釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

感染者の隔離を怠ることが医療崩壊をもたらす

2020-03-19 19:15:10 | 社会
昨日も米国では、株式だけでなく金融資産の多くと実物資産が売り込まれ、現金化が止まらない。恐怖指数と呼ばれるボラティリティ・インデックスVIX指数は、一時85.47まで上昇した。昨日の最終時点では76.45となったが。リーマン・ショックの2008年10月には、89.53まで上がっていた。各国中央銀行は債券買取りを次々に発表し、政府も現金支給などの経済対策を打ち出しているが、結局は、これらも十分な効果には至らないだろう。ニューヨーク・タイムズは、米国政府が13日に発表した「100ページから成る連邦政府の計画」で、「米政府は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が「1年半以上続く」と予測し、広範囲にわたる品不足で消費者や医療システムに負担がかかる恐れがあるとみている。」ことを伝えている。要するに、このウイルス感染が短期では終息しないと見ており、当然、生産と消費が長期に抑えられる。3月14日の英国エコノミスト誌は、過去10年間の超低金利で、世界では法人向けの貸付残高が74兆ドルに増加しており、今やそれが「新たな金融不安」をもたらしているとして、「震源は社債と企業債務」だと書いている。「まさに債務の海、格下げやデフォルトに戦々恐々」とある。企業は1〜2ヶ月であれば何とか凌げるが、3ヶ月以上となると耐えられない。すでに疲弊している金融機関もさらに悪化する。リーマン・ショックを超える金融危機は時間の問題でしかない。世界での感染者数は22万人に迫り、死亡者は9000人になろうとしている。感染の深刻なイタリアは、医療崩壊に直面しているが、これは決して医療水準が低いためではない。今日の米紙ウォール・ストリートジャーナルTHE WALL STREET JOURNALは、「Lessons From Italy’s Hospital Meltdown. ‘Every Day You Lose, the Contagion Gets Worse.’(イタリアの医療崩壊からの教訓「1日を無駄にするたび、感染は悪化する」)ーThe coronavirus is pushing a wealthy region with high-tech health care toward a humanitarian disaster(コロナウイルスはハイテク医療を備えた豊かな地域に人道上の惨事を持たらしている)」と題する記事で、高度医療機関であっても、医療崩壊するイタリアの現実を、先進国への警告として報じている。イタリア北部のアルプスの麓にあるベルガモ県の県都である人口12万人のベルガモにある聖ヨハネ23世病院は、2012年に開設され、950床を備えたイタリア国内で最も先進的な病院の1つで、200台以上の救急車と2台のヘリコプターが常に待機している。現在、400床以上がコロナウイルス感染が確認されたか疑われる患者で占められ、ICUの患者は100人前後に膨れ上がり、患者は増え続けている。今ではICUには患者の選別を行わざるを得なくなっており、70歳以上は断念せざるを得ない状態である。国境なき医師団として、世界の何カ国かで感染症に当たった経験のある医師は、ベルガモの人口の60%以上がコロナウイルスに感染しているとみている。「膨大な人数の無症状の感染者がいる。また、自宅で死亡し、検査を受けておらず、数字に含まれない未知の死者もいる」と指摘。「ICUは氷山の一角にすぎない」と述べている。この医師は、「米国や欧州の病院は事前に体制を整えておく必要があり、政府は早めに地域の封鎖に踏み切る必要がある」と述べ、感染症の基本である感染者の隔離の遅れがまさに医療崩壊の原因であることを指摘している。この病院では初期の段階で救急隊員たちが感染していた。英米独の研究者たちも、世界の70%が感染する可能性があると見ている。検査数の増加が医療崩壊をもたらすのではなく、感染者を見逃し、隔離出来ないことが医療崩壊させるのである。医療崩壊が現実化すると、イタリアのように国債の崩壊へも波及して行く。決して他人事ではない。

