釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

来年も厳しくなるだろう

2020-12-31 19:22:43 | 社会
日本の新型コロナウイルス感染症は、便宜上春の第1波、夏の第2波、冬の第3波と数字で波を分けているが、春も夏も感染が一旦終息したわけではないので、実際には1波が継続したままである。そして、この状態が来年も続いて行くことになるだろう。何故ならば、日本も多くの主要国も感染症対策の基本がなされていないからだ。日本の自粛や緊急事態宣言、欧米のロックダウン都市封鎖は、感染拡大の勢いを一時的に抑えるだけで、感染をゼロには出来ない。無症状・軽症の感染者が見過ごされてしまうからだ。見過ごさないためには、まさにロックダウン中に、地域の集中的な検査を行う必要がある。そこで、たとえ偽陽性が発生しても、偽陽性を含め早期に隔離し、隔離中にも再検査や抗原検査などの他の検査も組み合わせる。もちろん血液の酸素飽和度なども定期的に測定する。自宅ではなく、隔離施設を仮設であっても作り、そこで経過を見る。重症者の専門病院も地域毎に国費を投じて設定する。こうした体制が設けられない限り、たとえワクチンに一定の効果があったにしても、ウイルス感染の根絶は難しい。新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスとは異なり、季節に関係なく通年で感染し続け、極めて早い期間に変異を繰り返している。また、今のところ確たる治療薬もなく、ワクチンの効果も未知である。現在開発されているワクチンは重症化を抑える効果があるとされているだけで、感染を予防する効果などは分かっていない。しかも日常生活が妨げられるほどの副反応は異常なくらい多い。世界各国で行われているワクチン接種は、ある意味で大規模な人体実験とすら言えるものだ。他のこれまでのワクチンとはことなり、接種までの期間があまりにも短か過ぎる。本来なら安全のために時間をかけて試験をするところを、省略してしまった。本格的な接種自体がまさに試験となっているのが実態だ。昨日、コロナ担当大臣は、「感染拡大続けば緊急事態宣言も視野に入る」と、東京都知事は「「かつてない大きさの第3波 年末年始が分水嶺」と述べ、あくまでも感染拡大の責任は国民や都民にあると言う姿勢で発言している。相変わらずの姿勢を見れば、来年がどうなるかは予想がつくと言うものだ。春のまだ小規模な波の時の緊急事態宣言でもウイルスを水面下に潜めさせただけで、根絶させたわけではなかった。その事実があるのに、再び緊急事態宣言だけを行っても、感染拡大の根絶につながるわけがない。オリンピック利権を優先したコロナ対策では、全てを中途半端にするだけで、無駄な犠牲と無駄な国費を積み上げるだけである。それぞれに何らかの責任を持ってくれれば、まだしも、決して担当の政治家も官僚も責任を持つことはない。政府の忖度メディアとなってしまったNHKは昨日、全国には「【国内感染】新型コロナ59人死亡 3852人感染確認(22:30時点)」と報じ、東京都では「東京都 新型コロナ 4人死亡 944人感染確認 2番目の多さに」と報じている。「2番目の多さ」は全国でも同じであったのだが。このNHKの「全国」と「東京都」の報じ方の違いは昨日に限らず一貫している。日本だけでなく世界でも感染は拡大し続けており、経済活動が大きく影響を受けているが、コロナ禍は経済格差をさらに拡大させている。昨日のブルームバーグ日本語版は「コロナ禍で大きな変化迫られた世界経済、変容は始まったばかり」と題して、「ロボットに仕事を奪われる傾向強まる-「K字型回復」で格差拡大も」、「大きな政府が復活-セーフティーネットの修繕が必要に」を報じている。富裕層が保有する株式が高騰する一方で、職を奪われ収入を失う人が多くなった。各国はコロナ対策として、巨額の財政出動を行い、「今年の財政赤字は最大11兆ドル(約1136兆円)に上る可能性がある」。また、中央銀行は「再び金融緩和へとかじを切った。金利は過去最低を更新。量的緩和も強化され、国債だけでなく社債も買い入れることになった。」。超低金利がゾンビ企業Zombie firmsを生み出し、その債務はリーマン・ショック時よりも5000億ドル近く上回り、2兆ドルに迫っている。こうした中で、「より長い目で見ると、経済学に大幅な再考が加えられ、公的債務を巡る考え方も変わりつつある。低インフレの世界では支出余力が増し、経済を後押しするためより積極的な財政政策を講じるべきだとする新たなコンセンサスが台頭してきた。現代貨幣理論(MMT)支持派はこうした主張の先駆けだとし、主流派が追い付いてきただけだと訴える。」。来年は、各国の財政支出が間違い無くさらに増加して行くだろう。裏付のない通貨を、主要国が揃って増刷すれば、誰もそれを疑わない、そんな雰囲気が生まれつつあるようだ。しかし、そんな経済が持続した事実は歴史にはない。これが持続可能なら、税そのものが意味をなさなくなる。税をなくして、中央銀行が通貨を増刷し、政府がそれをただ支出すればいいことになる。ゆとりある生活が可能な基本収入もそれにより保障すればいいだろう。まさにユートピアの実現だ。しかし、現実は決して甘くはない。いずれ遠からず、ゾンビが死滅し、バブルが崩れ去り、政府債務の解消が迫られる時が訪れる。
ゾンビ企業の債務

