釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

「権力・繁栄・貧困の起源」

2013-09-27 19:20:10 | 社会
昨夕、もう山の端に日が落ちて、黒い山のシルエットが浮かぶ中、わずかに明るさの残る西の空に金星が一つ輝いていた。最近は毎晩のように鹿が鳴く。冷たくなって来た夜気の中でよく響く。今朝は雲一つ見えない晴れ上がった空で、気温は11度であった。出勤後、遠野から来ておられる方に聞くと、遠野はわずか6度だったそうだ。盆地で、さらに放射冷却が加わったためだろう。以前いた北海道道東の内陸ではさすがに2度になっていた。昼には22度まで上がった。東京や四国でももう30度は切って来ている。 51歳の現役経済産業省官僚が匿名の自分のブログで暴言を書き込んでいたことが発覚し、ネット上で話題になっている。「探偵ファイル」がこの暴言を載せ、その後各メディアでも取り上げられている。現在はすでに記事内容が削除されているが「コロンとパパのにゃぁ」と題するブログで、震災後の2011年9月には「復興増税。パパ的には、財政規律を保つことを重視する。 しかし、そもそも、復興費用11億円って誰がどうやって、きめたのさ? もともと、ほぼ滅んでいた東北のリアス式の過疎地で 定年どころか、年金支給年齢をとっくに超えた じじぃとばばぁが、既得権益の漁業権をむさぼるために そいつらの港や堤防を作るために そいつらが移住をごめるためにかかる費用を 未来のこともたちを抱えた日本中の人々から ふんだくり、綺麗事をいうせいじ。 増税の是非ではなく パパは 復興は不要だ と正論を言わない政治家は死ねばいいのにと思う 」と書き込んでいた。他にも古からの野球人や一般の高齢者に対し、早く死ねばいい、と言うような発言あり、自家の犬に対してストレス解消のための虐待めいたことをして、その写真まで掲載していたりした。経済産業省や防衛省で課長職を務めた後、2015年に開催予定のミラノ国際博覧会日本政府代表となり、本年7月18日にイタリア大使館で催された日本政府の参加契約調印式では「イタリアのスローフードに通じる、栄養バランスが整った日本食文化の特長を世界に広めたい」と語っている。官僚としての表の顔と匿名ブログでの本音の顔とが大きくかけ離れていた。政治家は暴言がしばしばメディアに載るが、官僚はしたたかで、今回のような発覚は珍しい。しかし、これはあくまで氷山の一角だろう。政治家も官僚も視線は地方や弱者には向いていない。日本では明治維新以来官主導の国家運営が主体となって来た。当然、官僚たちの役割は大きくなる。現代は何より情報を如何に早く、多くを掴むかが重要だ。政治家よりはるかに官僚たちがその情報を多く握っている。その情報は官僚の裁量でどれだけどこへ流すか決められる。政治家はそれによっていわば操られる。日本を動かすのは自分たちだと言う密かな自負を持って行動する彼らは責任を問われることがないため、モラルの低下に徐々に蝕まれて行く。『国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源』では、国家の衰退の原因に自由で民主的な制度の欠如を上げている。米国などでは政権が変われば官僚も交替がある。しかし、日本の官僚制度には開放性がなく、一度官僚となると、ミスさえなければ順調に昇格し、一定年齢になれば天下って行く。今回の官僚もブログに「「あましたりまであと3年、がんばろっと」と書き込んでいる。開放性の欠如した組織はいずれ衰退、腐敗して行く。日本の現在の問題はこうした中枢の衰退傾向だ。少子高齢という未踏の問題を前にしながら、その対応を図るべき中枢が衰退して来ている。この根源はさらに言えば、大学の衰退にあるだろう。大学と言う研究機関の閉鎖性が単に研究レベルの問題だけでなくモラルの低下をももたらしている。画一的な教育を脱し、開放的な大学の在り方が今の日本には求められている。上記の書籍こそ日本の中枢にいる人たちに読んでもらいたいものだ。
気持ちのいい秋日和の甲子川河畔