大型台風12号は記録的な降雨量で紀伊半島に大災害をもたらしたが、やはり大型の台風15号が再び四国、紀伊半島に迫ろうとしている。今年は日本列島は自然災害の脅威に見舞われている。今日は北海道と沖縄を除いて全国的に雨が降っている。釜石では日中最高気温が17度の予想だ。昨夜も半袖だと寒いくらいだった。太平洋沿岸部の被災地は進展の度合いは異なるが復興に向けてそれぞれ取り組んでいる。東京では昨日震災後では最大の「さようなら原発5万人集会」が開かれた。イタリアやオーストラリアのメディアも報じている。大江健三郎、内橋克人、鎌田慧、澤地久枝、落合恵子、山本太郎などの著名人が参加し、日の丸を掲げたいわゆる右翼団体から日教組まで主義主張によらず、高齢者から幼児まで年齢に関係なく、明治公園を埋め尽くした。世界的にも平和運動を展開している日蓮宗の日本山妙法寺大僧伽の僧たちも参加していた。日本では国民が直接政策に対して意思表明する手段が限られている。しかし、現在インターネットという情報網が広く行渡っているため、こうした集会の情報はたちまち広がりを見せて、原発被害の福島県はむろん全国各地から人々が集まって来たようだ。国内だけで54基もある原子力発電所はそのどれかで事故が起きることを考えると、日本全国どこにでも可能性があり、被害を免れ得る地域などどこにもない。それだけに原発事故の問題はあらためて全国で切実な問題として捉えられたのだろう。毎日新聞の面接による世論調査では「生活程度は低くなっても電力消費を少なくすべきだ」が65%で、原子力発電所については「危険性の高いものから運転を停止し、少しずつ数を減らす」が60%になっている。「生活程度を維持するために電力供給を増やすべきだ」とする人は32%だ。「生活程度は低くなっても電力消費を少なくすべきだ」と答えたのは30代で71%、20代で67%と若年層が積極的に答えている。原子力発電所について「できるだけ早くすべて停止する」と答えた12%を合わせると脱原発は7割を超える。この結果は当然とも言える。新首相は原発推進を表明し、国連で「安全でより信頼性の高い原子力エネルギーの確保は引き続き必要だ」と演説する予定だ。電力の発送電分離を潰した小泉純一郎元首相は18日川崎市で「政府は、原発は低コストだとしてきたが、高レベル放射性廃棄物を処分するには、膨大な費用と数万年単位の時間がかかる」と原発はコスト面でも問題があると述べて、「政府は原発建設を進めてきたが、この費用を安全な自然エネルギー開発に使い、原発依存度を下げるべきだ」と原発依存に批判的な見解を表明している。風見鶏と言われた元首相だけあって国民の風向きだけはさすがに察知したようだ。原発事故当時日本原子力学会会長であった元関西電力常務の辻蔵米蔵氏は3月18日に「国民の皆様へ」と題して日本原子力学会会長声明を出し、その中で「今回の地震の規模は当初の想定を超えており、また津波についても、・・・・福島第一発電所においても想定をはるかに上回る津波が押し寄せたと考えられます。」と想定外を強調した。しかし、昨日の毎日新聞によれば福島原発事故についてロバート・ゲラー東京大学教授(地震学)らは米原子力専門誌の電子版に論文を投稿し、「70年代以降に巨大地震の規模を正確に計算する手法が確立し、マグニチュード(M)9以上の地震の存在が海外で明らかになったほか、東北で東日本大震災と同規模の津波が過去にあったことを示す研究成果が90年代には出ていたと指摘」し、「事故を『想定外』と認めるべきではない」と述べている。「想定外」が震災直後から強調されたのはこれまで原発を安全だとしてきた電力会社や学会及び政府が責任を免れるためだった。スイスの原子力安全研究者、ロシアの津波研究者らと共著で書かれたこの論文は国際的には「想定外」などとは考えられていないことを示している。細野豪志原発事故担当大臣は昨日ウィーンの国際原子力機関(IAEA)の年次総会で「原子炉を冷温停止状態とする「ステップ2」の達成期限をこれまでの「来年1月中旬」から「年内」に前倒しする考えを表明した」が、今朝の東京新聞は「福島第一 建屋に地下水大量流入か 収束作業に難題」と題する記事を載せている。東京電力によれば地下水が「日量百トン単位でわき出ていると思う」ということで汚染水がなかなか減らない状態が続いていることを明らかにしている。冷温停止などとても年内に前倒しなどできるはずもない。
大弁慶草(おおべんけいそう) 弁慶のように強く切り取っても数日は枯れない