釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

「アジア」とは異なる日本の対応

2020-03-30 19:13:13 | 社会
1週間前の3月23日は世界の新型コロナウイルス感染者数は32万人であった。それが1週間でほぼ倍増し72万人を超えた。感染の拡大時には、よく言われるように感染者数は指数関数的に増えて行く。映画が好きで、欧米やアジアの映画も見る。韓国ドラマに「ホジュン~伝説の心医」と言うドラマがあり、何度か見て来た。主人公は16世紀から17世紀初めにかけての朝鮮王朝時代の許浚(ホ・ジュン)と言う名の医師である。身分的なハンディを乗り越え、最後には国王を診療する医官の最高位に着き、歴史的にも貴重な医書『東医宝鑑』を編纂する。ドラマでは、医書の編纂が終えられたとして、余生を民衆の治療で過ごしたいと、最高位の医官の地位を自ら退いた。しかし、感染症の広がりの中で、治療に取り組むうちに自らも感染し、命を落とす。ドラマでは二度感染症が広がる場面があり、いずれも感染の勃発した地域が閉鎖されている。閉じ込められた人々には健常者も混じるが、この時代には検査で選別などなし得ないため、やむを得ないのだろう。横浜のクルーズ船はまさにこれを強いられた。4世紀も前と同じである。封鎖内ではしかもまともな衛生管理すら守られていなかった。それを国立感染症研究所所長は、自分たちの「研究論文」として、WHOへ提出している。政府の専門家会議のリーダーとして、命を守る医者ではなくウイルスしか見ない研究者の立場でしか臨んでいない。こうした姿勢は米国疾病予防センターCDCも同じである。感染症研究所もCDCもすでに検査キットがあるにもかかわらず、自分たちの検査キット開発にこだわり、早期発見に着手せず、CDCの開発した検査キットなどは、正確さに欠けて、かえって医療現場を混乱させ、本格的な対応を結果的に遅らせてしまった。それが現在の感染者の急増を持たらしている。26日のNHKも、「アメリカで感染者急増の理由は? 新型コロナウイルス」として、「専門家は、これまでの検査態勢の不備が実態の把握を遅らせ、感染の拡大につながったおそれがある」と伝えている。今の日本もまさに米国と同じことをしているが、そこには触れていない。古今東西、感染症の基本は、先ずは早期に感染者を見出し、隔離することである。そこで遅れをとれば、確実に、後に感染爆発を迎える。政府は検査件数を当初1日4000、その後1日7000とか8000に増やすと言いつつ、いまだに1日に2000に満たない件数である。「集団免疫」を掲げた英国も検査を行わず、掲げたわずか数日後に、ニール・ファーガソンNeil Ferguson教授を中心とするインペリアル・カレッジ・ロンドンImperial College LondonのCOVID-19対策チームからの批判的論文が公表されると、方針を180度変え、封じ込めに転換した。しかし、そもそもが何も準備していなかったことから、英国は現在、医療現場が厳しい状況に立たされている。28日の医学誌THE LANCETは、“a national scandal(国家的不祥事)”と言う言葉を使って英国の対応を批判したリチャード・ホールトンRichard Horton編集長の記事を載せている。医療現場がさらに厳しいのは、無論、米国である。防護装備から医療機器、医師や看護師の不足。地域的には医療崩壊そのものである。アジアの韓国、台湾、シンガポールなどと異なり、日米英は、早期検査を怠ったための感染拡大・実質的な医療崩壊に甘んじざるを得なくなっている。日本もその状況になることは避けられない。「感染症」専門家は、軽症者は自宅待機と訴える。欧米もそのようにする国が多いが、これも基本を無視している。家族内感染を増すだけであり、たとえ無症・軽症であっても、感染力があることが分かっている以上、専用施設を設けて隔離しなければならない。感染を拡大させるのは2割の重症者ではなく、自由に動ける8割の無症・軽症者である。経済活動を考え、対応が遅れるほど逆に、後で経済的ダメージが一層大きくなる。再感染があり得る上、変異があるため免疫も獲得出来るか、いまだに分からない。米国や中国もワクチンの開発を急いでいるが、通常だと1~1.5年はかかる。3段階に分けて試験が行われるからだ。収束はして来ている中国も、今では、新規感染者がほとんど国外からの帰国者であるため、国際便は週に1便とか極端に制限されている。米国から中国への航空運賃は片道300万円などと言う途方もない額になっているが、それでもたちまち売り切れてしまうようだ。帰国後は韓国や台湾同様に2週間厳しく隔離状態となる。この点でも日本の甘さが目立つ。政治家が感染症を熟知しないのは当たり前で、問題は、その政治家に助言すべき感染症専門家が救命に関心がないことである。クルーズ船の衛生管理の問題を的確に指摘した神戸大学の岩田健太郎教授は、日本は感染者の全数把握を目的にしているのではなく、重傷者の治療を優先しているのであり、検査数を無闇に増やすべきではないと言う。同じ人物なのかと疑ってしまった。
米国は今後もイタリア以上に悪化して行く