社会と人の生命線が崩れて行く

2020-12-30 19:16:06 | 社会
社会にとって経済は人にとっての重要臓器と同じで、それなくしては生活や命を維持出来なくなる。現在の新型コロナウイルス感染はその両者を脅かしている。平常の経済活動そのものが感染を広げる源にもなっている。感染が拡大すれば、高齢者や持病のある人の命を奪う。社会の基盤と生命の基盤を脅かすのであれば、その元凶を断つことが最優先課題である。病気の大原則は、ともかく早期発見・早期治療に尽きる。しかし、新型コロナウイルス感染症のような感染症の場合は、さらに感染者の早期隔離が入る。つまり早期に発見し、隔離、治療することが重要になる。現代の医学ではいかなる病気も検査なくしては明確な診断は出来ない。新型コロナウイルス感染症も同じである。しかも、新型コロナウイルス感染症では無症状や軽症の感染者がいる。実際にはそんな人でも、血液中の酸素飽和度が低下していたり、胸のレントゲンや胸のCT検査ではすでに異常があったりする。決して無症状や軽症を軽視出来ない。先日の初めての国会議員の新型コロナウイルス感染による死亡なども、同じく無症状だとして、周囲に感染者がいたことを無視したことが死につながった。民間医療機関でのPCR検査に向かう車中で、「俺、肺炎かな」の言葉を最後に意識を失った。28日には名古屋でもホテルで宿泊療養を行っていた持病のない60代の新型コロナウイルスの無症状感染者が急変し死亡したことが報じられている。急変直前まで通常と変わらない新型コロナウイルスの怖さの典型的パターンである。今日の東京新聞によれば、23日時点で、自宅療養者は9524人で1万人に迫る。「今月下旬までの約2カ月間で、13倍近くに増えている」。また多くの犠牲者が出るだろう。日本のコロナ対策の根本問題は無症状や軽症の感染者を無視し続けていることだ。第1波では資源が限られることを言い訳に使えるが、以後は何ヶ月も猶予があった。無症状や軽症の感染者への隔離と医療的な監視体制を作るだけの資金も時間もあった。にもかかわらず、今に至っても、そんな体制はどこにも作られず、しかも、重症者すら、専門に受け入れる病院がなく、分散して治療にあたるために医療が逼迫状態になっている。人口比で何十倍も感染者や重傷者が多い欧米と比べても、日本の医療体制の惨状は目に余る。厚生労働省はじめ、国立感染症研究所などのコロナ対策の中枢のあまりの無能さに呆れるばかりである。英国型の変異種も30カ国近くで見出されており、すでに英国からだけではなく、他国からも同タイプのウイルスは日本へ入っている可能性が高い。慌てて世界を対象に入国制限をしたが、そこにも抜け穴を作り、11か国の技能実習生などのビジネス関連では入国受け入れを継続している。日本の技能実習生制度は、政治家や関連業者の食い物にされており、ここでも弱い立場の技能実習生自体が犠牲となっている。入国後2週間待機など貧しい技能実習生には負担のしようがない。これもまた業者への「借金」となるだけである。感染が長引くほど弱い立場の個人や中小企業で犠牲を多く生み出す。経済は当然悪化する。民間では自力で維持出来ない状況故に、政府が日本銀行マネーを使って160兆円ものコロナ対策費を「補正」する。日本銀行はさらに上場投資信託(ETF)を通じて株式まで買って株を支え、経済は落ち込んでいるにもかかわらず、株式だけは逆に30年ぶりの高騰を見せている。今日の東京新聞は日本銀行の株式購入について二つも記事を載せている。「日銀のETF購入、年7兆円超える 異例の買い支えには副作用も」、「富裕層に恩恵、格差広げた日銀のETF購入 売却も困難、引くに引けず」と題している。日本銀行も太平洋戦争中の軍部と同じである。一度走り出すと、止められない。とんでもない犠牲を出すことも分かっていながらである。新型コロナウイルス感染に対して基本的な対策を行わない限りは、感染は波を打ちながら続き、政府債務と日本銀行のマネー印刷、株式購入も続けざるを得ない。新型コロナウイルス感染を抑えるには、無症状や軽症の感染者を見つけるためのPCR検査の拡大以外にはない。また、無症状や軽症でも感染者であれば、直ちに隔離施設に隔離し、医療的監視を行うことだ。むろん、PCR検査は確実ではない。状況によっては、再度のPCR検査や抗原検査、胸のレントゲンやCTも行われるべきだろう。そして、全ての無症状・軽症者に血液中の酸素濃度測定を定期的に行う必要がある。日本の現状が悲惨なのは、政府も「専門家」も目前の利権にのみしがみ付き、日本と言う国のことを何も考えていないことだ。技能実習生1人2万円の口利き料を業者に要求したのは、元経済産業省官僚の国会議員である。当然、業者は技能実習生からその分を何らかの形で回収する。「規制」が利権である代表の一つである。前政権が経済産業省を重用するようになり、その利権政治が倍化している。同省が推める原発なども利権の温床である。通常時であれば見向きもされない感染症専門家集団も、同じく厚生労働省医系技官がらみの利権構造で維持されている。そんな専門家集団であれば、政治の動向に従うのは当然である。となれば、非科学的で、「自粛」など国民への責任の押し付けに走るのも当然なのだ。政府が拘るオリンピックも競技そのもののためではなく、そこにある巨額の利権が絡むためである。それが空港検疫の甘さを招き、英国型の変異種の市中感染を引き起こした。寒気もあって、今後ますます東京を中心に感染は拡大するだろう。
今朝から降った庭の雪

