釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

レポ金利高騰は、やはり「異変」だ

2019-09-30 19:10:23 | 経済
今日も昨日同様によく晴れて、風は涼しいが日射しがまだ強い。一昨夜は、空がよく晴れ渡って、満天の星を見ることが出来た。都会とは異なり、釜石は夜には市街地の明かりも少ないため、空が晴れていれば、星空がとても綺麗に見られる。夜風もこの時期はとても気持ちがいい。夕方のウォーキング時には、今なお、たくさんの赤トンボが飛ぶのを見る事が出来る。身体を動かし、汗をかいても、川の流れと涼しい風が、暑さを忘れさせてくれる。日が暮れるのが早くなった。 先週の米国レポ市場での金利高騰は、やはり「異変」の兆しだと思われる。レポ市場は、主に銀行間で、債券を担保に1日だけ現金の貸し借りを行う市場で、時には保険会社も利用する。米国では1日に1兆ドルが取引されている。先週まではそこでの金利は2%程度であった。それが突然わずかな時間ではあったが、10%にまで急騰した。中央銀行FRBが連日介入し、現金を供給することで、金利は何と落ち着いたが、FRBはこのレポ市場への介入を10月10日まで続けると宣言している。2008年のリーマン・ショック後では初めてのことである。先日も書いたが、この金利高騰の原因は、メディアでは米国政府の新規国債発行があったためと、企業の税金支払いが重なったためであるとされた。いずれもがマネーを必要とすることではあるが、それらは事前に分かっていたことであり、レポ市場で突然、マネーが枯渇することは、やはり異常である。一部では、このマネーの枯渇原因にドイツ銀行が関係していたのではないかと、疑われている。少なくとも50兆ドルとされるデリバティブ(金融派生商品)を保有するドイツ銀行の経営不振は、やはり経営状態のよくないコメルツ銀行との合併で、切り抜けようとしたが、合併は失敗し、いずれの銀行も株価は95%も下落している。そのドイツ銀行が資金のやりくりのため、米国のレポ市場で調達しようとしたのではないか。レポ市場で金利が上がることは、借り手に対して、高い金利でしか貸す銀行がなかったことを意味する。今回の金利高騰が、メディアで言うように、新規国債発行や企業の法人税の支払いだけであれば、FRBは何も10月10日まで、介入を続ける必要はない。ドイツ銀行の破綻は時間の問題とされているが、高リスクの50兆ドルものデリバティブは、あまりにも巨額過ぎて、ドイツ銀行だけの問題では済まされなくなる。欧州は無論、米国や日本の金融機関をも巻き込んでしまう。先のリーマン・ショックでは、米国の金融資産の損失は400兆円と言われる。ドイツ銀行のデリバティブは5000兆円を超える。仮にこの半分でもが価値を失えば、いかに巨額の損失となるかが分かる。銀行の破綻は、必ず連鎖的な破綻をもたらす。現在の金融システムは、金融機関が互いにつながっているためだ。しかも、米国は、政府、企業、家計の全てが大きな債務を抱えている。世界の総債務も250兆ドルに迫る。世界に蔓延する巨額の債務には、超低金利の維持が必須である。金利が上がるような事態は、何としても抑え込まなければならない。これまで中央銀行は、金利コントロールに自信を持っていた。しかし、先週の事態は、それを揺るがせた。何れにしても、レポ市場での金利高騰は、リーマン・ショック直前と類似しており、すでに過去の景気後退で見られた長短金利の逆転も見られ、モルガン・スタンレーなどは、米国10年国債の利回りが現在、1年前と比べて、50%低くなっており、こうした現象は、過去50年で、2008年の世界的な金融危機と2011-12年の欧州ソブリン危機の間の2回しか発生しておらず、「異変」の兆しとして警戒を強めている。主要国の長い超低金利は、すでに金融機関を疲弊させており、次の2008年を超える金融危機では、多くの金融機関が破綻する。先進国でも銀行閉鎖や取り付け騒ぎは避けられないだろう。しかも、政府や中央銀行も、手元の対処手段は、2008年後にかなり使い果たしており、金融危機が到来すれば、再び、これまで以上に、政府債務を一挙に積み上げ、大量の通貨発行に迫られる。もはや、それでは事態を収拾することは出来ないだろう。これまで中央銀行が行なって来た金融緩和、通貨の大量発行は、その通貨が実体経済に流れ込んでおれば、まさにハイパーインフレになっていただろう。幸か不幸か、大量の通貨は、金融経済に債務の増大と言う形で流れた。しかし、それは資産バブルを生み出した。すなわち、資産のハイパーインフレだと言える。長期にわたる超低金利は、表面的には経済を安定させているように見えても、金融機関を弱体化させ、危険な資産バブルを生み出して来た。しかも、その資産バブルは、金融危機のたびに大きくなっている。何故なら、中央銀行が、金融危機のたびに、さらに発行通貨量を増やして来たからだ。もはや、次の危機では、金融システムそのものが機能不全となり、実体経済も大きく削がれることになる。
金木犀