世界恐慌を超える災禍となるのは避けられない

2020-03-28 19:14:37 | 社会
東北にも日々春がやって来ている。家の近所を歩くと、家々の梅が咲き、早咲きの桜やレンギョウも目に入る。毎年、同じ花が咲くが今年は困難な年になりそうだ。岩手県は数少なくなった感染者ゼロの県だが、検査数が他府県に漏れず少ない。岩手県でも恐らくすでに感染者は広がっていると思われる。ほとんどの人が、感染は無縁であるかのように普段と変わらない生活を送っている。感染者が10万人を超えた米国は、感染の厳しいニューヨーク州を中心に外出制限を行うと同時に、政府はGDPの1割になる2兆ドルもの対策を打ち出し、成人1人当たり1200ドルを支給する現金給付案や9000億ドルの企業支援を盛り込んでいる。日本政府は過去最高となる102兆円の2020年度予算を成立させたが、これにはウイルス感染対策は全く含まれていない。現在のウイルス感染の厄介なところは、人に健康被害を与えるだけでなく、経済を停止させてしまうことである。日本は数値上は他の主要国に比べ、感染者が少ないため、健康危機感も経済危機感もともに希薄で、それがかえってやって来る危機で悲惨さを増幅させることに気付いていない。感染対策も経済対策も全く出遅れているのだ。現在の世界経済は米国と中国が牽引しており、その二大国が感染でも抜きん出ている。中国の感染もピークを超えたように見えるが、まだまだ油断は出来ない。新型コロナウイルスはアイスランドでも40種の変異が新たに報告されており、感染者数にカウントされていない中国の4万を超える無症候感染者からも変異が現れる可能性もある。米国も中国も経済は大きく活動を抑えられており、実体経済はすでに落ち込んでいる。26日、米国労働省は失業保険金請求が予想外の150万の2倍を超える328万で、前週より約12倍増と記録的に急増したと発表した(2008年のリーマン・ショック時はこの5分の1の数で、失業率は10%であった)。この数は、69万5000に達した1982年(失業率11%)の大不況の間よりもはるかに悪い。セントルイス連邦準備銀行のジェームズブラードJames Bullard総裁は、集団感染により米国の国民総生産GDPが50%低下し、米国人の30%が失業するだろうと予測した。また、ウォリック大学the University of WarwickのロジャーファーマーRoger Farmer教授も米国で3700万の雇用を破壊すると警告している。1929年から始まった世界恐慌では米国の失業者は24%であった。米国では、すでに昨年9月より、銀行間資金調達市場で資金不足が生じており、中央銀行FRBは連日のように巨額の資金提供を行い、金利上昇を抑えて来ていた。そこにこのウイルス感染が拡大したため、26日時点で、過去5日間に米国国債とMBS(不動産担保証券)合わせて6220億ドルを買いとっている。GDPの2.6%に相当する驚異的な額である。現在、FRBがリーマン・ショック後に購入したこう言った債券などの金融資産は4兆7000億ドルと言う過去最高額に達しているが、政府の経済対策のうちFRB融資のバックストップ(安全装置)として、4540億ドルが財務省からFRBへ配布されることになったため、FRBはこれを原資に、FRBのパウエル議長は「1ドル当たり、事実上、10ドル相当の融資をサポートするのに十分だ」、「この融資については、弾薬がつきることはない」と語り、FRB資産が9兆~10兆ドルにまで拡大可能となった。ブルームバーグはこれを「ヘリコプタークレジット」と呼んでいる。こうした購入をFRBは無制限に行うと発表したが、皮肉なことに、中央銀行が債券購入を膨らませれば膨らませるほど市中の資金の流れは低下している。日本が6ヶ月連続倒産件数が前年同月を上回っているように、米国でも倒産件数が増え続けている。債券購入は確かに金利を抑えることは出来ているが、そこで使われた大量の通貨が後々凄まじいインフレの種となる可能性が残される。当然、ドルも暴落する。このウイルス禍は、2008年とはことなり、実体経済と金融経済双方を痛め続ける。日本の対外資産1000兆円の多くもその時、大きな痛手を受ける。米国が転ければ、日本も引きずられる。今以上に大きな損失を抱えた日本銀行や年金機構GPIFも共倒れとなる。今は「戦争」だから後に来るインフレなどには構っていられない、と言うことではあるのだろうが。
藪椿もたくさん咲いて来た