手強いウイルス

2020-03-18 19:14:29 | 科学
Wikipediaを見ると、「パニック (panic) とは、個人または集団において突発的な不安や恐怖(ストレス)による混乱した心理状態、またそれに伴う錯乱した行動を指す。」とある。つまりは「混乱した心理状態」が基本にある。それは正確な情報がないことに起因する。昨日のLivedoorニュースは「コロナがもたらした弊害、国民が政府の言葉を信じなくなった」と言う記事を載せている。新型コロナウイルスの検査数だけでなく、マスクやトイレットペーパーなども、政府が「安心」を訴える「言葉」だけを伝えても、「現実」が安心させてくれなければ、不安や恐怖は治らない。日本の感染者数や検査数は、他国と比べると異様に少ない。検査を抑えていることが原因であることは誰もが理解している。検査を増やせば、陽性者が急増し、医療崩壊するからだと言う。しかし、感染症の基本は、感染者の存在を正確に把握することで、その拡大の防止策が立てられるのである。そして、感染は検査をするかしないかとは関係なく拡大しているのだ。日本はこのウイルスに対して、何もしないでやり過ごせると考えているとしか思えない。感染拡大が収まり始めている中国や韓国は、軽症者にも隔離対策を施し、それが成功に導いている。現在、中国で感染が陽性となっているのは、イタリアはじめ欧州や米国から、感染を恐れて帰国して来る人々から出ている。中には解熱剤を利用して、飛行機に搭乗した際の検温を免れようとする人もいる。航空機が減便されたせいもあり、米国から中国へ「帰国」するには300万円にもなるようだ。他国へ移民として入り、その国の国籍を得た人々まで、今では「帰国」していると言う。韓国も中国も初動は失敗したが、その後の対応は極めて早かった。韓国では5つの企業がそれぞれ検査キットを速やかに開発し、容易に検査を受けられる体制が出来上がった。さらに韓国の幸運は、感染力や重症化が少ないS型ウイルスが多かったことだ。現在、欧州で拡大するウイルスの多くが感染力も重症化も強いL型である。特に不幸にもイタリアは100%L型である。英国は、ある意味で日本以上に国としての積極的な感染防止策を取らない国である。意図的に感染を受けることで、免疫を獲得させる方法を考えているからだ。しかし、これはどうやら上手く行かないだろう。この新型コロナウイルスに関する世界中の医学的論文を参照して、新しい医学情報を提供し続けているThailand Medical Newsは、昨日「Coronavirus-Are We Being Lied To Or Are The Experts Clueless?(新型コロナウイルについて我々は嘘をつかれているのか、あるいは専門家たちが無知なのか)」と題して、コロナウイルが急速に変異しており、しかも、容易に感染し死滅しづらい形に「進化」していることを示し、ワクチンや免疫獲得が容易ではないことを明かにし、何故、こうした事実を著名な研究者や政府が公表しないのか、と書いている。ウイルスは人の細胞に侵入するためには、人の細胞表面にあるレセプター受容体と言うところに付着しなければならない。その後細胞内で増殖するためには細胞内に酵素が存在する必要がある。通常は、1種のウイルスには1種のレセプターと1種の酵素の組み合わせがあるので、どちらかをブロックする薬剤が治療薬として開発される。しかも、変異がなければワクチンも作れる。しかし、このウイルスは中国の報告だけで49種もの変異があり、世界では100種にもなる。レセプターや酵素も4〜5種が利用可能だ。つまり、感染するための武器を多く持ち、特効薬が作りづらく、変異が早いためにワクチンも作りにくいと言うことだ。1種類の新型コロナウイルスに感染し、免疫が出来ても、他の種類の新型コロナウイルスにその免疫が有効かどうか分からない。とても免疫の獲得が困難な可能性があると言うことだ。うがって考えると、英国政府や日本政府は、早々とこの情報を得て、何もしなことがベストと考えたのか。ウイルスに変異するための時間を与えないためにも早期発見、隔離が重要なのである。韓国のような軽症者の簡易隔離施設や重症者の医療施設整備が2ヶ月経っても行われていない。英国や日本では単に水面下で感染が拡大しているだけでなく、その過程で多くの変異を起こさせている可能性もある。現在の日本の新型コロナウイルス感染者はクルーズ船を除いて882人で、死亡者は29人である。致死率は3%にもなる。世界では致死率は1%とされている。世界標準で考えれば、感染者は2900人いる可能性があると言うことになる。いつまで実態を隠し続けるのだろう。

立ち込める暗雲が見えて来た

2020-03-17 19:13:17 | 社会
米国中央銀行FRBがゼロ金利導入と700億ドルの量的金融緩和の再開を決めたにもかかわらず、株式市場はまたもや急落し、数日で1987年以来最大の下げを2回も繰り返し、全く底がいつ訪れるのか読めなくなったことを今日のブルームバーグが伝えている。FRBは今月3日に金利を0.5%下げたが、株式は上がるどころか中央銀行の金融政策に不信感を持ち、さらに下げてしまった。下がったのは金融資産だけでなく、金や石油などを含む実物資産もだが、これは先行きが見えないために現金化しようとするためである。いずれ金は急騰する局面を迎えることになるだろう。下がり続ける株式に、慌てたFRBは、ついに最後の銃弾を使ってしまった。世界の株式時価総額の半分を占める米国株式市場の底はまだまだこれからやって来るにもかかわらず、FRBは最後に残された1発の銃弾を打ってしまった。クリントン政権で財務長官を務め、ハーバード大学の学長をも務めたローレンス・ヘンリー・サマーズ Lawrence Henry Summers氏は、「限られるツールを使い切って弾切れを証明するよりも、金融政策をダモクレスの剣(細い糸で吊るされていつ落ちてくるか分からない剣)のように使うほうが有効だろう。銃弾が最後の1つなら撃ってはならないということだ。」と以前、言っていた。また「今後の金融市場にとっての最大のリスクは世界中の中央銀行が緩和の手段を完全に使い果たしてしまうことだ」とも言っている。そして、まさに今や、日本・EU・米国の中央銀行は揃って、その金融政策を使い切ってしまった。これからさらに悪化する実体経済・金融経済にはもはや財政政策しか残されていない。しかもその財政政策さえ、積み重なった債務で足かせが付いているのだ。新型コロナウイルス感染は、この世界の経済後退の単なる引き金でしかない。そもそもが、リーマン・ショック後に、世界の主要国の中央銀行が協調して金融政策によって金融市場を無理やり上昇させて来たのであり、実態と大きく解離していた。今や、それが可視化されているのである。とは言え、新型コロナウイルスは経済の需要と供給、あるいは生産と消費と言う基本構造そのものを直撃している。そして、世界的な感染のピークはまだ見えていない。経済の破壊はまだまだ続き、感染の長期化と共に、やはり長期化する。まさにジム・ロジャーズ氏が言うところの「人生最悪の」状態がやって来る。各国で倒産企業が多発し、失業者が溢れるようになる。誰も「大恐慌」とは言わないが、これこそが「大恐慌」なのだが。中小企業に始まり、やがては大企業や金融機関の倒産に至るだろう。WHO世界保健機関のテドロスTedros事務局長は「すべての国に訴えたい。検査、検査、検査だ。疑わしい例すべてに対してだ」と述べ、新型コロナウイルスと戦うためにはまず検査が必要だとして、十分な検査を行っていない国は検査数を増やすように求めたが、、日英米は他国に比べてずっと検査の比率が少ない。特に、日本は中でも検査数の少なさでは際立っている。経済で長年見せかけだけの「好調」を演出して来たように、感染でもやはり見せかけだけの「少ない」感染を演出している。しかし、感染はある種の自然であり、この見せかけと言う人為的な操作は、いずれ感染爆発と言う形で、自然からのしっぺ返しを受けることになるだろう。当然、経済もどん底状態に陥る。感染と経済的困窮が多くの尊い命を奪って行くことになる。数年間は暗雲が立ち込めるが、いつかは大きなパラダイムシフトが生まれ、「新世界」がやって来るのかも知れない。

