釜石の日々

「あなたに良識はないのか?」

4月28日、米国The Unz Review 掲載のマイケル・ハドソンMichael Hudson教授執筆の「“Have You No Sense of Decency?”(「あなたに良識はないのか?」)」。一昨日のビル・トッテン氏訳。

最近の議会公聴会で大学の学長たちが血祭りにあげられるのを見ていると、私が10代の頃、誰もがマッカーシー公聴会のテレビ中継に釘付けになっていた記憶がよみがえる。

外国の不当な戦争に反対すると学術の自由を抑圧しようとする冷酷な大学の学長によって学生の反乱が扇動される。これは、1960年代のベトナム戦争に対する抗議運動や警察の暴力に直面したキャンパスの取り締まりを思い起こさせる。私は、シーモア・メルマンと私の恩師テレンス・マッカーシー(2人ともコロンビアのシーリー・マッド生産工学部で教鞭をとっていた)と共に「コロンビア・スリー」のジュニアメンバーだった。その10年の終わりに、ニューヨークシティー大学のニュースクール大学院で、学生たちは私のオフィスを含むすべてのオフィスを占拠した。とても平和的に、私の本や書類を一切も乱すことなく。

唯一変わったのは蔑称だった。「共産主義者」は「反ユダヤ主義者」に取って代わられ、キャンパス内での警察による暴力の再燃は、抗議者たちに対するケント州立大学のようなライフル銃の乱射には至っていない。しかし、再び共通項がある。ガザとヨルダン川西岸で起きている大量虐殺に反対する今日の全国的な学生の反乱を非難し、罰するための協調的な努力が組織されているのだ。1947年から1975年にかけて、進歩的な俳優、監督、教授、そして蒋介石に非協力的な人やソ連に同情的な人達のキャリアを終わらせることを目的としていたHUAC(非米活動委員会)のように、今日のバージョンは米国に残っている学問の自由を終わらせることを目的にしている。

75年前の「共産主義 」という蔑称は 「反ユダヤ主義 」に更新された。ウィスコンシン州のジョー・マッカーシー上院議員はニューヨーク州北部のエリス・ステファニック下院議員にとって代わり、「スクープ 」ジャクソン上院議員はジョー・バイデン大統領に格上げされた。ハーバード大学のクローディン・ゲイ学長(現在は辞任を余儀なくされている)、ペンシルベニア大学のエリザベス・マギル前学長(これも辞任を命じられた)、マサチューセッツ工科大学のサリー・コーンブルース学長は、米国の外交政策に批判的な平和擁護者を反ユダヤ主義者として告発することを約束することで、自らを卑しめるよう求められた。

直近の犠牲者はコロンビア大学のネマト・「ミヌーシュ」・シャフィク学長で、3ヶ国の市民権を持つ国際的日和見主義者であり、IMF(そこでも彼女は「IMF暴動 」を知っている)や世界銀行の高官として新自由主義経済政策を強要し、議会委員会の要求を黙認するのを助けるために弁護士を同行させた。彼女はそれら、そしてそれ以上のことをすべて一人でやった。教授会や学生委員会からするなと言われていたにもかかわらず、彼女は平和的なデモ参加者を逮捕するために警察を呼んだのだ。この平和的なデモ参加者に対する警察の暴力という過激な不法行為(警察自身は平和的であったと証言している)は、米国全土で同調する反乱を引き起こし、アトランタのエモリー大学やカリフォルニア州立工科大学では、さらに暴力的な警察の対応に会い、携帯電話の動画がさまざまなメディアにすぐに投稿された。

75年前に知的自由と言論の自由がHUACによって攻撃されたように、学問の自由が、今これらの大学で攻撃を受けている。警察は、学校の敷地内に不法侵入し、学生たち自身を不法侵入の罪で告発している。これは、1970年5月にオハイオ州国民警備隊がケント州立大学の学生を撃ったときに頂点に達したデモを思い起こさせる暴力である。その時学生たちは歌いながらベトナム戦争に抗議していた。