ウイルス変異もあるためなお国ごとに感染状況は異なる

2020-03-27 19:11:50 | 社会
現在、感染者が8万0589人、死者が8215人となったイタリアと感染者が9332人、死者が139人である韓国との致死率の違いがどこにあるのか、米国CNNが今月8日時点での比較であるが、19日に報じた記事を見ると、検査数がイタリアは人口100万人あたり約826人に対し、100万人あたり3692人となっている。記事では、米国でも日本同様に「体調を崩した人が病院などへ行っても検査を受けさせてもらえずに帰されるという話を耳にする。」とあるが、「はっきりさせておくべきなのは、検査で命が救えるのはあくまでもそれによって次の感染の予防が可能になるからだという点だ。医師が個々の患者を早期に把握できるからではない。いわゆる「早期治療」がメリットを発揮するのは、疾病に対する効果的な薬が存在する場合である。」として、「新型コロナウイルスについては、特定の治療法が存在しない。」従って、このウイルス感染では、早期発見しても、早期治療に結び付かないとの記事内容になっている。この点は、中国の医師たちの主張と少し異なっている。中国ではいくつかの薬剤がやはり早期に使われることで、重症化が抑えられると報告されている。ともかく両国の違いで大きいのは人口に占める年齢構成であるようだ。イタリア は60歳以上が日本の33%に次いで高い28.6%であるのに対して、韓国は18.5%でしかない。イタリアでは死者の9割を70歳以上が占める。ところが、韓国では感染者のうち、60歳以上が2割しかおらず、むしろ20代が3割を占めると言う。さらに中国のデータでは、男性の死亡率が4.7%と女性の2.8%より高くなっていた。韓国の感染者の62%が女性であった。喫煙も重症化に関係しているとされており、イタリアでは男性が28%、女性が20%で、韓国は男性のおよそ50%に対して女性は5%未満である。CNNは「韓国では若年層並びにほとんど煙草を吸わない女性たちの間で、イタリアでは高齢者と超高齢者を中心に感染拡大が起きているということだ。」と結論付けている。CNNでは触れていないが、イタリアは感染力が強く、重症化もしやすいL型が100%であり、韓国はそれらが弱いS型が多いと言う事実も重症化や致死率には大きく影響している。いずれにしても、検査件数、感染者数や死亡者数と言う数値だけではその国の感染状況を正しく把握出来ないのは確かだろう。フランスが最初に若い世代でも感染が多く、重症化も見られることを報告したが、25日に米国ニューヨーク市が公表した感染状況でも、18~44才の年齢層の感染者が最も多く全体の44%を占め、45~64歳が34%で、75歳以上の高齢者は8%でしかない。他の地域・国の状況とは大きく異なっている。このあたりもこの新型コロナウイルスの難しさなのかも知れない。変異が早く、多くの変異がすでに起きており、その変異が感染の状況を大きく異ならせている可能性がある。小児についても、これまでは感染しずらく、重症化も少ないと言われて来た。しかし、これも武漢小児病院などの中国の医療機関が3月18日に医学誌New England Journalに発表した「SARS-CoV-2 Infection in Children」と言う論文では、1月28日から2月26日にかけて検査を行った1391人の小児のうち、171人の新型コロナウイルスへの感染が確認されいる。171人のうち9人が重症または危篤状態となり、3人は集中治療室(ICU)での治療などが必要とされ、生後10カ月の乳児1人が死亡している。英国の医学誌Pediatricsの論文でも、平均年齢が7歳の2143人の小児患者のうち、379人は1歳以下であった。感染確定が731人(34.1%)、感染疑いは1412人(65.9%)となっている。2143人のうち90%を超える小児患者が、無症状(4.4%)、軽度(50.9%)あるいは中度(38.8%)の患者で、重症または危篤状態となった小児患者は5.9%であった。重症化率は成人患者の18.5%と比べて低い。しかし、乳児の重症化率は比較的高く、1歳未満の患者が重症または危篤状態となる割合は10.6%である。日本では感染者の年齢別統計やL型・S型の拡大状況などほとんど公開されないため、研究者ですら分析のためのデータが得られない。日本の感染の特徴が分からなければ、本来の対策も立てられないだろう。
開いて来た薬師公園の梅

やるべきことをやらず、人に要請だけ・・・?