来日した投資家

2019-09-28 19:18:30 | 経済
世界の三大投資家の一人で、シンガポールに移住したジム・ロジャーズ氏が、今年2月に続いて、今月12日〜15日にも来日した。昨日のDiamond Onlineは「日本株暴落を予言する伝説の投資家ジム・ロジャーズ氏に聞く「今の買い」」と題するインタビュー記事を載せている。氏はインタビューで日本について、「日本銀行はジャブジャブと紙幣を刷り続け、株価を支えている。この効果は当面維持されるかもしれないが、いずれ必ず止まる。さらに消費増税は日本経済に深刻なダメージを与えるだろう。このままでは、いつか日本株は暴落するとみている。」、「安倍晋三首相が「無制限の金融緩和」を掲げ、日銀はこれを実行するためにETF(上場投資信託)や国債を大量に買い入れているが、私からすれば狂気の沙汰としか言いようがない。」と述べ、また世界経済については、「破綻へのプロセスは今、既に始まっている」と述べている。朝日新聞のAERAでは、元経済産業省官僚の古賀茂明氏との対談記事が載せられている。そこではロジャーズ氏は「最大の問題は安倍さん自身です(笑)。日本は大好きで、素晴らしい国だと思っていますが、残念なのは、毎年、毎日、人口が減っていること。このままでは、生活水準を切り下げるしかないのに、それが嫌なので、借金をして生活を維持している。借金はどんどん増えていく。計算すればわかりますよね。これは意見ではなく、事実。日本政府と日銀はビジネスでお金を稼ぐのではなく、紙幣を刷り続けて日本経済を維持しようとしている。おかげで株価は上がったが、それで国民が豊かになったわけではない。これはおかしいでしょう。日本人も本当はわかっているはずです。このままじゃ危ないと。だから、私は2018年秋に日本株を全て売ったのです。」と述べ、古賀氏の、日本人に中国を見下すような意識があるとの言葉に、「実は、私も日本が外国人に対してとる差別に戸惑うことがあります。国連も18年に、日本には在日外国人に対するいろいろな差別があると勧告したほどです。相変わらず外国人参政権を認めていませんよね。19世紀は英国、20世紀はアメリカ、21世紀はアメリカと中国、それが歴史の流れです。皆、中国の時代はあまり好きじゃないかもしれないけど、そういう時代なので、受け入れないといけません。」と述べている。また「北朝鮮と韓国が統一されると、外国から投資を呼び込めるだけでなく、国内の投資も活発になります。日本や中国が現状のままであれば、5年後、アジアで最も裕福な国になるのは、朝鮮半島の統一国家となる可能性が高い。」とも語っている。「北朝鮮の金正恩氏を、どう評価されていますか。」との古賀氏の問いかけに、「彼は北朝鮮人じゃないのです。彼はスイスで育ったけど、スイスに帰れない。そういう意味で、北朝鮮をスイスにしたい。北朝鮮に国際的なスキーリゾートを建設したのもそう。トウ小平(※トウは「登」におおざと)が中国を変えたように、北朝鮮を変えたいのですね。でも、そういうことは日本でもアメリカでも報道されない。今、日本の報道を見ると、先進国による経済制裁が続き、北朝鮮の人々は困窮しており、「北朝鮮には未来がない」というトーンばかりです。世界中でそうプロパガンダされています。特にアメリカのプロパガンダはひどい。アメリカから学んだ日本でも非常にうまくプロパガンダされています。だが、実際に北朝鮮を見てきた私にとっては信憑性がない。」と答えている。ジム・ロジャーズ氏は、米国イェール大学卒業後、英国オックスフォード大学で歴史を学び、アルバイトで知った投資の世界に入り、知り合ったジョージ・ソロスとクォンタム・ファンドと言う投資会社を設立し、「10年で4200%」と言う驚異的な投資利益を得て、一躍投資の世界で注目されることになった。ソロス氏とはその後、意見の違いから別れた。ロジャース氏はバイクで二度世界を周り、自分の目で現地を見ることの大切さと、過去の歴史から学ぶことを基本としている。
赤詰草

