イギリスのブライトンという町に住む著者とその中学生の息子の生活が描かれたノンフィクションエッセイって感じの作品。人種問題や貧富の差など様々な問題を抱えたイギリスのリアルな様子をとても読みやすいタッチで描かれていてよい。この作品の中でエンパシーという言葉が出てくる。シンパシーに近いが、自分とは異なる価値観を持つ者に対して相手の立場になって考える力のようなもののようです。ものごとをシンプルにそして広い視野で捉えることがいかにカッコよいものであるかを再認識させてくれる。そんな本でした。
よく分からないタイトルだが、旅屋は職業、おかえりは名前だ。もう少し詳しく説明するなら、依頼を受けて旅をする元タレントの丘えりかが旅に出ていろんな人に出会い、帰ってきておかえりと言われるそういう話です(あまり説明になっていないか)。全体的にほのぼの楽しい感じですが、最後あたりでは感動の涙が止まらなくなる。そんな作品でした。続編らしきものもあるようなので、近いうちに読もうと思います。
金塊になってしまう病気になった女子大生から、自分が死んだ後の金塊を相続することになった少年の話。なにその設定って感じ。そしてこのタイトル。不穏です。相続する条件としてチェッカーに勝つことが提示。女子大生の名前は都村弥子、少年の名前は絵都日向。チェッカーの勝負が続く中、それ以外の様子も語られる。劣悪な家庭環境、抜け出せない昴台、学校での会話、ジャーナリスト、施設の優しい大人たち。表紙の絵がこの物語の結末の様子だろうと思いながら読んでいて、まあだいたいその通りではあったが、ちょっと意外な結末で幕を閉じる。