2020-03-26 19:13:43 | 社会
今回の新型コロナウイルスは、当初考えられていた以上に、難しいウイルスである。これまで知られたコロナウイルスには一般的な風邪の原因ウイルスとなるものが4種あり、後はSARS とMERSの6種である。4種の通常の風邪の原因コロナウイルスも何度もかかるわけで、抗体が出来にくく、免疫が得られ難い。若い人は重症化しにくいのは確かだが、それでも中国で2人、米国で1人の未成年者が死亡しており、米国の1人は、とても健康な状態であった。高齢者は若年者に比べ、風邪のコロナウイルスの抗体を持っている可能性があり、それが抗原抗体反応の過剰反応を引き起こしているのかも知れない。これまでの研究では、感染から5~6日までは軽度の症状しかなく、6~7日目に一気に重症化するようだ。その時は数時間で人工呼吸器が必要になるところまで悪化する。いわゆるサイトカインストームが勃発する。フランスのパスツール研究所のウイルス呼吸器系の責任者であるシルビー・ファン・デル・ヴェルフ氏が大統領に、ウイルスが突然一気に1000倍にも増殖し、これまでの全てのコロナウイルスには見られない驚くべきことだと報告している。報告により差があるが感染者の6〜8割は無症状・軽症であるために、それらの感染者は日本では全く検査の対象となっていない。それがすでに国内の水面化の感染拡大をもたらしている可能性が強いのだ。オリンピック延期が決まる時期とほぼ同期して、東京都の感染者数が増加し、東京都も感染爆発、オーバーシュートのような緊急事態の可能性を訴えるようになった。これまで日本政府や東京都はオリンピック開催を予定通り何としても実現させたいために、意図的に検査数を抑えて、如何にも日本は感染者が少なく、安全にオリンピックが開催出来るかのうように装って来た。しかし、世界中の選手や関係者から、世界の感染蔓延を無視する日本の姿勢に批判が続出し、結局は延期となった。日本の異常な検査の少なさは、国内よりもニューヨークタイムズのような海外著名メディアがこれまでも取り上げ、日本の感染者数や検査数は統計として他国と比較する意味がないとして、世界の感染統計から除外するサイトまで出ていた。感染症では、通常、検査で確定した感染者の10倍は感染者がいると言われる。検査を抑えていた期間、見かけ上の感染者の少なさとは裏腹に、水面下では、感染が拡大して来たはずである。国や東京都が2ヶ月あまりもの期間、感染者の少なさを見せかけて来たため、国民も警戒心が薄れ、いまだに都会の繁華街では人が溢れている。今になって、感染爆発の可能性を訴えても、偽装された感染者数が今なお諸外国に比べ少ないため、他人事のようにしか捉えられていない。国内初感染から2ヶ月以上が経つにもかかわらず、東京都は感染者専用病床数がわずか118床しか確保出来ていない。人口が123万人の岩手県は38床である。10万人当たりで3床となる。しかし、人口927万人の東京都は10万人当たり1床しか確保出来ていない。4000床を確保すると言うが、何故、それをこれまでにやって来なかったのか。感染爆発を訴えたにもかかわらず、昨日も東京都はわずか74件しか検査を実施していない。このうち陽性者が41人であるため、陽性率が55%などと言う驚異的な高さになっている。感染症対策は出来るだけ現実に近い状況を把握しなければ、効力ある対策にはならず、まさに医療崩壊をもたらす。そのためには、検査数を可能な限り増やさなければならないが、検査条件を今も変えておらず、結果的に検査件数が抑えられ続けている。人口が1940万人のニューヨーク州は、現在、まさに医療崩壊の危機に立たされている。州知事は一昨日の会見で、政府から人工呼吸器が400台しか支給されなかったことに対して、「3万台必要なのに400台? 死なせる人々を選んでくれ!」と怒りを表し、法律に基づく増産態勢も取らない姿勢を「全く理解できない」、「問題の大きさを見失っている」と批判している。同州は、最大14万床が必要だが、現状では5万3000床しか確保出来ていない。「感染のピークは想定より高く、早くなる。およそ2~3週間後」である。政府とともにオリンピック開催にこだわり続けた東京都もいずれこうした医療崩壊を迎えざるを得ないが、その時、東京都はニューヨーク州のように政府への批判は出来ないだろう。自らが招いたものになるからだ。オリンピック関連の施設をそれこそ病床として確保し、必要な器具や装備を早急に整備する必要がある。政府もいまだにマスク一つ増産の実現が出来ていない。とても感染爆発時には専用の防具すら医療機関は装備出来ず、医療機関の感染拡大が全国で起きるだろう。あまりにも無策なこの2ヶ月であり、残念ながらそのツケをみんなが被らざるを得ないだろう。

