釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

世界的な感染拡大はこれから

2020-03-02 19:15:05 | 社会
米国ジョンズ・ホプキンズ大学のシステム科学工学センター(CSSE)が継続して公表している新型コロナウイルスCoronavirus 2019-nCoV感染状況を見ると、世界では感染者が89072人、治癒45074人、死者3044人となっている。中国80026人、韓国4212人、イタリア1698人、イラン978人、「その他」705人、日本256人、フランス130人、ドイツ130人、シンガポール106人、香港98人、米国86人、スペイン84人などとなっている。中国アリババAlibaba系のTengineが公表する中国の感染者数は若干多い80174人で、治癒44553人、死亡2915人となっている。日本経済新聞が公表している感染マップでは、世界の感染者の時系列推移が棒グラフで表されており、これによれば、2月20日過ぎからは中国での感染者数は横ばいで、中国以外の国での発生が増加している。中国は発生源とされる武漢市や北京市などの主要都市だけでなく、全国を封鎖状態にした。先日訪れた大連市も同じで、基本的には3日に1度食料調達のために家族代表1名だけが外出を許される。その際、タクシーを利用しても、コードの付いた身分証の提示が必要で、誰がどこへ移動したか、記録される。今ではマスクを含めた必要品は充足しており、感染拡大は落ち着きを見せて来ている。2月半ばからの世界主要国代表を含んだWHOと中国の共同研究結果が24日夜北京で公表されたが、中には一見軽症と見られていた人が突然急変する例があり、8割は軽症であっても、その中にはやはり注意を要する人もいることが分かった。日本のように軽症者は自宅で様子を見るなどと言う策では、突然重症化する人を救えない。どんな病気も基本は早期発見、早期治療である。何故、検査がいまだに一般化されないのか。また、何故、専門の医療設備がいまだに準備されないのか。米国では3200万人がインフルエンザ に感染し、1万8000人がなくなっているが、米国のメディアですら、その中には新型コロナウイルスの感染者がいるだろうと伝えている。米国から日本へ帰国して、すぐにその足で釜石へやって来た息子の話だと、米国滞在中、周囲の人たちがインフルエンザ になり、自分も高熱が出たため、インフルエンザ と考えていたと言う。実際には医療機関へは行っていない。米国の医療費は極めて高いためだ。おそらくかなり多くの米国在住の人が、インフルエンザ様の症状が出ても、医療機関へは行かないだろう。日本は大事な検査に縛りを設けたために、逆に感染者を見つけにくくし、その結果、かえって、感染を拡大している可能性が強い。いずれ韓国のように急速に感染拡大が表面化するだろう。2月28日のBloomberg日本語版は、「新型コロナ感染、検査体制に懸念の声-能力不足で実態つかめず」と題して、「日本が公表した感染者数は氷山の一角にすぎないのではないかとの懸念が強まっている。」ことを報じている。先週は世界中で、このウイルス感染への脅威で、株式市場が連日下落し,5兆ドルが世界から失なわれ、2008年の金融危機以来最悪の規模であった。米国はじめ世界の主要国の中央銀行は、この株式下落に対し、金融政策で対応しようとしている。もう一段の金利引下げや日本のように直接株式を買い取る形で。しかし、現在、世界経済で起きていることは、消費ではなく生産の支障である。特に、原材料調達から生産管理・物流・販売までの、いわゆるサプライチェーンと呼ばれる過程が滞りを見せていることが、大きな経済障壁となっている。世界の工場である中国での停滞が、世界経済に大きな打撃を与えている。米国ニューヨーク大学の経済学のヌリエル・ルビーニNouriel Roubini 教授は、米国の住宅バブルの崩壊や2008年の金融危機を予測したことで知られるが、最近、ドイツのDer Speigelのインタビューで、新型コロナウイルス感染は、投資家が予測するより、中国およびその他の世界にとってはるかに深刻であると語っている。現在問題となる危機は供給ショックであり、中央銀行の金融​​政策や政府の財政政策では対応出来ないとし、ショックが世界的な景気後退をもたらすと、債務水準がさらに上昇し金融危機に陥ると述べている。新型コロナウイルス感染は、今後世界的な拡大で勢いを増すだろう。欧州などはまさに各所で国境閉鎖に追い込まれる。SARSやMERSと異なり、感染性が強く、さらに治癒後に一度陰性となっても再び陽性になってもいる。世界的な感染拡大も経済への本格的な波及もまさにこれからである。
職場近くの空き家でも福寿草が咲いて来た