コロナが加速する日本の劣化

2020-12-28 19:12:59 | 社会
今月25日午前零時過ぎ、埼玉県川越市の80代男性が自宅で亡くなった。男性は5人家族で、妻ら3人が新型コロナウイルスに感染し入院中で、濃厚接触者として、男性と孫1人も12日にPCR検査を受けたが陰性だった。濃厚接触者であるため自宅で健康観察中であった。24日午後11時頃、孫が男性の異変に気付き救急要請したが、結局自宅で死亡が確認された。埼玉県では以前も書いたように4月の第1波でも急変して2名が亡くなっている。24日に発熱し27日にPCR検査を受ける予定であった糖尿病のある53歳の国会議員も急変し昨日亡くなった。こちらは個人のスケジュールの関係で検査が遅れたのか、行政の都合で遅れたのか、あるいは、死因が何だったのか不明な点がある。全国的にも感染拡大は続き、特に東京など首都圏の感染拡大の勢いが治らない。欧米などより遥かに感染者や死者数の少ない日本で、医療逼迫が起きている。昨日の東洋経済ONLINEで「日本のコロナ重症患者対応が抱える決定的弱点 医療崩壊の責任は民間病院でなく厚労省にある」と題する記事を医師の医療ガバナンス研究所上昌広理事長が書いている。欧米や中国は、重症患者専用病院を設けることで、一般病院と機能を分担し、日本以上の感染者数や重症者数を抱えながらも医療崩壊を防いでいると言う。日本は、地域の主な病院に重症者を分散し、新型コロナウイルス感染症の重症者と一般医療を共に担わせていることで、早々と両者が窮地に追いやられた。無能な「専門家」に頼る現在の日本のコロナ対策では、感染拡大は止められず、医療の逼迫もさらに深刻になるばかりである。メディアに登場する感染症専門家も、素人でも出来そうなコメントを述べるだけで、政府の「専門家」の「対策」を追認するばかりである。空港検疫と言う水際対策として極めて重要な体制を、厳格化ではなく、逆に緩和し、検査法法までPCR検査から精緻さにさらに欠ける抗原検査に切り替えた。英国タイプの変異ウイルスが発見された一人は空港検疫として行われた抗原検査はマイナスであった。英国では9月20日に最初の変異ウイルスが報告されている。その時から10月も11月も英国からの帰国者はいた。同じくその中には抗原検査で陰性で、実は感染していたと言う人がいてもおかしくはない。10月や11月の帰国者の遺伝子解析などほとんど行われてはいない。現在の国内感染者の遺伝子解析すら報告されていない。感染者のデータを全て国立感染症研究所が独占しようとするため、遺伝子解析も同研究所の限られた体制内で行うため、大規模な解析などは不可能である。欧米や中国ほど世界的な論文が出せないのも当然である。現在の新型コロナウイルスによる医療逼迫は厚生労働省のこれまでの医療行政に問題があり、現在の新型コロナウイルスによる感染拡大は政府の「専門家」に問題がある。いずれもこれらは政府自身の問題であり、国民の「自粛」では対応出来ない。マスク着用や3蜜を避ける、会食を避けるなどは感染拡大を一時的に抑えるだけで、感染終息のための根本的な手段にはならない。にもかかわらず、政府や東京都は国民や都民にそれを求めるだけで、他には対策らしい対策は何もない。感染者を見つけ出し、その感染者を隔離すると言う感染症の基本が放棄されている。その放棄を正当化するために、PCR検査の不確実性を強調する。それでいて、行政検査はPCR検査である。しかも多くは、検査技師の熟練度に依拠する、一層、不確実性の強い古い検査機器を使い続けている。世界は最先端の全自動機器であり、日本のベンチャー企業すら、すでにその全自動検査機器を開発し、世界で使われているにもかかわらず、それが日本では認可されていない。自分の考えに沿わないものは、たとえ科学的であっても拒否する、これが現在の日本の中枢の姿勢である。9月22日には、時事通信が「世界の潮流から外れる日本 ~第2波対策、米欧中はPCR検査強化~」なる記事を配信している。日本のメディアではほとんど報じられていないが、英国BBCやカナダのロイター、米国のブルームバーグなどは昨日一斉に、英国の調査機関の経済ビジネスリサーチセンター(CEBR)が26日に公表した調査結果を報じた。「中国は欧米諸国よりも新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)をうまく乗り越え、従来見通しより5年早い2028年に経済規模(ドルベース)で米国を抜き世界一の経済大国になる」と言うものだ。2030年にはインドが世界3位の経済大国になるとも予想されており、日本は4位となる。以後の21世紀は日本にとっては凋落の世紀となるだろう。新型コロナウイルス感染は中国とは異なり、むしろ日本の凋落を加速させるだけである。政官財の劣化により、人口減・産業構造の転換・教育と科学の荒廃に何ら正面から対策が打たれていない。
イルミネーション

