釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

感染者の隔離を怠ることが医療崩壊をもたらす

2020-03-19 19:15:10 | 社会
昨日も米国では、株式だけでなく金融資産の多くと実物資産が売り込まれ、現金化が止まらない。恐怖指数と呼ばれるボラティリティ・インデックスVIX指数は、一時85.47まで上昇した。昨日の最終時点では76.45となったが。リーマン・ショックの2008年10月には、89.53まで上がっていた。各国中央銀行は債券買取りを次々に発表し、政府も現金支給などの経済対策を打ち出しているが、結局は、これらも十分な効果には至らないだろう。ニューヨーク・タイムズは、米国政府が13日に発表した「100ページから成る連邦政府の計画」で、「米政府は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が「1年半以上続く」と予測し、広範囲にわたる品不足で消費者や医療システムに負担がかかる恐れがあるとみている。」ことを伝えている。要するに、このウイルス感染が短期では終息しないと見ており、当然、生産と消費が長期に抑えられる。3月14日の英国エコノミスト誌は、過去10年間の超低金利で、世界では法人向けの貸付残高が74兆ドルに増加しており、今やそれが「新たな金融不安」をもたらしているとして、「震源は社債と企業債務」だと書いている。「まさに債務の海、格下げやデフォルトに戦々恐々」とある。企業は1〜2ヶ月であれば何とか凌げるが、3ヶ月以上となると耐えられない。すでに疲弊している金融機関もさらに悪化する。リーマン・ショックを超える金融危機は時間の問題でしかない。世界での感染者数は22万人に迫り、死亡者は9000人になろうとしている。感染の深刻なイタリアは、医療崩壊に直面しているが、これは決して医療水準が低いためではない。今日の米紙ウォール・ストリートジャーナルTHE WALL STREET JOURNALは、「Lessons From Italy’s Hospital Meltdown. ‘Every Day You Lose, the Contagion Gets Worse.’(イタリアの医療崩壊からの教訓「1日を無駄にするたび、感染は悪化する」)ーThe coronavirus is pushing a wealthy region with high-tech health care toward a humanitarian disaster(コロナウイルスはハイテク医療を備えた豊かな地域に人道上の惨事を持たらしている)」と題する記事で、高度医療機関であっても、医療崩壊するイタリアの現実を、先進国への警告として報じている。イタリア北部のアルプスの麓にあるベルガモ県の県都である人口12万人のベルガモにある聖ヨハネ23世病院は、2012年に開設され、950床を備えたイタリア国内で最も先進的な病院の1つで、200台以上の救急車と2台のヘリコプターが常に待機している。現在、400床以上がコロナウイルス感染が確認されたか疑われる患者で占められ、ICUの患者は100人前後に膨れ上がり、患者は増え続けている。今ではICUには患者の選別を行わざるを得なくなっており、70歳以上は断念せざるを得ない状態である。国境なき医師団として、世界の何カ国かで感染症に当たった経験のある医師は、ベルガモの人口の60%以上がコロナウイルスに感染しているとみている。「膨大な人数の無症状の感染者がいる。また、自宅で死亡し、検査を受けておらず、数字に含まれない未知の死者もいる」と指摘。「ICUは氷山の一角にすぎない」と述べている。この医師は、「米国や欧州の病院は事前に体制を整えておく必要があり、政府は早めに地域の封鎖に踏み切る必要がある」と述べ、感染症の基本である感染者の隔離の遅れがまさに医療崩壊の原因であることを指摘している。この病院では初期の段階で救急隊員たちが感染していた。英米独の研究者たちも、世界の70%が感染する可能性があると見ている。検査数の増加が医療崩壊をもたらすのではなく、感染者を見逃し、隔離出来ないことが医療崩壊させるのである。医療崩壊が現実化すると、イタリアのように国債の崩壊へも波及して行く。決して他人事ではない。