経済崩壊の引き金となったようだ

2020-03-16 19:16:20 | 社会
先週は株式だけでなく債券も米国では売られた。新型コロナウイルス感染が米国ではこれから本格的に拡大して行くと見られているため、実体経済が深刻な打撃を受けると考えられ、金融機関を含む投資家や企業は、先行きが不安な時には、手元に現金を保持しようとする。そうなると現金の流通量が減少し、大きな債務を抱えた弱体企業が窮地に追い込まれる。昨日、米国中央銀行FRBは緊急会合を開き、政策金利を1%引き下げることと、500億ドルの債券買い取りを含む700億ドルの量的金融緩和の再開を決めた。米国の政策金利は再びゼロ金利に舞い戻った。早々と手を打ったわけだが、これでもう米国中央銀行も手元にはさらなる金融緩和の余地がなくなってしまった。ほぼ使えるツールを使い切ってしまった。しかし、新型コロナウイルスの感染ピークはまだこれからである。つまり、実体経済の悪化は一層進んで行く。中央銀行としては、実体経済よりも金融経済が不安なのだ。資産市場の悪化は金融危機を引き起こすからだ。実際、これまで安全資産とされた長期である10年国債まで、売られて、金利が上昇してしまった。米国中央銀行も日本のように株式購入までやらざるを得なくなるかも知れない。ただ、米国だとそのためには法改正しなければならない。今後実体経済がさらに悪化しても、中央銀行はもう何も出来ない。政府の財政出動だけになってしまった。恐らく、米国中央銀行がここまでやったにもかかわらず、今週、株や債券はさらに売られて行くだろう。新型コロナウイルスの終息が見えて来ない限り、現金保持の流れは続くからだ。歴史上かってない金融危機がやって来る。「Everything is Bubble」が弾ける。新型コロナウイルスがブラック・スワンとなったのかも知れない。その新型コロナウイルスの方は、今や欧州で猛威を振るい始めた。このウイルスにはL型とS型があるが、感染者が急増したイタリアと韓国では、そのサブタイプが異なる。イタリアは感染力が強く重症化しやすいL型が100%であり、韓国はS型の方が多い。これが致死率の差となっている。メディアはイタリアの医療崩壊を強調するが、フランスの保健省によれば、ウイルス自体が変異した可能性がある。フランスでは重症化した人の半分は50歳未満であり、中国とは違って来ている。同じくフランスの保健省によると、アセトアミノフェン以外の抗炎症剤を服用すると重症化しやすいと言う。抗炎症剤が逆にサイトカインストームを誘発させるのかも知れない。昼休みに目に入ったTV番組で、司会者が検査を多くすればイタリアのように医療崩壊させるので、検査を多くするのも、医療体制を見てからでなければ、イタリアのようになると言っていた。日本は韓国や中国同様にL型とS型が混在している。感染者が急増した武漢はL型が優勢であった。今のところ大阪や名古屋など愛知県はL型であり、東京は混在しているがS型が多い。L型の多い愛知県は181人の感染者に対して死者は18人と、愛知県だけを見れば、致死率は10%にもなる。無論、これは検査が極端に抑えられているからであり、実際には、感染者が検査を受けていないだけであり、表に出ていない感染者がもっと多くいるはずで、それらの感染者を含めれば、致死率は下がる。致死率1%だとすれば、感染者は1800人はいるはずと言うことになる。東京都などは、大阪や名古屋に比べて、人口を考えれば異様に感染者が少ない。明かにオリンピックのために検査を抑えているとしか考えられない。事実、先日書いたように、中規模病院が20件中1件しか検査が認められなかった。医師が疑わしいと考えても、検査をしてもらえない。これこそ、逆の医療崩壊だろう。クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号以外の国内での初感染は、1月15日に陽性が確認された、武漢滞在後日本に帰国した神奈川県に住む中国籍の30代男性であった。それから2ヶ月経っている。にもかかわらず、検査も医療体制も明確なシステムが構築されていない。インフルエンザ はすでに検査が容易に出来るようになっているが、それがために医療崩壊など起きていない。新型コロナウイルスも、基本的には同じであり、病気を持つ高齢者に焦点を当てれば、健常者では不必要に恐ることはないのだ。英国などは学校封鎖のような手段はとらず、むしろ感染して免疫を獲得させる長期的な構えをとることに決めている。いわゆる集団免疫と言う考えである。オリンピック・ファーストが感染対策を中途半端にさせている。日本の感染の長期化は避けられなくなっている。経済は極めて深刻になるだろう。