危うい年金

2019-09-27 19:11:08 | 社会
去る25日、金融庁の金融審議会総会で、来春以降にまとめる報告書で、老後資金の不足額や年金制度に触れないことが決定された。先に、老後は「2000万円」が年金以外に不足すると報告して、問題となっていた。現役で働く世代が年金保険料を負担し、それが高齢者の年金支払いに充てられるが、その残りは年金積立金としてGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用する。こうした年金積立金は、本来、長期に安定した収益が得られるように運用される。そのため、多くが「安全資産」と考えられて来た国債などに投じられて来た。積立金を増やして行くには、名目賃金上昇率を上回る運用利回りを得なければならないが、国債をはじめとする債券の利回りは、現在、10年までがマイナスであり、30年でさえもわずか0.35%である。国債を買って30年経っても金利が0.35%でしかなければ、確実に積立金は実質目減りしてしまう。30年間の名目賃金上昇率や物価上昇を考えれば、実質的な利益は出ない。こうした事情もあり、2014年には、政権の株式維持の意向もあり、年金積立金の運用が大きく変更された。運用額160兆円が、国内債券に35%、国内株式に25%、外国債券に15%、外国株式に25%投じられるようになった。株式が50%にもなった。株式は経済では「リスク資産」とされている。事実、GPIFは昨年末の株式下落で、14兆8000億円の損失を出した。「安全資産」とされて来た国債も、今では日本銀行が発行時以上の高額で買い取ることで、利回り(金利)を意図的に押し下げる状態になっている。国債価格としては史上最高になっている。つまりは人為的なバブル状態である。国内の株式市場も「5頭のクジラ」、日本銀行、GPIF、共済(国家公務員共済、地方公務員共済、私学共済)、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険に支えられた、いわゆる「官製相場」でしかない。かってのバブル期には、株価が3万8915円となり、時価総額で世界一となったが、今では5頭のクジラに支えられても、2万2000円ほどでしかない。米国では、しかし、リーマン・ショック直前の2倍にもなる史上最高域の株価になっている。中央銀行が株式市場に介入するなどは、そのこと自体がすでに異常である。日本銀行とGPIFを合わせると上場株式全体の約15%を保有する。上場企業の半数は日本銀行が大株主になってしまっている。そんな日本の株式市場は、株の売買の6〜7割を海外投資家が占め、海外投資家が日本の株を売り、株価が下がると日本銀行が買い支えると言うパターンが繰り返されており、日本銀行はまさに海外投資家のカモとなっている。日本のバブル崩壊では、株価は最高値から底値まで82%もの下落があった。次に世界的な金融危機で同様の株価下落があれば単純に65兆円余りの積立金が失われる。同じ時期にすでにバブル状態である日米の国債価格が下落すれば、さらに損失は膨らむ。次の金融危機では、政府債務の問題を除いても、年金積立金の巨額の損失が発生する。しかも、次の金融危機はリーマン・ショック後のような中央銀行の金融緩和=マネー印刷でも容易には回復させられない。日本国債の大暴落さえもがあり得る。メディアや学者は国民を不安にさせることは言わない。しかし、実際には実態を知らなければ、その場に立たされた時に、まさにほんとうの不安に追い込まれてしまう。現在がいかなる状態であり、これから何が起きるかを知っておかなければならない。歴史上に見ない債務総額と異常低金利の世界には、歴史上かってないことが起きる。リーマン・ショックすら可愛く見えるだろう。リーマン・ショック後には日本でも炊き出しやテント村が一時メディアで取り上げられたが、さらに悲惨になるだろう。高齢者の年金が十分に支給出来なくなるのだ。金融危機後、徐々に2〜3年かけてそうした状態が到来する。
杜鵑草 (ほととぎす)

忘れた頃にやって来る金融危機

2019-09-26 19:14:07 | 経済
昨日に続いて今日も秋晴れのいい天気になった。職場に隣接する薬師公園の階段を数段登ると、左手にむき出しの大きな岩があり、そこに句が刻まれている。『桃太郎』や『花咲爺』などの民話を世に出し、『ふじの山』・『一寸法師』などを作詞した児童文学者、巖谷小波(いわや さざなみ)が詠んだ句だ。1909年に釜石を訪れ、この岩の上にあった松の名木を見ながら詠った。「そのむかし海嘯(つなみ)の襲ひしところかや 涼しさや松のみに聞く涛(なみ)の音」。1896年の「明治三陸大海嘯」を思いながら詠っている。今はもう岩の上の松はない。夏目漱石門下でもあった物理学者、寺田寅彦は「天災は忘れられたる頃来る」と言った。2011年の東日本大震災も、やはり誰もが忘れていた時にやって来た。四国で生まれ、地震と津波が頭の中で繋がっていなかった自分など、わずか2〜3分の差で助かった。世の中には忘れた頃にやって来るのは天災だけではない。1929年から始まった世界大恐慌の後にも、何度も経済危機は繰り返されて来た。2008年のリーマン・ショックは、まさに「100年に一度」と呼ばれる金融危機であった。巨大に膨らんだ金融資産が一瞬にして失われ、価値を失った不良債権だけが残された。それから10年を過ぎて、今、やはりそうした金融危機が忘れら、再び「Every Thing Bubble」状態が、特に米国で生まれている。しかも、全ての事態が2008年直前を超えて膨らんでしまっている。政府や民間の債務は史上最高となり、国債価格は前代未聞の上昇となり、社債発行と言う債務や日本のように日本銀行や5頭のクジラに支えられた株式市場が平然と景気指標となっている。貿易戦争により実体経済である貿易取引は減少し、その影響が間も無く現実化して来る。米国で先週見られた、主に銀行間のごく短期の資金繰り市場であるレポ取引での金利高騰は、中央銀行FRBによる毎日500億ドル以上の投入によっても、今尚、続いており、まさに異常事態がすでに発生しているが、FRBもメディアも何事もないかのように装っている。毎日の銀行間取引で、今、米国では大きなドル不足が生じている。世界の三大投資家の一人で、個人資産が900億ドルとも言われるウォーレン・バフェットWarren Edward Buffett氏が運営する世界最大の投資持株会社バークシャー・ハサウェイBerkshire Hathaway Inc.は運用資産が7000億ドルを超えるが、現在、過去最高の1220億ドルの現金を保有している。投資運用会社が大量に現金化している。巨額の投資資金を集める企業は、世界経済、特に、米国経済の将来を、どこよりも緻密に調査しており、常に現金の保持は危機への備えである。こうした投資会社は、金融危機時に、現金を保持していることで、暴落した金融資産を買い集めることが出来る。底値で金融資産を買えば、経済回復時に巨額の利益が得られる。ただ1社だけで、米国の年間予算に近いマネーを動かしている。いかに投資会社の金融経済への影響が大きいか。米国で起きているレポ取引でのドル不足は、こうした巨大投資会社の現金保持も一因となっている。巨大投資会社は、扱うマネーが巨大であるだけに、失敗が許されない。そして、その世界最大の投資会社が、今、すでに金融危機の到来を予測している。巨大地震発生前の前震がすでに発生している。長短金利の逆転や、今あるレポ取引金利の上昇などもそうした前震に過ぎない。来月には、まとまりそうにない米中会議があり、英国のEU離脱問題もある。さらに、米国は来月には、サウジアラビアとアラブ首長国連邦に軍隊を派遣する準備が出来ている。イランとの衝突が起きる可能性もある。これらの地域での軍事衝突は、間違いなく原油価格の高騰を招く。実体経済へのダメ押しとなる。
彼岸花

