釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

雨の一日

2014-08-10 21:00:03 | 文化
台風と前線の影響で今日は一日雨で、時々、強い雨になり、夜に入って風も少し強くなって来た。日中の最高気温は22度で、夏とは思えない暑さの感じない日となった。庭にも雨のための水溜まりが出来るほどで、花たちにはいい雨だろう。昨日は矢巾町まで出かけたので、今日は2~3の買い物に出かけるだけで、家でのんびり過ごした。庭のレンゲショウマが雨の中で開き始めて来た。紫陽花の花も一部まだ咲いている。オレンジの鬼百合が一番目立つ。残念ながらこれだけ雨が降ると鳥やセミの声は聞こえて来ない。
山裾では葛(くず)の花が咲いて来た


矢巾町のひまわり畑

2014-08-09 21:17:39 | 自然
今日は東北に停滞中の前線のために朝から小雨がちであった。今日の釜石の最高気温は24度でとても凌ぎやすかった。内陸の矢巾町の予想天気を見ると、今日は曇りで明日は雨となっていたので、今日のうちにと考え、矢巾町に出かけた。ひまわりが先週はごくわずかしか咲いていなかった。ひまわり畑に着くと、小雨が降っており、2~3人の人を見かけただけであった。手前半分のひまわりはよく咲いていたが、奥の半分はまだ花が開いて来てる途中のようだ。それでもやはりたくさんのひまわりが咲いており、小雨の中のひまわりも綺麗だ。奥羽山脈の山裾のなだらかな丘陵地が広がる中で咲いたひまわりだ。
矢巾町の6万本のひまわり畑

原発自体が日本の軍事的脅威となっている

2014-08-08 19:13:56 | 社会
東京電力は6日、福島第一原発事故で炉心溶融(メルトダウン)した3号機は、これまで溶け落ちた核燃料は6割だとみていたが、ほぼすべてが溶け落ちた可能性が高いとする解析結果を発表した。1号機でもすべての核燃料が溶け落ちたとみられており、廃炉作業はますます困難となって来た。原子力発電所の核燃料は使用中であれ、使用済みであれ、冷却し続けなければならない。従って、冷却水が送れなくなる状況はなんとしても避けなければならない。事故後もその溶け落ちた核燃料も現在まで冷却水を送って冷却し続けている。しかし、冷却に使われた水は高濃度の放射性物質を含んでおり、その汚染された冷却水はそのままで放置するわけにはいかない。そこで東京電力は汚染した冷却水を回収して多核種除去設備(ALPS)3基を導入して、12月から本格的に稼働させ、放射性物質で汚染した冷却水から出来るだけ放射性物質を除去して、海に流そうとしている。現在は放射性物質の除去が間に合わないため汚染した冷却水をたくさんのタンクに貯蔵している。しかし、一方で、冷却用に使われた水は地下へも大量に漏出しており、さらにはトレンチと呼ばれる電源ケーブルなどが通る地下道へも大量の汚染水が流れ込んでいる。こちらは凍土遮水壁を造って流れ込みを抑えようとしてしている。一時的には1日15トンの氷を入れて止めようと計画している。さらに原子炉建屋には1日300~400トンもの地下水が流れ込んでおり、これも復旧済みの「サブドレン」と呼ばれる井戸27本に加え、15本の新設により汲み上げようと計画中だ。すでに海洋汚染や河川汚染は発生しており、以前、京都大学の試算では本年3月が東京湾の汚染がピークになると予想されていた。拡散した放射性物質が川を通じて東京湾へ流れ込むからだ。原発は一旦事故を起こすと、途方もない放射性物質をまき散らすだけでなく、事故後も冷却水を通じて汚染を広げて行く。福島第一原発事故は自然の脅威で原発の弱点を露呈した。原子炉は厚さ2mのコンクリートで遮蔽されているが、その原子炉を順調に稼働させるための電源や冷却水に弱点があり、これほどの事故を起こしながらも、その弱点の根本的な対策はなんらとられていない。とられている対策は地震や津波と言った自然の脅威に対してだけである。しかも、それさえ不十分に。現政権は今回の防衛白書でも中国の脅威を訴え、戦争の出来る日本にする必要性を表明している。しかし、中国の脅威を日本の軍備の拡大に利用するだけで、実際には最も軍事的にも危険な原発への軍事的対策はなんら打っていない。現在日本には営業中の原発が17カ所あり、原子炉は49基あり、建設中が2基ある。他にも建設中の原発1カ所原子炉1基がある。解体中のものは4カ所の原発で原子炉10基がある。北から南まで全国に広がっている。中国には東風21C型弾道ミサイルが100基以上、東海10型や長剣10型巡航ミサイルは1000基近くあり、それらは日本全国の原発の原子炉建屋や電源建屋、冷却水パイプ、それにコントロール施設をピンポイントで攻撃可能なのだ。現在原子力施設への武力的な対策はテロ対策のみであり、道府県警察警備部に設置された原子力関連施設警戒隊に任されているだけであり、しかも実際に専従部隊を置いているのは原発銀座のある福井県警察原子力関連施設警戒隊だけである。中国が日本の原発を攻撃するだけで日本全土が放射性物質に汚染され、住めない国土と化してしまう。日本は小さな島国であり、軍事技術の劣っていた第二次大戦当時とは軍事技術進歩は比較にならほどであり、それだけにその当時以上に戦争を避けなければ、国土そのもが容易に脅威にさらされる時代になっている。まさに軍事力によっては日本は生き残れない時代なのだ。
職場近くに咲いていた金糸梅