今日のデモは、ガザとヨルダン川西岸におけるバイデンとネタニヤフによる大量虐殺に反対するものだ。根本的な危機は、イスラエルを批判することは反ユダヤ主義的であるというベンヤミン・ネタニヤフ首相の主張に集約される。それが今日の学問の自由への攻撃が「容認される中傷」なのだ。

「イスラエル」とは、バイデンとネタニヤフが意味するのは具体的には「(ユダヤ人以外の)民族のいない土地」の創造を目指す右翼リクード党とその神権的支持者たちである。彼らは、ユダヤ人が忠誠を誓うべきものは現在の国籍(あるいは人間性)ではなく、イスラエルとガザ地区の数百万人のパレスチナ人を家、病院、難民キャンプから爆撃して海に追いやるその政策であると主張する。

その意味するところは、イスラエルがジェノサイドを犯しているという国際司法裁判所の告発を支持することは、反ユダヤ主義的行為であるということだ。米国が拒否権を発動した国連決議を支持することは反ユダヤ主義的なのである。

イスラエルは自らを守っているのであり、ガザとヨルダン川西岸におけるパレスチナ人の大量虐殺に抗議することは、ユダヤ人学生を怖がらせる、という主張である。しかし、コロンビア大学ジャーナリズム学部の学生による調査によると、ニューヨーク・タイムズ紙やその他の親イスラエル・メディアが引用した苦情は、イスラエルの暴力は正当防衛であるというストーリーを広めようとする学生ではない人によるものであることがわかった。

学生による暴力はイスラエル国籍の者たちによるものだ。コロンビア大学には、イスラエル国防軍での義務教育を終えた学生を対象としたイスラエルとの学生交換プログラムがある。この交換留学生の一部が、ガザ支持派のデモ隊を攻撃し、スカンク(悪臭を放ち、消えないイスラエル軍の化学兵器)を撒き散らしたのだ。危険にさらされたのはこの攻撃の犠牲となった学生だけだった。シャフィク学長のコロンビア大学は犠牲者を守ったり助けたりすることは何もしなかった。

彼女が証言した公聴会がそれを物語っている。コロンビア大学のシャフィク学長は、国外で会合を持つことで親リクード党ではない大学への最初の攻撃を避けることができた。しかし彼女は、委員会に受け入れられるような形で証言するよう彼女の弁護士が促すことを期待して、解雇された2人の学長と同じように叱責を受けることを厭わない姿勢を見せた。

私が最も扇動的な攻撃だと感じたのは、ジョージア州選出の共和党下院議員リック・アレンが、シャフィクに創世記12.3の一節を知っているかと質問したことである。彼はこう言った。「神がアブラハムと交わした契約だ。そして、その契約は実に明確だった……。 あなたがイスラエルを祝福するなら、わたしはあなたを祝福する。あなたがイスラエルを呪うなら、わたしはあなたを呪う。……あなたはこれを深刻な問題だと考えているのだろうか?つまり、あなたはコロンビア大学が聖書の神に呪われれたいのだろうか?」 {1}

シャフィクは微笑みながら、この聖書愛好家にも終始友好的な態度で接し、「絶対に違います」とおとなしく答えた。

彼女は、「あなたの質問はおかしい。今は2024年で米国は神権国家ではない。紀元前1世紀初頭のイスラエルは、今日のネタニヤフのイスラエルではありません」と言ってこの威圧的な質問をかわすこともできたかもしれない。彼女は、アレンと彼の仲間の議会調査官が彼女に投げつけた非難をすべて受け入れたのだ。

彼女の主な宿敵は下院共和党会議の議長で、下院軍事委員会と教育・労働力委員会の委員を務めるエリス・ステファニックだった。

ステファニック議員:あなたは反ユダヤ抗議デモがあったかと聞かれ、『ない』と答えましたね。

シャフィク学長:この抗議は反ユダヤ抗議というレッテルは貼られなかった。貼られたのは反イスラエル政府というレッテルでした。しかし、反ユダヤ的な事件が起きたり、反ユダヤ的なことが言われたりした。ですから私はただ終わらせたかったのです。

ステファニック議員:435人の議員のうち377人が賛成したその法案で、『川から海まで』(パレスチナ国家の支持者がパレスチナ全土の独立を主張する際に用いられるフレーズ)が反ユダヤ主義的だと非難されていることはご存知ですか?

