釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

検察審査会の議決

2014-08-01 19:16:23 | 社会
今朝は曇天で、昼前から雨になり、雷も鳴った。仕事が始まる9時頃に最高気温27度になり、その後は少し気温が下がった。午後の半ばには雨も上がったが、湿度が高くなったのと風がいつもよりないために蒸し暑さを感じるようになった。今朝は庭の木にウグイスがやって来て、きれいな声を聞かせてくれた。雨が降ったせいか、今日はセミの声をあまり聞かない。職場の裏山には雨が上がるとシジュウカラなどカラ類の群れが来ていた。 東日本大震災は死者・行方不明合わせて18499人を出した。続いて起きた福島第一原発事故による避難者は現在も13万人いる。高濃度の放射性物質を含んだ汚染水は今も出続けている。内外被曝を受けた人たちの身体への影響は長い年月をかけて今後出て来ることになる。チェルノブイリ原発事故でも10年後に影響が現れた。これだけの被害を大きく出しながら、この事故の責任は誰にも問われていない。福島県民1324人を含んだ福島原発告訴団は2012年6月、東京電力の幹部や国の関係者ら33人の刑事責任を問う告訴・告発状を、福島地方検察庁に提出した。さらにて第二告訴は全国規模になり、14716人が告訴・告発人となった。しかし、2012年8月に受理した検察当局は、捜査を開始したものの、東日本大震災と同規模の地震や津波は、専門家らの間で「全く想定されていなかった」と判断し、東京電力の津波対策は不十分ではないと結論し、2013年9月、勝俣元会長らを嫌疑不十分などとして、東京電力幹部や政府関係者ら42人全員を不起訴処分とした。要するに検察は門前払いした。震災直後から「想定外」のキャンペーンがはられたが、実際にはすでに2005年2月23日の衆議院予算委員会公聴会で、当時の石橋克彦神戸大学都市安全研究センター教授が『迫り来る大地震活動期は未曾有の国難である』と公述し、「起こりうる原発震災」についても警告されている。さらには前地震予知連絡会会長、茂木 清夫東京大学名誉教授も2001年11月13日の時点で浜岡原発事故と地震の関係を警告されておられる。こうした事実を知っている市民の感覚からすれば検察の門前払いは納得出来ない。告訴団は翌月の2013年10月、勝俣恒久東京電力元会長ら元幹部6人の処分を不服として、検察審査会に審査を申し立てた。検察審査会は検察の不当な不起訴処分を抑制するため無作為に選出された市民11人から構成される。申し立てを受けた東京第5検察審査会は7月23日、東京電力の元会長ら三人を「起訴相当」と議決し、昨日それを公表した。検察審査会は政府の地震調査研究推進本部の長期評価で、M8クラスの津波地震が「三十年以内に20%程度の確率で発生する」と予測したことを重視し、これをもとに、すでに2008年の段階で、東京電力自体が明治三陸地震をモデルに試算すると、15.7mもの大津波が押し寄せると内部で報告されていた。勝俣元会長は「東電の最高責任者として各部署に適切な対応策を取らせることも可能な地位にあった。従来の想定を大きく超える津波が襲来する可能性に関する報告に接していると考えられ、重要な点について知らなかったという説明は信用できない」と指摘している。「東電は対策にかかる費用や時間の観点から、津波高の数値をできるだけ下げたいという意向もうかがわれる」とも述べられている。2012年7月30日の国会事故調査委員会の報告書でも「シビアアクシデント(過酷事故)対策を経営上のリスクとしてとらえていた」と指摘されていた。この検察審査会の議決に従い、今後、東京地検は再捜査した上で起訴か不起訴か改めて判断することになるが、仮に検察が再び不起訴とした場合でも、検察審査会が2度目の審査で再び起訴すべきだと議決すれば、検察官役に指定された弁護士が強制起訴することになる。そうなれば明らかに検察は立場を失うことになるだろう。
今朝の庭の鬼百合