日本の新型コロナウイルス感染症は、便宜上春の第1波、夏の第2波、冬の第3波と数字で波を分けているが、春も夏も感染が一旦終息したわけではないので、実際には1波が継続したままである。そして、この状態が来年も続いて行くことになるだろう。何故ならば、日本も多くの主要国も感染症対策の基本がなされていないからだ。日本の自粛や緊急事態宣言、欧米のロックダウン都市封鎖は、感染拡大の勢いを一時的に抑えるだけで、感染をゼロには出来ない。無症状・軽症の感染者が見過ごされてしまうからだ。見過ごさないためには、まさにロックダウン中に、地域の集中的な検査を行う必要がある。そこで、たとえ偽陽性が発生しても、偽陽性を含め早期に隔離し、隔離中にも再検査や抗原検査などの他の検査も組み合わせる。もちろん血液の酸素飽和度なども定期的に測定する。自宅ではなく、隔離施設を仮設であっても作り、そこで経過を見る。重症者の専門病院も地域毎に国費を投じて設定する。こうした体制が設けられない限り、たとえワクチンに一定の効果があったにしても、ウイルス感染の根絶は難しい。新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスとは異なり、季節に関係なく通年で感染し続け、極めて早い期間に変異を繰り返している。また、今のところ確たる治療薬もなく、ワクチンの効果も未知である。現在開発されているワクチンは重症化を抑える効果があるとされているだけで、感染を予防する効果などは分かっていない。しかも日常生活が妨げられるほどの副反応は異常なくらい多い。世界各国で行われているワクチン接種は、ある意味で大規模な人体実験とすら言えるものだ。他のこれまでのワクチンとはことなり、接種までの期間があまりにも短か過ぎる。本来なら安全のために時間をかけて試験をするところを、省略してしまった。本格的な接種自体がまさに試験となっているのが実態だ。昨日、コロナ担当大臣は、「感染拡大続けば緊急事態宣言も視野に入る」と、東京都知事は「「かつてない大きさの第3波 年末年始が分水嶺」と述べ、あくまでも感染拡大の責任は国民や都民にあると言う姿勢で発言している。相変わらずの姿勢を見れば、来年がどうなるかは予想がつくと言うものだ。春のまだ小規模な波の時の緊急事態宣言でもウイルスを水面下に潜めさせただけで、根絶させたわけではなかった。その事実があるのに、再び緊急事態宣言だけを行っても、感染拡大の根絶につながるわけがない。オリンピック利権を優先したコロナ対策では、全てを中途半端にするだけで、無駄な犠牲と無駄な国費を積み上げるだけである。それぞれに何らかの責任を持ってくれれば、まだしも、決して担当の政治家も官僚も責任を持つことはない。政府の忖度メディアとなってしまったNHKは昨日、全国には「【国内感染】新型コロナ59人死亡 3852人感染確認(22:30時点)」と報じ、東京都では「東京都 新型コロナ 4人死亡 944人感染確認 2番目の多さに」と報じている。「2番目の多さ」は全国でも同じであったのだが。このNHKの「全国」と「東京都」の報じ方の違いは昨日に限らず一貫している。日本だけでなく世界でも感染は拡大し続けており、経済活動が大きく影響を受けているが、コロナ禍は経済格差をさらに拡大させている。昨日のブルームバーグ日本語版は「コロナ禍で大きな変化迫られた世界経済、変容は始まったばかり」と題して、「ロボットに仕事を奪われる傾向強まる-「K字型回復」で格差拡大も」、「大きな政府が復活-セーフティーネットの修繕が必要に」を報じている。富裕層が保有する株式が高騰する一方で、職を奪われ収入を失う人が多くなった。各国はコロナ対策として、巨額の財政出動を行い、「今年の財政赤字は最大11兆ドル(約1136兆円)に上る可能性がある」。また、中央銀行は「再び金融緩和へとかじを切った。金利は過去最低を更新。量的緩和も強化され、国債だけでなく社債も買い入れることになった。」。超低金利がゾンビ企業Zombie firmsを生み出し、その債務はリーマン・ショック時よりも5000億ドル近く上回り、2兆ドルに迫っている。こうした中で、「より長い目で見ると、経済学に大幅な再考が加えられ、公的債務を巡る考え方も変わりつつある。低インフレの世界では支出余力が増し、経済を後押しするためより積極的な財政政策を講じるべきだとする新たなコンセンサスが台頭してきた。現代貨幣理論(MMT)支持派はこうした主張の先駆けだとし、主流派が追い付いてきただけだと訴える。」。来年は、各国の財政支出が間違い無くさらに増加して行くだろう。裏付のない通貨を、主要国が揃って増刷すれば、誰もそれを疑わない、そんな雰囲気が生まれつつあるようだ。しかし、そんな経済が持続した事実は歴史にはない。これが持続可能なら、税そのものが意味をなさなくなる。税をなくして、中央銀行が通貨を増刷し、政府がそれをただ支出すればいいことになる。ゆとりある生活が可能な基本収入もそれにより保障すればいいだろう。まさにユートピアの実現だ。しかし、現実は決して甘くはない。いずれ遠からず、ゾンビが死滅し、バブルが崩れ去り、政府債務の解消が迫られる時が訪れる。
ゾンビ企業の債務