していることが、新しいバイオインフォマティクス研究によって明らかにされた。」、米国カンザス大学呼吸器・重症患者医療学部の研究者らによる新しい研究では、「多くのCOVID-19長期感染者は、COVID-19急性感染者と比較して、循環しているSARS-CoV-2ウイルスRNAのレベルが高いことが明らかになった」、ドイツ癌研究センター(DKFZ)とエルサレムのヘブライ大学の研究者らは、「肝臓のまれな癌である肝・胆道複合癌の発生細胞をマウスで突き止めた。その結果、炎症性免疫メッセンジャーであるインターロイキン6(IL-6)が発癌のドライバーであることが判明した。IL-6をブロックすると、マウスの腫瘍の数と大きさの両方が減少した。」。今日の日本経済新聞は、「カナダ、コロナの入国制限を10月に撤廃 国籍関係なく」を報じている。ワクチン接種証明が不要となり、「列車や飛行機内でのマスク着用義務もなくす。コロナ前と同様に渡航できる状態に戻し、観光振興を進める。」とある。日本も来日時のワクチン接種3回の証明は求めるが、PCR検査は不要となる。25日の日本経済新聞は、「オミクロン対応ワクチン、米で接種開始も出足低調 対象者の2%どまり」を報じている。欧米では、すでにワクチン接種者が急減しており、追加接種はほとんど進んでいない。ワクチン接種の急先鋒国であったカナダが、コロナ前と全く同じ状態に規制解除する。これは手放しで喜べる状態ではないのではないだろうか。欧米の国民のほとんどがワクチンに対してそっぽを向くようになったため、ビル・ゲイツたちは方針を転換し、ワクチン接種のこれまでような強力な推進を止め、コロナ以前の解放状態にすることで、いつまでも感染だけは続いて行く状態にする。ほとんどの人は感染の危険性に気付いていない。ワクチンによる人口削減から、感染の長期化による人口削減である。オミクロン感染からは、高齢者や基礎疾患のある人以外では、多くが軽症・中等症で一応回復している。ほとんどが抗ウイルス薬を使っていない。つまり、感染してもウイルスの危険性は感じず、何事もなかったかのように日常生活に戻るが、体内では確実にウイルス感染による変化が起きてしまっている。やはり感染した場合は、たとえ無症状であってもイベルメクチンのような多彩な抗ウイルス作用を有する安価で安全な薬剤を服用し、わずかでもウイルスの体内への影響を排除する必要がある。興和のイベルメクチン治験は失敗だった。オミクロン感染で軽症化したことや、保健所手続きが介在し発症早期の投与が出来なかったことなどが関係したようだ。しかし、海外では有効論文が100以上も出ている。現在のワクチンすら国内治験は完全な形で行われないで緊急承認されている。何故、海外で多くの論文が明らかにしたイベルメクチンの有効性を認めないのだろうか。安全性は40年にもわたって世界で使われ続けて来たことで証明されている。認めないのは、イベルメクチンがビル・ゲイツたちの思惑を邪魔することになるからだろう。イベルメクチンへの執拗な攻撃を見れば分かる。ワクチンもウイルス感染も、いずれも避けなければならない。感染した場合は、出来るだけ早く、イベルメクチンを服用して、体内でのウイルスの増殖を抑えなければならない。恐らく、今後も新たな変異株は登場するだろう。モデルナがこれから日本に新型コロナワクチン工場を作る。それも政府との今後10年契約である。つまり、モデルナは今後も新型コロナウイルス感染が続いて行くことを前提としているのだ。確実な根拠があるのだろう。
ホトトギス

