シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0158■連れ合いの高笑い

2006-04-25 | アニキ物語
「なんだか爺さんくさいな~、チャッチャ。シャキっとしないか、シャキっと!」
連れ合いがいとおしそ~にアニキを抱きながら言ってる。
「どうだ?バイアグラでも飲んでみるかニャン?」
とも言ってる?
なにを飲むって?
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「ハハ~。お腹空いてんだろ?」
キッチンでウロウロしてるおいらたちを見下ろしながら、連れ合いが言った。下から見上げるこういう時の連れ合いは、いつもよりずっとデカく見える。上の方に付いてる顔がうれしそうだ。おいらたちが腹ペコなのが、ホントにうれしいんだろう。

「ニャー」
「ニャー」

おいらたちは鳴いた。飼い猫らしく返事をしてるように聞こえるかもしれないけど、そうじゃない。文句を言ってるだけさ。

でも、なんだかわかんない連れ合いはますますうれしそうに、
「そうだろ、そうだろ。自分で食べる気になっただろ?チャッチャ。えぇっ?」
と言いながら、ツナの缶詰をカパッ・・・
いい音だ。

サカサカサカ・・・
スプーンで混ぜてる音がして、
トン
とアニキの目の前にボールが置かれた。
おいらの目の前じゃない。

アニキはツナをジッと見る。
口の周りをペロッと舌なめずり。
「喰わないんだったら、おいらが喰うぜ。今日はいつものたしなみなんかナシだ。」
(←いつもはあるぜ、た・し・な・み)
と交信してみた。返事がないまま、アニキはそろ~りと首を伸ばし、顔をボールに入れた。連れ合いだけじゃなくて、おいらまでジッと見守ってた。それくらい腹ペコなんだ。

はふっ
喰った。アニキが喰った。でも、ここまでは普段もあること。

はふっ
はふっ
はふっ
そこからはいつもと違った。2、3口だけ喰ってプイッと行っちまうんじゃなくて、腰を落として足を踏ん張って、しっかり喰う体勢だ。

「ほらね~。ちゃんとひとりで食べられるじゃないか。エラいぞ、チャッチャ!」
連れ合いは満足そうだ。
「勝った!」
と思ってる。
「ほら見ろ、やっぱりお腹が空けば自分で食べるじゃないか。」
とも思ってる。
「もうお手々まんまなんか、二度とするもんか!」
とも。

おいおい。ということは、これからもずっとひもじい日が続くってことか?
「アイツはいつになったら帰ってくるんだ?」 
おいらは連れ合いの足元で、ゆっくりゆっくり喰ってるアニキを見てた。
(つづく)


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