釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

秋晴れ

2008-09-30 07:29:25 | 自然
今日はすばらしい秋晴れ。雲一つなく、真っ青な空。少し風があってひんやりとした朝。子供の頃平地にはたんぼがあり、少し行くと一方に山、他方に海というある意味めぐまれた環境で育ったせいで平地の水田や山の木や谷川の匂い、海の潮風、砂浜の足裏の感触などにごく自然に満たされていた。その後ほとんどを都会ないし地方の都市で暮らす中でそうしたものから遠ざかり、記憶を呼び覚ますことがなかった。北海道に住んだ時も自然は豊かなのだが自然のあり方が記憶とは異なっていた。岩手に来てはじめてその記憶が戻って来た。釜石は平地が狭い。この点はその記憶と違っているが山と海が近く、記憶を引き出すには十分な環境がそろっている。皮肉なことに現在は自分が実際に育ったところの環境はもうすっかり変わってしまった。釜石や遠野に自分の故郷を感じる。


葉鶏頭 北上の畑で

朝は寒い

2008-09-29 07:11:58 | 自然
半袖だと朝は寒い。外は曇っているし。また雨が降るのかな。昨日は晴れたので田んぼのまわりに彼岸花が咲いたという新聞記事の出た紫波町の水田へ出かけた。行ってみると家族で稲刈りをやっているところで、目当ての彼岸花はもう萎れかけていた。ちょっと遅かった。帰りは160号線を通って遠野の稲荷穴へ立ち寄る。入り口の狭い鍾乳洞でそこから流れ出る水が岩手の名水だとか。近くでわさびの栽培もやっていた。ニジマスやイワナの生け簀を見ながら手打ちそばを食べた。人里離れたところなのに人がほどほど来ている。峠を越えて遠野盆地へ入り道路脇のいくつもある石塔を見て行く。ほんとうに岩手には石塔が多い。石塔のそばに立って周囲を眺めると気持ちが和む。黄金色の稲が遠くまで続き、山裾からは煙がゆっくりと立ち上る。近くに農家があっても人の気配がない。タバコを吸ってまた移動して山口方面へ向かう。遠野はいつ来ても懐かしさに出会える。


犬サフラン 遠野では彼岸花と言われるそうだ

岩手はもう秋の気温

2008-09-28 09:42:37 | 自然
今日は晴れたが風もあって長袖でないと寒い。最高気温も4~5日前から一気に5度ほど下がったまま。庭の諦めていた彼岸花の残りが芽を出して来た。数えると6つあった。昨夜は庭に出ると風も少しあり、空は満天の星。北海道にいたころを思い出した。
昨日職場の何人かが船釣りに出かけ、誘われたが他に用があって参加できなかった。でももし行っていたら結構寒かったろう。甲子川もあまり釣り人を見なくなった。街路樹のナナカマドの赤い実が目立つが、周囲も含めまだ葉は色づいていない。落葉樹の多い山も緑が多い。気温はやはり愛知県に比べて1ヶ月早く下がっている感じがする。桜が1月遅く咲くことを考えるとあたりまえなのかもしれない。まわりは見た目はさほど変化がないが気温は確実に下がった。風の音にぞおどろかれぬる。



南部片富士とも呼ばれる岩手山(2038m)

自然と歴史

2008-09-27 08:38:14 | 歴史
今日は晴れたが風がある。気温も下がって来ている。予想最高気温は20度。半袖だと肌寒い。東北に移り住んで自然の豊かさに驚き、堪能させられているが、教科書の歴史では東北はあまり詳しく出てこない。そのためか蝦夷とはアイヌのことと漠然と考えていた。しかしどうもそうではないようだ。坂上田村麻呂の蝦夷征伐以前に和人の大きな勢力が支配していた時期があるようだ。ただまだはっきりしないのは坂上田村麻呂が戦った相手はアイヌ系の人たちのようなので和人とアイヌの人たちが共存していた時期もあるのではないだろうか。いずれにしろまだ教科書には書かれていない壮大な東北の歴史がある可能性が出て来たようなので楽しみだ。三内丸山遺跡や十三湊の遺跡や東北の民話や伝統芸能の研究が早く進められるといいのだが。この豊かな自然にあふれる東北にはその自然のなかに豊かな歴史も埋もれているようだ。


稲穂と彼岸花

いにしえの庶民の暮らし

2008-09-26 07:17:59 | 歴史
今朝は台風が低気圧になった関係か風が強い。小雨も降っている。今日の予報は弱雨。歴史上の権力者や貴族、上級武士の住まいや権力者に保護された神社・仏閣などの建物は比較的保存が良く、目にする機会もあるが、さてそれぞれの時代の庶民の暮らしはどうだったのかとなると保存されている物はほとんどない。遺跡の発掘ではじめて明らかにされる。歴史も常に権力者の変遷を中心に記録される。庶民に語り継がれる民話や郷土芸能はあまり歴史記述の上では重視されない。しかし民話や郷土芸能の中に埋もれている庶民の暮らしや歴史的にも重要な事実があるように思う。柳田国男の遠野物語はあまりにも有名だがこれも柳田国男が民話の収集の時点で性や天皇に関係した話は無視したそうだ。隠岐の島に伝わる郷土芸能は天照大御神が大国主命に迫り国を譲らせたため大国主命の長男は入水自殺をし、民が悲しんだことを伝えているという。


平安時代の庶民住宅(竪穴式)


室町時代の庶民住宅(竪穴式)