名ばかりの民主主義国家、米国

2022-09-26 19:12:05 | 社会
今日も昨日に続いて、雲が多いが晴れた日になった。最高気温は24度で、風はひんやりして、もう完全に秋の風に変わった。草むらではアキアカネの姿も見かける。昼のTVで、ロシアの一部動員やウクライナ東部・南部4州での住民投票の「非道」さ、ロシアの核兵器使用の危険性を報じていた。ワクチンと同じく、今のメディアは一方的な情報しか流さない。それは根が同じだからだろう。登場する「専門家」のレベル低下も同じである。今回のウクライナ4州の住民投票では、各州に3カ国ずつの国際監視委員が派遣されており、ドイツやイタリアなどの監視員は「投票は非常によく組織されていた」、「投票の際に有能なアプローチと違反が無かった」などと述べている。しかし、こうした監視員の存在すらメディアは伝えない。コソボは住民投票すらなくセルビアから独立して、西側諸国がそれを承認した。米国は常にダブルスタンダードで、意に沿わない国を非難して来た。今月13日、スウェーデン紙NYA DAGBLADETは、「Chockerande dokumentet: Så planerade USA kriget och energikrisen i Europa(衝撃の文書:米国は戦争と欧州のエネルギー危機をどのように計画したか) Läckta RAND-dokumentet(流出したランド研究所の文書)」を報じている。「冷戦時代、米国の外交・防衛政策を支えてきたことで知られる政府系シンクタンク「ランド研究所」から、異例の内部リークと思われるものが発表された。 1月付の文書では、ウクライナで進めている積極的な外交政策が、ロシアに軍事介入の圧力をかけることになると認識している。その目的は、長い間準備されてきた制裁パッケージを課すことだと説明している。 その結果、EUの経済が「崩壊するのは避けられない」とし、とりわけ9兆ドルもの資源がアメリカに流れ、高学歴の若いヨーロッパ人が移民を余儀なくされることを喜ぶのだ。 この文書に書かれている主な目的は、ヨーロッパ、特にドイツとロシアを分断し、政治の役に立つ馬鹿者たちにヨーロッパ大陸へのロシアのエネルギー供給を断たせることによって、ヨーロッパ経済を破壊することである。」、「ランド研究所によれば、その最大の障害は、ドイツの独立性が高まっていることだという。Brexitによってドイツはより大きな自治権を獲得し、米国が欧州政府の決定に影響を与えることが難しくなったことなどが指摘されている。 シニカルな戦略を貫く重要な目的は、何よりもドイツとロシア、そしてフランスとの協力関係を破壊することだと言われている。」、「「ロシアの供給を止めることは、ドイツ経済、そして間接的にはEU全体に壊滅的な打撃を与えるシステム危機を引き起こす可能性がある 」とし、ヨーロッパ諸国を戦争に巻き込むことが重要であるとしている。」。このスウェーデン紙の記事に対して、ランド研究所は即座に「この報告書が自分たちから出たものであることを否定するプレスリリースを発表した。しかし、どのように虚偽の報告であるか、何が真実でないかについてはコメントせず、内容を「奇怪」と見なし、この文書は「虚偽」であると簡潔に書いている。」とある。欧州連合EUはドイツ経済が牽引して来た。ドイツはEU内の自由な取引で利益を上げて来たが、その一方で、経済的に遅れているEU内の国々の面倒も見なければならなかった。ドイツ国内からEU離脱の声が上がるのも当然であった。米国はすでに日本を凋落させたので、次にドイツの崩壊を目論んだ。ウクライナは欧州のドイツ、フランスを衰退させるための手段でしかない。今日のロイターは、「イタリア総選挙、右派連合が圧勝 初の女性首相誕生の公算」を報じている。イタリアのエネルギー価格はドイツよりも40〜60%、フランスよりもさらに3倍も高い。2023年前半までに少なくとも12万社のサービス業の中小企業が閉鎖の危機にさらされ、その結果37万人以上の雇用が失われる可能性があるとされる。このため、国民からの政権への批判が強くなり、抗議運動が拡大して行った。マリオ・ドラギ政権は、このため、7月に辞任に追い込まれた。今回の選挙で、新首相となるジョルジャ・メローニ氏は、親ロシア派であるため、日本や欧米のメディアは「極右」のレッテルを貼り、ウルズラ・フォン・デア・ライエンEU委員長などは、選挙でメローニ氏が当選すれば、EUはイタリアを支援しないとまで発言している。選挙で選ばれてもいないEU委員会は、NATOと同じく米国の傀儡組織でしかない。ただ、25日のREUTERS、「Italy's Meloni promises to defy Chinese and Russian expansionist ambitions(イタリアのメローニは、中国とロシアの拡張主義的野心に逆らうと約束した。)」では、メローニ氏は、ロシア、中国の欧州への経済進出に反対し、ウクライナに武器を送り続けることを約束。民主主義を脅かすという非難を一蹴し、西側同盟の弱点にはなるつもりはないと語っている。彼女も世界経済フォーラムとつながりあるようだ。ロシアからのエネルギー資源が断たれると最大の影響を受けるのはドイツであり、ドイツ産業が壊滅的になる。ドイツは無論、ポーランドやモルドバなどの旧東欧圏の国々でも国民の抗議運動が広がっている。ロシアのエネルギー遮断で最初に困窮するのが生活者だ。日本のメディアは、同じく報じないが、今月12日から明日まで開かれる第77回国連総会では、Global South南半球の開発途上諸国が次々に米国の厳しいキューバへの経済制裁を非難する声明を出している。人口1億4400万人のロシアは、国土が日本の45倍である。米国、カナダ、中国は25倍だ。ロシアは連邦国家で、88の連邦構成体がある。共和国 21、自治州 1、自治管区 9、地方 7、 州 48 で、2大都市のモスクワとサンクトペテルブルグは州から独立した連邦直属の市である。民族は193もある多民族国家で、ロシア正教の他、イスラム教、仏教、ユダヤ教などさまざまな宗教がある。各共和国には大統領や首長がいる。東部ドネツクとルガンスクの2州は、2014年のウクライナのマイダン革命後、ウクライナのネオナチスによる執拗な攻撃にさらされ、それぞれ人民共和国として独立宣言し、ネオナチスと8年間戦って来た。現在、メディアがロシア軍と称する大部分はこの2つの人民共和国軍やチェチェン共和国軍であり、それをロシア軍がバックアップする形で戦闘が進められている。ロシアは多民族国家であるが故に、主要国から見捨てられているGlobal Southとの結び付きを重視して来た。今回の国連総会でもロシア外相はそうしたGlobal Southの国々との会談を多く持っている。現在、ウクライナ支持国は世界196カ国中のわずか32カ国であり、人口では世界の15%でしかない。米国中心にウクライナへの支援が続けば続くほど、ウクライナだけでなく、欧州の疲弊は増して行く。イタリアのように政権が覆る国々が出るだろう。中国、インド、ロシア、サウジアラビア、イラン、トルコはユーラシア大陸の交易を進めようとしており、米国は何としてもこれを阻止したい。その標的とされているのが台湾である。台湾への中国の武力介入を誘発させ、中国を弱体化させることで、ユーラシアの交易網を阻止する。米国のイラク侵攻から同時進行した米国のグローバリズムは他国からの多国籍企業による収奪と同義である。米国にとって、同盟国とは米国に利用され、収奪される国を意味する。巨大な多国籍企業しか利益を得られないのがグローバリズムである。製薬企業も軍需産業もやはり多国籍企業の主軸だ。無論、ウォール街はその中枢でもある。
同盟国通貨の失速