シャフィク学長:はい、承知しています。

ステファニック議員:しかしあなたは『川から海まで』が反ユダヤ的だとは思わないのですか?

シャフィク学長:私たちはすでに、その言葉は私たちのコミュニティを傷つけるものであり、私たちのキャンパスでそれを聞かないことを望むという声明を発表しています。{2}


ステファニックの威圧的な質問に対する適切な返答は何だったのだろうか?

シャフィクはこう言うこともできた。「学生たちが抗議している理由は、国際司法裁判所が判決を下し、国連加盟国のほとんどが同意するように、イスラエルによるパレスチナ人に対する大量虐殺に反対するためです。世界のほとんどが支持しているがこの部屋では攻撃されている道徳的立場を彼らがとっていることを誇りに思います」

代わりに、シャフィクはハーバード大学やペンシルバニア大学の指導者たちよりも、「川から海まで、パレスチナは自由である」という言葉を使った学生や教員を非難し、懲戒処分にする可能性があることを望んでいるようだった。彼女は、「これはイスラエルのユダヤ人を抹殺するための呼びかけであり、パレスチナ人をUntermenschenとして扱う代わりに自由を与えるための呼びかけであると言うのは馬鹿げている」と言うこともできただろう。

大虐殺を呼びかけることがコロンビアの行動規範に違反するかどうか明確に問われると、シャフィクはそうだと肯定した。公聴会に同行した他のコロンビア指導者も同様だった。彼らはそれは抗議活動の目的とはまったく違うとは言わなかった。シャフィクも他の大学関係者もこうは言わなかった。「私たちの大学は、自分たちの住む土地を奪うだけのために民族浄化や家族の完全な殺害に訴えるような考え方に抗議し、政治的・社会的に積極的な役割を果たす学生たちを誇りに思う。その道徳的原則のために立ち上がることこそ、教育のすべてであり、文明のすべてなのだ」

マッカーシー公聴会で私が覚えているハイライトは、1954年6月9日、共和党上院議員ジョー・マッカーシーが、ウェルチの弁護士のひとりが共産主義者のフロント組織とつながりがあると告発したことに対して、米陸軍の特別参謀ジョセフ・ウェルチがこう答えたことだ。「この瞬間まで、上院議員、私はあなたの残酷さも無謀さも測りかねていた。あなたには良識がないのですか?良識というものを捨ててしまったのですか?」

会場は割れんばかりの拍手に包まれた。ウェルチのこの発言は、当時テレビを見ていた人々(15歳の私もそうだった)の脳裏に70年間こだましている。他の3人の学長が同じような答えをすれば、ステファニックが下品な人間であることがわかっただろう。しかし、誰ひとりとして、卑劣な行為に立ち向かおうとする者はいなかった。

ガザでの大量虐殺反対派を、ユダヤ人に対する大量虐殺を支持する反ユダヤ主義者と非難する議会の攻撃は超党派だ。すでに12月には、ハーバード大学とペンシルベニア大学の学長が、スザンヌ・ボナミチ下院議員(民主党、オレガン州選出)の赤狩りによって解雇される事態が起きている。彼女は4月17日、シャフィクに質問を繰り返した。「ユダヤ人の大量虐殺を呼びかけることは、コロンビアの行動規範に違反しますか?」 ボナミチは4人の新しいコロンビア大学の証人に尋ねた。全員が「はい」と答えたのである。

その答えは、学生たちはユダヤ人の大量虐殺を呼びかけているのではなく、バイデン大統領の全面的な支持のもと、リクード政権がパレスチナ人に対して行っている大量虐殺に反対の声を上げようとしているのだ、であるべきだった。

公聴会の休憩時間、 ステファニック下院議員は報道陣に対し、「証人たちが、自分たちの証言がコロンビアにとってどれほど有利に働いていると考えているかを話し合っているのを耳にした」と語った。この傲慢さは、公聴会から出るときに自分たちの証言が受け入れられると信じていた前の3人の学長を彷彿させる。「コロンビア大学は説明責任を果たさなければならない。テロリストで反ユダヤ主義者の学部長をクビにさせるのに、議会議員が必要なのであれば、コロンビア大学の指導部はユダヤ人学生の期待を裏切り、その学問的使命を怠っていることになる。過度に法律家に頼り、過度に準備し、過度に相談して証言しても、行動しなかったことを隠蔽することはできない」とステファニックは付け加えた。{3}