予想以上長期の社会的負荷

2020-03-25 19:18:56 | 経済
大著『国家は破綻する』するの著者、ケネス・ロゴフKenneth Saul Rogoffハーバート大学教授は、公共放送サービスPBSで、19日、政府のコロナ対策の優先順位を述べている。ロゴフ教授は、著書で財政悪化の危険性を唱えたが、問題となるのは好況下での財政拡大など、不必要・不効率な財政支出であり、危機や不況の中で財政出動を行うのは当然だとする。そして、最優先されるべきなのは医療セクターで、次いで直接的に影響を受けている人たちとセクター、「その次に、政府が言っているような個人に小切手を送るような救済だ。これは、経済の健全な部分を守るためのものだ。」と述べている。ただ、「現在は(財政に)限度なんてない。戦争なんだ、勝たなければいけない。・・・終わった後にインフレが来るにしても、戦争に勝つのに必要なら、何だというんだ。」とも述べている。米国は21日にウイルス対策として、2兆ドル(200兆円超)の財政出動を公表した。しかし、23日、議会では合意に至らず、株価は下落した。中央銀行FRBはたまりかねて量的金融緩和QEを無制限に行うと明言した。中央銀行の政策はあくまで大企業や大投資家には有効な部分があるが、国の大半を占める中小企業や個人には、やはり財政出動しか効力が具対的に期待出来ない。しかも、もはや中央銀行の政策には余裕がなく、効果は限定的である。米国The New York Timesは18日、米国保健福祉省がホワイトハウスに提出していた米国政府コロナウイルス対応プランA federal government plan to combat the coronavirusなる内部資料を伝えた。それによれば、このウイルス感染は18カ月続く可能性を指摘している。欧米の研究者たちにも感染が1〜2年継続すると見るものがいる。Thailand Medical Newsが伝えたように、新型コロナウイルスは変異が早く、すでに100種もの変異が確認されており、抗ウイルス薬やワクチンの開発が困難な可能性がある。中国と米国ではすでにワクチンの臨床試験に入っており、メディアはそれらに期待をかけているが、有効性が限定される可能性もある。そして、何より変異が多ければ、免疫の獲得が難しい可能性があることである。この意味でも、このウイルス感染は長期化が避けられない可能性が強い。となると、国の財政負担は、現在考えられている以上に大きくせざるを得なくなるかも知れない。ロゴフ教授が言うように、これはどうしても避けることの出来ない支出であり、仕方のないことであるが、感染が終息すると、次には、この財政問題が浮上して来ることも避けられないだろう。感染が終息しない間に各国は大量の通貨発行を行わざるを得ない。しかし、終息した途端、それまで生産が限定され、物の生産は押さえられ、数は多くなかったわけで、そこに大量の通貨があれば、教授の言うインフレは必然的に頭をもたげて来る。コロナウイルス禍が過ぎ去れば、次にインフレ禍が到来したり、日本だとさらに日本銀行の損失や年金機構GPIFの損失、さらには政府財政問題が登場する可能性がある。ウイルス感染問題は、政府や中央銀行の対策の他にも、直接企業や投資家への影響を与える。それは実体経済的にも金融経済的にもである。実体経済では、需要の減少が直撃しており、原油価格にも大きく影響が出ている。金融経済は、額面が実体経済より遥かに巨大で、ジャンク債の崩れによって、ドミノ倒し的に連鎖して、巨大投資銀行などの金融派生商品デリバティブの破綻へ繋がる恐れがある。ロゴフ教授は、こうした現在の米国金融経済には触れていない。金融危機が到来すれば、かっての世界大恐慌を凌ぐ規模になることは間違いない。世界のGDPに対して、現在はあまりにも債務やデリバティブの規模が巨大過ぎるからだ。

米国の武漢?

2020-03-24 19:18:58 | 科学
中国は新規感染者が78人で、感染者総数は8万1171人となっている。しかし、香港のメディアは、中国政府の内部文書では、4万3000人の無症状の感染者を感染者数から除外するとあることを伝えた。イタリアは6万3927人となった。イタリアでは249人もの医療関係者が感染を恐れて、偽りの診断書で休んでいたことが報じられている。年々の度重なる国の医療費削減で、医療従事者の不足状態になり、医学生まで現場に出さなければならなくなったイタリアで、こうした事態が起きている。イタリアに次ぐ感染者数となった米国は4万6145人となった。22日のニューヨーク・タイムズは、ニューヨーク市と周辺地域がいまや世界の新型コロナウイルスの感染者数の5%を占める震源地となっていると報じている。ニューヨーク市郊外の3カ所に仮設病院を設置し、市内の大型イベント施設に大規模医療設備を整える計画であるが、既に市内の病院は新型コロナ感染症の患者で溢れており、医療スタッフの防御に必要なマスクなどの備品も不足していると言う。今やニューヨークは米国の武漢とまで言われ始める状況になっている。スペイン、ドイツ、フランスなどの欧州が2万人規模以上で米国に続いている。当初、急速に数を増やした韓国は、新たな感染者が少なくなって来ており、総数は9037人と多いが、ピークを超えた可能性がある。致死率では、ドイツがよくそれを抑えており、2万9056人もの感染者の割に他国と比べると死者は123人で抑えられている。国民保険の充実や首相の早くからの感染者率の高さの警告など、国民性もあって重傷者の適切な治療が可能な状態が維持されているのだろう。英国オックスフォード大学の研究者らのグループOur World in Dataが公開している新型コロナウイルスについての各国の検査件数を見ると、今月20日時点で、人口100万人当たりの各国の検査件数は、アラブ首長国連邦が最も多く1万2738件、次いで韓国6148件、オーストラリア4473.4件、ドイツ2023.3件、オーストリア1777.8件、英国959.7件、イラン957.1件、フランス559.1件、フィンランド537.6件、米国313.6件、ベトナム159件、日本117.8件、南アフリカ109.6件、コロンビア81.7件、ブラジル13.7件と続き、日本は他の先進国から大きく差を出している。まさに新興国に埋没する未来そのものである。米国の検査件数は現在では恐らくフランスや英国には近づいているだろう。東京都は今頃になって感染爆発の可能性を訴えているが、それはもっと早い時期からあり得たのであり、これまでその危険性を訴えなかったのは、オリンピック開催のためで、その開催がいよいよ延期の公算がはっきりしたために危険性を訴えざるを得なくなったのだ。都民が油断することで、検査数の少なさと合間って、感染は間違いなく広がっている。首都封鎖も絵空事ではない。感染症研究所自体が1人の感染者が出ると、首都圏では10日後に12万人の感染者となると試算しているのだ。イタリアやニューヨークが日本の首都に現出する可能性も十分あり得る。

