釜石の日々

コロナ禍と経済

今日も日中の気温は19度までしか上がらず、小雨が降り続いている。お盆休みに入ったために、朝の通勤時の通りの流れはとてもスムーズだった。勤務先の建物に入っても、自室に行くまで人影を見ることもなかった。昼休みに八幡神社側の高台から周囲を見ると、低い山は霧雲に覆われており、遠くの愛染山は全く見ることが出来ない。眼下を流れる甲子川の上をゆっくりと羽がまだ茶色のウミネコの幼鳥が飛んでいた。今日はさすがにセミもウグイスの声も聞こえてこない。 岩手県も少ないながらも連日感染者が続いており、実行再生産数は1.49になっている。岩手県でもなお感染拡大がしばらく続いて行くと言うことなのだろう。先進国は、日本を含めて一貫して非科学的なコロナ対策を続けている。今後もデルタ型が収束すれば、次にはラムダ型、イオタ型などの変異種株の波がやって来るだろうし、ワクチン接種によるさらなる新たな変異株も生まれて来る。新型コロナウイルス感染は、簡単には治りそうにはない。先進国があえて非科学的な対策を続けることで、先進国経済の本格的な回復も遠のく。デルタ株の散発的な感染が続いてはいるが、中国は他の主要国に比べてずっと回復スピードが早い。米国のトランプ政権から続く、中国への締め付けで、中国も欧米への輸出をアジア、アフリカ、南米によりシフトし始めている。中国は1978年の改革開放以来、資本主義経済を積極的に取り入れ大きく経済発展した。単に先進国の資本を導入しただけでなく、留学生を欧米に多数送り込み、国内の教育・研究にも多額の国費を投じた。文部科学省科学技術・学術政策研究所は、今月10日、「世界で2017~19年に発表された自然科学分野の学術論文のうち、他の論文に引用された回数」を発表した。論文総数では、中国は35万3174本で、初めて米国の28万5717本を抜いて1位となった。被引用数が各分野の上位10%に入る論文数でも中国は4万219本で初めて首位となった。日本は日本は前回の16~18年よりさらに後退し、インドに続く10位となった。経済は労働者数と科学技術、資本で維持される。日本は資本の蓄積と労働者数は今のとこ維持しているが、科学技術、特にそれを支える教育・研究を疎かにして来た。米国は巨大な資本と科学技術、労働者数を維持しているが、資本の多くが製造業ではなく、金融経済に蓄積され、その一方で、民間も政府も巨大な債務を抱えている。国家としてみると、政府債務と対外債務は米国史上かってない巨額の債務にまで膨らんでしまっている。現在、なお米国は世界一の経済大国の位置を維持してはいるが、その実態は極めて危うい状態になってしまっている。アルゼンチンやギリシャのように、本来であればもっと早くデフォルト(債務不履行)となっていた。そうならないのは、ドルと言う基軸通貨のおかげである。一般に債務を積み上げた国通貨は他国から売られ、売られた通貨は価値が低下する。輸入品の価格は暴騰し、急激なインフレに見舞われる。基軸通貨とは貿易や投資の決済に使われる通貨で、現在の世界では、それにまだドルが多く使われており、各国はドルを手にすることで他国との取引が行えるために、ドルを買おうとする。この他国によるドルへの志向がドルの暴落を抑えて来た。中国の経済規模が巨大化し、米国や欧州が中国と対立を強めるようになると、中国は欧米から他の地域に経済圏を拡大し、それによりドルから少しずつ離れ始めている。中国は世界の工場であるため、原材料を輸入し、生産物を輸出する。その輸入と輸出先を変えようとしている。先進国の主要メディアは中国経済の弱点を往々にして取り上げる。しかし、米国の巨大な内外の債務についてはほとんど触れず、触れることがあっても、国内債務についてのみ触れ、ほとんど対外債務については触れることがない。米国は世界最大の経済大国であると同時に世界最大の対外債務国であり、世界最大の政府と民間の債務を抱える国である。米国政府はコロナ対策として9兆ドルを費やす。米国の国家予算は年間で5兆ドルである。政府債務はさらに増加するが、現政権は富裕層への増税を目論んでいる。そのため、富裕層は今年度に入り6000人以上が米国の市民権を放棄して、他国へ移住している。世界的な米国の巨大企業も既に何年も前に国外のタックス・ヘイヴン(租税回避地)へ逃れている。巨大な課税逃れがある米国の政府債務は日本以上に返済が不可能で、同じく日本同様に中央銀行が手を貸して、自転車操業しているだけである。迷路に入り込もうとしている先進国のコロナ対策は、特に米国の経済力を削ぎ続けている。米国中央銀行は、超金融緩和を継続している。金融緩和とは、世の中に通貨を多量に流し込むことだ。金本位制と異なり、現在の中央銀行はただ輪転機を回すだけである。社会に通貨が大量に流れれば、本来は、猛烈なインフレになる。物やサービスに比べ通貨の量が多くなるために。米国中央銀行は延々と金融緩和を続けているが、簡単にはインフレにはならなかったのは、米国には大量の通貨を飲み込む金融経済があるからだ。株式や不動産投資、新手の金融商品などに大量通貨が流れ、それらの超インフレをもたらしている。その上で、コロナ禍では、世界的な製造の低下と輸送の障害で、消費大国で輸入大国である米国の輸入品価格は上昇しており、消費者物価や生産者物価を上げて来ている。今後も金融経済ではなく実体経済でのインフレが進めば、中央銀行は金融緩和を中止し、金利を引き上げざるを得なくなる金融引きしめに転ずる可能性が出て来る。金融引き締めは、金融緩和の逆で、世の中から通貨を引き上げる。金融引き締めは、金融緩和で流れ込んだ金融経済から通貨を引き上げることになり、金融資産の収縮、暴落が発生する。現在の米国の金融資産は超インフレ状態であり、この暴落は米国経済だけでなく、世界経済へも大きく打撃を与えることになる。コロナ禍は世界経済のリセットをもたらすかも知れない。
宵待草
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