釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

健康と経済の危機が同時進行

2020-03-21 19:16:22 | 社会
世界の新型コロナウイルス感染者は275000人を超え、死者は11000人を超えた。中国は新たな感染者が発表では41人いるが全て海外からの渡航者である。中国に次ぐイタリアでは1日で5986人の感染者が出て、47021人となった。死者は627人増え4032人である。米国は感染者がイタリアに迫る増え方で1日で5851に増加し、19640人となった。しかし、これも検査体制が全土で整ったためである。米国ニュージャージー州ベルゲン郡のドライブスルーテストサイトでは、国家警備隊および完全なガウンとマスクの医療専門家を配備し、昨日は検査を受けるために数千台の車が並んだ。感染者が4408人となったニューヨーク市では、1日1万人の検査体制が準備された。感染者が1日で2950人増加したニューヨーク州は、州全体で7102人に達し、症例曲線から予想される症例数は、病人の命を救うのに必要なベッドと換気装置の州の能力を3倍超えると見込まれている。WHO世界保健機関は、世界中で感染者が10万人に達するまでに3か月以上かかったが、次の10万人を記録するのにわずか12日しかかからないことを指摘している。米国は13日に国家非常事態を宣言し、16日に外出や集まりの自粛を求めた。そして、18日には、商品の製造業者などの産業界を直接的に統制出来る国防生産法を「将来における最悪のシナリオのため」に発動する方針を明かにした。19日には国務省がすべての国・地域への渡航警戒レベルを4段階で最も高い「渡航中止・退避勧告」(レベル4)に引き上げ、国外に在住・滞在する米国人に即座に帰国するよう求めた。国防総省も今後、州兵動員が数万人規模に上ると発表した。国連のグテレス事務総長は、19日、「国連75年の歴史にない地球規模の衛生危機に直面している」とし、「現在の国レベルの対策では、地球規模かつ複雑なこの危機に対応できない」と言い、「世界的な景気後退はほぼ確実だ。恐らく記録的な規模になる」と述べている。国際労働機関(ILO)も3月18日、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が雇用面に与える影響について報告書を公表している。それによると、この感染拡大で、失業者は2470万人に達すると予測している。ILOのガイ・ライダー事務局長は「新型コロナウイルスの感染拡大は、もはや単なる健康面の危機ではなく経済の危機だ」と述べている。リーマン・ショック時の失業者は2200万人であり、それを上回る数になる。3月12日の欧州連合中央銀行ECBのQE量的金融緩和再開に続いて15日には日米の中央銀行もQEを再開した。今回のQEはまさに先行き不透明な際限のないQEとなる。昨年からすでに実体経済は後退していたが、この感染拡大はそこに拍車をかけ、金融経済へも波及し、株価の暴落に留まらず、社債の金利の上昇を中心に債券金利を押し上げ、銀行間の信用崩壊にまで至っている。特に米国でそれが顕著で、米国中央銀行FRBは、銀行間資金取引市場に連日多額の資金を供給せざるを得なくなっている。各国政府ももはや赤字国債の発行を考えざるを得なくなり、今後もますます債券金利の上昇は避けられなくなっている。すでに米国のシェール・オイル産業や航空会社・小売、飲食などは、政府の支援がなければ倒産の危機に直面している。債券市場では、ジャンク債の金利が9%を越えて上昇して来ており、業績悪化から倒産に至る企業が多発するようになれば、債務不履行となり、本格的な金融危機が訪れる。株式などの金融資産の暴落で、企業や投資家は現金保持が急務となり、流通現金が枯渇する事態を招いている。海外に投資された資金も引き上げられ、現地通貨からドルへ変換されるためにドルが買われ、ドル高となっている。ドル融資を受けた新興国などは、ドル高と金利上昇のダブルパンチとなり、ここでも債務不履行が行われる可能性が出ている。リーマン・ショックでは、金融危機が実体経済へ遅れて波及したが、現在は実体経済と金融経済の双方がほぼ同時に危機に直面しており、人類史上かってない事態となっている。感染が長期化すれば、世界はまさに前人未到の領域に入り込む。