エボラ出血熱

2014-08-07 19:20:56 | 社会
今日の釜石は朝は25度であったが、昼には35度まで上がり、内陸より5度も高くなった。風にもさすがに熱気があり、昼休みに少し歩いただけで汗が出て来た。職場の裏山では日中ミンミンゼミがしきりに鳴き、ヒグラシと違って、余計に暑さを感じさせられた。この気温のためなのか今日はウグイスの声は聞こえて来なかった。夕方近くになり、夏の勢いのある雨が降り出し、一気に気温を下げてくれ、雷も鳴ったが、涼しい風が吹くようになった。そんな中でセミもヒグラシに代わったようだ。 世界保健機関(WHO)は昨日、西アフリカで感染が拡大しているエボラ出血熱による死者数が932人に達したと発表した。専門家による緊急委員会の会合をスイスのジュネーブで開き、緊急事態宣言の必要性や、試験段階にある治療薬の利用などについて検討を始めている。ロイター通信によれば緊急医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」のウォルター・ロレンツィWalter Lorenzi氏は「今回の流行は過去に例がなく、制御不能だ」と述べている。過去のエボラ出血熱の大量感染はコンゴ民主共和国やガボン、南スーダンなどアフリカ中部が中心で、今年2月から始まった感染ではアフリカ中部のナイジェリアで1名の死亡が出ている他はすべてリベリア、シエラレオネ、ギニアの西アフリカの3カ国であり、住民には、この病気の知識が十分に行き届いていない。患者が防護服姿の医療関係者に連れて行かれ死亡する事例が相次いだため、隔離が死につながるという誤った恐怖感が膨らみ、家族らが患者を隠すケースが目立つと言う。また、過去の大量感染では農村部が中心であったが、今回は各国の首都にまで広がり、混乱が増幅されており、感染拡大で人手が足りないために遺体の収容が遅れて、リベリアの首都モンロビアやシエラレオネの首都フリータウンなどでは、路上で倒れて死亡したまま放置されている遺体までがあると言う。15以上の出血熱と呼ばれる病気があるが、中でもエボラ出血熱、マールブルグ熱、ラッサ熱、クリミア・コンゴ出血熱の4つのウイルス性出血熱は特に重篤な症状を来たすため4大出血熱と呼ばれ、エボラ出血熱のウイルスはその中でも最強のウイルスであり、致死率は50~90%と言われ、現在治療法も確立されていない。このため米国では国防上の問題として今月5日、国防総省内に専門チームを設置したことを明らかにされている。実際、エボラ出血熱に感染した米国人2人がリベリアで感染して米国に帰国している。米国人医師のKent Brantly氏と宣教師のNancy Writebolさんの二人で、いずれも米国ノースカロライナ州のキリスト教系救援団体Samaritan's Purseからリベリアに派遣されて感染し、急遽米国から、バイオテクノロジー企業のMapp Biopharmaceuticalが開発した実験薬ZMappが、先月31日の朝にリベリアに届けられ、投与されてからは順調に回復して来たため、帰国となった。同企業はスタッフ9人規模の小さな製薬会社であるが、米国国立衛生研究所(NIH)と国防脅威削減局(DTRA)の支援を受けて2012年からエボラ出血熱治療薬ZMappの開発を行なって来た。タバコとネズミから抽出したエボラ抗体を混合して作った一種の「抗体カクテル」で、人体を対象とした臨床試験がまだ行われておらず安全性が検証されていなかったが、本人の同意を得て、投与された。エボラ出血熱による犠牲者数は年間で何十万と言う人が亡くなるマラリアやコレラに比べてずっと少ないが、確立された治療薬がないため、感染すると致死率が極めて高いことで脅威となっている。原因宿主はコウモリであることが知られ、ゴリラやチンパンジーなどの類人猿に感染し、それらを食べる習慣を持った中部アフリカの農村部で発見され、1976年にウイルスも初めて確認されている。チンパンジーはこのエボラ出血熱や密猟のために激減しており、絶滅が危惧されるまでになっている。
職場の近所の八重の木槿(むくげ)

