釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

透けて見える朴葉の緑を見ていて

2013-09-18 19:14:28 | 文化
今朝も昨日と同じように気温は15度ほどで、青空が広がり、秋のいい天気になった。空を流れる薄い雲ももう秋の雲になっていた。朝早くに増水したままの甲子川の岸辺から鮎を釣る人を3人ほど見かけた。恐らく釣り果はあまり良くないだろう。庭の彼岸花の芽がさらにいくつか伸びて来た。リンドウの蕾も膨らんで来ている。紫式部の紫もさらに広がって来た。近くの目に入る自然の情景を眺めていると、つい人の歴史や広大な宇宙のことを考えている自分に気付くことがある。先日、仕事で盛岡へ行ったが、盛岡は県庁所在地としては人口が少ない方だ。ちょうど何十年か前の前橋や高崎のような感じがする。そんな盛岡でも、繁華街を歩いていると、何か孤独感さえ感じさせられる。こちらの意思とは関係なく周囲が目まぐるしく変化する。同じ場所にいても人は次々に入れ替わって通り過ぎて行く。都市では人は人に対して次第に無感覚になって行く。その点、地方ではほどよい人の結びつきを維持出来るように思う。やはり都市の生活には人を疎外するところがあるのではないかと思う。釜石にいると人も自然もともに「豊か」であると感じる。庭の鉢植えの朴の木の大きな葉が日射しを受けて透かして見える葉の緑がとても綺麗で、葉脈の陰影など素晴らしいとさえ感じる。この透けて見える葉の色がとても気に入っている。写真を撮るためか、物を見るにも光のことをつい考える。昨夜も夜空を見上げてたくさんの星を見ていると、あの光は過去の光を見ているのだと気付いた。夏の夜空で見える天の川の中心は2万6000年も前の光だ。冬の夜空で目立つオリオン座のペテルギウスは500年前だ。そして、この宇宙は光より早い速度で膨張し続けている。自然はとても人の手には負えない。宇宙は130億年前に誕生したと言われている。地球は46億年前に誕生し、地球を含めた太陽系は50億年前に誕生したと言われている。その太陽系も2億2000万年かけて銀河系を一周する。一昨日の共同通信によれば、2億1500万年前に最大で直径7.8Kmの巨大隕石が地球に衝突したのだと言う。九州大学と熊本大学などのチームが岐阜県と大分県の地層で隕石の成分を見つけ、重さは約5千億トンと推定している。実際に、2億~2億3700万年前には生物の大量絶滅が起きていることが分かっており、この事実と一致する。カナダのケベック州には2億1500万年前頃に出来たクレーターがあり、この時の隕石の破片だと見られる。6500万年前にもメキシコのユカタン半島近くに直径10Kmの巨大隕石が落下し、恐竜の絶滅の原因とされている。我々人類の祖先がアフリカに誕生したのは高々20万年前だ。確かに人類の進歩は目覚ましいが、自然のスケールに比べると微々たるものであり、そのことをついつい忘れがちになる。また進歩の目的も見失いがちになっていると思える時もある。
庭の鉢植えの朴の葉