黄金色に染まって来た稲穂

日本は何故衰退したのだろうか

2022-09-24 19:13:39 | 社会
2年前、初めて中国を訪ねた。人口600万人の大連市であった。戸建はほとんどなく、ビルのようなマンションばかりだ。広い道路には世界中の自動車が走っていた。道路脇に客待ちで駐車しているタクシーは多くがフォルクスワーゲンであった。中国は世界の自動車販売の28.2%を占め、欧州全体や米国を凌ぐ世界最大の自動車市場である。日本の5倍にもなる。国土が広く、計画された都市であるため、複数車線と広い道路も確保されている。高齢者を含めほとんどの国民が一人一人スマートフォンも所有している。移動にはスマートフォンが必須だからだ。バスや電車などの改札は全てスマートフォンで行う。毎年、世界中に留学生を送り、近年では、一定の知識や技術を身に付けた留学生が帰国し、主要産業の担い手となっている。米国だけでも留学生は毎年30万人を超える。日本は2万人を切る。19日の日本経済新聞は、「円安で縮む日本 ドル建てGDP、30年ぶり4兆ドル割れ」を報じた。「ドル建てでみた日本が縮んでいる。1ドル=140円換算なら2022年の名目国内総生産(GDP)は30年ぶりに4兆ドル(約560兆円)を下回り、4位のドイツとほぼ並ぶ見込み。」、「1ドル=140円なら平均賃金は年3万ドルと90年ごろに戻る計算だ。外国人労働者にとって日本で働く魅力は低下している。今年の対ドルの下落率は円が韓国ウォンを上回り、ドル建ての平均賃金は韓国とほぼ並ぶ。11年には2倍の開きがあった。」とある。日本の平均年収は1992年が最高で、以後は低下の一途を辿って来た。日本は何故衰退したのだろうか。先進国ではGDPに占める消費の割合が50%を超える。2020年の日本のGDPに占める割合は53%である。賃金が上がらなければ消費は増えない。経済が成長するためには国民の所得が重要なのだ。国民の所得が増えるためには、常に経済を牽引する産業が必要となる。しかし、日本は教育・研究費を削り続け、半導体、太陽光パネル、IT産業などの新産業の育成に失敗して来た。インドや中国のようにベンチャー企業やIT技術者を育てる環境も整えて来なかった。自動車などの古くからの輸出産業を守るための円安誘導と政府債務の軽減のために30年間、超低金利を維持して来た。2013年12月16日のロイターは、「コラム:「失われた20年」の次は「英国病」か」で、戦後の英国が低金利を維持すること(金融抑圧)で、戦中の国家債務を実質的に減らし続けたことが「英国病」と呼ばれる英国の衰退を招いた事実を示し、日本も同じ道を進んでいることを明らかにしている。20日の日本経済新聞は、「消費者物価8月2.8%上昇 30年11カ月ぶりの上昇率」を報じた。日本銀行は「異次元」の金融緩和を始めた際に、インフレ率2%を緩和解除の目標とした。すでに2%を超えたが、日本銀行は一向に動かない。22日のブルームバーグは、「スイス中銀、0.75ポイント利上げ-マイナス金利は日銀のみに」を報じている。デンマークに続いてスイスもマイナス金利から抜け出したが、日本だけはいまだにマイナス金利を維持している。インフレ率が今後さらに高まり、実質金利のマイナス幅は広がる。日本の家計の貯蓄率は1970年代半ばにピークを打った後、下がり続け、2013年にマイナスの底を付けた後、反転し上昇に転じている。未来への不安が貯蓄を促している。国民の所得は経済を牽引する産業だけでなく、所得分配機能を有する税制も重要だ。しかし、その税制は資産格差を生み出した新自由主義により誤った方向に向かい、富裕層の負担を軽減し、国民一般に負担を重くする消費税増税を推進した。本来ならば、富裕層の資産や巨大企業の社内留保などに課税し、国民一般の負担を軽減する消費税の減税による所得移転を行うのが税制である。政治家は国民の所得増大よりも企業や富裕層からの政治献金により、献金者のための政治を行う。優秀であったはずの官僚も国家よりも自分達の利得・権益しか考えなくなってしまった。毎年、一般会計の2倍以上もある特別会計を国会の審議を経ずに自分たちで自由に配分している。無駄な機構を温存し、退職後の天下り先を確保しているだけである。要するにこの失われた30年は、官僚と政治家が日本と言う国を考えなくなったその結果である。少子高齢化はその30年間放置されたままである。若者は社会に敏感であり、その若者には夢が失われている。外国人研修制度と言う名の低賃金労働は、もはや先進国とは言えない労働環境を強い、むしろ日本が見放される状態を生み出してしまった。政治家、官僚が日本の未来を考えず、中央銀行はひたすら政府債務を助け続けて、誰も国民の生活を顧みない、これが日本の現状だ。日本はすでに打つ手がないところまで行きついてしまった。米国はこれからもインフレが進み、中央銀行が金利を上げ続ける。遠からず、金利上昇が株式などの資産市場の暴落を招く。リーマン・ショックを遥かに超える暴落になる。日本も当然、これに巻き込まれる。日本の海外投資1000兆円の多くが米国に投じられている。年金の基金までもが投じられている。米国発の金融崩壊と、日本国内のインフレのさらなる上昇が中央銀行である日本銀行を追い込むことになるだろう。今後も供給網は十分機能せず、物資の流通は十分ではないため、日本のインフレは確実に進む。日米の金利差はさらに拡大して行くために、円安も進み、輸入物価は一層上昇する。政府債務はインフレと超低金利で助けられるため、日本銀行は決してインフレを抑える目的では金利を上げないだろう。どこかで国民の怒りが表面化するだろう。今の欧州の主要国で見られるように。日本の「グレート・リセット」こそが今の日本には必要だ。政官財の大きな改革無くしては日本の未来はない。それはもう30年前から明らかであった。新自由主義が取り入れられたのは、それがまさに政官財にとって、日本の改革と見えたのだろう。しかし、実際は、むしろ新自由主義が日本の衰退の後押しをしただけであった。日本の近・現代史は、日本がどん底から立ち上がる歴史であった。同じことがまた起きることを期待するしかない。
彼岸花

