東京電力は6日、福島第一原発事故で炉心溶融(メルトダウン)した3号機は、これまで溶け落ちた核燃料は6割だとみていたが、ほぼすべてが溶け落ちた可能性が高いとする解析結果を発表した。1号機でもすべての核燃料が溶け落ちたとみられており、廃炉作業はますます困難となって来た。原子力発電所の核燃料は使用中であれ、使用済みであれ、冷却し続けなければならない。従って、冷却水が送れなくなる状況はなんとしても避けなければならない。事故後もその溶け落ちた核燃料も現在まで冷却水を送って冷却し続けている。しかし、冷却に使われた水は高濃度の放射性物質を含んでおり、その汚染された冷却水はそのままで放置するわけにはいかない。そこで東京電力は汚染した冷却水を回収して多核種除去設備(ALPS)3基を導入して、12月から本格的に稼働させ、放射性物質で汚染した冷却水から出来るだけ放射性物質を除去して、海に流そうとしている。現在は放射性物質の除去が間に合わないため汚染した冷却水をたくさんのタンクに貯蔵している。しかし、一方で、冷却用に使われた水は地下へも大量に漏出しており、さらにはトレンチと呼ばれる電源ケーブルなどが通る地下道へも大量の汚染水が流れ込んでいる。こちらは凍土遮水壁を造って流れ込みを抑えようとしてしている。一時的には1日15トンの氷を入れて止めようと計画している。さらに原子炉建屋には1日300~400トンもの地下水が流れ込んでおり、これも復旧済みの「サブドレン」と呼ばれる井戸27本に加え、15本の新設により汲み上げようと計画中だ。すでに海洋汚染や河川汚染は発生しており、以前、京都大学の試算では本年3月が東京湾の汚染がピークになると予想されていた。拡散した放射性物質が川を通じて東京湾へ流れ込むからだ。原発は一旦事故を起こすと、途方もない放射性物質をまき散らすだけでなく、事故後も冷却水を通じて汚染を広げて行く。福島第一原発事故は自然の脅威で原発の弱点を露呈した。原子炉は厚さ2mのコンクリートで遮蔽されているが、その原子炉を順調に稼働させるための電源や冷却水に弱点があり、これほどの事故を起こしながらも、その弱点の根本的な対策はなんらとられていない。とられている対策は地震や津波と言った自然の脅威に対してだけである。しかも、それさえ不十分に。現政権は今回の防衛白書でも中国の脅威を訴え、戦争の出来る日本にする必要性を表明している。しかし、中国の脅威を日本の軍備の拡大に利用するだけで、実際には最も軍事的にも危険な原発への軍事的対策はなんら打っていない。現在日本には営業中の原発が17カ所あり、原子炉は49基あり、建設中が2基ある。他にも建設中の原発1カ所原子炉1基がある。解体中のものは4カ所の原発で原子炉10基がある。北から南まで全国に広がっている。中国には東風21C型弾道ミサイルが100基以上、東海10型や長剣10型巡航ミサイルは1000基近くあり、それらは日本全国の原発の原子炉建屋や電源建屋、冷却水パイプ、それにコントロール施設をピンポイントで攻撃可能なのだ。現在原子力施設への武力的な対策はテロ対策のみであり、道府県警察警備部に設置された原子力関連施設警戒隊に任されているだけであり、しかも実際に専従部隊を置いているのは原発銀座のある福井県警察原子力関連施設警戒隊だけである。中国が日本の原発を攻撃するだけで日本全土が放射性物質に汚染され、住めない国土と化してしまう。日本は小さな島国であり、軍事技術の劣っていた第二次大戦当時とは軍事技術進歩は比較にならほどであり、それだけにその当時以上に戦争を避けなければ、国土そのもが容易に脅威にさらされる時代になっている。まさに軍事力によっては日本は生き残れない時代なのだ。
職場近くに咲いていた金糸梅