シャフィクは、保護が必要なのはユダヤ人学生であるという下院審問官の示唆を指摘して正すこともできた。現実は正反対だったのだ。危険な行為をしているのはイスラエル自衛隊の学生たちで、彼らが軍用スカンクでデモ隊を攻撃し、コロンビア大学からは何の処罰も受けていないのである。

教授陣や学生グループ(シャフィクには公式に相談する義務があった)から「するな」と言われていたにもかかわらず、彼女は警察を呼び、107人の学生を逮捕し、両手を後ろに縛り、コロンビア大学の敷地内に不法侵入した罪で告発しながら罰として何時間もその状態を続けた。シャフィクはその後、学生たちを停学処分にした。

2種類のユダヤ教の衝突: シオニスト対同化主義者

批判されているデモ参加者の多くはユダヤ人だった。ネタニヤフとAIPACは、伝統的にリベラルなユダヤ系中流階級の人々が彼らの現在の大量虐殺政策に対する最大の危険であると主張しており、これは正しいようだ。進歩的なユダヤ人グループは、コロンビア大学やその他の大学での反乱に加わっている。

初期のシオニズムは、19世紀末のヨーロッパで、反ユダヤ主義の中心地であったオデッサなどのウクライナの都市や他の中央ヨーロッパの都市で、ユダヤ人を殺害する暴力的なポグロムに対する反応として生まれた。シオニズムは安全な避難所を作ることを約束した。ユダヤ人が自国を脱出し、ユダヤ人を受け入れてくれる国で命を救おうとしていた当時、シオニズムは理にかなっていた。彼らは当時の「ガザ人」だったのだ。

第二次世界大戦とホロコーストの惨禍の後、反ユダヤ主義は過去のものとなった。米国やその他の国々のほとんどのユダヤ人は同化して繁栄し、最も成功したのは米国においてだった。過去1世紀は、この成功によってユダヤ人が同化する一方で、彼らの祖先が受けたような民族的・宗教的差別は原則的に間違っているという道徳的基準を保持するようになった。ユダヤ人活動家は1960年代から1970年代にかけては、反黒人の偏見や暴力に反対し、ベトナム戦争にも反対した。1950年代、私のユダヤ人の学友の多くはイスラエル国債を買っていたが、イスラエルを社会主義国と考え、夏にはキブツでボランティアとして働くことを考えていた。反感を抱くような考え方はなかったし、「民族なき土地に土地なき民族」という言葉が語られるときパレスチナ住民について言及することも聞かなかった。

しかし、シオニズムの指導者たちは、ナチズムが多くのユダヤ人を殺害した後、古い対立意識にとらわれたままだった。多くの点で彼らはナチズムを裏返し、非ユダヤ人からの再攻撃を恐れていた。アラブ人をイスラエルから追い出してアパルトヘイト国家にすることは、同化主義者のユダヤ人が目指したものとは正反対だった。

進歩的ユダヤ人の道徳的スタンス、そしてユダヤ人、黒人、その他すべての宗教や人種が平等に扱われるべきだという理想は、イスラエルのシオニズムとは正反対である。ネタニヤフのリクード党と右派支持者が流入して、シオニズムは、今日みられるように、ユダヤ人をそれ以外の人々、さらには世界の他の人々からも隔てる主張をしている。

ネタニヤフは、生死を問わずすべてのユダヤ人の代弁者であると主張し、自身の大量虐殺やパレスチナのホロコースト(ナクバ)を批判することは反ユダヤ主義的であると主張する。これがステファニックと彼女の同僚委員たちの立場である。ユダヤ人はイスラエルに第一の忠誠を誓い、それゆえ昨年10月以来、その民族浄化と大量殺戮に忠誠を誓っているという主張である。バイデン大統領もまた、学生のデモを 「反ユダヤ主義的抗議 」とレッテルを貼っている。