準備が整うロシアと中国

2022-09-22 19:16:28 | 社会
昨夜の産経新聞は、「<独自>ワクチンの接種間隔 5カ月から3カ月に短縮へ」を報じた。「政府が、新型コロナウイルスのオミクロン株に対応した新ワクチンの接種間隔について、現行の5カ月から3カ月に短縮する方針を固めたことが21日、分かった。10月末までに専門家の了承を得たうえで早期導入を目指す。」とある。「5カ月から3カ月に短縮」するのは、あくまでも政府の都合であり、専門家の了承は政府が決めた後の了承であり、科学的根拠なく政府が決めていることが分かる。5億回分の購入ワクチンを消費するためにただ短縮したと言うのが実情だろう。20日の読売新聞は、「コロナ患者はイベルメクチンを飲まないで!」と題する編集委員の記事を載せている。イベルメクチンの有効性を否定する3つの論文を取り上げ、「いずれも信頼性の高い研究で、3月と8月の研究が発表されたのは、世界で最も権威ある米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」」と書いている。この3つの論文は、いずれもイベルメクチンの投与が、発症4日以後となっている論文だ。イベルメクチンを生産するメルク社の日本の子会社MSDの新型コロナウイルス感染に対する抗ウイルス剤モルヌピラビル(ラゲブリオ)カプセル200mgの添付文書の「7.用法及び用量に関連する注意」には、「臨床試験において、症状発現から6日目以降に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない。」と書かれている。ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス剤は、ウイルスが増殖する発症早期に投与しないければ効果は期待出来ない。読売新聞の上げる論文は、わざわざイベルメクチンの投与を遅らせて、「効果なし」と判定した論文ばかりである。有効性を示した論文が100以上あるにもかかわらず、それらの論文は一切取り上げない。これがコロナ禍の主要メディアの姿勢である。ウクライナや台湾問題でも同じである。今日のロイターは、「プーチン氏の発表はパニックと自暴自棄の表れ=ボレルEU上級代表」を報じている。「欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は、ロシアのプーチン大統領によるウクライナの親ロシア派支配地域およびロシア軍の占領地域の併合に向けた動きやロシア防衛のために核兵器を使用するとの脅しは、パニックと自暴自棄を表していると述べた。」そして、彼はさらに 「ウクライナへの継続的な支援を改めて示し、プーチン氏がわれわれを追い込んでいる受け入れがたい状況について国際社会に警告する」と述べたことを伝えている。ウクライナの東部ドネツク州、ルハンスク州と南部のザポロージャ州、へルソン州の4州は、ロシアへの帰属をめぐって明日から29日まで住民投票を行う。ウクライナ軍は、それを妨害するために猛攻撃をかけている。ロシアは部分的動員令を発し、予備兵30万人を招集する。4州の住民がロシアへの帰属を決めると、クリミア半島と同じくロシア領となる。ロシア領となった4州への攻撃は、ロシアへの直接攻撃と見做され、ロシアは本格的な戦いに転じる。もはや、ウクライナはロシアとNATOの戦いとなっている。米国メディアNEWS WARSは、「Putin Blasts “Globalist” World Order as “Totalitarian”(プーチン、「グローバリスト 」の世界秩序を 「全体主義 」と非難) "Holding back creative pursuit."(「創造的な追求を阻む」)」と題する記事を載せた。「ロシアのプーチン大統領は本日未明、「グローバリズム」の世界秩序は「全体主義」であり、「創造的な追求を妨げている」と主張した。 プーチンはモスクワで開かれたフォーラムでこのように発言した。 この悪名高い指導者は、西側諸国は歴史的に他国からの略奪によって世界的な優位に立っただけで、地球に一極集中モデルを強制する道徳的権利はないと主張した。」、「「そして、その根底にあるグローバリズム、リベラルとされるイデオロギーは、ますます全体主義の特徴を獲得し、創造的な追求、自由な歴史の創造を阻んでいる」とプーチンは主張した。」、「ロシア大統領はさらに、グローバリズムの世界秩序は他国からの搾取で成り立っているとの見解を強調した。」、「そして、西側エリートは自分たちの世界秩序が解体されることを恐れている、と宣言した。」、「「欧米やいわゆる超国家的なエリートたちが、どんなに既存の秩序を守ろうと努力しても、世界史の新しい時代がやってくるのだ。そして、真に主権を持つ国家だけが、高い成長原動力を確保し、他の模範となることができる」とプーチンは言った。」などとプーチンの発言を載せた上で、米国メディアらしく、「以前にも紹介したように、プーチンは一貫して自国の没落を西側のせいにして来た。」と書いている。しかし、プーチンが述べていることは、確かに現在の世界の状況を的確に表現している。米国は米国の考える「自由と民主主義」を世界に強制し、歯向かう者はことごとく国連憲章を無視して潰して来た。ウクライナに続いて台湾を通して中国を追い詰めている。今日の日本経済新聞は「中国、米国債保有1割減 租税回避地に移管も」で、「中国が保有資産を入れ替えている。7月の米国債保有額は2021年末から9%減り、8月の金輸入額は過去最大だった。米欧日によるロシア中央銀行の海外資産凍結に衝撃をうけ、ドル依存への警戒を強めている。」と伝えている。中国はドル保有を減らし、金の備蓄を加速している。米国はロシアのウクライナ侵攻後、ロシア資産を凍結した。これを見ている中国はドル保有の危険性を考え、ドル保有を減らしている。米国の経済市場メディアTeleTraderは、昨日のニュース記事として、「Xi instructs China to prepare for war - media (習近平氏、中国に戦争準備を指示-メディア)」を報じた。「中国の習近平国家主席は2日、中国共産党政治局常務委員会で演説し、陸軍が「軍の改革と強化の戦略を完全に実行した」後、中国の軍事態勢を強調したと、CCTVが報じた。 同メディアは、習近平が「新たな状況を把握し、戦争の準備に集中すべきだ」と述べたと書き、どのような紛争について言及したのか、詳細は明らかにしていない。 北京とモスクワは最近合同軍事演習を行ったが、台湾防衛省は本日、中国の航空機12機が台湾海峡の中央線(多くの人が非公式の国境と認識している)を越えたと発表するなど、台湾周辺の情勢も激しくなって来ている。」とある。中国も「もしも」の場合に備えている。しかし、中国はよほど追い込まれない限りは、台湾を武力制圧することはないだろう。台湾は中国の建前上は中国の一部であり、「自国民」を大々的に武力攻撃により抑えることは避けたいはずだ。米国や他国が台湾に干渉することを許さない、と言う姿勢だけは示す必要があるのだろう。覇権に限りが見えて来た米国は、欧州を巻き込んで、最後の悪あがきをしているようだ。他国への干渉よりも自国の自滅の足音を聞いた方がいいのだが。
川堤のコスモス


