釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

首都圏を巻き込んだ連動地震の可能性

2011-09-03 19:01:18 | 文化
台風の進路が福島からそれていて少しは安心だが、その影響で朝から雨が間断なく降り続き、勢いも強くなる。JR釜石線もさすがにこれだけ雨が降ると終日止まってしまった。時には滝のように流れ落ちる。風が強く吹かないだけまだいい方なのだろうが。一昨日の日本経済新聞は国の地震調査委員会が今後30年以内に首都圏の直下型地震が起きる確立が70%であると予測している、と伝えた。2005年2月に中央防災会議がまとめた被害額は東京湾北部を震源とするM7.3の地震が起きた場合約112兆円にも上る。6月9日文部科学省の地震調査研究推進本部の組織の一つである地震調査委員会は東日本大震災後に地震発生確率が高まった3つの活断層を発表した。(1)福島第1原発に近い宮城・福島両県にまたがる「双葉断層」(2)「糸魚川ー静岡構造線断層帯」の一部で長野県にある「牛伏寺(ごふくじ)断層」(3)東京都と埼玉県にまたがる「立川断層帯」である。7月11日には(4)三浦半島断層群も追加された。立川断層帯での地震はマグニチュード7.4と予測されている。地震予知連絡会会長の島崎邦彦東京大名誉教授は立川断層帯について「いつ起きても不思議ではない」、「『満期』に近い状態」だと8月10日の毎日新聞で答えている。立川断層帯の平均活動間隔は1万5000~1万年で、最後に動いた時期は約2万~1万3000年前だというのだ。1855年の江戸直下の安政の大地震は震源は東京湾北部・荒川河口付近だと推測されている。またそれ以前の1703年の元禄関東地震は震源が房総半島南端と考えられている。それぞれマグニチュードは6.9と8.1と推定されている。地震研究者の石橋克彦神戸大学名誉教授は幕末の1853年から1855年までの小田原地震にはじまり東海地震、南海地震、安政江戸地震と連動した地震活動の周期がすでに到来していて、同じように連動した地震が発生する可能性が高いことを各所で述べている。東京近辺にもたくさんの活断層があり、どこの断層が震源となってもおかしくない状況なのだと言う。同名誉教授は1997年に雑誌『科学』10月号に「原発震災ー破滅を避けるために」と題する論文を載せ、はじめて原発震災という言葉が知られるようになった。2007年7月21日の英国紙「THE TIMES」でも「Genpatsu-shinsai」という日本語が使われたほどだ。日本のように列島のどこにでも地震が発生する危険性がある国土に極めて多くの原発が建設され、実際にはかなり複雑な配管が張り巡らされた原発では特に短周期振動に弱く、地震動による配管や機器の破損から大事故に繋がる可能性が大きいということから「原発震災」の現実性を訴えられた。浜岡原発を県下に持つ静岡県議会はただちにこの論文を問題にしたが当時静岡県原子力対策アドバイザーであった現在の原子力安全委員長である斑目春樹東京大学教授や先日内閣官房参与を辞任した小佐古敏荘東京大学教授は先の論文の中で具体的に石橋克彦神戸大学名誉教授が指摘した点をまともに反証もあげずに今回の事故と同様にただ「安全」だと言うばかりで、かえって「石橋氏は原子力学会では聞いたことも無い人である」とか「明らかに専門外について論拠なく言及している」などと地震については「専門外」であることを棚に上げて、一蹴した、という。それから20年後福島で「原発震災」は現実となった。福島第一原発のあまりにも早い1号機の水素爆発は津波ではなく地震そのものが原因であった可能性が高い。石橋克彦神戸大学名誉教授がこれまで述べて来たように東京直下や東海、南海での地震が連動して起これば地震の被害だけでもかなりのものになるが、さらに運転停止中であっても浜岡原発事故は十分起こる可能性があり、被害額はまさに「国難」と言うに等ししいものになるだろう。原発事故は全く想定されて来なかっただけに事故後の処理は技術的にも極めて困難な問題がたくさん山積みされている。確実な除染技術すら世界は持ち合わせていない。
立川断層帯(地震調査研究推進本部より)