コロナ禍の長期化とバブル

2020-12-26 19:17:38 | 社会
日本でも英国からの帰国者5人から英国で見つかった変異した新型コロナウイルスが発見されたと報じられた。英国で最初に今回の変異ウイルスが報告されたのは9月20日である。英国からの5人の帰国者のウイルス遺伝子を解析した国立感染症研究所は、英国の保健相の発表で初めて英国からの帰国者で陽性となった人のウイルスの遺伝子解析を行っており、それまでに英国からの帰国者で陽性となった人のウイルスの遺伝子が全て解析されていない。つまり、すでに日本へは気付かない間に英国変異ウイルスが入っている可能性が高い。しかも英国タイプの変異ウイルス は欧州の主要国でもすでに見出されており、英国からの帰国者を注意するだけでは、やはり見逃す可能性が高い。オリンピックありきのために、日本の空港検疫は、極めて甘くなっている。東京都の感染拡大も、この英国タイプが関与している可能性もあるだろう。英国タイプが関与していなくとも、どちらにしろ、今後ますます感染拡大は避けられない。「自粛」を求めるだけの無策であり、国や自治体がとるべき基本的対策はあくまでも検査の拡充と陽性者の隔離、十分な病室の確保であるが、こちらは1年近くにもなるが、ほとんど何も手を打っていない。南アフリカ共和国やナイジェリアでも英国タイプとは異なる変異種が見つかっている。英国ケンブリッジ大学University of Cambridgeのラビンドラ・グプタRavindra Gupta教授によれば、免疫が抑制された状態にある人や回復期血漿の投与を受けた人、レムデシビルのような抗ウイルス薬を投与された人などの体内で、ウイルス感染が長引き、変異する可能性が高いと言う。薬剤耐性菌が生まれるメカニズムと類似する。重症化しやすいかどうかは、今のところ不明だが、変異した英国タイプも南アフリカタイプも、共に感染力は強くなっているようで、であれば、感染者数の増加が結局は重症者や死者の増加にもつながる。今日のGoogleによる日本の感染者数予測では、歳を明けた1月15日には1日の新規感染者数が5917人、1月20日には6570人になる。1日5000人どころではないのだ。英国や南アフリカタイプの変異ウイルスがすでに日本に入っていれば、このGoogleの予測すら遥かに上回るかも知れない。せめて医療機関や老人施設だけは定期的な検査を導入すべきだ。北海道の旭川厚生病院の大規模クラスターや兵庫県の東加古川病院のクラスター、そして岩手県の鶯宿温泉病院のクラスターなど、いずれもが高齢者がいるために即座に重症者増、死者増につながり、岩手県などはあっと言う間に東北六県で最悪の致死率になってしまった。日本の検査は基本的には相変わらず行政検査に限定されており、行政検査では検査の機器や人員に限りがあるため、医療機関や高齢者施設で定期的な検査を行うことなど不可能である。民間検査センターを多く参入させることで、重症化や死者の増加を押さえ込むことが出来る。しかし、民間の検査センターの参入はデータの一切を掌握したい国立感染症研究所には不都合となるため、なかなか容易には実現しない。しびれを切らした世田谷区や墨田区がその方向で動き出している。郷里の愛媛県でもその方向で動き出しているようだ。感染症の現代的な基本原則は、早期発見・早期隔離であり、発見の手段は検査しかないが、その検査を行政自らが制限すると言うとんでもない「対策」であり、無症状・軽症感染者が易々と検査から外れて感染を拡大させる結果となっている。感染が拡大するたびに規模の大小はあってもロックダウン都市封鎖的な処置で、一時的に拡大を抑えるが、それが解除されると再び感染が拡大し始める。その繰り返しでしかなく、これでは到底終息などは望めない。コロナ以前から、世界の主要国の中央銀行は異常な金融緩和で、大量の通貨印刷・超低金利を実施して来ていたため、金融市場、特に株式市場はバブル状態であったが、コロナ禍ではさらに超異常なマネー印刷が続き、バブルは一層膨らんでいる。コロナ禍は長期化しそうで、そのためマネー印刷も長期化し、バブルもさらに膨らんで行くだろう。今日のロイター日本語版は「焦点:コロナ禍の米国でホームレス急増、「破滅的危機」懸念も」と題して、元は医師、法律事務所の職員、オペラ歌手であった人たちまでがホームレスとなってしまった米国の惨状を伝えている。コロナ禍が名目で印刷されたマネーは、本来必要とされるところへは向かわず、富裕層が群がる株式市場などへ流れてバブルを醸成する。日本でも欧州でもその点は変わらない。
ホシハジロ(雄)

意図的な「エビデンス」無視

2020-12-25 19:11:34 | 社会
新型コロナウイルスの毎日の新規感染者が20万人前後続いている米国では、日本と同じく州・地方政府のトップが市民に対し旅行や大規模集会の自粛を訴えている。米国では今月14日から100万人以上がワクチンを接種したが、感染拡大に歯止めをかける効果は出ていない。従来は集団免疫が成立するためには、人口の60~70%がワクチン接種をする必要があると言われていたが、米国国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長はThe NEW YORK TIMESに対して、90%の人がワクチン接種をしなければ集団免疫は獲得出来ない可能性があると述べている。フランスのAFP通信によると、イタリアでは、「新型コロナウイルスに感染して亡くなった人の遺族ら約500人が、新型ウイルスの感染が拡大したのは政府が初期対応で失敗を繰り返したためだとして、国などを相手取り、約1億ユーロ(約126億円)の損害賠償を請求する集団訴訟を起こした」と言う。日本と違って欧米だと、こうした訴訟で裁判所が住民寄りの判決を下す可能性もある。日本の現在の感染拡大や重症化・死亡などは、政府や自治体の無策による明かな人災であるが、犠牲者の遺族がイタリアのように政府や自治体を相手に訴訟を起こしても、政府寄りとなっている裁判所は、住民に不利な判決しか下さないだろう。今月22日、中国の大連市で9人の新規感染者が出たが、大連市当局はわずか3日間で大規模な検査を実施し、概ね封じ込めたようだ。大連市の知人も一昨日、長い行列に並んで検査を受けた。今年5月には、日本でも社会物理学の九州大学小田垣孝名誉教授が、スペイン風邪の終息後の1921年に考案された数式を改良して、終息への近道を提案している。5月時点で、PCR検査を増やさずに「接触8割削減」を続けた場合は、終息までに23日を要し、PCR検査を4倍に増やせば「接触削減」をしなくとも8日で終息すると言う。要は早期発見、早期隔離すれば、陰性者は通常通り経済活動出来ると言うものだ。政府や東京都などがいつも要請している会食・三密などは検査を拡大しない限り早期終息には役立たない。要は検査にある。このことは素人でも分かる。また、6月には米国ハーバード大学などの共同研究で「Test sensitivity is secondary to frequency and turnaround time for COVID-19 surveillance(検査の感度は、新型コロナウイルス検出のための頻度や所要時間に次ぐ)」なる論文が出ており、検査の感度の問題よりも、検査を頻回に繰り返すことの重要性が示されている。別の論文では1週間に1度の検査が有効だとも言われている。欧米も日本も、病気の鉄則である早期発見、早期治療をどう言う訳か無視している。感染症の場合は、早期隔離が入るが。何故、無視するのか、それぞれ国により異なった理由があるのだろう。交差免疫を有する可能性のある東アジアが最も病気の大原則に沿った対応を行っている。米国はすでに中国と同様に1日に100万件のPCR検査が可能な状態であるが、中国のような徹底検査をやらない。「ワクチン」に依存する姿勢が明らかである。検査能力からすれば、それを徹底すれば中国のように抑え込みが可能で、経済もプラスに明かに転じることが出来る。にもかかわらず、あえてそれをやらない。まさにワクチンの広範な接種を待っているかのように見える。日本は米国に比べてすら、政府は春以来何も準備しない。検査数は限られ、専用の仮設病棟も一切準備しない。陽性者の自宅待機が何千人にもなる。第2類感染症に指定しながら、自宅待機がすでに1年近くになっても今なお解消されない。通常の年間予算以外のコロナ対策として補正された予算は160兆円もあるが、それらはどこへ消えてるのか。PCR検査一日100万件、数千人を収容可能な仮設病院など1年近くもあれば計画的に実現可能であったはずだ。予算も十分過ぎるほどにある。結局はその気がないと言うことだ。そのために犠牲となる人たちは、まさに人災である。何十年経とうが日本は何も変わっていない。世界はコロナ名目で、過剰なマネー印刷に走った。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」状態であるが、必ず、遠からずそのツケは回って来る。ハイパーインフレとなるか、国債の暴落となるか。恐らく株式市場のバブル崩壊が引き金になるのだろう。そこでもやはり国民が犠牲となる。そして、また政治家も官僚も誰も責任はとらない。
内陸の白鳥

