釜石の日々

財政破綻の引き金

メデイアは現在の日本の財政の異常さをほとんど報じることがない。持続不可能な状況に追い込まれているのにだ。政治家は自分の任期中は、何としても財政破綻のようなことは避けようと、延命策を図る。日本では実質的な財施破綻が過去に二度あった。明治後半と太平洋戦争敗戦直後である。太平洋戦争中は政府が発行した国債を日本銀行が直接買い取る異常事態であった。戦後、日本銀行が直接国債を買い取ることは法律で禁じられた。そのため、現在は一旦は市中の金融機関が買い取った国債を日本銀行が買い取ると言う迂回を行なって買い取っている。財務省が発表した平成30年度の国債発行残高は883兆円となっている。9月30日現在の日本銀行営業毎旬報告によれば、日本銀行が保有する国債は462兆円である。政府が発行した国債の52%をも日本銀行が買い取っている。本来、平常であれば、決してあり得ないことである。アベノミックスによる異次元の金融緩和の名目で、デフレからの脱却を意図するものとされたが、5年以上経って、何も効果を得られていなくとも日本銀行が国債を買い取り続けているのは、政府債務を助けて、財政破綻を先延ばしするためでしかない。しかし、この日本の政府財政の破綻は、米国が引き金を引く可能性もある。米国は1971年に金本位制から離脱して、裏付けなくドルを印刷し、基軸通貨であることを利用して、物やサービスの輸入にドルによる支払いを行なって来た。基軸通貨であるドルは、従って、国内だけでなく、諸外国にも多く流れた。諸外国はそのドルを使って、米国に投資を行ったり、米国の国債を買ったりした。このため、米国には対外債務が増大した。対外債務を払い切れなくなって、1985年、G5に対して、ドルの2分の1の切り下げを行なった。いわゆるプラザ合意だ。この時、日本は米国に持つ資産の半分を失った。この当時、日本は米国に保有する資産も政府の財政赤字も現在より、ずっと少なく、それ故に、数年後にはバブル状態にまで回復可能であった。国際通貨基金IMFの統計によれば、1985年の日本政府の債務残高は232兆円であった。同じIMF統計では2018年には1311兆円にもなっている。当時の6倍近い。ところで、現在の日本の対外資産は2017年末で、1012兆円あり、世界一の債権国だとメディアはこぞって報じた。この対外資産のほとんどは米国である。メディアは世界一の債権国であることを誇るかのように報じた。しかし、過去にドルの切り下げを三度も行なった米国は、今や対外債務を史上最高額まで膨らませている。35兆ドルである。しかも毎年1兆ドルづつ増やしているのだ。1ドル110円としても3850兆円である。米国の政府債務は21兆ドルだ。三度やった切り下げを、四度はやらないと言う保証はどこにもない。プラザ合意と同じく、ドルの2分の1の切り下げを行えば、米国は対外債務を半分に減らせる。その時、日本は500兆円の資産を失う。1985年のプラザ合意当時とは異なり、資産500兆円の消失は、日本の金融機関に大きなダメージを与える。もはや日本の金融機関には、日本の国債を買い取る余裕がなくなる。この金融機関にはゆうちょは無論、年金積立金管理運用独立法人も含まれる。現在、日本銀行は一般の金融機関から国債を買い取っているが、ドルが切り下げられた時には、一般金融機関からは国債を買い取ることが出来なくる。法律を変えて、直接政府から購入する以外にはない。しかし、これは明らかに日本の国債、通貨円に対する信用を失くす。円は暴落し、急激なインフレとなり、実質的に政府は財政破綻に追い込まれるだろう。いくら延命を図ろうとも、持続不可能な政府債務は、国内外に破綻の引き金が隠れている。
秋明菊
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