日本に「感染症」専門家はいない

2020-03-23 19:15:27 | 社会
世界で新型コロナウイルス感染者統計を公表するサイトはいくつかあるが、その一つのWorldometer(中間にoが入る)を見ると、米国は一昨日1日で5800人を超える感染者がいたため、1日の感染者数ではついにイタリアを超えた。そして、昨日はさらに急増し、1日で9339人の新たな感染者が出ている。総数ではイタリアとの間にまだ25000人の差があるが、あと2〜3日うちにはイタリアを総数でも超えてしまうだろう。そして、経済規模同様に中国を抜いて世界一になるかも知れない。国土の大きさはほぼ中国と同じくらいだが、人口は中国の4分の1である。しかし、「自由主義国」であるため、中国ほどの完全封鎖は出来ない。しかも中国以上に初動に遅れをとっている。アジアの感染に気を取られ、欧州からの渡航者を見逃してしまった。感染が集中した中国武漢はL型ウイルスであったために爆発的な感染となった。イタリアを始め欧州の多くの国々も同じであった。米国はその欧州からのL型ウイルスを多く入れてしまった。欧州からの渡航制限が遅過ぎた。日本へもL型がすでに入っており、いずれこのL型が欧米のように猛威を振るうことになる。日本では国立感染症研究所が中心となり専門家会議を構成した。しかし、同研究所所長が専門家会議議長となり、日本のこのウイルスに対する医学的対策を歪めてしまった。同研究所や感染症学会などの「専門家」は、ウイルスそのものへの関心しかなく、感染予防や治療には基本的に関心がない。クルーズ船への対応を見れば明かである。わざわざ缶詰め状態にして、感染実験をしてしまった。感染予防、医療の観点からすれば、明らか過ぎる誤りである。検査件数の少なさの弁明でもよく聞かれるが、クルーズ船から即座に下船させてもそれらの人の隔離施設がないと言う。検査でも、陽性者の収容を今の医療施設では賄えないから、検査を押さえるべきだと言う。いずれも「現状」を不変のものとして、それを根拠にした底の浅い論でしかない。今回政府はウイルス対策と称して、リーマン・ショック時の2倍となる30兆円もの対策費を打ち出した。そのうち、1兆円でもかければ、無症状や軽症の陽性者の簡易隔離施設は緊急に確保出来るだろう。米国のニューヨークなどは1万人分のホテルを確保した。設備がないと言うのは単なる言い訳でしかない。ただやりたくないだけである。いまだに検査を受けるための条件が変えられず、ウイルス感染者の実態に合わない条件で、検査を押さえ込んだままである。WHO世界保健機関は19日、「test, test, test」と叫んだ。感染症であれば当然である。感染症の拡大を防ぐ基本は、検査で出来るだけ早く陽性者を見つけ出し、陽性者を隔離し、重傷者を優先して治療することだ。無症状や軽症者は家庭待機するべきと主張する「専門家」がいるが、中国やイタリア の例は、まさにその家庭が感染拡大の一因であることを示しており、風邪やインフルエンザを考えれば、これも当たり前のことである。わざわざ家庭内感染を起こさせるようなものだ。本当に「専門家」の議論を聞いていると、呆れるばかりである。現在のように検査を押さえていれば、感染拡大は起きないとでも言うのだろうか。ネットで見られる「検査を増やせば医療崩壊になる」と言う「意見」も、まるで検査を押さえれば、医療崩壊にならないと言うようなもので、ここでも呆れるばかりである。現在、検査を押さえ、感染の広がりの実態を把握出来ていないことこそが、今後必ず起きる感染拡大で、医療崩壊を招くのである。さらに「専門家」ならば、すでにこのウイルスが思った以上に早く、多様に変異し、抗ウイルス薬やワクチンを作るのが困難であることを理解しているはずであり、長期化は避けられないことも分かっているはずだ。国内の初感染から2ヶ月経っても何ら医療的な準備がされていないのだから、自ずと医療崩壊となってしまう。検査を絞り込んでいるために、日本のデータは大きく歪み、他国から見れば、信頼に足らず、日本の集計値を外した海外サイトすらある。感染者数に対する死者数や陽性者数などは他国と違い過ぎている。特に中でも東京都は突出している。検査した人の3分の1近くが陽性などとなっている。日本の感染者の異様な少なさは、世界でも突出しており、それが国民の警戒心を緩め、花見や聖火、格闘技に群がらせ、感染拡大の機会を広げている。選手や関係者の健康より最後までオリンピック開催そのものにしがみ付き、この感染を軽視しており、利権絡みの経済対策だけは、ここぞとばかりに巨額対策費を掲げている。日本単独であれば、これだけの額が使われれば、日本国債は暴落しかねなかったろう。幸い、欧米も巨額であるため救われているだけである。今回も主要国は「赤信号、みんなで渡れば怖くない」を実行しようとしている。しかし、日本銀行も年金機構GPIFも先の株価の暴落ですでに巨額の損失を抱えており、これからも損失はさらに増えて行く。ウイルスが政府系の破綻への道を加速させているようだ。