台湾政府の対応の素早さ

2020-03-14 19:10:29 | 社会
中国との往来が日本よりもはるかに多い人口2300万人の台湾は、今回の新型コロナウイルス感染に対する政府の対応ぶりに世界から賞賛を浴びている。台湾は感染者が53人に留まり、死者は1名しかいない。米国スタンフォード大学予防医療研究センターのジェイソン・ワンJason Wan主任は、毎日新聞の取材に対して、「中国には85万人の台湾人が住み、年間271万人の中国人が訪台する。中華圏の春節で中国から観光客や帰省客が押し寄せる時期も重なっていた。リスクの高さは世界有数で、政府が適切な対策を取らなければ5000人が感染していただろう」と指摘している。「ウイルスの感染拡大は津波が押し寄せるように速く、簡単にのみ込まれてしまう。初期に断固とした対応を取るかどうかが分かれ目だった」のだ。中国武漢市で、12月12日に最初の感染者がいたが、中国当局はそれを当初認めていなかった。12月30日になって、ようやく「原因不明の肺炎患者」がいることを認めた。するとその翌日31日に、台湾政府は衛生福利部が最初の「注意喚起」を発し、専門家による検討を経て1月2日までに入国検疫強化、医師の診察時N95マスク装着の徹底、帰国後10日間の経過観察、旅行経歴の告知の徹底などを次々に決定した。日本政府が第1回「専門家会議」を開いたのははるかに遅れた2月16日である。しかも首相はわずか10分しか出席していなかった。まだ、人から人への感染が明らかではなかった1月16日の段階で、台湾は早くも法定感染症に指定した。中国が人から人への感染を認めて、政府が「断固抑え込む」とした4日前である。日本が指定感染症としたのは、さらに遅い1月28日であり、ようやく対策本部を立ち上げたのは1月30日である。台湾政府は早期検疫と情報公開の徹底、マスクなどの早期販売規制を行ったことで、国民からの信頼を得た。日本は明治以来の官僚システムで社会が維持されて来ており、その日本の官僚システムは情報のむしろ隠蔽でやって来た。今回のような未知の感染症拡大では最もまずいシステムである。情報が公開されず、検査が押さえ込まれていれば、国民の不安は、台湾とは対照的に募るばかりである。初動の遅れは中国や米国にもあった。しかし、いずれもが検査体制を整えることを挽回した。検査で陽性者が分かれば、追跡や隔離が明確となり、拡大の防止策が立てやすくなる。現在のような日本の検査制限は、むしろ、8割を占める軽症感染者による感染拡大を促進させていおり、いずれ一気に感染拡大が表面化するだろう。無論、オリンピックなど開催する余裕はない。中国は感染が蔓延したイタリアに、医師団を派遣することをイタリアとの間で取り決めた。3月6日の中国「科技日报」は、「科研攻关组药物专班:法匹拉韦安全性好、疗效明确、药品可及!(科学研究グループの薬物研究班:ファピラビルは安全性が高く、治療効果が明確であり、利用しやすい薬剤!)と題して、薬物研究班のリーダーである张新民氏のファピラビルの有効性評価を報告している。ファピラビルは、日本が開発したインフルエンザ治療薬アビガンである。中国企業にライセンス供与された。中国はイタリアへの医師団派遣と高性能マスクや防護服など含めた医療物資・人工呼吸器1000台を含む医療機器の提供を行う。このアビガンも持参する可能性が高い。イタリアは、日本と同じく歴代政権が医療費を削減し続けて来た。そのため、今回のウイルス感染では、人工呼吸器はじめ医療設備と人員の不足が露呈し、医療機関は、年齢や症状による選別を厳しく行わざるを得ず、60歳以上の人への呼吸管理を諦めざるを得ないケースが出ている。結果的に死亡者が増加することになっている。感染者の死亡率は、中国の倍近くになっている。10日の参議院予算委員会では、政府の専門家会議の副座長で地域医療機能推進機構理事長の尾身茂氏が、37.5度が続いても自宅で4日間経過必要としたのはPCR検査のキャパシティがないからと本音を暴露している。2日間でも良いと思っているがキャパシティがないのだと言う。すでに開発されているPCR検査キットを拒否して、国立感染症研究所が関与する検査キット開発にこだわり続けているために、「キャパシティ」を失なっているだけである。毎日新聞が伝えた中国から日本へ送られたロッシュ製PCR検査キット1万2500人分の一部は、日本から「間違って」米国へ送られたそうだ。「間違い」に気付いて日本側が米国に返却を求めたが、米国はすでに使ってしまっていたと言う。日本も米国も検査件数が抑えられて来た。どちらもが、自前の検査キットを開発しようとして失敗したと言う点で共通している。中国の巨大遺伝子企業BGIが早々と新型コロナウイルスの遺伝子配列を分析し、それを利用してスイスの世界的製薬企業ロッシュが即座にPCR検査キットを完成させた。多くの国がこれを利用したが、日米は愚かにも自前のキット開発にこだわり、検査の致命的な遅れを引き起こした。日本国では政治家・官僚や「専門家」にとって国民の感染など二の次のようだ。