イスラエルによる大量虐殺が進行している状況下でのこの主張は、ヒトラー以来の反ユダヤ主義を引き起こしている。もし世界中の人々がネタニヤフと彼の内閣の反ユダヤ主義の定義を採用するようになったら、イスラエルの行動に反発して、どれだけの人が「もしそうなら、確かに私は反ユダヤ主義者だ」と言うだろうか。

ネタニヤフのユダヤ教に対する誹謗中傷と文明のあるべき姿

ネタニヤフは4月24日、米国の学問の自由を攻撃する過激な演説で米国の抗議行動を特徴づけた。

米国の大学構内で起きていることは恐ろしいことだ。反ユダヤ主義の暴徒が主要大学を占拠している。彼らはイスラエル消滅を呼びかけ、ユダヤ人学生を攻撃し、ユダヤ人教員を攻撃している。これは1930年代にドイツの大学で起こったことを彷彿とさせる。私たちは、イスラエルが大量虐殺を行うテロリストたちから自らを守ろうとする中で、米国全土、そして西欧社会全体で反ユダヤ主義が急激に高まっているのを目の当たりにしている。

これは不合理なことであり、阻止されなければならない。しかし、そうなってはいない。いくつかの大学の学長たちの対応は恥ずべきものだった。今、幸いなことに、州、地方、連邦の役人、その多くが異なる対応をしている。もっとやらなければならないことがある。{4}


これは、米国の大学を警察国家の軍隊にし、イスラエルの入植者国家が指示する政策を押し付けようという呼びかけである。この呼びかけは、循環的な流れによって資金提供されている: 議会はイスラエルに莫大な補助金を出しており、イスラエルはこの金の一部を、献金者に奉仕する政治家の選挙キャンペーンに再循環させている。これは、ウクライナが米国の「援助」を利用する際に、資金力のあるロビー団体を設立して顧客の政治家を支援するのと同じ方針である。

ユダヤ人学生を明確に脅すことなく、ガザ地区やヨルダン川西岸地区での大量虐殺に反対できる学生や学者の抗議表現とはどのようなものだろうか?「パレスチナ人も人間だ!」というのはどうだろう。それは攻撃的ではない。よりエキュメニカルにするために、「ウクライナのネオナチが何と言おうと、ロシア人も同じだ」と付け加えることもできる。

イスラエル人がパレスチナ人に脅威を感じるのは理解できる。自分たちの土地を手にするために、自分たちがどれだけ多くの人を殺し、残虐にし、自分たちのために土地を「解放」してきたことを知っているからだ。彼らはこう考えるに違いありません。「もしパレスチナ人が私たちと同じなら、彼らは私たちにされたことのために私たちを殺そうとしているだろうし、二国家解決はあり得ないし、私たちは共存することができない。なぜなら、この地は神から私たちに与えられたからだ」

ネタニヤフは4月24日の演説後、今日の紛争を文明をめぐる戦いにまで高めて炎上をあおった。「今大切なのは、われわれすべて、われわれの価値観と文明を大切にし、関心を持っているわれわれすべてが、一緒に立ち上がり、もう十分だと言うことだ」。

イスラエルが行っていること、そして国連や国際司法裁判所、そしてグローバル・マジョリティのほとんどが反対していることは、本当に「われわれの文明」なのだろうか?民族浄化、大量虐殺、パレスチナ人を征服者として扱い、人間以下として追放することは、文明の最も基本的な原則に対する攻撃である。

その普遍的な文明の概念を守る平和的な学生たちがテロリストや反ユダヤ主義者と呼ばれている。彼はヨーゼフ・ゲッベルスの戦術に従っているのだ。「敵と戦うために人々を動員する方法は、自分自身が攻撃されていると描くこと」である。これはナチスの広報戦略であり、今日のイスラエルの広報戦略でもある。また、米国議会やAIPAC、そして神によって承認された集団の民族的優位という、道徳的に攻撃的な文明思想を宣言する多くの関連機関の広報戦略でもある。