破船で漕ぎ出す日本経済

2014-08-05 19:21:26 | 経済
今日は朝から26度あり、風がいつもより弱い上に、熱気があり、昼には35度まで上がった。少し歩くだけで汗が噴き出して来た。午後には36度まで上がった。夕方も30度を下らず、一日、この夏最高の気温になった。夕立でも欲しいほどの暑さだ。心なしか、鳥たちの声もあまり聞こえて来なかった。 財務省が先月24日発表した2014年上半期(1~6月)の貿易統計速報(通関ベース)では、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は7兆5984億円の赤字となった。赤字幅は13年下半期(6兆6558億円)を上回り、半期ベースで過去最大の赤字額となった。2010年までは貿易収支は黒字であったが、2011年の東日本大震災により、福島第一原発事故をきっかけとして、原発が停止され、火力発電の燃料輸入が急増したため、2011年には貿易収支は赤字となり、以後も円安が進んだことと輸出が低迷し続けて来たため、以後も時間の経過とともに赤字幅が増大して来ている。米国はバラク・オバマ大統領が2009年に就任して以来経常収支の赤字幅を縮小して来た。住宅バブルで膨張した消費者金融が引き締められ、消費支出が減少しており、輸入は減少した。このため日本だけでなく、中国やアジアの新興国の景気も停滞している。米国が転けると日本を含めたアジアの経済まで落ち込んでしまう。日本は1980年代の日米貿易摩擦を教訓に以後輸出産業を中心に海外現地生産を増やして来た。これも確かに日本からの輸出量の減少になってはいるが、尚かつ、価格競争上は有利なはずの円安にもかかわらず輸出量が増えていない。すでに中国の工業化が進められた1990年代からいずれ日本の製造業は新興国に追いつかれることは時間の問題であった。従って、産業構造の転換が必要であったのだ。現在のように海外生産を進めれば、尚、技術は新興国に移転される。しかし、歴代の政権は高度経済成長期のような官民一体の経済政策をとらず、旧態依然と「日本の製造業」を守る政策に徹して来た。現在の安倍政権も円安や消費税増税、さらには法人税の減税により、これまでに輪をかけて「日本の製造業」を守ろうとしている。しかし、それはただ問題を先延ばししているだけに過ぎない。そればかりか、日本の経済危機を構造的に固定化しているようなものだ。米国も第二次大戦後は英国に代わり、製造業の繁栄で世界の覇者となった。しかし、新興国日本やドイツの製造業に太刀打ち出来なくなり、米国の製造業は崩壊した。製造業に代わって、米国は金融産業を中心とする金融資本主義の道を歩むことになった。しかし、それも体のいいマネーゲームであり、早晩、崩壊の危機に直面することになった。産業構造の転換は一夜でなし得るものではない。時間をかけなければならない。にもかかわらず、その端緒にすら現在ついていない。壊れかけた船にこだわって、そのまま海洋に漕ぎ出しているのが今の日本の経済だ。船を新しいものに取り替えることを怠って。
職場近くで咲いていた「東北八重ひまわり」