「 100年に一度のパンデミック」

2020-03-13 19:18:37 | 社会
WHO世界保健機関がなかなかパンデミック宣言をしなかったのは、各国経済への影響を考えていたからである。そして、そのパンデミック宣言により、予想通り資産市場だけでなく、実物市場まで多くが急落した。投資家は一部債券を除いて、出来るだけ現金化しようと急いだ。金などにも分散投資していた投資家はやはり引き上げて現金化に走った。しかし、これはまさに終わりの始まりに過ぎない。フランスのマクロン大統領は、昨夜、新型コロナウイルスの感染拡大を「過去1世紀で最も深刻な公衆衛生上の危機」と表現し、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は、米国医学雑誌The New England Journal of Medicineへの「Responding to Covid-19 — A Once-in-a-Century Pandemic?(Covid-19への対応— 100年に一度のパンデミック?)」と題する寄稿で、対策には巨額の費用が必要であり、100年に一度の病原体と想定して、対応しなければならないと訴えている。年間平均気温が30度あるシンガポールは、感染者がまだ200人に満たないが、すでに中国、イラン、韓国、イタリアについては渡航を制限している。リー・シェンロン首相は、新型コロナウイルスの大流行(パンデミック)は今後1年またはそれ以上続く可能性があるとし、同国はウイルスの流入を抑制するため、渡航規制をさらに強化する必要に迫られると昨日述べている。米国も英国以外の欧州に対して渡航制限をした。このウイルス感染により「グローバル」経済が急速に収縮している。感染拡大と長期化は確実だ。そんな中で今や日本の感染対策の異様さが突出して来ている。一昨日付けで、医療ガバナンス学会に東京都内の中規模病院の院長が匿名で寄稿している。「COVID19感染症 翻弄される地域中核病院」とあり、新型コロナウイルス感染の疑いありとして、保健所に持ち込んでも、検査が尽く拒否されている実態や、民間病院には感染防止の充分な設備・装備がないことなどが訴えられている。この寄稿者には内外のメディアが取材をしているようだ。名古屋や大阪のような大都市ですら1日の検査件数が200に満たず、しかもその4分の1から3分の1が陽性と言う異様さである。他の主要国と1桁も2桁も検査件数が違っている。日本の現状は感染者が少ないから陽性者が少ないのではない。検査が抑えられているから、陽性者が少数しか見つからないだけである。政府が意図的に検査を抑えているこの期間にも、感染は毎日、見えないところで拡大している。一般の病院で亡くなっている人の中の多くが検査すれば陽性である可能性がある。感染対策の中心的専門家である国立感染症研究所は、疫学データの収集と自前の検査キット開発にこだわり、検査を抑えている。これは医療者としては犯罪であるとさえ言える。人命が優先されていない。政府のオリンピック開催の思惑と同期して、結果的に、どこにも日本の新型コロナウイルス感染に対する正確な情報が皆無であると言う異常を生み出している。中国は、初動に遅れがあったが、その後は着実に検査を広げ、その感染情報を元にした分析もWHOや主要国代表と共有した。その結果、14歳未満は重症化はほとんどなく、重症化が見られるのはそれ以上の年齢であり、しかも、塾年から高齢では年齢よりも基礎的な病気を持っているかどうかが重症化に大きく影響することが分かって来た。再感染が14%あり、再感染時には重症化が見られている。こうした、中国やWHOが認めた情報を全く考慮せず、いまだに日本の検査は、37.5度以上の発熱が対象基準となっている。感染しても37.5度以上の熱が出ない人が57%もいるのにだ。正確な感染の実態を表すデータがない以上、専門家会議や厚生労働省が何を言っても信頼出来ないだろう。感染症では、それは致命的となる可能性がある。不要な混乱に結び付くことがあるからである。そして、そのことがさらに感染を拡大してしまう。日本の今は、もうオリンピックなどと言っておれる時期ではない。いくら島国でも、あまりに世界と違い過ぎて目眩がするほどだ。福島第一原発事故でも驚かされたが、日本の「専門家」と言われる人たちのいかに非科学的であることか。特に、医療系で目立つように思われるが、気のせいだろうか。

