釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

世界恐慌を超える災禍となるのは避けられない

2020-03-28 19:14:37 | 社会
東北にも日々春がやって来ている。家の近所を歩くと、家々の梅が咲き、早咲きの桜やレンギョウも目に入る。毎年、同じ花が咲くが今年は困難な年になりそうだ。岩手県は数少なくなった感染者ゼロの県だが、検査数が他府県に漏れず少ない。岩手県でも恐らくすでに感染者は広がっていると思われる。ほとんどの人が、感染は無縁であるかのように普段と変わらない生活を送っている。感染者が10万人を超えた米国は、感染の厳しいニューヨーク州を中心に外出制限を行うと同時に、政府はGDPの1割になる2兆ドルもの対策を打ち出し、成人1人当たり1200ドルを支給する現金給付案や9000億ドルの企業支援を盛り込んでいる。日本政府は過去最高となる102兆円の2020年度予算を成立させたが、これにはウイルス感染対策は全く含まれていない。現在のウイルス感染の厄介なところは、人に健康被害を与えるだけでなく、経済を停止させてしまうことである。日本は数値上は他の主要国に比べ、感染者が少ないため、健康危機感も経済危機感もともに希薄で、それがかえってやって来る危機で悲惨さを増幅させることに気付いていない。感染対策も経済対策も全く出遅れているのだ。現在の世界経済は米国と中国が牽引しており、その二大国が感染でも抜きん出ている。中国の感染もピークを超えたように見えるが、まだまだ油断は出来ない。新型コロナウイルスはアイスランドでも40種の変異が新たに報告されており、感染者数にカウントされていない中国の4万を超える無症候感染者からも変異が現れる可能性もある。米国も中国も経済は大きく活動を抑えられており、実体経済はすでに落ち込んでいる。26日、米国労働省は失業保険金請求が予想外の150万の2倍を超える328万で、前週より約12倍増と記録的に急増したと発表した(2008年のリーマン・ショック時はこの5分の1の数で、失業率は10%であった)。この数は、69万5000に達した1982年(失業率11%)の大不況の間よりもはるかに悪い。セントルイス連邦準備銀行のジェームズブラードJames Bullard総裁は、集団感染により米国の国民総生産GDPが50%低下し、米国人の30%が失業するだろうと予測した。また、ウォリック大学the University of WarwickのロジャーファーマーRoger Farmer教授も米国で3700万の雇用を破壊すると警告している。1929年から始まった世界恐慌では米国の失業者は24%であった。米国では、すでに昨年9月より、銀行間資金調達市場で資金不足が生じており、中央銀行FRBは連日のように巨額の資金提供を行い、金利上昇を抑えて来ていた。そこにこのウイルス感染が拡大したため、26日時点で、過去5日間に米国国債とMBS(不動産担保証券)合わせて6220億ドルを買いとっている。GDPの2.6%に相当する驚異的な額である。現在、FRBがリーマン・ショック後に購入したこう言った債券などの金融資産は4兆7000億ドルと言う過去最高額に達しているが、政府の経済対策のうちFRB融資のバックストップ(安全装置)として、4540億ドルが財務省からFRBへ配布されることになったため、FRBはこれを原資に、FRBのパウエル議長は「1ドル当たり、事実上、10ドル相当の融資をサポートするのに十分だ」、「この融資については、弾薬がつきることはない」と語り、FRB資産が9兆~10兆ドルにまで拡大可能となった。ブルームバーグはこれを「ヘリコプタークレジット」と呼んでいる。こうした購入をFRBは無制限に行うと発表したが、皮肉なことに、中央銀行が債券購入を膨らませれば膨らませるほど市中の資金の流れは低下している。日本が6ヶ月連続倒産件数が前年同月を上回っているように、米国でも倒産件数が増え続けている。債券購入は確かに金利を抑えることは出来ているが、そこで使われた大量の通貨が後々凄まじいインフレの種となる可能性が残される。当然、ドルも暴落する。このウイルス禍は、2008年とはことなり、実体経済と金融経済双方を痛め続ける。日本の対外資産1000兆円の多くもその時、大きな痛手を受ける。米国が転ければ、日本も引きずられる。今以上に大きな損失を抱えた日本銀行や年金機構GPIFも共倒れとなる。今は「戦争」だから後に来るインフレなどには構っていられない、と言うことではあるのだろうが。
藪椿もたくさん咲いて来た