中国での地震

2014-08-04 19:13:37 | 自然
昨日、中国南西端の雲南省昭通市魯甸(ろでん)県でM6.5の地震が発生し、400人近い死者と2000人近い負傷者が出ている。被害はさらに増えて行くと思われる。余震が続き、通信網も遮断されているために被害の正確な情報がつかめていない。雲南省は南でベトナム、ラオス、ミャンマーに国境を接している。北は四川省と接する。南部は亜熱帯性気候で森林が豊かであり、北部は雲嶺の山地となっていて、亜寒帯性気候になっており、動植物の豊かな地域だ。インジウムやタリウムなどの希少な資源を含む鉱物資源も豊富だ。人口が4500万人に上り、国境貿易も盛んだ。雲南省は中国ではユーラシアプレートとインドプレート、オーストラリアプレートの境界に近く、2008年5月にはすぐ北の四川省でM7.9の大地震が起きており、内陸のプレート内の直下型地震としては世界最大規模で、7万人の死者を出している。1995年の阪神・淡路大震災の20倍の地震エネルギーであったとされる。同省では昨年4月にもM7の地震で200人近くの犠牲者を出している。プレート境界から離れた内陸地震であるが、日本の内陸地震と同じく、基本的に断層が走っており、その断層にプレート境界からの圧力が影響し、地震が発生したものと考えられる。ユーラシアプレートへはオーストラリアプレートが沈み込み、インドプレートが衝突していることでヒマラヤ山脈は毎年高さを増している。インド・オーストラリアプレートは現在、年に67 mmの速度で北上しており、その圧力でヒマラヤ山脈は年で5mmずつ高くなっている。地球は静止しているのではなく、常に動いている。東日本大震災後、日本に数々の地震をもたらして来た太平洋プレートもそれまで年100mm移動していたものが年300mm~400mmに加速している。それだけ内陸地震を含めて、地震や火山噴火が発生しやすくなって来ている。
夏水仙と瑠璃玉薊、薮萱草

釜石の水

2014-08-03 20:23:39 | 自然
今日は一日青空が広がり、暑い日になった。と言っても釜石のこと、最高気温は29度であった。日中も暑いが、風があり、その風もあまり熱気を感じない。暑いと、水を飲むことがあるが、釜石の水道水は比較的冷たく、水も不味くはない。これまで飲んだ水道水ではやはり北海道の道東の人口7000人ほどだった小さな町の水が一番美味しく感じられた。標高1547mの斜里岳の麓の町で、夏も水道水はとても冷たく、飲んでいてとても美味しいものだった。おそらく、斜里岳の雪解け水が地下で豊富なミネラルを与えられていたのだろう。斜里岳は日本百名山に選定された山で、25万年前に噴火して出来た山なので、地下にはミネラルが豊富に存在しているのだろう。しかし、地元の人の話ではその町の水道水は透明度で世界2位の摩周湖の地下水だと言う。摩周湖も7000年前の大噴火で形成されており、やはり火山性の地質である。どちらにしろ、豊富なミネラルを含んでいるだろう。水道水が飲めるのはとてもありがたい。大都会の水道水はこうした水道水を飲むと、とても飲む気がしなくなる。特に夏は冷たさがなく、消毒剤の臭いがそのまま残っている。暑い日差しの中で昼過ぎに、甲子川の下流では夏休みの子供たちが親とともに川に入っていた。川の水は飲めないにしてもとても綺麗だ。微生物もたくさんいて、魚種も豊かだ。地方の良さはこうした水の良さもその一つだろう。夕方西の山影に日が沈んだ直後に犬とともに散歩に出かけた。甲子川の堤を上流に向けて歩いた。しかし、残念なことに、この時間帯はちょうど海風から陸風に風向きが変わる凪の状態で、家に着く頃には汗がびっしょりと流れ落ちて来た。それでも川の流れの音やヒグラシの声が涼しさを感じさせてくれた。
庭の姫桔梗

まだ開かないひまわり

2014-08-02 20:38:31 | 自然
今朝は気温が24度になっていた。空には青空が見えた。午後から盛岡のすぐ南の矢巾町へ出かけた。煙山森林公園のそばにある6万本のひまわり畑だ。以前に娘と一度行っていた。高速の紫波ICで降りて、先日行ったビューパークなどの近くを通る13号線を盛岡方向へ北上して間もなく、左折して、奥羽山脈の丘陵部へ向かう。道の片側には桜並木が続く。間もなく、町営のキャンプ場が見え、行く組かがキャンプをしているようだった。ひまわり畑は車も人もまったく見かけない。近くへ行くと、ひまわりはまだ背丈もあまり伸びておらず、花がわずかに見えるだけであった。例年は8月上旬に満開になる。今年はいつもより遅いようだ。13号線を引き返しながら、あたりの景色を堪能した。先日の紫波町は矢巾町のすぐ南になる。景色はよく似ている。両町の田園風景はとても気持ちがいい。遠野とはまた違った風景だ。家々の間隔が広く、ゆったりとした趣がある。耳に入るセミの声もやはりツクツクボウシとアブラゼミが多いのも先日同様だ。北上山地と奥羽山脈の間に広がる平野部が北上川を堺に東西に分かれるが、この丘陵地帯からも両方の山地が見渡せる。空には積乱雲があちこちで見えた。沿岸部とはまた違った岩手を味合うことが出来る。矢巾町では33度まで上がっていたが、釜石に戻って、甲子川沿いに車を走らせて、鮎釣りの人を見かけたので、車を止めてみると、とても涼しい風が吹いていた。やはり内陸と沿岸部ではまるで気温が違う。釜石は26度になっていた。夜に入ると涼しい風が吹き、もう虫が鳴き始めていた。
わずかしか開いていないひまわり畑