「戦果」しか目に入らないリーダー

2020-12-24 19:16:37 | 社会
予想通り前首相は不起訴となり、身代わりに秘書が起訴された。すでに日本の三権分立などは崩壊していたが、前政権はさらに公安警察出身者を官房副長官とすることで、その情報網を利用し、官僚たちの人事権を掌握し、メディアも管理下においた。実態はすでに独裁である。素人から見ても納得出来ないような不起訴処分を平気で検察も行う余裕まである。中国やロシアに十分比肩出来る体制が出来上がっている。産業構造の転換がない中でのこうした硬直化した政治体制は、中国やロシア以上に日本の社会をさらに脆弱にする。そもそも江戸300年が日本人に「お上」意識を植え付け、下級武士が中心で倒幕は行ったが、将軍を天皇に置き換えただけの明治政府は、国民にとっては変らぬ「お上」であった。その後の軍国化は、その「お上」意識を露骨に要求し、一切の批判を排除した。公安警察を側に据えた前政権以来、現在も同じく周囲での批判は全て封じられ、排除されている。現在の政府のコロナ対策は、まるで太平洋戦争中のインパール作戦だと指摘したのは作家の保阪正康氏である。無謀な作戦を精神論だけを柱に反対者を排除してまで強行し、不必要な多大の犠牲を生み出した敗戦であった。真珠湾攻撃と同じく、すでに対戦国である英国に攻撃の情報が掴まれていて、そのワナに入ってしまった。犠牲となった多くの兵士の命など全く顧みられることはなかった。作戦司令官は、異常なまでに英国軍の空爆を恐れ、移動中の休憩時間のたびに、「自分だけ」の塹壕を直属の部下に掘らせる異常さであった。死を恐れながら功名だけは得たい軍官僚の典型的な犠牲を生み出した作戦であった。オリンピックや経済活動などの「戦果」を上げるために、批判者を排除・無視し、人命を顧みない。インパール作戦と同じく、専門家と言う参謀たちは科学的知見よりも「司令官」の意に合わせ、結局はやはり人命を顧みない。インパール作戦の司令官は、1936年の二・二六事件を起こした皇道派に属していたために、本国の参謀本部から中国へ左遷された。これを挽回しようと、「戦果」を上げることだけに囚われた。世襲者でもなく、巨大派閥の後ろ盾もない者にとって、まさに「戦果」が求められる。昨日の英国BBC日本語版は「東京五輪、予算を増額 史上最大規模に」を報じた。総額は昨年決められた予算から2940億円増えたが、そのうちのコロナ対策費は960億円でしかなく、1兆6440億円となった。コロナ禍で税金収入は落ち込んでも、日本銀行が必要なマネーを印刷してくれる。もはや経済効率など考える必要もない。ただオリンピックを開催するのみである。これにより、支持者たちは巨額の利益を得る。PCR検査など拡大すれば、感染者数は一気に増える。そうなれば、オリンピック開催は危ぶまれる。何としても、感染者数は少なくなければならない。そのためにはまさに検査数を制限しておく必要がある。検査数制限は政府に助言する「専門家」にも都合がいい。一切のデータを自分たちで独占出来るからだ。民間の検査センターでの検査は出来るだけ抑えたい。そこで、国は民間検査センターの利用に警告を出した。検査結果は不確かな可能性があるので、改めて医療機関を受診するようにと。医療機関で陽性と判明すれば、医療機関は行政に報告しなければならない。そうなれば、「専門家」へもその情報が伝わる。科学的な情報を無視して、保身だけを考え、兵士を無駄に死なせた太平洋戦争中の司令官や参謀とどこが異なるだろう。日本の新型コロナウイルス感染の犠牲者は今後も増え続けるだろう。
キンクロハジロ(雌)