健康と経済の危機が同時進行

2020-03-21 19:16:22 | 社会
世界の新型コロナウイルス感染者は275000人を超え、死者は11000人を超えた。中国は新たな感染者が発表では41人いるが全て海外からの渡航者である。中国に次ぐイタリアでは1日で5986人の感染者が出て、47021人となった。死者は627人増え4032人である。米国は感染者がイタリアに迫る増え方で1日で5851に増加し、19640人となった。しかし、これも検査体制が全土で整ったためである。米国ニュージャージー州ベルゲン郡のドライブスルーテストサイトでは、国家警備隊および完全なガウンとマスクの医療専門家を配備し、昨日は検査を受けるために数千台の車が並んだ。感染者が4408人となったニューヨーク市では、1日1万人の検査体制が準備された。感染者が1日で2950人増加したニューヨーク州は、州全体で7102人に達し、症例曲線から予想される症例数は、病人の命を救うのに必要なベッドと換気装置の州の能力を3倍超えると見込まれている。WHO世界保健機関は、世界中で感染者が10万人に達するまでに3か月以上かかったが、次の10万人を記録するのにわずか12日しかかからないことを指摘している。米国は13日に国家非常事態を宣言し、16日に外出や集まりの自粛を求めた。そして、18日には、商品の製造業者などの産業界を直接的に統制出来る国防生産法を「将来における最悪のシナリオのため」に発動する方針を明かにした。19日には国務省がすべての国・地域への渡航警戒レベルを4段階で最も高い「渡航中止・退避勧告」(レベル4)に引き上げ、国外に在住・滞在する米国人に即座に帰国するよう求めた。国防総省も今後、州兵動員が数万人規模に上ると発表した。国連のグテレス事務総長は、19日、「国連75年の歴史にない地球規模の衛生危機に直面している」とし、「現在の国レベルの対策では、地球規模かつ複雑なこの危機に対応できない」と言い、「世界的な景気後退はほぼ確実だ。恐らく記録的な規模になる」と述べている。国際労働機関(ILO)も3月18日、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が雇用面に与える影響について報告書を公表している。それによると、この感染拡大で、失業者は2470万人に達すると予測している。ILOのガイ・ライダー事務局長は「新型コロナウイルスの感染拡大は、もはや単なる健康面の危機ではなく経済の危機だ」と述べている。リーマン・ショック時の失業者は2200万人であり、それを上回る数になる。3月12日の欧州連合中央銀行ECBのQE量的金融緩和再開に続いて15日には日米の中央銀行もQEを再開した。今回のQEはまさに先行き不透明な際限のないQEとなる。昨年からすでに実体経済は後退していたが、この感染拡大はそこに拍車をかけ、金融経済へも波及し、株価の暴落に留まらず、社債の金利の上昇を中心に債券金利を押し上げ、銀行間の信用崩壊にまで至っている。特に米国でそれが顕著で、米国中央銀行FRBは、銀行間資金取引市場に連日多額の資金を供給せざるを得なくなっている。各国政府ももはや赤字国債の発行を考えざるを得なくなり、今後もますます債券金利の上昇は避けられなくなっている。すでに米国のシェール・オイル産業や航空会社・小売、飲食などは、政府の支援がなければ倒産の危機に直面している。債券市場では、ジャンク債の金利が9%を越えて上昇して来ており、業績悪化から倒産に至る企業が多発するようになれば、債務不履行となり、本格的な金融危機が訪れる。株式などの金融資産の暴落で、企業や投資家は現金保持が急務となり、流通現金が枯渇する事態を招いている。海外に投資された資金も引き上げられ、現地通貨からドルへ変換されるためにドルが買われ、ドル高となっている。ドル融資を受けた新興国などは、ドル高と金利上昇のダブルパンチとなり、ここでも債務不履行が行われる可能性が出ている。リーマン・ショックでは、金融危機が実体経済へ遅れて波及したが、現在は実体経済と金融経済の双方がほぼ同時に危機に直面しており、人類史上かってない事態となっている。感染が長期化すれば、世界はまさに前人未到の領域に入り込む。