「失われた100年」に向かう日本

2019-09-25 19:10:59 | 社会
地元の人が「陸の孤島」と言う、この釜石ですら、アジア系の「研修生」を見る。関東や中部、関西の主要都市やその周辺では、コンビニでアジア系を中心とした「研修生」を見るのは当たり前になっている。世界でも突出した人口減に見舞われている日本は、ろくに少子化対策を行わず、安易な低賃金労働である「研修生」受け入れ条件を緩和し、低賃金労働者不足を補おうとしている。英国の公共放送BBCは8月25日、「Migrant workers 'exploited' in Japan(『搾取される』日本の移住労働者たち)」と題する番組を流した。ベトナム人や中国人の技能実習生が集まるシェルターを取材し、虐待や危険な就労環境、明らかに違法な就労などの実態を映し出している。残業代が払われず、陰湿なイジメで自殺を図った者もいる。BBCのフェイスブックにはこの記事に対して多くの書き込みが入り、「21世紀に、日本のような豊かな国でこんなことが起きているなんてとても悲しい」、「日本への尊敬を失った」などと書かれている。米国で著名なThe National Interesは今月1日「Forget China, Japan's Population Problem Is Its Own Worst Enemy(中国ではない、日本の人口問題自体が最悪の敵だ)」と言う記事を載せ、副題に「A problem only Japan can solve.(人口問題を日本だけが解決出来る)」とある。日本の人口は、2010年に 1億2800万人でピークに達した後、毎年 0.4%ずつ減少しており、この減少率は、2040年代までに毎年 1.0%にまで加速すると予想され、今世紀末までには、日本の人口は 5,000万人にまで減少すると考えられている。政府債務の膨大さを指摘した上で、人口減が経済を抑え、「日本は、今、失われる 100年を経験しようとしている。」と結んでいる。先月、経済開発協力機構(OECD)が発表した時間当たりの労働者賃金は、1997年と2018年の比較で主要国では唯一日本だけがマイナス8.7%で、マイナスとなっている。主要国は全て60%以上上昇している。この間わずかばかり増えた国富であるGDPは、賃金マイナス分だけ企業の蓄えとなった。劣悪な就労条件のさらに低賃金である「研修生」により、低賃金が定着する。やはりOECD加盟国では最低となった公的な教育・研究費により、企業のイノベーションは期待出来ず、低賃金の定着と人口減で消費も増加しない。全てのミサイル攻撃に対応出来ないイージス・アショアに6000億円もの巨費を投じ、米国自体が使えないとして採用していないF35戦闘機104機を1兆7052億円かけて追加購入する。これで国の防衛が図れればいいが、ドローンでも容易に攻撃可能で、致命的となる列島に散らばる原発を放置して、何のための軍備増強なのだろう。日本が戦後、経済発展出来たのは、軍事費を抑え、経済発展に徹して来たからである。先端的な新たな産業を興せない以上、せめて人口増のための、賃金上昇や、少子化対策にこそ国費を注ぐべきだろう。外国人労働者を受け入れるのであれば、姑息な「研修生」名目で低賃金を固定化するのではなく、正規の労働者として受け入れるべきだろう。国は国民のための国である。その国民を減らし続け、賃金をも減らし続ける政治とは、「日本国」の政治とは言えないだろう。「美しい国」どころか、年を追うごとに「醜い国」になっている。
花園衝羽根空木