「パンデミック」宣言と長期化

2020-03-12 19:18:14 | 科学
WHO世界保健機関は、昨夜、ようやく新型コロナウイルス感染拡大は「パンデミック(世界的な大流行)」に相当すると表明した。すでに感染は114カ国に拡大してしまっている。ドイツのメルケル首相は議会の委員会で「ドイツ国民の60-70%が新型コロナウイルスに感染するだろう」との予測を述べたと言われる。この数字は、米国ハーバード大学疫学のマーク・リップシッチMarc Lipsitch教授も「「人類の40-70%が新型ウイルスに感染し、感染者のうち発症した人の1%が死ぬ」との予測をしており、保健大臣自身が感染したことを公表した英国政府の保健省でも、最悪のシナリオとして「英国民の80%が新型ウイルスに感染し、50万人が死ぬ」と予測する報告書を作成しており、このウイルスによる感染が70%前後にもなることは科学的な予測に基付いている。そして、ドイツの感染症センターやベルリン医科大学のウイルス研究者であるクリスチャン・ドロステンChristian Drosten教授は、「ドイツ国民の60-70%が感染するまでに2年以上かかる」と予測している。中国では上海と深圳の研究所がわずか10日で新型コロナウイルスの遺伝子配列を解明し、それを元に、スイスの世界的な製薬企業ロッシュRocheがやはりわずか2週間でPCR検査キットを完成させている。日本では、国立感染症研究所が今回の新型コロナウイルス感染に対する対策の中心となっているが、「疫学調査」のためと称して、検査を制限しており、驚くべき本末転倒である。感染症は早期に感染者を見出し、早期に隔離することで感染拡大を防ぐのが基本である。「データ」を得やすくするために検査の対象を制限することは、むしろ感染を拡大させている。さらには、研究所が運営する感染症情報センターには、他の主要国とは異なり、この新型コロナウイルスの国内での感染状況の求対的なデータが全く開示されていない。昨日の日本経済新聞は、「新型コロナ、日本の検査遅らせた「疫学調査」」と題して、「新型コロナウイルスに対する日本の検査数はなぜ海外に比べて少ないのだろう。感染の有無をみるPCRの検査力に問題があったわけではない。厚生労働省が当初、医療行為としてではなく、感染の拡大を抑える「疫学調査」として、この検査を選択したからだ。」と書き、最後に、「新型コロナウイルスに感染しても8割は軽症のまま回復する。原因のわからない肺炎ではすみやかに検査しなければならないが、感染していない証しを求める「安心検査」への拡大は、医療現場の新たな混乱を招くだけと感染症の専門家は否定的だ。」と、現在の検査数の少なさを擁護する形で終わっている。韓国、英国、米国ではPCR検査は、医療機関ではなく「ドライブスルー」で行われており、医療現場の混乱とはなっていない。マイクロソフトを立ち上げたビル・ゲイツが創設した『ビル&メリンダ・ゲイツ財団』は、新型コロナウイルスの家庭用検査キットを米国のシアトルで提供するプロジェクトを実施すると発表しており、日本でもソフトバンクグループの孫正義氏が同じく自宅で可能な100万人分のPCR検査を提供すると公表した。しかし、日本ではそれに対して、検査のやり過ぎで医療崩壊するとの批判が多く出ている。あまりにも短絡的な発想であり、現在の遅々とした政府の対応を、結果的に擁護するものでしかない。検査を広く実施することで、早期に感染者を見出し、出来るだけ情報を公開することで、さらなる感染の拡大を防止出来る。日本経済新聞は、治療法が確立されていないので、検査を多くしても意味がない、との書き方である。感染症における検査の意義を理解していないことを自ら露呈させている。タイのThailand Medical Newsは今回の新型コロナウイルスに関して、日本などよりよほど貴重な情報を伝えてくれているが、9日の「BREAKING! Preprint Research Shows That SARS-CoV-2 Has Third Binding Mode, Making It A Truly Potent Coronavirus That Is In A League Of Its Own」と言う表題の記事では、今回の新型コロナウイルス SARS-Cov-2が、人の細胞に取り付くレセプターと言われる部位がこれまで考えられていた1箇所だけでなく、複数存在し、しかもウイルスが増殖するための酵素も一種類と考えられていたが、これもやはり複数あり、このウイルスのワクチン開発が極めて難しいものだと言うことが明かになったと言う。感染が今後も拡大して行くばかりでなく、長期化することも見えて来た。