翻訳:ウクライナ戦争:ロシアは生き残り、EUは死に、中国が得をし、米国が大勝利を収める

2022-09-21 19:18:37 | 社会
19日のREUTERSは、「India, Saudi Arabia discuss rupee-riyal trade(インドとサウジアラビア、ルピー・リヤル貿易について協議)」を報じた。米国通貨ドルを避けた取引がまた拡大している。以下は米国のハイテク専門家であり、作家でもあるクリス・カンタンChris Kanthanの今月4日の「Ukraine War: Russia Survives, EU Dies, China Gains, and USA Wins Big(ウクライナ戦争:ロシアは生き残り、EUは死に、中国が得をし、米国が大勝利を収める)」と題する記事の翻訳だ。

 ロシアのウクライナ侵攻(「特別軍事作戦」)から6ヶ月が経過し、私たちは無数の驚きと地政学的事実を目の当たりにしている。勝者と敗者は、2月当時主流だったコンセンサスとは全く逆である。ロシアは、西側の地政学専門家の予想をはるかに上回る成果を上げた。ヨーロッパ人は、自分たちを待ち受けている災難を知っていたら、戦争を支持しなかっただろう。後述する理由により、中国はこれ以上ないほど幸福である。そして、これまでのところ、地政学的に最大の勝者は米国である。しかし、米国のエリートは、ポストドル世界への移行を加速させたかもしれない。

ロシアは生き残る(そして繁栄する)

ロシアに起こったことは前代未聞であり、プーチンがまだ政権を維持していることは驚くべきことである。欧米諸国は、ロシアの外貨準備高4000億ドルを没収し、ロシアの銀行をSWIFT(国際取引システム)から追い出し、無数の制裁措置を講じるなど、金融面での衝撃と畏怖の攻撃を行った。欧米の大企業はこぞってロシアから撤退した。ヨーロッパは、ロシアの石油、ガス、石炭の購入を間もなく止めると言った。「ルーブルは瓦礫と化すだろう」とジョー・バイデンは雷を落とした。欧米はロシアのオリガルヒの資産も没収し、プーチンに対するクーデターを誘発することを狙った。米国は、「ロシアは世界の恥さらしになった」と主張した。