無効となった金融政策

2019-09-24 19:16:17 | 経済
週末と昨日は、天候が良くなかった。今朝は秋晴れのいい天気になった。朝の空には赤トンボがたくさん飛んでいた。あちこちで虫が鳴き、風も涼しく気持ちがいい。さすがに日射しはまだ強く、日射しの中を歩くと暑さを感じる。庭でわずかだが彼岸花が開き初めて来た。通勤路ではコスモスが風に揺れていた。明日は釜石でラグビーのW杯試合が行われるため、市街地の主要路には、案内と思われる黄色いTシャツを着た若者が立ち並んでいた。 22日の日曜、中央銀行の中央銀行と呼ばれる国際決済銀行BISの金融経済部長Claudio Borio氏が、世界のマイナス金利が問題あるレベルに達したと警告している。そして、金融政策の有効性は著しく衰退しており、次の世界的な景気後退に対処出来ないかも知れないと述べている。最近、次々に米国中央銀行FRB、欧州中央銀行ECB、中国中央銀行人民銀行PBOCが金利を引き下げ、世界中で利回りが低下し、17兆ドルを超える債券のマイナス金利化をもたらしている。383億ドルの運用資金を保有するヘッジファンド、エリオット・マネジメントのCEOポール・シンガーPaul Singer氏は、「世界の債務は史上最高、デリバティブ(金融派生商品)は史上最高」だとして、社債市場、特にグローバル金融システムに対する「明確な脆弱性を表す」担保付ローン債務(CLO)として知られるレバレッジドローンの大きな不均衡について警告し、企業債務市場の崩壊に備えて、今、現金の保有を増加させている。先週、米国では主に銀行間で貸し借りを行うレポ取引で、金利が急騰したが、これに対処するため、中央銀行FRBは数日続けて、レポ市場に毎日500億ドルを超えるマネーを注入した。これは実質的にはすでに量的金融緩和を行ったことになる。米国では1929年の株式暴落に始まる世界大恐慌時以外では、中央銀行が国債を大きく買い取ることはなかった。しかし、2008年の100年に一度と称されたリーマン・ショック後には国債や証券を買い取らざるを得なくなった。それらを買い取ることで、金融機関に現金を流すのである。現在の経済学理論は、産業革命以後の物の製造を基本に作り上げられた。いわゆる実体経済である。中央銀行の金融政策は、実体経済をコントロールする政策として築き上げられた。しかし、米国では1980年代より金融経済が実体経済をはるかに超えて成長してしまった。2008年のリーマン・ショックや2000年のITバブル崩壊などは、実体経済ではなく、明らかに金融経済の崩壊であった。その金融経済の崩壊時に、中央銀行は、元来、実体経済の政策である金融政策を、しかも「異常な」規模で実施した。これだけ異常な規模で実施しても、実体経済では資金への需要がなく、少しでも需要を増やそうと、金利を下げて来たが、それでも需要は増加しなかった。金利低下は実体経済へはほとんど効果を発揮せず、金融経済でのみ、超低金利の債務を増加させて来た。現在の米国はその超低金利が不動産、株式、債券のトリプルバブルを生み出している。マイナス領域にまで達した金利であるにも関わらず、実体経済では資金への需要が生まれず、安価な負債で金融経済でバブルだけを造成した。主要国で何故、実体経済で資金需要が生まれないのか。新たな設備投資がないからである。中国はじめ新興国とは異なる先端的な産業を生み出せていないためだ。旧来の、すでに新興国にも存在する産業が維持され、それらの産業でも設備更新維持だけのための投資しかなく、新規の発展的な投資は全くなく、いくら超低金利でも企業は金融機関からの融資を受けようとはせず、得られた利益も新たな投資に向かわず、内部留保や自社株買いに回されている。要するに実体経済ではお金が回らなくなってしまった。ここまで金利が下がっても実体経済では、お金を借りようとする企業はなく、借りる企業も実体経済の設備投資へではなく、自社株買いと言う金融経済にお金を流している。新規産業を生み出せない先進主要国は、貿易戦争による実体経済の後退を前にして、中央銀行による再びの金融緩和に向かい始めた。金利の今以上のマイナス圏への深入りと、債券の買取による金融機関への現金の注入である。実体経済へはもはや金融政策は無効であると、現実が示しているにも関わらず、習性となった金融政策を中央銀行が繰り返している。これだけ金利を引き下げても実体経済でお金が回らないのは、ある意味、資本主義の限界が来ている可能性がある。拡大再生産の行き詰まりである。次の巨大な金融危機は刻々と近付いている。リーマン・ショック前に見られた兆しが次々に出て来ている。先週のレポ金利急騰もその一つだ。規模がリーマン・ショックをはるかに超える上に、政府の債務も巨大化しており、中央銀行も異常なまでに金融緩和している状態で、危機が来れば、政府も中央銀行も有効な手立てを持っておらず、回復にはとても長い期間を要し、世界の経済システムすら変更を余儀なくされるだろう。
木槿