若い世代も安心出来ない

2020-03-20 19:12:58 | 科学
世界の新型コロナウイルス感染者は245000人を超え、死者は1万人を超えた。イタリアの死者も中国の「公表数」を超えた。3月18日のBloombergの「99% of Those Who Died From Virus Had Other Illness, Italy Says(イタリアによれば、ウイルスで亡くなった人の99%は他の病気があった)」と題する記事は、イタリア国立衛生研究所による調査で、ウイルスによる死者約3000人の99.2%は何らかの基礎疾患を有していたことを伝えている。75%以上が高血圧で、約35%が糖尿病、約30%が心臓病であった。基礎疾患を複数持っている場合は致死率も上がり、基礎疾患がない人は死亡率は1%にも満たなかった。3つ以上の基礎疾患がある人が48.5%を占め、2つの人が25.6%、1つの人が25.1%で、何もない人は0.8%であった。年齢の中央値は80.5歳である。イタリア保健省に専門的なアドバイスをする、エビデンスに基づく医療を提唱しているNPO(非営利団体)GIMBE財団によると、イタリアで新型コロナウイルスによる致死率が他国に比べて高いのは、症状がある人のみに検査を行ったため、氷山の一角を観察しているに過ぎず、無症状・軽症者を全て検査出来ていないので過大に見積もられていると言う。イタリアの感染者は公表の41035人ではなく、10万人はいるだろうと言う。3月18日のThe New york Timesの「Younger Adults Comprise Big Portion of Coronavirus Hospitalizations in U.S.(若い成人が、米国のコロナウイルスによる入院の大部分を占めている)」と言う記事では、米国でもフランス同様に、若い年代で重症化が見られることを伝えている。ニューヨークタイムズが米国疾病予防管理センター(CDC)の発表した患者情報をあらためて精査したところ、38%の入院患者が20歳から54歳であった。集中治療室ICUに入院した121人の患者のほぼ半数は65歳未満の成人で、入院患者の20%、ICU患者の12%が20〜44歳であり、高齢者以外の年代でも重症化するケースが多発している。コロンビア大学Columbia UniversityのモースStephen S. Morse教授は、若者も注意が必要だと警告している。医学雑誌LWW Journalsに掲載された中国の「Clinical characteristics of COVID-19 patients with digestive symptoms in Hubei, China(中国湖北省における消化器症状のあるCOVID-19患者の臨床的特徴)」と題する論文によると、2020年1月18日から2月28日までの期間で中国の武漢市の3つの病院で204人の患者を調べたところ、約半数が、自身の主要な症状として、下痢や拒食、完全な食欲不振といった消化器系の不調を訴えたことを確認した。悪寒や嘔吐、腹部の痛みといった症状はあまり一般的ではなかった。そして、呼吸器系の症状の患者らより、消化器系の症状の患者らの方がより遅れて新型コロナウイルスが検出され、こうした患者の治療は長引き、困難で入院が長期化している。米国のClinical Gastroenterology and Hepatologyと言う医学誌でも、「What Should Gastroenterologists and Patients Know About COVID-19?(消化器専門医と患者はCOVID-19について何を知っておくべきか?)」と題する論文で、腸疾患のある人への新型コロナウイルスの感染の注意が促されている。各国の感染状況は参考になるが、ウイルスが予想以上に早く変異しており、他国とは違った感染状況となる可能性がある。集団免疫の獲得を対策の柱とした英国も、国内の研究者からの批判もあり、方針を変えた。免疫が必ず獲得出来るとの根拠はなく、むしろ隔離対策を取らないことで25万人もの犠牲者が出ると言う研究も出された。3月16日、シンガポール のローレンス・ウォンLawrence Wong国家開発大臣は、英国、日本、スイスに対して、「(ウイルスを)封じ込める意図的な努力がなければ、これらの国の感染症例の数は今後数日または数週間でさらに急激に増加することが予想され」るため、これらの国からの入国を制限すると発表している。昨夜の政府の専門家会議は、「欧州のように感染が爆発的に拡大する可能性を指摘」したが、何を今更と言った感じである。早くからの広範な検査体制を無視した訳で、水面下の感染を拡大させて来たのだ。中でも東京都の検査の少なさが、現在の感染者の半数以上で感染経路が不明となる事態をもたらせている。神奈川県で1月15日夜、国内の初感染が確認されてから2ヶ月以上が経過するが、広範な検査体制も、軽症者から重傷者までの隔離、治療体制がほとんど確立されておらず、シンガポールが見るように、日本は他国から見れば、対策への「意図的な努力」がないと判断されるのだ。少し前までは米国も同じ姿勢であったが、さすがに感染者が全州に拡大し、わずか3日で感染者が倍増しイタリアと同じペースで増加しているためか、大統領も180度姿勢を変えた。しかし、すでに感染は広がっている。米国は当初入国検疫を中国からの渡航者にしか行っておらず、大量に入国・帰国して来る欧州からの渡航者・帰国者には検疫を行わなかった。そして、PCR検査の実施も日本同様にCDCによる独自検査キットの開発にこだわり遅れてしまった。米国も長期戦にならざるを得ないだろう。これは単にウイルス感染問題に留まらず、米国経済を叩き潰すほどの影響を及ぼすことになるだろう。
白梅