驚くべきことに、プーチンはそれらすべての努力を阻止した。資本規制とロシアの石油とガスに対するルーブルの要求によって、プーチンはルーブルを救っただけでなく、8年前と同じ強さ(1ドル=約60ルーブル)にしたのである。

Wall Street Journalの記事にあるように、8月のロシアの輸出量は日量740万バレルで、戦前の水準より8%少ないだけである。その一方で、石油や石油化学製品からの収入は、戦前に比べて4割も増えているのだ。インドなど米国の同盟国をはじめ、多くの国がロシアの石油やガスの購入に踏み切った。世界最大のエネルギー輸入国である中国は、ロシアからの購入量を大幅に増やした。

消費者向け製品(そしておそらく軍事的ニーズも)については、中国がロシア市場の獲得に乗り出した。ロシア人は今、中国製の自動車、中国製のスマートフォン、中国製のおむつなどを買っている。Win-Winだ。

そして、プーチンは除け者にはならなかった。インドネシアの指導者はロシアに飛び、11月のG20会合にプーチンを招待した。ロシアの外相セルゲイ・ラブロフはアフリカに飛び、米国の脅しを無視して多くの国と取引した。

ウクライナでの戦争については、期待通りに進んでいないものの、ロシアは存亡の危機と戦っているという単純な理由から、いずれ勝利するだろう。ウクライナが米国・NATOの延長線上にあることは、ロシアにとって安全保障上も地政学上も重大な危険をはらんでいる。一方、ウクライナの人口の約4割はロシア系民族であり、親ロシア的である。

本当にロシアを憎んでいるウクライナ人については、少数派である。アゾフ大隊や、下の動画にあるウクライナのサッカースタジアムのネオナチのように。

数カ月以内に、ロシアは国民の大半がロシア人である地域をすべて取り込むだろう。住民投票が行われ、それらの地域はロシアに加わることになるだろう。ちょうど2014年にクリミアがそうしたように。ロシア人が多数派の地域はすべて最も工業的で生産性の高い地域なので、ウクライナにとっては死の宣告となるだろう。また、ウクライナは黒海から完全に切り離されることになる。

有色人種地域はロシア系民族が大多数

西側のプロパガンダは馬鹿馬鹿しいにもほどがある。毎日、「ロシア軍は弾薬を使い果たしている」「ロシア兵は士気を失って離反している」「多数のロシア軍将兵が殺害された」など、センセーショナルな主張がなされているのである。親ウクライナのプロパガンダは、まさにハリウッドそのものである。コカイン中毒でコメディアンのゼレンスキーは、現代のチャーチルに変身した。ウクライナのナチスは英雄に変えられ、「キエフの幽霊」のような漫画のような話がでっち上げられ、米国は何百億ドルもの現金と武器をウクライナに送り込んだ。しかし、ファンタジーで現実を変えることは出来ない。

英国の前首相ボリス・ジョンソンは、EUの対ロシア制裁はロシア経済を潰すと勇ましく主張した。半年後、両国の食料価格は、英国で10.5%上昇、ロシアで11%下降と、全く異なることを物語っている。

結論から言うと ロシアは、少なくとも短期的にはうまくいっている。米国は、ロシアの資源と決意を消耗させるために、長い消耗戦になることを望んでいる。ロシアが戦争を速やかに終わらせ、ウクライナの大部分を併合することが出来れば、ロシアはこの試練から紛れもない地政学的大国として脱することが出来るだろう。

ヨーロッパは死につつある

イタリアのレストランでは、節約のためにキャンドルを灯している

お湯が出ない、暖房がない、電気がない、スーパーの棚に食べ物がない、トイレットペーパーがない!?これがヨーロッパが直面している恐ろしい現実である。(ドイツのトイレットペーパー会社Hakleが破産を宣言したばかりだ)。

まもなく、ヨーロッパの平均的な家庭では、1ヶ月に500ユーロを費やすことになると予想されている。そして、ヨーロッパはGDPの15%という驚くべき金額をエネルギーに費やすことになるのだ。

ヨーロッパの指導者たちは、米国の荒唐無稽な約束を本当に信じてしまったのだろう。石油やガスの代替資源を準備することなく、EUは愚かにもロシアとの戦争に参加した。今、EUは第三世界と化しつつあり、インフレと失業が急増し、ユーロは大幅に弱体化している。

電気代は多くの国で6倍以上に跳ね上がり、一般市民や中小企業に多大な負担を強いている。欧州の天然ガス価格は10倍以上にもなっている。この冬、暖房不足が原因で死亡するヨーロッパ人の数は、過去2年間のCOVIDによる死亡者数よりも多い可能性が非常に高い。

ヨーロッパ中の鉄鋼、アルミ、化学、製紙、肥料の大工場でさえ、天然ガス、石油、電力不足で操業停止しており、ドイツのGDPの大きな構成要素である自動車製造は大幅に減少している。イギリスの工場の6割が倒産する可能性がある。

ヨーロッパの経済大国であるドイツで、産業基盤の最大の崩壊が起きている。輸出と貿易黒字で知られる国が、今や貿易赤字に陥っているのだ。

欧州の荒廃は現実のものとなり、長期化する可能性がある。

欧州の繁栄は、ロシアからの安価な石油、ガス、石炭に支えられていた。20年間、ロシアとEUは協力して、ノルドストリームを含む何千キロものパイプラインを建設して来た。しかし今、西側諸国が中立であれば戦争を終わらせることが出来るウクライナについて固執しているだけで、インフラ全体とパートナーシップは破棄されようとしているのである。

