釜石の日々

日本銀行の暴挙

朝は雲が多かったが、日中はよく晴れて、強い日射しの中で、冷たい風が吹き、気持ちのいい日中だった。関東はすでに梅雨入りしたようだが、東北の梅雨は比較的短い。北海道では梅雨がないが、道東の釧路は霧雨の日が多かった。6月に入り釜石市での新型コロナウイルス感染はほぼゼロとなった。内陸はまだ毎日のように感染者が出ているが、それも全国的な流れと同じく減少傾向にある。現在の日本の感染がどの変異株が主体なのか、よく分からない。感染関係の情報も日増しに少なくなっている。そんな中で、今日の日本経済新聞は「「感染症危機管理庁」新設、対応を一元化 首相表明へ」を報じている。わざわざこうした機関をこの時期に内閣官房に設置するのは、米国CDCの出先機関を日本に設置することと関係しているものと思われる。政府は今後も感染が続いて行くと考えているのだろう。イタリアの分子腫瘍学研究所の荒川央博士は、これまでの変異種を含む新型コロナウイルスは、全て自然界での進化では考えられないことを明らかにした。つまり、今後も、人為的に新たなウイルスが投入される可能性があると言うことだろう。感染禍は、経済活動の抑制にもつながる。ウクライナ問題もあり、世界は資源と食糧不足がいよいよ深刻になって行くだろう。資源も食糧も人の生命活動には不可欠だ。供給不足の中で需要はある。従って、感染と同じくインフレもまた続いて行くと言うことだ。今日の米国ZeroHedgeは、「Japan On Verge Of Systemic Collapse With "Dramatic, Unpredictable Non-Linearities" In Financial Markets, DB Warns(日本は金融市場の「劇的で予測不可能な非直線性」によってシステム崩壊の危機に瀕している、とドイツ銀行が警告)」を載せている。日本銀行は10年国債の利回りを0.25%に抑えるために1兆5000億円超の国債を購入する。ドイツ銀行の試算によると、現在の買い入れペースが続くと、6月におよそ10兆円を買い入れることになる。「世界の他のすべての中央銀行が政策を引き締めていることを考えると、これは「真に極端な」レベルの貨幣印刷である。我々が円に対して弱気になっている理由の一つである。そして、多くの人が主張しているように、円安の原因は日銀自身であることを考えると、この環境下での為替介入は単純に信用できない。」と書いている。欧米の中央銀行がインフレ抑制に向かって金利を上げている中で、日本銀行だけが、真逆の金利抑制に執着している。ドイツ銀行のジョージ・サラベロスGeorge Saravelos氏は、「「通貨と日本の金融市場は、ファンダメンタルに基づく評価のアンカーのようなものを失う過程にある」と懸念している」。資本主義における市場は、民間の自由な取引によって決まる金利などの評価が指標となっている。その市場機能を中央銀行の過度の介入により、失わせており、錨を失った船のように、金融市場は流れに舵を取れなくなる。「世界のインフレ率が上がれば上がるほど、日銀は増刷する。しかし、緩和が加速すればするほど、(インフレの)崖が近づいたときにブレーキを強く踏む必要性が高くなり、危険度が増す。その結果、日本の金融市場で劇的で予測不可能な非線形性が働く段階にまもなく入るだろう、とドイツ銀行のストラテジストは指摘する。「もし、国債利回りの清算水準が日銀の目標値25bpを超えていることが市場に明らかになれば、これ以上国債を保有するインセンティブがあるのだろうか」とも述べている。」。インフレになればなるほど、市場の金利上昇圧力は強くなり、それを抑えるために日本銀行はさらに国債購入を増やす。つまり国債を買って、その代金として円通貨を大量増刷することになる。そして、今後も増刷を続けて行けば、それだけ市中に通貨が溢れ、インフレは急進する。これを抑えようと金利引き上げや国債の手放しなどの急ブレーキをかければ、金融市場や国債を大きく傷付けかない。記事は、「最後に、円が不換紙幣の崖から転落し、円建て貯蓄の国内保有者がドルや暗号通貨に逃避した場合、そしてその時はどうなるのだろうか。私たちはすぐにそれを知ることになる。」と結んでいる。日本や米国、欧州がこれまで行って来た異常な金融緩和は、デフレの下で可能であった。金融緩和とは通貨を大量に社会へ流すことだ。しかし、インフレ時にはこれをやれば、インフレはさらに高じる。今の日本銀行は国民生活を直撃するインフレを抑えることよりも、国債の利回り=金利を抑えることを優先している。そこに大きな矛盾がある。国債とはまさに円と言う通貨そのものの価値である。国債の金利を低く抑えると言うことは、国債の価格を低下させないことでもある。日本銀行は国際価格を低下させないために、通貨を大量発行し続けている。しかし、それは社会のインフレを高めることでもある。国際価格を守ることがインフレを高じ、高じたインフレは円通貨の価値を下げる。円を守って円を毀損していると言う矛盾に落ち込んでいるのだ。もっとも、日本銀行は国債=円を守ろうとしているのではなく、政府の金利負担を軽減しようとしているだけなのだが。そのために結局は通貨を犠牲にしているのだ。そして、それは国民の資産を潰すことでもある。日本のインフレは今のところ、欧米ほどではないが、夏以後には、本格的な上昇がやって来るだろう。日本のLNG(液化天然ガス)輸入の39.2%は豪州からである。今、オーストラリアの前首相は、国内需要を優先するため、LNG輸出を停止するべきだと述べている。卵の元になるヒヨコはほぼ100%輸入に頼っている。農産物の種の90%以上はやはり輸入だ。国内の加工業者や卸売、小売などの業者が、極力値上げを抑えているが、これも遠からず限界となり、一層の値上げラッシュがやって来る。LNGに支えられた火力発電コストもさらに上がるため、電力料金をまた上がって行く。ロシアからは半導体に必須の希ガス、レアメタルが、また、飼料や肥料も入らなくなる。原発用のウランもロシアからの輸入であった。インフレ下での日本銀行の国債購入は、社会経済にとってもはや暴挙でしかない。米国の株式下落も続いているが、日本のメディアは日米の株式下落は報じても、日本銀行の暴挙については全く触れない。欧米メディアだけが報じる。ただ、米国もまた巨大金融崩壊と言う爆弾を抱えている。そして、今回は通貨ドルの崩壊でもあるだろう。米国も同じくインフレ下では、リーマン・ショック後のような金融緩和(通貨大量発行)は不可能だからだ。日米通貨の信用の失墜は避けられないだろう。
山法師
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