ドミノは倒れ続ける

2020-03-11 19:19:25 | 経済
米国のグローバル投資および金融サービス会社であるグッゲンハイム パートナーズGuggenheim Partnersは、日本を含めた世界の17都市に展開され、3000億ドル近くの資産運用を行っている。その共同創業者でグローバル最高投資責任者(CIO)のスコット・マイナードScott Minerd氏が、「新型コロナウイルスの金融や地政学への影響波及のリスクに金融市場はようやく「覚醒した」と指摘し、世界的なリセッション(景気後退)入りは回避できない可能性がある」、「どのドミノが次に倒れるのかを特定するのは事実上不可能だが、一つ確かだと思われることは、ドミノは倒れ続けるということだ」と自社のウェブサイトに掲載したことを昨日のブルームバーグ が伝えている。同社のウェブサイトには、英国のウィンストン・チャーチルWinston Churchillの言葉「これは終わりではない。終わりの始まりですらない。おそらく始まりの終わりなのだ。」が添えられている。中国での新型コロナウイルス感染拡大が、中国での生産活動を抑え込んでしまったため、エネルギー需要が減少し、原油価格が下落した。サウジアラビア中心のOPEC石油輸出国機構は、原油価格を維持するために減産しようとしたが、OPECに加盟していないロシアが減産しないと発表したため、減産出来なくなり、原油価格が一層低下した。この原油価格の低下は米国シェール企業に大きな打撃を与えた。一昨日の株価の下落の原因ともなっている。米国シェール企業は社債発行で資金調達し、経営を維持して来た。しかも、その社債はリスクが高いと見られており、金利は他の一般企業のものよりも高くなっている。今後、原油価格の低下が長引けば、シェール企業のデフォルト債務不履行、金融危機へも発展しかねない。景気が悪化して来ると、これまで「国債」が安全資産とされて買われて来た。国債の買いが増えれば、国債価格は上がり、その利回り、金利は下がる。マイナード氏は米国の10年国債の金利が-2%になる可能性もあるとしている。金融危機ともなれば尚更、長期国債である10年国債や超長期国債である30年国債が買われる。今、いずれも利回り、金利が低下している。金融経済と実体経済共に打撃が大きくなり、限りのある中央銀行の金融政策では、効果は得られず、政府は財政赤字を一層積み増さざるを得なくなる。長期国債への信用がいつまで支えられるだろうか。中央銀行の意を汲んで、投資銀行が金の先物を使って金価格をいくら下げようとしても、価格上昇の流れは止められなくなるだろう。今後2〜3年、長ければ5年以上は世界が混沌状態に置かれることになるかも知れない。リーマン・ショック後、米国の実体経済は芳しくなく、中央銀行による「非伝統的」金融緩和による金融経済の押し上げで、表面上の「好調」を演じさせて来ただけであった。超低金利の借金マネーが株式などの資産価格を押し上げた。実態を伴わないバブルとなるまで。中国もまた「資本主義に学んで」、世界の工場でありながら、見せ掛けの経済成長率を維持するために、膨大な債務に基づく不動産開発を奨励して来た。生産活動の低下の中、いずれ遠からずその膨大な債務のツケを払う時がやって来る。それでも、中国は回復のための底力があると見る経済学者がいる。2001年にジョージ・アカロフとジョセフ・スティグリッツらと共にノーベル経済学賞を受賞を受賞した、スタンフォード大学フーバー研究所のシニアフェローでもあるニューヨーク大学マイケル・スペンス教授は、昨日のDIAMOND ONLINEに「新型コロナ世界不況は杞憂か、ノーベル賞学者が見る中国デジタル経済の底力」と題する記事を寄稿している。中国の「モバイル・インターネットの普及率は非常に高く、しかもまだ上昇中だ。モバイル決済システムは世界で最も先進的だ。ほとんどの人・企業がネットに接続しアクティブに利用しているため、大量のデータを生成することは容易であり、それが人工知能(AI)の力を借りて、デジタル・エコシステムの範囲と効果をあっという間に広げていく。」として、「特に物理的な移動を制約するような危機に直面した場合、これは中国の経済的なレジリエンス(回復力、復元力)を強化する上で大いに役立つだろう。」と言う。教授は、このウイルスの中国での感染拡大に対する政府の対応についても、初動の遅れはあったものの、その後は「断固たる行動をとった」として、政府への信頼低下にはならないだろうと考えているようだ。


壊滅的リスクが進行中

2020-03-10 19:20:41 | 社会
イタリアは一気に新型コロナウイルス感染者が9172人となり、政府は移動制限を全土に拡大している。米国754人、日本530人・クルーズ船696人である。日本はいかにも上手くコントロール出来ているかのような数字の動きだが、単に検査件数が意図的に抑えられているためである。米国は今週から本格的に検査を開始した。急速に感染者が増加するだろう。しかし、増加はもう避けられず、むしろ早期発見、早期治療に努めなければならない。さすが米国である。当初は大統領の意向を汲んで、日本同様に検査に消極的であったが、姿勢を大きく変えた。日本のように検査を抑えることが、むしろ見えない感染拡大を引き起こす。米国の金融市場はパニック的な動きを見せるようになった。米国国内のさらなる感染拡大で、いよいよ本格的な経済崩壊へ向かって行くことになるようだ。中央銀行はさらに一段の利下げをおこなうだろう。3月5日のロイター通信は、「米緊急利下げ、真の理由は「信用リスク」か ドル需要が急増」と題する記事を載せている。先日、米国中央銀行FRBがいきなり0.5%もの利下げを行なったのは、一般には株価の下落のためとされているが、この記事では、「短期金融市場ではその前後にドルのキャッシュ需要が急激に強まっていた。長年の金融緩和や量的緩和で膨らんだ民間債務にまつわる信用リスクが、大幅な利下げの背景にあったと複数の専門家は指摘する。」とある。つまり、株価の下落のためではなく、「膨らんだ民間債務にまつわる信用リスク」のためであったのだ。無論、この新型コロナウイルスの感染拡大が引き金ではある。新型コロナウイルスの感染は、SARSやMERS、エボラほどの脅威はないが、むしろ、そのことが感染を一層拡大させ、経済・社会へ大きく影響するようだ。米国ジョンズ・ホプキンス大学の感染症研究者であるアメシュ・アダルヤAmesh Adalja准教授たちは、世界の感染症に関する論文を1年間かけて調査した上で、世界中の科学者、社会学者、政府関係者などに聞き取り調査を行い、「地球規模の壊滅的な生物学的リスク」となる疾患とはどのような疾患であるのか、報告書をまとめ上げている。それによれば、「将来的に最も深刻な影響を与える可能性のある病原体」とは、呼吸器系の感染症で、致死率が低く、発症しない人が多いか軽症の人が多いと言う特徴を持つRNAウイルスであると結論付けられている。これは、まさに現在の新型コロナウイルスそのものの特徴である。報告書は2018年に出されていた。
米国では、中央銀行の利下げ後も、株価の下落が続き、大統領はついに給与税減税と、新型コロナウイルスで打撃を受けた産業への「非常に大規模な救済措置」を目指すと述べたことを今日のブルームバーグが伝えている。中央銀行の金融政策には、すでに限界が来ており、大きな財政赤字を抱える米国政府もやむを得ずさらなる赤字覚悟で財政出動せざるを得ない。しかし、それでも現在は、まだ序の口である。まだまだ本格的な感染拡大へは至っていない。感染を意図的に隠そうとし続ける日本などは、尚更である。日本の株価の下落の影響を大きく受けるのは、日本銀行と年金である。日経平均が17000~18000を下る状態になって来ると、いずれも大きな損失を抱えるようになるが、それももはや時間の問題でしかない。もともと日本の株価は日本銀行初め政府系の5頭のクジラで支えられた人為的な株価であった。メッキが剥がされ、実態が見えて来ただけに過ぎない。

