時空を超えて Beyond Time and Space

人生の断片から Fragmentary Notes in My Life 
   桑原靖夫のブログ

傭兵化進む米軍:「グリーンカード」兵の増加

2007年05月15日 | グローバル化の断面


  イラク派兵もついに5年目に入り、国論が2分化し、レームダック状態が強まるブッシュ政権。国民の反戦・厭戦気分もかなり拡大しているようだ。かつてヴェトナム戦争末期に徴兵忌避、カナダへの逃亡などが注目を集めたが、今回は別の深刻な問題も生まれている。

  多数の海外派兵で兵力が不足し、必要兵員数を充足できなくなっている。新規応募も少なくなり、1年の海外派兵上限も15ヶ月に延長された。その中で、アメリカ国籍を持たない外国人を兵員として採用する動きが進んでいる。アメリカではメキシコ人など外国人でも「グリーンカード」といわれる就労(定住)認可を得れば、アメリカに住み、働くことができる。除隊後の市民権獲得にも有利となる。かくして、グリーンカードの保持者から兵員を募る動きが進行している。

  アメリカに来たものの、良い仕事の機会にありつけない若い外国人労働者などが、応募している。兵役は厳しく、決して良い雇用の機会ではない。しかし、衣食住に心配なく、給料までもらえるとあっては、失業しているよりはましと考える若者もいる。

  ヒスパニック系のメキシコ人などが応募、入隊し、メキシコ国籍のままイラクなど前線へ送られるケースが増えているという。「グリーンカード」兵の出現である。その数はすでに4万人に上るといわれる。在外米軍の数は20万人近いといわれるから、無視できない数である。イラクの前線に派遣され、メキシコ国籍のままクラスター爆弾によって戦死するという例が報じられていた。遺体が帰国後、アメリカ国籍が付与される。ついにここまできたかという思いがする。いわば現代の傭兵である。祖国のためという大義もなく、出口も見えない戦いをいつまで続けるのだろうか。

Reference
BS1 2007年5月8日 「もうひとつの標的 グリーンカード兵」


5月15日、日本の衆議院は「イラク復興支援特別措置法」改正により、自衛隊の派遣を2年間延長することを可決した。

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