人形と動物の文学論

人形表象による内面表現を切り口に、新しい文学論の構築を目指す。研究と日常、わんことの生活、そしてブックレビュー。

小論文の書き方。

2013-04-07 10:28:01 | 教育・研究・日本語表現と方法
 以前にちらりと、(書評における)読書感想文・作文の弊害、ということを書いたと思います。

 読書感想文・作文教育の弊害は色んなところにあって、大学の先生などは苦労されてると思います。理系分野であれば、数式使ったり実験したりするから完全に読書感想文や作文と違うことが分かるみたいなんですが、人文系の分野だと、なかなかそれが理解できないみたい。読書感想文的なものになるのを避けるために、敢えて好きじゃない対象を研究しろと指導する先生もいるくらいですが、それも楽しくないですよね~。

 で、今日の本題は小論文。小論文を書く上でも、作文教育の弊害があると思ってます。私は4~5年くらい小論文の添削指導をしたことがあって…。

 添削してると、本当に思いついたことを思いついたままに並べてるだけの解答が多い。日本語がおかしい、とかは置くにしても、私が一番問題だと思ったのは、聞かれていることに対して答えていないこと。聞かれていることに対して答えなければならない、ということがどういうわけか受験生には分からないらしいのです。
 課題文がある場合は、課題文を(問われているポイントを中心に)要約することも重要なのですが、それが出来てない解答も多い。それどころか、完全に無視してるような解答も。何のために課題文があるのか、分かってないんですね。

 読書感想文や作文では、自分の体験を交えて思ったことなどを(優等生的に)並べ立てる風な書き方がもてはやされるので、たぶん、学校の先生が読んで喜びそうなことを書けばいいと思ってるんでしょう。大学受験の小論文を読むのは大学の先生なのに。

 経験上私は、小論文には正解があると思っています。問われていることに対して、課題文を要約し、指定された字数内で論理を展開すれば、自然と解答は2つか3つのパターンにおさまってくる。
 Aがいいか、Bがいいか、選びなさいという形式の問題もありますが、これはAかBかどちらかが正解である、ということではありません。AにもBにもメリットとデメリットがあるので、
 Aがいいと思う、なぜならこういうメリットがあるからだ、
 確かにAにはこういうデメリットがあるが、これこれこういう対策をとってデメリットを補えばいい、
という風に展開してゆけば、AでもBでも結局同じくらいなところに落ち着く、ということ。

 もう一つ経験上感じたのが、小論文の課題文には敢えて論理的な矛盾がある文章が選ばれている場合があって、その場合は、そこ(矛盾している点)が、一番大事なポイントであるということ。課題文の要点を整理して、矛盾している点に気づくことがまず大事ですが、気づいても、変にあげつらったりしないこと。そこがポイントだということを、それとなく示すようにするといい。

 以上、要点をまとめます。

***小論文の書き方***
1、聞かれていることに対して答えること。
2、課題文がある場合は要約すること。

***小論文の特徴***
1、正解があるということ。
2、課題文に矛盾がある場合、そこがポイントになることが多いということ。


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