マイナスのスパイラル

2019-09-20 19:19:24 | 経済
かって、先進国が5%以上の経済成長していた頃は、金利は現在ほどには低くなかった。日本が典型例だが、経済成長が低迷すると、長期にわたって超低金利状態が持続するとともに、債務が拡大して行く。そして、債務が拡大すればするほど、超低金利状態をさらに続けざるを得なくなる。しかも、超低金利は、本来、存続出来ないはずの企業まで延命させ、一層経済効率を悪化させ、債務・金利・経済効率、全てをマイナスのスパイラルに落ち込ませてしまう。米国で16日と17日続けて発生した、レポ市場での現金枯渇は、短期金利を一時的に10%まで急騰させた。米国中央銀行FRBは慌てて市場に570億ドルを流し込むことで、金利上昇を抑えられた。誰もこうした事態が発生することを予想出来なかった。いまだに確たる原因はつかめていない。金融市場は、全てを把握出来るほど単純ではなくなっている。そのため、予測出来ないことが起こる。超低金利の長期化は、債務による資産市場のバブルをも生み出している。比重こそ違っても、先進各国では、政府と民間の債務が巨大になってしまった。先進国で唯一米国のみがマイナス金利に至っていないが、それも時間の問題でしかない。インフレ率を考慮した実質金利ではすでにマイナス域に達している。昨年、米国では法人税の減税を行い、政府債務を大きく増加させたが、来年には個人の減税を打ち出しており、政府債務はさらに拡大する。国債の大量発行が行われる。米国は国債の4割を海外に依存する。来年大量発行される国債を誰が引き受けるだろうか。もはや先進国には5%を超える経済成長など期待出来ない。リーマン・ショック後何とか2%前後を維持して来た米国も、その間に政府・民間の債務を経済成長率をはるかに超えるスピードで拡大させて来た。単純に言えば、先進国は全て収入の伸びを超えるスピードで債務を膨らませて来た。このために、中央銀行は実質金利を何としても低く保つ必要があった。日本のように極端に長期に超低金利が続けられて来ると、個人の資産は目減り、その分が政府の債務軽減となって来た。実質的な増税であった。これが個人消費を抑えて来た。こうした消費の抑制につながる状態を継続すれば、なお、経済は成長しない。ここでもやはりマイナスのスパイラルとなってしまっている。超低金利は、また、各国金融機関を苦しめている。銀行は利ざやが取れず、日本では日本銀行やクジラと称される政府系の金融機関の株式市場への介入により、株式売買の手数料が減少して、証券会社すら窮地に立たされている。経済における金融機能が障害されてしまっている。各国とも、政府の債務と中央銀行の超低金利でしか経済を維持出来なくなっている。この異常さは持続不可能である。レポ市場で起きた現金枯渇のような事態が、いつ、どこで起きても中央銀行の金利コントロールが可能だとは言えない。戦後の米国では、必ず金利低下で金融バブルを生み出しては、それを崩壊させて来た。そして、崩壊のたびに、次のバブルはさらに巨大化し、バブル崩壊も規模を大きくして来た。リーマン・ショックは危うく世界恐慌へ発展するところであったが、各国中央銀行の通貨の大量発行で、何とか食い止めた。しかも、ショック後の世界の経済を牽引して来たのが中国であり、その中国も民間や公営企業の債務増大があって初めてなし得たことである。間も無くやって来る金融危機では、これまで世界経済のけん引役であった中国をも巻き込むんでしまうため、世界経済はもはや容易には回復不可能となる。政府はさらに債務を増大させねばならず、中央銀行はマイナス金利をさらにマイナスの深掘りをせざるを得ないが、それらは当然家計や企業財務を圧迫し、新規国債発行分の購入者は減少するため、中央銀行が買い取るしかない。しかし、そんな国債こそ、ヘッジファンドの狙う国債である。国債の先物を使った売り浴びせで、ヘッジファンドは巨額の利益を得るチャンスとなる。どこの国の国債で、それが起きてもおかしくない。米国と日本の国債は一蓮托生であり、どちらがこけても共倒れとなる。昨夜の米国では、中央銀行FRBが政策金利であるFF金利を0.25%引き下げ、1.75-2%の範囲としたが、市場は0.5%の引き下げを見込んでいたため、ギャップが生じている。この市場の不満が今後どのような動きになるだろうか。通常、金利が高い国へ金利の低い国のお金が流れるので、金利の高い国の通貨は高くなるが、今回の米国の金利引き下げは、市場予想とは異なったため、通貨ドルも迷走し、一度はドルが上がって、その後下がっている。期待はずれで、一時的に上がったのだろう。しかし、引き下げは引き下げなのだということで、その後下がったようだ。
朝鮮朝顔