ロシアの石油・ガスパイプラインがヨーロッパを動かしている

悲しいことに、NATOと米国の意のままに操られているヨーロッパは、経済的な自殺を図っている。

フランスを見てみよう。賃金は下がり続け、中産階級はすでに消滅している。フランスの労働者の半数は月収2000ユーロ以下だ。マクロン大統領はこれを解決するどころか、「豊かさの時代は終わった 」と講釈を垂れただけだ。

中国は数多くの点で利益を得ることが出来る

中国は、ロシアの石油と天然ガスについて、より大きな割引を受けることが出来る。
中国は今後、ロシアの消費者市場を獲得することになる。
欧州の産業が消滅することは、中国にとってより大きな世界市場シェアを意味する。
人民元の国際化は加速している。
ロシアは人民元を追加して外貨準備高を増やし、合計で1兆元以上になっている。
ロシア企業は人民元建て債券を発行している。
ロシアの銀行は、SWIFTを完全に回避して、中国への送金を人民元で許可している。
ロシア最大の金融機関であるスベルバンクは、現在、人民元で資金を貸し出している。
インドが人民元でロシアの石炭、石油、ガスを購入している。
SWIFTに対する中国の回答はCIPSで、100カ国以上から1300の金融機関が加盟している。2021年、CIPSは80兆元の国間取引を   扱った。(ちなみに、ロシアも独自のシステムであるSPFSを持っている)。
紛争が続けば、米国の注意をそらし、中国に地政学的な余地を与えることになる。
中国政府は、中国が台湾に侵攻した場合に米国がどのように対応するかをより良く理解するために、米国の対ロシア戦略の研究もしている。

この混乱の元凶は米国である。米国は20年以上にわたって、ウクライナを自国の軌道に引き込むために何十億ドルも費やして来た。今、米国はユーラシア大陸の破壊を楽しんでいる。

米国の軍産複合体は、米国の納税者から補助金をもらって、ウクライナに何十億ドルもの兵器を売って満足している。米国の石油・ガス会社は、法外な値段でヨーロッパに物を売っている。そして、世界中の混乱はドルを強化し、世界通貨としてのドルの地位を固め、輸入品をより安くする。

さらに重要なことは、米国は自国の優位性を脅かす最大の脅威であるユーラシア大陸を排除していることだ。ほら、ロシア、中国、ヨーロッパがみんな仲良くすれば、繁栄して、米国をますます無用な存在にすることになる。ユーラシア大陸のGDPは60兆ドルで、これは米国のGDPの2.6倍だ。

それゆえ、分裂と支配の劇薬となるのだ。EUとロシアの対立を作り出すことで、米国はヨーロッパを弱体化させ、機能不全に陥れることを確実にした。次の試みは、ヨーロッパを中国から孤立させることだろう。今、中国からヨーロッパへは毎月1000本以上の貨物列車が走っている。もし米国がそれを妨害することが出来れば、ヨーロッパと中国を同時に弱体化させることが出来る。

ユーラシア大陸を破壊することは、米国の世紀を21世紀まで長引かせることになる。

まとめ

米国の大戦略は、今のところそれなりにうまくいっているように見える。しかし、それが裏目に出る可能性もある。

米帝国にとって最悪のシナリオは、次のようなものである。

ロシアがウクライナの豊かな地域を併合し、勝者となる。
ヨーロッパで大規模な抗議運動と経済的荒廃が起こり、指導者たちはロシアと和解することを余儀なくされる。(フランスでの最近の抗議のように)。冬がナポレオン(1812年)とヒトラー(1941年)を打ち負かしたことを思い出して欲しい。2022年には、冬が3度目のヨーロッパを打ち負かすことになりそうだ。
中国はロシア、イラン、その他の国々とBRICS(現在加盟国を拡大中)に加わり、SWIFTと米ドルを回避するための強固でグローバルな代替金融システムを構築する。
中国人民元が国際化され、サウジアラビアなどの国々が人民元で石油やその他の商品を販売し始める。これによって、米国の覇権の基盤であるペトロダラーが弱体化する。米国の制裁は意味をなさなくなる。