朝は肌寒い

2008-09-25 07:11:26 | 自然
今朝6時には気温12度。昨日は晴れていたが長袖でも暑くなかった。やはりこの時期の気温は愛知県とはかなり違う。岩手では来月には紅葉が見られるようになる。北海道の紅葉は黄色だが本州は赤が多くなる。岩手も赤と黄色が混在するらしい。山が圧倒的に陸地に占めるためそれだけ紅葉の名所も多くなる。楽しみだ。内陸部は黄金色の稲が見られる時期でそろそろ稲刈りが始まっている。一面の黄金色の海。遠野などではあぜ道でたき火の煙も立ち上る。稲刈りの終わった田んぼでは稲が干されていてトンボが無数に飛んでいる。子供のころは全国どこにも見られた景色だが後継者難で次々に田んぼが消えて、庭のない家が建ち並ぶようになり、残った農家も人手不足のためか稲刈りの後稲を干さなくなった。東北にはまだ昔ながらの風景が残されている。人もその風景の中で昔と変わらない優しさと心の広さを持っているように感じる。


北上の稲刈り後 遠野とは稲の干し方が違っている

近所の鳥たち

2008-09-24 08:47:05 | 自然
今日は予報通り晴れてくれた。秋の薄雲より低いところを雨雲が流れてはいるが。風もいつもより多少強い。そばの高い建物の屋根にいつものイソヒヨドリが来ている。しばらく鳴いてからまたどこかへ飛んで行く。庭にはスズメやカワラヒワ、セキレイがやってくる。年末にはミソサザエも少しだけ顔を出したが臆病なのでそれからは姿を見ない。30メートルほど離れた甲子川にはウミネコが上って来てしょっちゅう鳴いている。庭の木にはヒヨドリもやってくる。イソヒヨドリは海岸の岩場などで見かけるのが普通だが釜石では街中でも結構見かける。背中の濃いブルーが日に当たってきれいに見えることがあり、一度写真に撮りたいと思っているがなかなかチャンスがない。背景もよくないのかもしれない。今は冬場になって釣り人がいなくなった甲子川でまたヤマセミに会えるか楽しみだ。


庭にやってきたカワラヒワ

子供のころの記憶

2008-09-23 10:23:26 | 文化
今日も曇り。昨夜は星が見えていたのに。今年は庭の植えた彼岸花が赤は7個の球根のうち3個しか花を咲かせなかった。白は全滅。ただ白は地下で球根が増えている。来年の楽しみか。いつか甲子川の土手に沿って一面に咲いている赤い彼岸花を見たいものだ。明日は少し日が射すようだから今年最後のチャンスで内陸の彼岸花を見に行きたい。ついでにうまくすれば稲刈り後のハセガケが見られるかもしれない。昔ながらの自然乾燥をやっている農家が多いと聞いた。遠野の稲作地帯へ入り込むと子供の頃にタイムスリップさせられる。一面黄金色の稲穂が立ち並び、遠くの山裾にたき火の煙が立ち上る。ああー、いつかこの風景は見たことがあった、と。年とともに自然に惹かれるようになるのは子供に帰っているのかもしれない。自然を相手に遊んだ子供の頃の記憶が少しずつ年とともに奥深くから浮かび上がって来るのかも。


朝露に濡れた月見草

三陸の異人

2008-09-22 06:56:59 | 歴史
今週水曜日までは天気は回復しそうにない。今朝も裏山には霧靄が出ている。以前三陸の海流について記したが同じその海流は魚だけでなく、人も運んだようだ。津軽海峡を日本海側から太平洋側に抜け、太平洋を南下する流れに乗って、あるいは千島列島をそのまま南下してくる流れに乗ってかなり昔から白人や中国人が三陸沿岸へやって来たようだ。計画的にやって来た人たちもいれば遭難して偶然やって来た人たちもいる。幕末の頃には大槌と釜石には異人館があったという。また異人との混血もあったそうだ。遠野や釜石の民話に出てくる鬼や奇人はもしかするとこうした異人であった可能性もあるようだ。遭難して海岸にたどり着き、食物を探して内陸へ入り、山中に身を隠して生きていた可能性がある。体が大きく髭をはやし訳の分からない言葉を話す。特に柳田国男の遠野物語には鬼ないしそれに類似の存在がたびたび登場し、女性をさらって、子供ができる話もある。



花園衝羽根空木(ハナゾノツクバネウツギ)

台風の影響か

2008-09-21 10:32:10 | 自然
昨日、今日は小雨や曇りが続く。8月以来ほんとうに日射しの出る日が少ない。農家には打撃が強いのではないだろうか。ただ内陸と沿岸部では結構天気が違ってることも多い。釜石で雨や曇りなのに遠野に着くと晴れているなんてことがよくある。その逆の時もあるし。今回の天気はどうも太平洋を北上する台風のせいのようだ。昨日か今日は晴れれば内陸の彼岸花を見に行こうと考えていたが諦めた。ほんとうは足を伸ばして埼玉の巾着田の彼岸花を見ておきたいのだが、これはもう来年にするしかない。今年は北上市と紫波町の彼岸花をなんとか見ておきたい。ただ稲刈りが心配だ。昨年9月23、24日の連休のころには一部でもう稲が刈られていた。やはり彼岸花には稲穂のそばが似合う。青空が出れば言うことなしだ。真っ赤な彼岸花に黄金に輝く稲と秋の真っ青な空。遠くに茅葺き屋根があれば完璧。確か岡山県のどこかにこの風景があったと思うが、東北でもどこかにあるはず。


せせらぎに咲く萩