変異と交差免疫

2020-12-23 19:13:59 | 科学
昨日の米国Bloombergの「New Virus Strain Could Be in U.S」なる記事によれば、英国の変異した新型コロナウイルスが、すでに米国へも、またフランス、ドイツ、スイスにも入っていると各国当局が見ていることを報じている。今日の米国CNN日本語版「新型コロナ変異種、既に米国に到達か 専門家が見解」によれば、英国で現在問題となっている「新しい変異種が最初に見つかったのはロンドン南東部のケントで9月20日に確認された症例だった」。米国の研究者は、変異種は米国にも11月中旬に到達し、既に多数が感染している可能性が大きいと考えているようだ。ただ米国CDC疾病対策センターの現在までのウイルスの遺伝子解析では、まだ英国の変異種は見つかっていない。CDCが集計した米国内の症例約1700万例のうち、配列解析を行ったのは約5万1000例とまだ0.5%にも満たないが。新型コロナウイルスは2週間に1度くらいの割り合いで変異すると言われるが、英国で現在感染を広げている変異種は29もの変異があることが分かった。今月16日に英国オックスフォード大学やバーミンガム大学など複数の大学が共同で作成した論文「Preliminary genomic characterisation of an emergent SARS-CoV-2 lineage in the UK defined by a novel set of spike mutations」で明かにしている。南アフリカ共和国でも新たな変異種が感染を拡大させているが、遺伝子解析では、英国の変異種とも異なっている。ただ、英国も南アフリカ共和国も変異種はともに若い人への感染力があるようで、特に英国の変異種は子供も感染しやすくなっていると言う。英国政府の諮問機関である「新型呼吸器系ウイルス脅威諮問グループ(NERVTAG)」が21日にそのことを公表している。新型コロナウイルスは、人の細胞へ侵入するために人の細胞表面にあるACE2受容体(レセプター)に付着する必要がある。ところが子供にはそのACE2受容体が少ないために、これまでは小児の感染者は限られて来た。英国の変異ウイルスは、ACE2受容体以外のレセプターを利用出来るようになり、小児の細胞内へも侵入可能となったのかも知れない。成人ではACE2受容体は嗅覚細胞や肺、脳の中心部の脈絡叢、腎臓や心臓、血管など、さまざまな場所に存在するために、感染者は多彩な症状を示すことになる。「ただの風邪」とはまるで異なる。東アジアの中でもさらに優等生である台湾で、昨日、4月12日以来、約8カ月ぶりに渡航歴のない新た感染者が1人発生した。感染者は累計771人、死者は7人である。それにしてもやはり欧米とアジア、特に東アジアは感染者数があまりにも少ない。京都大学のiPS細胞の山中伸弥教授が言う「FACTOR-X」があると考えざるを得ない。そして、その「FACTOR-X」こそは、東京大学児玉龍彦名誉教授の言われる「交差免疫」の可能性が強い。中国や東南アジア、韓国、日本も一般的な4種の季節性コロナウイルスによる風邪がすでに繰り返されて来た。日本だと1960年代に先ず「 HCoV-OC43」なる風邪の季節性コロナウイルスが、次いで同じく1960年代に「HCoV-229E」が、2004年には「HCoV-NL63」、続く2005年に「HCoV-HKU1」が発見され、いずれもが風邪症状をもたらす。この4種の風邪コロナウイルスに対する抗体が、すでにかなりの数の人に出来ており、新型コロナウイルスにも一定の効果を示す、いわゆる交差免疫である。児玉名誉教授が抗体を調べたところ、通常、新たにウイルスに感染すると、先ずはIgMと言う抗体が作られ、少し時間を置いて、IgGと言う抗体が作られるが、日本の感染した人たちではIgMとIgGの両方の抗体がほぼ同時に増えて来た。これは全く新たにウイルスに感染した場合のパターンではなく、すでに以前に感染したことがある場合のパターンであった。このことから、やはりアジアでは季節性コロナウイルス感染が新型コロナウイルス感染へのいわば抵抗力をすでに与えてくれている可能性が強いと言うことだ。しかし、これは他方では、重症化への引き金にもなる。抗体依存性感染増強(antibody-dependent enhancement:ADE)と呼ばれるものだ。2002年11月中国広東省発生のSARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスに対するワクチンを動物に打ったところ、抗体は出来たが、SARSウイルスを感染させるとADEが起こり、ワクチン非接種群よりもワクチン接種群で肺炎が悪化した。このためSARSワクチンは現在もなお実用化されていない。季節性コロナウイルスに対する抗体があるアジアでは感染が少ない代わりに、免疫の過剰反応による重症化もあると言うことだ。しかし、この新型コロナウイルス感染が長引けば長引くほど変異が多くなり、感染状況も変わり得る。英国政府はこの新型コロナウイルス感染の経済への影響は2025年まで続くと考えている。新型コロナウイルスの特徴の一つは無症状感染者であり、それを放置する対策である限りは、いつまでも感染は続いて行く。オリンピックなど望むべくもない。世界的にも現在は感染拡大の勢いはさらに増しているのだ。20日までで週ベースで過去最多である。
内陸の雪