危機的状況だ。これからの半年は非常に重要であり、世界の将来について多くのことを明らかにすることになるだろう。


感染とワクチン

2022-09-20 19:20:14 | 社会
日本のコロナ陽性者は減少傾向にあるが、そんな中で、沖縄の20代の実効再生産率が上昇して来ている。一昨日、タイのThailand Medical Newsは、「BREAKING! Taiwan Experiencing Anomalous COVID-19 Surge! People Are Getting Re-Infected With Same Variants ie BA.2.3 and BA.5.2.1.16 (BF.16)! (速報! 台湾でCOVID-19の異常な急増が発生! BA.2.3とBA.5.2.1.16(BF.16)という同じ亜種で再感染する人が続出! )」を報じている。台湾は九州より少し小さい、人口2340万人の国だ。台湾は今年4月初めまで、アジアのコロナ優等生であり、ほとんどわずかな散発的なコロナ発生しかなかった。しかし、ワクチン接種を高率に進めたため、4月半ばから急拡大し、5月27日には、9万4610人のピークを付けた。その後、減少に転じていたが、8月10日頃の2万人を少し超えたところで、再び拡大に転じ、一昨日は3万9542人となっている。Thailand Medical Newsは、「台湾で奇妙な現象が観察され、世界中の科学者を困惑させています。前回からわずか2週間で、COVID-19の感染と入院が毎日増加しているのだ。しかし、この新たな急増で奇妙なのは、数週間前に感染した多くの人々が再び感染しているのを医師が見ていることで、さらに混乱を招いているのは、前回の急増で感染したのと同じ亜種が、ワクチンの有無に関係なく再感染を促しているということです。」、「研究者を驚かせたのは、再感染が報告された人々のうち、照合したサンプルと過去の記録を新たにゲノム配列解析したところ、ほとんどのケースで同じ変異体が作用していることが分かったことです。 BA.2.3、BA.2.3.7、BA.5.2.1.16またはBF.16亜系列が、多くの再感染を引き起こすことが観察されたのです。 さらに、BA.2.3亜型は、最近の新たな再感染例において、幼児で重症化し、悪化する傾向が続いている。」、「台湾 COVID-19 報道各社は、この4週間で入院率が全国的に上昇し、ICU病棟はほぼ満床で、人工呼吸器を必要とする人が再び多くなっていると報じています。」、「一部の研究者は、再感染ではなく、ウイルスが数週間後に再活性化するか、宿主の中で「休眠」しているのではないかと考えています。」とある。「再感染ではなく、ウイルスが数週間後に再活性化するか、宿主の中で「休眠」」している可能性もあると言うのだ。ワクチン接種の有無に関係なく起きていることを考えると、ウイルス側の変化としか考えられなくなる。日本でも同じことが起きるかも知れない。日本からはコロナ関係の論文があまり出ないが、注目すべき論文二つが出されていた。8月15日付け学術誌Frontiers in Immunologyに掲載された、広島大学医学部法医学教室からの論文、「Four cases of cytokine storm after COVID-19 vaccination: Case report (COVID-19ワクチン接種後にサイトカインストームを発症した4症例:症例報告)」は、mRNAワクチン接種後短期間で死亡し、解剖で死因が分からなかった20代から50代の4例の血液サンプルを調べた結果、ワクチン接種後死亡群では好中球の脱顆粒や、サイトカイン産生とシグナル伝達関連遺伝子の発現が亢進し、サイトカインストームが死因となった可能性が示唆された。今月16日、著名学術誌NATUREのScientific Reportsに掲載された大阪大学、微生物病研究所の論文、「Reevaluation of antibody-dependent enhancement of infection in anti-SARS-CoV-2 therapeutic antibodies and mRNA-vaccine antisera using FcR- and ACE2-positive cells (FcRおよびACE2陽性細胞を用いた抗SARS-CoV-2治療用抗体およびmRNAワクチン抗血清の抗体依存的感染促進作用の再評価)」は、2回目ワクチン接種後98日目に採取した血清は、調べた血清希釈率では全く中和活性を示さなかったが、明確なADE活性を維持していたことを明らかにしている。昨日の米国メディアThe Epoch Timesは、「Spike Protein From Infection and Vaccines Contributing to Autoimmune Diseases, Studies Suggest(感染症やワクチンからのスパイクタンパク質が自己免疫疾患に寄与していることが研究で示唆される)」を報じている。ウイルス感染でもワクチン接種でも、共通にスパイクタンパクが毒性を持つ。フロリダ国際大学が最近発表した研究(Potential Autoimmunity Resulting from Molecular Mimicry between SARS-CoV-2 Spike and Human Proteins  SARS-CoV-2スパイクとヒトタンパク質との分子的擬態に起因する自己免疫の可能性 )は、「ヒトのタンパク質がスパイクタンパク質と同じ配列セットを最も多く持ち、627の領域が共通であることを発見し」、「スパイクタンパク質のアミノ酸配列が同じだけでなく、形状も同じである領域が20カ所あること」も分かった。血液凝固障害や心疾患を引き起こすタンパク質とも高い類似性が見られた。また、昨年2月19日発表された学術誌Autoimmunity Reviews 2021 Apr; 20(4): 102792.掲載のイスラエルなどの研究論文、「The SARS-CoV-2 as an instrumental trigger of autoimmunity(自己免疫の道具的引き金としてのSARS-CoV-2)」では、「スパイクタンパク質が34の異なるヒトタンパク質とアミノ酸配列において6個セットで類似性を持っていることを発見し」、「甲状腺、脳、鼻、耳、皮膚、筋肉、心臓、血液、神経、関節、腸などに存在するタンパク質が含まれて」おり、「このスパイク蛋白がギラン・バレー症候群、ウイルス性関節炎、免疫性血小板減少性紫斑病(出血)、抗リン脂質症候群、川崎病、全身性エリテマトーデス、その他多くの疾患を引き起こすのではないかと推測している。」。スパイクタンパクが人のタンパクと極めて類似しているために、スパイクタンパクに対する抗体が、人の身体のその類似したタンパクを攻撃する、いわゆる自己免疫疾患を引き起こすと言うのだ。コロナ感染でもワクチン接種でも同じだ。頻回のワクチン接種はさらにその可能性を高める。しかも実際の感染よりもワクチン接種の方がスパイクの量は遥かに多いのだ。
台湾の感染推移