釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

「大量の市民の無差別殺害」

2013-09-01 19:18:52 | 社会
朝方雨が降ったため、朝は動くとやや蒸し暑さがあったのか汗をかいた。青空が広がり、気温は30度まで上がった。しかし、秋風が吹いていて、日陰ではその暑さを逃れることが出来た。家の庭に出ると、朝からミンミンゼミと虫たちが鳴き競っていた。今日もやはり、小鳥たちの声は少ない。夕方、家から甲子川沿いに少し上流へ行くと、川堤にススキの穂が並び、風に揺れて、川の流れの音とともに涼しげに見えた。 先日の産經新聞によると、8月28日の米国の国務省の定例記者会見でロイター通信の記者がシリアの化学兵器使用疑惑をめぐり、米国による広島、長崎への原爆投下の例を挙げて軍事介入の正当性について追及している。ハーフ副報道官が、シリアは多数の市民を無差別に殺害したことが一般的に国際法違反に当たるとして、国連安全保障理事会による武力行使容認決議なしに軍事介入することを述べたのに対して、ロイター通信の記者は「米国が核兵器を使用し、広島、長崎で大量の市民を無差別に殺害したことは、あなたの言う同じ国際法への違反だったのか」と質問し、同副報道官はコメントを避けたと言う。他国に適用する「正義」は自国には向けて来なかったのが米国である。中東のトルコ、イラン、イラクにまたがるクルディスタン(クルド人の土地)地域に住む自国を持たない最大民族と呼ばれているクルド人の差別や虐待を非難する米国は未だに国内に人種差別が残っている。同じ日、訪問先のカタールのドーハで記者会見した日本の首相は「化学兵器使用はいかなる場合でも許されるものではない」と語った。しかし、日本政府は昨年の国連総会で提案された核兵器関連21決議のうち、「核兵器禁止条約」を作るための交渉開始を求める決議など4つを棄権している。核保有国が賛同していないことを理由に「核軍縮の着実な進展を達成するには現実的な措置が必要」だとした。今年4月にスイスのジュネーブで行なわれた2年後の核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けた第2回準備委員会でも、核兵器の非人道性を訴える共同声明が80カ国の賛同を得て発表されたが、日本政府は署名しなかった。共同声明中の「核兵器が二度といかなる状況でも使われないことが人類生存の利益になる」と言う部分に賛同出来ないためだった。米国の核の傘の下にある日本は、世界で唯一の核爆弾投下による被爆国でありながら、結果的には核を容認してしまっている。「正義」を振りかざす姿勢は米国と変わらない。自己都合だけで他国に対して「正義」を持ち出す。一貫性のない政府の唱える「正義」は、「正義」が持ち出された時点で疑ってかかる必要がある。ロイター通信の記者が問い詰めたように「大量の市民を無差別に殺害」することでは化学兵器や核爆弾に限らず、殺傷力が増大し続ける現代の兵器一般にも当てはまる。さらに言えば、多くの市民の無差別な殺害はすでに太平洋戦争時の米国による日本の200カ所にもなる都市への空と海からの攻撃があり、日本軍もソ連軍も同様のことをやっている。世界は合意を得て軍縮の道を歩まねばならないはずが、国連決議を無視する米国によって軍縮が進まないだけでなく、米国内の軍需産業による武器の開発が進むばかりである。核による抑止力などは、自衛のための銃と同じく矛盾そのものであり、平和や平穏など程遠い。
甲子川堤のススキ