前例がなければ対処は不可

2020-12-22 19:17:27 | 社会
ここのところまた東北での地震が活発になっている。一昨日の夜半にも青森県沖でM6.5の地震が発生した。小さな揺れだともう気にもしなくなった。鹿児島県の桜島は現在も噴煙を上げている。18日には1800mまで噴煙が上がっている。20日にはハワイのキラウエア火山で一連の地震に続いて噴火が起きている。2018年5月に起きた噴火では住宅700棟以上が破壊されている。ロシアのカムチャツカ半島では昨日、クリュチェフスカヤ火山が、海抜7000mの高さまで噴煙を吹き上げ、今日は同じくカムチャツカのシベルチ火山が、8000mの高さまで噴煙を噴き上げた。プレートの沈み込みによる圧力が地震や火山噴火をもたらす。環太平洋では、従って地震の発生するところでは、火山噴火もよく見られる。世界では過去超巨大地震が発生して四年以内に、再び別の場所で大きな地震が発生しているが、日本では現在まで2011年から、そうした大きな地震を見ていない。これは、それだけ地下でエネルギーが溜め込まれていると言うことを意味する。適度にガス抜きされている方が、巨大地震や噴火にはならない。地上の静かさは、地下でのエネルギーの蓄積になる。 東アジアだけでなく、欧米に比べて東南アジアでも新型コロナウイルス感染は少ない。人口6943万人のタイでは、国王への反発デモなどがあったが、3月~4月にかけての第1波の後、わずかな散発的発生だけで経過していた。第1波でも最多で1日188人の感染を見ただけである。しかし、17日に首都バンコクの国内最大の水産市場でエビを販売していた67歳の女性の感染が確認された後、20日までに市場関連の感染者は689人に上り、その大半はタイの水産業で働くミャンマーからの出稼ぎ労働者だった。タイは中国国外で新型コロナウイルス感染が確認された最初の国で、これまで感染者は4000人余り、死者も60人に留まっていた。タイは4つの国と国境を接しており、ミャンマーもその1つで、ミャンマーでは現在1日に1000人の新規感染者が発生している最中である。タイ政府は、市場周辺のミャンマー人労働者らの外出と移動を禁じ、水と食料を提供し、水産市場のあるサムット・サコーン県と周辺の県で4万人規模のウイルス検査を実施する。サムット・サコーン県では来月3日まで、ロックダウンと夜間の外出禁止が実施される。タイは現在人口100万人あたり感染者は82人で、死者は0.9人である。日本は人口100万人あたり感染者は1572人で、死者は23人である。政府も東京都も来年のオリンピック開催を目指しており、現在のように感染拡大が続いていても、タイのように大規模な検査をしようとはしない。検査を拡大すれば陽性者はさらに増える。米国ブルームバーグは新型コロナ時代の世界で最も安全な国・地域の番付であるCOVIDレジリエンス(耐性)ランキングを毎月公表している。それによれば日本は先月の2位から7位へ後退している。それでも韓国8位や中国9位となっていることを考えれば、過大評価とさえ言えるだろう。ブルームバーグはワクチンの確保を重視した評価であるようだが。タイは14位である。日本は、オリンピックのために見かけの感染者数や死者数をただ少なく見せかけたいだけである。感染をまともに抑える気もなければ、高齢者の命を守る気もない。どれほど医療現場が逼迫しようが、全ては国民や医療現場の人々の自己責任である。国や都としての基本的な対策はなく、状況次第のその場凌ぎの「対策」でしかない。明治以来、日本は官僚政治で支えられて来た。官僚政治の弱点は、前例のない事態に対処出来ないことだ。まして、現在のように官僚自体が劣化していれば尚更である。軍官僚が主導した太平洋戦争も同じである。国民に耐える精神を押し付けるだけで、根本的な打開策を打てず、結局は国民に大きな犠牲を強いる。来年度予算案も、税収が落ち込むことが自明でありながら、9年連続の予算増大である。もはや大手メディアすら政府債務を心配する記事を書かなくなった。それでもさすがにNHKは「財政健全化への道 さらに険しく」と報じた。2015年に「ニュースウオッチ9」で敗戦直後の預金封鎖で戦中の政府債務を帳消しにした経過を報じたNHKの残滓なのだろう。国はもうコロナ禍で債務返済の意志を捨ててしまっていることを一層明確にしただけだろう。「円」はいずれ紙屑だ。
ホオジロガモ雌雄

英国の変異ウイルス

2020-12-21 19:13:14 | 科学
今日の釜石は最高気温4度、最低気温−5度の予想だ。お隣の遠野は−11度である。遠野も内陸の北上もたくさん雪がある。釜石も日射しが当たらないところでは、気温が低いため雪が残ったり、凍ったりしている。今冬はラニーニャとかで例年より寒い冬になるようだ。新型コロナウイルスの感染は低い気温で広がりやすくなる。低温と乾燥がウイルスを活動的にする。歳とともに時間の過ぎるのが早くなるが、今年は特にそれが強かったように感じる。こんなにも早くまた齢を重ねることになった。 フランスとドイツ、オランダやベルギー、イタリア、オーストリア、アイルランド、ルーマニアなど欧州各国は英国からの入国停止や規制を決め、英国に対して厳戒態勢を敷いた。中東でも同様の動きが出ている。英国では新型コロナウイルスの変異株が多数見出されており、ロンドンと南東部でその変異種が感染拡大の要因となっている。19日には英国首相は記者会見で「変異種ウイルスが高い死亡率を誘発すると言う証拠はないが、はるかに速く拡散することが明らかになった」と述べている。すでにオランダとイタリアでも英国と同じ変異種が見つかっている。今月5日、英国の複数の大学・研究所が共同研究した「Neutralising antibodies drive Spike mediated SARS-CoV-2 evasion」なる論文がmedRxivと言う専門サイトに掲載された。新型コロナウイルスはスパイクと呼ばれるトゲのような突起をいくつも表面に持ち、その突起で人の細胞のレセプター(ACE2受容体)にくっつくことで、細胞内へ侵入する。ところが英国で発見された変異種はその突起部分のタンパク質が変異しており、そのためレセプターに、より接着しやすくなるだけでなく、最初に武漢で見出されたウイルス種への抗体も無効にすることが明らかになった。問題は、単に現在の英国での急速な感染拡大であるだけでなく、ほとんどの現在のワクチンが、副作用を別としても、まさにその武漢のタイプのウイルスに対するワクチンであることだ。新型コロナウイルスが2週間に1度の割合で変異することが明らかになった時点で、最も心配されていたことが現実となったのだ。あまりにも早く変異するために、ワクチンが開発された時点では、すでにウイルスが何度も変異しており、ワクチンが効かなくなる。ワクチンだけの問題ではなく、1度感染した人の体内で出来る抗体も、その後に変異したウイルスには効力を失うことが現実となった。メディアは「不安を煽る」としてかほとんどこの論文のことを報じていない。世界保健機関WHOも例によって、14日、英国で検出された遺伝子変異型の新型コロナウイルスが、従来型と異なる様相を示す証拠は現時点で得られていないと発表している。5日の英国のユニヴァーシティ・ カレッジ・ロンドンUniversity College Londonやケンブリッジ大学University of Cambridgeなどによる研究論文を無視しているようだ。しかし、このウイルスの早い変異を考えれば、いつ起きてもおかしくない事態である。世界に協力を呼びかけ低開発国のためのワクチン用に支援金を募ったWHOとしては、そのワクチンが無効となるようなことは、早々に認められないのだろう。どこの国や組織でも政治的思惑が入ると、科学的事実を容易には認めなくなり、結果的に感染を拡大させてしまう。政府や組織の立場に忖度する専門家も同じである。日本の「専門家」は、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号で、巨大な人体実験をやった。そのあまりの酷さを神戸大学の感染症専門の岩田健太郎教授は、YOUTUBEに公開し、海外からも注目された。その岩田教授も「PCR原理主義」には反対である。PCR検査は、あくまでもウイルスの断片を拾い上げるもので、ウイルス本体を見出すものではない。不活化した、いわばウイルスの死骸を拾い上げてしまう可能性もあるし、全く新型コロナウイルスとは無縁のものを拾い上げる可能性すらもある。しかし、だからと言って現在は、他には簡単に検出する手段がない。どの国もそのPCR検査の欠点を知りながら、それを頼りに感染を抑え込んでおり、台湾や中国、シンガポールなどの抑え込みが可能であったのも、広範なPCR検査の実施であった。東アジアへの偏見で、特に欧米は東アジアの封じ込めに学ぼうとはしない。アジア蔑視の日本も同じだ。学ばないで感染の波を繰り返すうちに英国のような厄介な変異ウイルスが出現して来る。
スパイクのタンパク質ーピンク:S1領域、赤:S2領域
英国ではS1、S2ともに変異