核戦争は自滅でしかない

2019-09-19 19:13:05 | 社会
昨年9月、ロシアは中国軍との合同演習も含んで、中国国境付近で、ソ連崩壊後で最大規模となる軍事演習「ボストーク東方)2018」を行った。30万人の兵士が動員された。そして、今年は16日から、中国、インド、パキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンの合計8か国の軍から12万8000人が加わり、ロシア南部オレンブルク州で軍事演習「ツェントル2019」が開始された。インドとパキスタンは、つい先頃、軍事衝突したばかりであるが。米国のラトガース大学、コロラド大学ボルダー大学、および国立大気研究センターの研究者たちは、数ヶ月前に、ロシアと米国による核戦争のシュミレーションを行なっている。7月23日のJournal of Geophysical Research: Atmospheresに掲載されたその論文によると、核爆発により約1億4700万トンの灰が大気中に注がれ、灰は成層圏の周りに広がり、地球上への太陽光を遮断するため、地球は暗闇に覆われる。爆発、火災、放射線被曝により、9000万人以上の即時の死傷者が発生するだけでなく、何年も続く可能性のある核の冬が地球の気候を大きく変え、飢えによる死が地球の77億人全てを脅かすことになる。気温は平均して9度下がり、陽光が戦争前の40%を回復するのに3年を要する。プリンストン大学の研究者は、米国が1987年に旧ソ連(ロシア)と結んだ中距離核戦力(INF)廃棄条約を今年2月に破棄したため、新種の核兵器を開発し始め、核兵器を使用する可能性のある状況を拡大し、核戦争のリスクは過去2年間で劇的に増加したと言う。現在、核保有9カ国合わせて14,000近くの核兵器があり、米国(6185)とロシア(6500)が最も多い。核兵器廃絶国際キャンペーンICANによると、米国とロシアは約1800の核兵器を高警報状態に維持しており、警告から数分以内に発射する準備が出来ている。何れもが日本に投下されたものよりはるかに破壊的だ。核戦争は明らかに当事国の自殺行為になる。1983年の映画「戦争ゲームWar Games」は、高校生ハッカーが間違って、北アメリカ航空宇宙防衛司令部の米国とソ連の核戦争シュミレーションゲームのコンピューター「ジョシュア」に侵入し、まさに核戦争が勃発しかけた。母親に家事を言い渡された高校生がゲームを中断したため、進行が中断されたが、コンピューター「ジョシュア」が中断された「ゲーム」を開始し始めた。しかし、「ジョシュア」は、どのような計算をしても勝つための手段がないと言う結論に達した。司令部の戦略スクリーンには「ジョシュア」の「THE ONLY WINNING MOVE IS NOT TO PLAY.(勝つための唯一の手段はプレイしないことです)」と言う言葉が流れた。人間は、実際に核戦争が起きれば、自滅することを理解しているが、コンピューターは映画の「ジョシュア」のような結論を出して、核戦争への進行を止めるだろうか。AIのような高度なコンピューターを全面的に信頼出来るだろうか。現代の核戦争の危うさにはこうしたコンピューターの自律性にもあるように思う。先日のサウジアラビアへのドローン攻撃のような、別に高度なミサイル攻撃でなくとも、多大な被害を与え得る時代になっている。日本には列島中にドローン攻撃にも脆弱な原発がある。
松葉牡丹

レポ金利急騰

2019-09-18 19:18:21 | 経済
ごく短期に現金が必要な企業が保有する債券(国債が主体)を担保にして、現金を借り受けることをレポ取引と言う。債券を担保に現金を借り受け、主に翌日には担保として出した債券を借り受け時よりも高い価格で買い戻すのである。この価格差が貸してが得られる金利となる。米国ではこのレポ取引の金利が2%をわずかに超える程度で推移していた。ところが、16日に突然、その金利が6%まで急上昇し、翌日にはさらに10%まで跳ね上がった。理由は明らかではないが、ともかく現金不足が生じ、金利が急上昇した。米国中央銀行が乗り出し、その現金不足を解消しようとしたことで、金利は下がったが、原因が定かでないため、この現金不足が一時的なものかどうか、市場は疑心暗鬼に陥っている。このレポ取引の超短期金利の上昇のせいで、米国国債の金利も短期から長期まで全てが上昇している。国債の金利が上昇するのは、国債を売る人が多かったと言うことだ。ブルームバーグBloombergは、中央銀行FRBが短期金利をコントロール出来ないことを示唆している、と書いている。現代の特に米国の金融工学により生み出された金融経済は、とても複雑で、誰もその実態を正確には掴めない。政府や中央銀行すらも、全てを把握は仕切れない。それだけに今回のようなことが発生すると、原因が分からないだけに、市場の不安は増幅される。ウォール・ストリート・ジャーナルTHE WALL STREET JOURNALによると、最初に金利が上昇した16日は、企業が四半期の連邦税の支払い期限であったことと、財務省の入札国債780億ドルの受け渡しがあったことなどいくつかが重なって、市場での現金不足が生じたのではないかとしている。レポ取引は金融機関にとっても重要であり、中央銀行は金融機関でのこうした現金不足を考え、中央銀行FRBは金融機関を対象にレポ取引を新たに行うことを検討していた。FRB傘下のニューヨーク連邦準備銀行は、すでに2000年半ばから2008年末までに、毎週5回のレポ取引を、また、2012年以降も21回のレポ取引を実施している。中央銀行によるある種の実験的な試みだろう。中央銀行は本来、市中銀行を対象とし、日本では日本銀行が決定する政策金利、米国ではFRBが決定するFF金利と称する金利に関与する。市中銀行は預金者の預金引き出しに備えて、一定比率の現金を中央銀行に預け置くことが義務付けられている。これが各銀行の中央銀行の当座預金口座に置かれている。いわゆる準備金と称されるものだ。この準備金が不足する場合、銀行は他の銀行から無担保で不足分を借り受ける。その時の金利が政策金利とかFF金利と言うものだ。米国のFF金利は現在、2.00~2.25%である。日本の場合は、規定の準備金を超えるものに対しては、 マイナス0.10%となっている。これまで中央銀行は預金引き出しに備えた準備金に関してのみ、金利を決定していたが、今回のような現金不足に備えて、市中銀行に対してのみ債券を担保に現金の短期の貸付を行うことを実施するようだ。リーマン・ショックのような金融危機が到来すれば、当然、銀行は資産を失い、現金不足に陥る可能性がある。おそらく中央銀行はこうした事態にも備えて、銀行を対象にレポ取引を行うことを検討したのだろう。540億ドルの資金を運用するDoubleLineのCEOで、新債券王と呼ばれるジェフリー・ガンドラックJeffrey Gundlach氏は、来年の大統領選挙前に75%の確率で景気後退すると予想しているが、今回のレポ金利の急騰を見て、今日開かれるFRBの会合で、金利引き下げを始めとした金融緩和が再開されるだろうと述べている。また長期金利は底に達して、長期金利低下は終わったと述べている。冒険投資家ジム・ロジャース氏は、すでにブラック・スワンは飛び立っていると言っている。今回の米国のレポ金利の急騰もその流れの中で起きたものではないだろうか。原因が定かでないだけに不気味であるし、事態によってはこうして簡単に突然金利が5倍にもなり売ることを気付かせた。金利上昇はあらゆる債務の命取りになる。
朝顔