抗議の真の焦点は米国の政策で、先週、対外 「援助」によってイスラエルの民族浄化と大量虐殺を支援したことである。そして米国の利益よりも外国の利益を代表するロビイストから資金を集める議会の政治家の腐敗に対する抗議でもある。先週の 「援助」法案は、現在民族浄化を行っているもうひとつの国、ウクライナを支援するものでもあり、下院議員は米国の国旗ではなくウクライナの国旗を振っていた。その少し前には、ある下院議員は自身の優先事項を宣伝するためにイスラエル軍の軍服を着て議会に現れている。

シオニズムはユダヤ教をはるかに超えている。ユダヤ人シオニスト1人に対して、9人のキリスト教シオニストがいると読んだことがある。まるでどちらのグループも、国連や国際司法裁判所がイスラエルを大量虐殺で非難するのを支持するのは反ユダヤ主義的だと主張しながら、終わりの時が来るのを呼びかけているかのようだ。

コロンビア大学の学生は何を求めているのか

コロンビア大学や他の大学の学生たちは、大学がイスラエル株やイスラエルに輸出している米国の武器メーカー株への投資を中止するよう求めている。大学がビジネス組織になっていることを考えると、現時点で最も現実的な要求とは思えない。最も重要なのはこの要求が原理原則の核心に迫っていないということだ。

実際の大きな広報上の問題は、米国がいかなる状況でもイスラエルを無条件に支持していることであり、ジェノサイドや残忍な土地の奪取に反対する人々を特徴づけて反ユダヤ主義という蔑称が現在の宣伝用語として使われていることだ。

コロンビア大学(そして同様にステファニック議員にへつらったハーバード大学やペンシルバニア大学も)は、大量虐殺を非難し、国連を支持し、米国の拒否権を非難することは反ユダヤ主義的なことではないと認識していると公に発表するべきなのだ。

コロンビア大学や他の大学は、言論の自由の問題で警察を校内に呼び入れないという神聖な約束をするよう主張するべきである。

学生に対するイスラエルの暴力を一方的に支持する学長を解雇するよう主張すべきである。その要求においては、学生を保護するというステファニック代表の原則に賛同し、シャフィク学長は辞めなければいけない。

しかし、軽蔑すべき対象として挙げられる主要な犯罪者たちがいる。それは、お金を使って大学の政策に影響を与え、大学を学術の自由と言論の自由を支援する役割から離れさせようとする寄付者である。学生たちは、大学の管理者たち(教員や学生より上に立つ不快な日和見主義者たち)が、そのような圧力を拒絶するだけでなく、そうした隠れた政治的影響に対して公然と驚きを表明することに加わるべきだと主張するべきなのだ。

問題は米国の大学が、議会のように寄付者からの寄付金を集めることを基本方針とするようになってしまっていることだ。これは最高裁の「シチズンズ・ユナイテッド判決」に相当する。数多くのシオニストの資金提供者は、ハーバード大学やコロンビア大学など、ネタニヤフの虐殺反対派や国連擁護派の締め付けに従わない学校への寄付を撤回すると脅している。これらの資金提供者はそのような大学の学生の敵であり、学生も教員も彼らの排除を主張すべきである。シャフィク学長のIMFが、エコノミストたちの「ノー・モア・アルゼンチン」という抗議に屈したように、コロンビアの学生たちも「ノー・モア・シャフィク」と唱えることができるかもしれない。

Notes:

{1} https://m.youtube.com/watch?v=syPELLKpABI

{2} https://stefanik.house.gov/2024/4/icymi-stefanik-secures-columbia-university-president-s-commitment-to-remove-antisemitic-professor-from-leadership-role

{3} Nicholas Fandos, Stephanie Saul, and Sharon Otterman, “Columbia’s President Tells Congress That Action Is Needed Against Antisemitism”, The New York Times, April 17 2024., and “Columbia President Grilled During Congressional Hearing on Campus Antisemitism”, Jewish Journal, April 18 2024. https://jewishjournal.com/news/united-states/370521/columbia-president-grilled-during-congressional-hearing-on-campus-antisemitism/#:~:text=Columbia%20President%20Grilled%20During%20Congressional%20Hearing%20on%20Campus%20Antisemitism

{4} Miranda Nazzaro. “Netanyahu condemns ‘antisemitic mobs’ on US college campuses”, The Hill, April 24 2024.

朴の木の花
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「社会」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事