思考停止

2020-12-19 19:11:23 | 社会
スウェーデンのカール16世グスタフ国王が、17日にスウェーデンの新型コロナウイルス対策は「失敗だった」と述べ、ステファン・ロベーン首相も「これほど多くの死者が出たという事実は失敗以外の何物でもない」と述べている。ロベーン首相は、公衆衛生局のコロナ対策責任者を務めていた疫学者のアンデシュ・テグネル氏を更迭した。NHKの昨日までの集計では、日本のクルーズ船以外の感染者累計は19万3765人となり、死者は2841人となった。日本は春以来、コロナ対策は基本的に何ら変更なく、感染者や死者が増加してもスウェーデンのように担当の専門家が更迭されることもない。専門家も政治家もまともに感染を抑制しようとする意志がない。その点では一致している。専門家は自分たちが主導権を維持するために検査を増やしたくない。政治家は感染の持続で、堂々と借金による「経済対策」を利用出来る。今年の国の新たな借金は、借金返済のための借金である借換債109兆292億円を加え、国債発行総額263兆655億円となった。開いた口が塞がらない前代未聞の発行額である。第三次補正後の国債依存度は64.1%にもなり、これまでで最大であったリーマン・ショック後の2009年度決算の51.5%をも大きく上回った。世界経済フォーラムWorld Economic Forum、通称ダボス会議は、今月14日に、「This chart shows how debt-to-GDP is rising around the world(このグラフは、GDPに対する債務が世界中でどのように増加しているかを示す) 」と題する記事を載せた。2019年の第3四半期(7月~9月)以降、世界の債務は20兆ドル増加し、今年の年末までに、IIF国際金融協会のエコノミストは世界の債務が277兆ドル、つまり世界のGDPの365%に達すると予想している。銀行などの金融セクターを除くと、カナダの債務対GDP比率は80%近く増加し、先進国の中で最も高い水準にある。それはコロナ禍で困窮した人々にカナダ政府が、月に約1500ドル(約15万円)を支給したカナダ緊急対応手当が、7か月で600億ドルになったためである。カナダに次ぐのが日本である。しかし、日本ではカナダほど長い期間緊急手当てが支給されたわけではない。コロナ対策の名目の補正予算の大半が直接コロナ対策とは関係ないものに向けられた。日本に続くのが米国となっている。記事では、世界で政府も企業も債務を増やしているが、「These growing debts have been manageable thanks to an extended period of low interest rates and loose monetary policy, but whether or not this is sustainable remains to be seen.(これらの増大する債務は、長期にわたる低金利と緩い金融政策のおかげで管理可能であったが、これが持続可能かどうかはまだ分からないままだ)」と結んでいる。各国は、緊急時だとして、ワクチンの承認審査期間も大幅に短縮しており、米国はファイザーとモデルナ2社のワクチンをたちまち認可した。16日のThe New York Timesによると、ファイザーとモデルナの臨床試験(治験)は、ワクチンを接種した被験者のうち新型コロナウイルス感染症を「発症」した人の人数を数えたに過ぎず、ワクチンを接種した人の中から無症状感染者が出て、ひそかに感染を広げる可能性は消えてないと言う。まだまだ容易には世界の新型コロナウイルス感染は終息せず、経済の本格的な回復も遠いだろう。コロナ禍以前から、世界の貧富の格差は拡大していたが、コロナ禍はさらにそれを急速に拡大さた。貧窮者がさらに貧窮となる一方で、富裕者は過去最高を更新する株価などでさらに裕福になる。日本でも一時、富裕者がさらに富裕になることで、貧しい人へも「おこぼれが」増えるとする「トリクルダウン」説が唱えられた。竹中平蔵氏の推進する新自由主義の柱だ。しかし、英国ロンドン大学のスクール・オブ・エコノミクスとキングス・カレッジ・ロンドンの経済学者たちは「The Economic Consequences of Major Tax Cuts for the Rich」なる論文で、1965~2015年の50年間に、日本やアメリカ、イギリスなど18の先進国で実施された富裕層への大幅減税が、一層の所得不平等を生み出し、経済成長や失業率には大きな効果はなかったことを明らかにしている。日本も米国も株式の維持が企業を支えるとされており、このため米国では超低金利の社債と言う借金で自社株を買うことで、株価を上げており、日本は日本銀行や年金の基金で株式を支えている。今や膨大に膨らんだ債務も株式もともに超低金利で維持されており、この金利がわずかでも上昇する動きを見せれば、たちまち雪崩を打って、全てが瓦解する。それまではまだまだ株価は上がると予想する人がいる。何しろ、コロナ禍がある限りは、中央銀行は通貨印刷をやめないのだから。しかし、誰もこの膨大になった政府債務の返済について考えない。もはや思考停止である。そして日本ではコロナ対策まで思考停止である。
債務対GDP比(紫:家計、青:非金融企業、緑:政府)