対立的になる世界

2019-09-17 19:18:16 | 社会
去る14日、サウジアラビアの石油施設が攻撃を受け、原油市場に大きな打撃を与えた。武装組織フーシ派が無人航空機(ドローン)10機で攻撃したと発表したが、米国は即座にイランによるものだと非難した。攻撃を受けたサウジアラビアが主導する連合軍もイラン製の武器が使用されたと発表している。原油価格は一時、20%も上昇する、市場始まって以来の急騰ぶりを見せた。英国BBCは可能性があってもイランが関与した明確な証拠は今のところない、として、むしろ紛争の拡大を懸念する記事を載せている。政権が脆弱であったイェメンで内紛が生じ、サウジアラビア中心の湾岸諸国の連合軍が2015年に介入して以来、イランが支援するフーシ派との衝突が繰り返され、連合軍の空爆も激しくなっていた。イェメンには他にも二つの武装勢力があり、国内が乱れてしまっている。景気が減速する中で、原油の高騰が続けば、世界経済の後退はさらに加速する。米国の動き次第で、まさに第三次世界大戦にすら発展しかねない。先に欧州の中央銀行が新たな金融緩和を発表した。今週には米国中央銀行と日本銀行の会合がある。互いに景気を考え金利引き下げ方向に動こうとしている。しかし、現在の金利引き下げは、直接的な経済への効果はすでに薄れており、金利引き下げはむしろ通貨安を目的としている。1930年代も各国の関税と通貨安競争が最終的に第二次大戦につながった。その時代にも同じく20%の関税があった。当時は基軸通貨国であった英国が金本位制を守れなくなり、そこから離脱し、ポンド安を誘導し、各国も通貨安を行った。現代は英国に代わって米国がその主役を果たしている。経済的に当時と異なるのは、金利がマイナス圏に達していることだ。しかも経済規模は極めて大きくなっており、長引く超低金利が異常な債務を生み出してもいる。資本主義では、金利や利潤は基本的な要素であり、それらが低いと言うことは、資本主義が機能しなくなっていることを意味する。ましてマイナス金利などは、本来あり得ない。拡大再生産が資本主義の根本であり、その拡大再生産の潤滑油が金利である。企業が資金を借り受け、設備投資を行い、製品を製造し、売ることで、利益を得、金利を払いながら元本を返済して行く、この構造が失われている。企業は設備投資のための借り受けをしなくなった。このため、いくら金利を引き下げても、経済効果は見られなくなった。米国は社債を発行して、設備ではなく自社株買いに使い、日本では企業内の貯蓄=内部留保を積み上げている。経済の成長期には賃金も上昇し、世の中でお金が循環したが、現在は、その循環が不全状態になっている。地球上にはもはや効率的に利潤を得られるところがなくなって来ており、拡大再生産が行き詰まって来ている。資本、労働、生産と言う資本主義の要素は製造業を前提としており、その製造業での利潤率の低下が、金利の低下と相関している。製造業が衰退した米国は金融経済を拡大した。金融経済とは、博打である。博打は勝算は5分5分であり、勝つ時があれば、負ける時もある。負ける時が金融危機である。しかも時とともに掛け金を膨らませて来た。現在の掛け金は一国の経済の身上を潰すほどのものになっている。欧州では、若い世代を中心に極右勢力が台頭して来ている。やがてやって来る経済混乱の中で、大きな軍事衝突が起きなければいいが。
秋明菊