甲子川で鮎を釣る人

検察審査会の議決

2014-08-01 19:16:23 | 社会
今朝は曇天で、昼前から雨になり、雷も鳴った。仕事が始まる9時頃に最高気温27度になり、その後は少し気温が下がった。午後の半ばには雨も上がったが、湿度が高くなったのと風がいつもよりないために蒸し暑さを感じるようになった。今朝は庭の木にウグイスがやって来て、きれいな声を聞かせてくれた。雨が降ったせいか、今日はセミの声をあまり聞かない。職場の裏山には雨が上がるとシジュウカラなどカラ類の群れが来ていた。 東日本大震災は死者・行方不明合わせて18499人を出した。続いて起きた福島第一原発事故による避難者は現在も13万人いる。高濃度の放射性物質を含んだ汚染水は今も出続けている。内外被曝を受けた人たちの身体への影響は長い年月をかけて今後出て来ることになる。チェルノブイリ原発事故でも10年後に影響が現れた。これだけの被害を大きく出しながら、この事故の責任は誰にも問われていない。福島県民1324人を含んだ福島原発告訴団は2012年6月、東京電力の幹部や国の関係者ら33人の刑事責任を問う告訴・告発状を、福島地方検察庁に提出した。さらにて第二告訴は全国規模になり、14716人が告訴・告発人となった。しかし、2012年8月に受理した検察当局は、捜査を開始したものの、東日本大震災と同規模の地震や津波は、専門家らの間で「全く想定されていなかった」と判断し、東京電力の津波対策は不十分ではないと結論し、2013年9月、勝俣元会長らを嫌疑不十分などとして、東京電力幹部や政府関係者ら42人全員を不起訴処分とした。要するに検察は門前払いした。震災直後から「想定外」のキャンペーンがはられたが、実際にはすでに2005年2月23日の衆議院予算委員会公聴会で、当時の石橋克彦神戸大学都市安全研究センター教授が『迫り来る大地震活動期は未曾有の国難である』と公述し、「起こりうる原発震災」についても警告されている。さらには前地震予知連絡会会長、茂木 清夫東京大学名誉教授も2001年11月13日の時点で浜岡原発事故と地震の関係を警告されておられる。こうした事実を知っている市民の感覚からすれば検察の門前払いは納得出来ない。告訴団は翌月の2013年10月、勝俣恒久東京電力元会長ら元幹部6人の処分を不服として、検察審査会に審査を申し立てた。検察審査会は検察の不当な不起訴処分を抑制するため無作為に選出された市民11人から構成される。申し立てを受けた東京第5検察審査会は7月23日、東京電力の元会長ら三人を「起訴相当」と議決し、昨日それを公表した。検察審査会は政府の地震調査研究推進本部の長期評価で、M8クラスの津波地震が「三十年以内に20%程度の確率で発生する」と予測したことを重視し、これをもとに、すでに2008年の段階で、東京電力自体が明治三陸地震をモデルに試算すると、15.7mもの大津波が押し寄せると内部で報告されていた。勝俣元会長は「東電の最高責任者として各部署に適切な対応策を取らせることも可能な地位にあった。従来の想定を大きく超える津波が襲来する可能性に関する報告に接していると考えられ、重要な点について知らなかったという説明は信用できない」と指摘している。「東電は対策にかかる費用や時間の観点から、津波高の数値をできるだけ下げたいという意向もうかがわれる」とも述べられている。2012年7月30日の国会事故調査委員会の報告書でも「シビアアクシデント(過酷事故)対策を経営上のリスクとしてとらえていた」と指摘されていた。この検察審査会の議決に従い、今後、東京地検は再捜査した上で起訴か不起訴か改めて判断することになるが、仮に検察が再び不起訴とした場合でも、検察審査会が2度目の審査で再び起訴すべきだと議決すれば、検察官役に指定された弁護士が強制起訴することになる。そうなれば明らかに検察は立場を失うことになるだろう。
今朝の庭の鬼百合