シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0155■連れ合いのお手々まんま

2006-04-14 | アニキ物語
「ピッピ、チャッチャ、復活するニャン、復活!」
と最近おいらたちを抱くたびに叫んでた連れ合い。
「復活って・・・まだ生きてんだけど?」
と思ってたら、どうも今日はそのイースターとか言う「復活の日」らしい。
なんだかな~。
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連れ合いはとうとうあきらめた。
「絶対やらない」と決めてた「お手々まんま」を始めた。これ以外、アニキを喰わす方法が見つからなかったんだ。
注射の時間が迫ってた。

アニキは目の前に差し出された、アイツの手よりかなりデカい手にどっさり載ったツナにたじろぎながらも、そろ~りと顔を近づけてきた。においをかいでる。
「大丈夫だよ、ニュージーランドに来てから1日おきに喰ってる缶詰のツナだよ。いつもとおんなじさ。」
とおいらは軽く交信してみた。なんたって、おいらたちが好きなネコ缶は2種類しかないから、それが1日おきに出てくるだけなんだ。においをかぐまでもない。

はふっ。

喰った。アニキが喰った。もう一回、
はふっ。

連れ合いの手はデカいから、いつもより首を伸ばして喰ってる。それに手を床の上に置いてるからアニキは背中を丸めて猫背になって喰ってる。これだと喰ったものが何本も残ってない歯の間から落っこちゃうんだ。
でも、そんなこたぁ、連れ合いは知らない。

「喰った~」
と思ってるだけだ。頭の中のテレビがホッとしてる。
「でも・・・」
と別のことも考えてる。おいおい、二本足ってのはここでまた考えちゃうのか?せっかくうまくいったのに?

アニキにもそれがわかったらしい。3、4口喰っただけで、またジリっと2、3歩後ずさり。そのままプイッと行っちまった。手の上にこんもりツナを載せた連れ合いは簡単に追いかけられず、呆然としたままアニキを見てる。

「チャッチャ~、もうちょっと食べよう。」
アニキは廊下の角を曲がって見えなくなった。
(←「アニキ、復活だってよ!」)

連れ合いはそばにいたおいらを見た。
「ピッピが食べないかな?」
と頭のテレビに映ってる。
「やだよ。おいらはボールに入ったのしか喰わないぜ。」
通じないのはわかってるけど、おいらは交信で返した。

わかったとは思わないけど、連れ合いはどっこらしょと立ち上がった。あきらめたんだろう。最近、あきらめてばかりだな。キッチンの方から、
「カリッカリッカリッ」
とアニキがドライのキャットフードを喰ってる音がする。連れ合いのお手々よりマシってことか。いいじゃないか、何でも喰ってくれれば、注射できんだろ?
(つづく)


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