WHOさえ懸念する日本の状況

2020-03-09 19:13:00 | 社会
やはり危惧していたことが、顕在化して来た。山梨県の髄膜炎となった20歳代男性、群馬県の40歳代女性など、医療機関を複数受診後に、容態が悪化して初めて検査をされている。名古屋の80歳代男性は、健康観察の対象であったにもかかわらず、不具合がなかったため、検査をされず、心肺停止状態となって救急搬送され、亡くなっている。亡くなった後で、検査結果が陽性となっていた。中国は多くの感染者を出し、それだけに様々な感染者のケースを経験し、医学的なデータも集積され、それを公表もしている。しかし、日本政府はそんなデータすら対策に生かしていない。中国では感染者のうち37.5度以上の発熱者は半数にも満たないことが報告されていた。しかし、日本ではそんなデータを無視して、37.5度以上の発熱を検査対象の条件に入れており、それだけで感染者の半数は見逃すことにつながっている。先月半ばに来日していたWHO世界保健機関のシニアアドバイザー進藤奈邦子氏は、「中国以外のほかの国では感染経路の追跡ができている。接触者の調査を行って一つ一つ消し止めることで感染は広がりを見せていない。日本だけが少し様相が異なっている」、「クルーズ船への対応も含め、世界中が今後の日本の対応を注視している」と述べていた。そして、3月2日には、WHOの事務局長は、2日午前6時までの24時間で新型コロナウイルスへの感染者の増加数が、中国国外で中国の約9倍になっていると指摘し、感染者の多い韓国、イタリア、イラン、日本の4か国を挙げ「最大の懸念だ」と述べた、ことを読売新聞が伝えた。現在、非常に感染者の多い韓国、イタリア、イランと共に、日本に対しても WHOは大いに懸念を抱いているのだ。それは何故か。3月6日、米国メディアCNNの日本語版は、「日本で発表の感染者数は「氷山の一角」、専門家が検査態勢の強化促す」と言う記事を流している。記事では、「新型コロナウイルスの感染拡大が続く日本で、政府の対策や検査のやり方に疑問を投げかける専門家が相次ぎ、実際の症例数は発表よりずっと多いのではないかとの不安が広がっている。」と書かれている。中国のデータでは治癒して陰性となって、退院した人でも14%は再び陽性となっており、先週、日本でも同様の例が報告されている。今日のジョン・ホプキンス大学のデータを見ると、世界の感染者は11万0041人で、中国80735人、韓国7382人、中国に次いで大規模に地域封鎖をしたイタリアは7375人、イラン6566人、フランス1209人、ドイツ1040人、その他(日本のクルーズ船)696人、スペイン673人、米国554人、日本502となっている。米国西海岸にはダイアモンド・プリンセスの姉妹船であるグランド・プリンセスが停泊中であるが、米国は日本のように姑息にそこでの感染者を「その他」などと自国の感染者数から除外したりしていない。ドイツやフランスは日本よりずっと感染者数が少なかった。それが今や日本の倍の感染者数になっている。これはあくまで、それだけ検査数が日本より多いからである。国費を投じて国立感染症研究所が検査キットを開発中である。これが完成するまで、検査件数を抑えておきたいのだ。その間に犠牲者が出ることなどお構いなしである。中国も欧州も韓国もロッシュの検査キットを早期に導入し、積極的に検査を増やした。中国では検査を受けて陽性となれば、報償金まで出る。無論、陰性でもそれよりは少ないが支払われ、検査を受けることを奨励している。日本は毎日新聞が伝えたように、その中国から送られたロッシュの検査キット1万2500人分をどう使ったのか、何も公表しない。ともかく、検査を抑え、見かけの感染者数を少なくしたいと言う「政治」優先の発想でしかない。米国も日本同様であったが、米国は今週からいよいよ検査数を本格的に増やして行くことになった。もはやパンデミックは避けられないと悟った経済界では、株価が下落し、金利が低下したドルも売られ、金が上昇している。米国では中央銀行はさらに金利を下げて行かざるを得ず、場合によっては、日本の中央銀行のように株式の購入までやらざるを得なくなるかも知れない。もはや、なりふり構っていられない状況に追い込まれるだろう。株式は今後もさらに下落して行くだろう。そして、ついには社債へも波及し、社債市場の金利が急上昇して行くことになり、企業倒産が加速して行く。大きな混乱が待ち受けていることは間違いない。今、米国では銃弾の売れ行きが急上昇している。
椿