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インテリアコーディネーターのブログ。
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1月15日 町家をトーク セミナーレポート

2009-01-15 | イベントレポート
1月13日、以前にも紹介した「京町家」に関係するお話を聞くことができる「町家をトーク」に行ってきました。今回は「瓦」の話です。
ちなみに、前回(12月9日)のテーマが「大工」、そして前々回(11月11日)のテーマが「左官」でした。
毎回、セミナーレポートとしてここに掲載したいと考えていたのですが、なかなかレポートにし辛いんです・・・。
というのも、どの回も実演やスライドなどビジュアルで表現されることが多く、それを言葉にかえてここで取り上げることが出来ずにいました。
例えば、「左官」の回の場合、じゅらくなどの仕上げ材の紹介の他、下地材の紹介がありました。その一部を写真におさめて来ましたので紹介させて頂きます。








12月のテーマは「大工」でした。これも実際の施工例のスライドによる紹介やかんな掛けの実演がほとんどでした。お話はとても面白く興味深く聞かせて頂きました。大工さんの昔ながらのテクニックといいましょうか?1寸の掘り込みへ1寸1厘の木を差し込む技。

つまり、2つ以上の部材を接合する場合に用いる「仕口」を施工する際に用いる方法です。
差し込む木の方が差し込まれる穴よりほんの少し大きい。
普通に考えれば入るハズがありません。これを入れるために、木槌で叩きます。これを「木殺し」と言うそうです。たたくことによって瞬間的に木を縮めることができるのです。
その他、最近では見る機会がぐんと減った「かんながけ」を実演頂きました。仕上げの美しさに影響する「かんながけ」は特に柿渋を塗装する時には欠かせないのだとか。
次に、最近キッチンの扉なんかにも利用される「うづくり」仕上げ。もちろん、キッチンの面材としてつくられているものはそれ風に人工的につくられたものですが、実際には一枚の無垢板の「夏目(なつめ)」が削れることによって独特の風合いが現れます。
材の赤味がかった部分が冬に、白味がかった部分が夏に成長します。「夏目」とはこの夏に成長する白味の部分を言います。
それから、木のヤニ汚れの対処法としては「医薬用のエタノール」で拭き取るのが効果的だと習いました。
他にも様々な話題に富んだ回でした。大工さんは「指金(さしがね)」一つであらゆる難解な寸法出しにも対応できるそうです。そんな一例も実演頂きましたが、私の頭の中は「?」でぐちゃぐちゃになってしまいました(笑)。

さて、この「指金」について余談を少し。こちらも以前にこのブログの中で取り上げたことのある話題ですが、古い昔(聖徳太子が四天王寺を建立したとき)、中国から伝わったとされる指金はいろいろな補助目盛が刻まれています。中でも私が面白いな。と感じたのは長手の裏目の内側に刻まれる「魯般尺(ろはんじゃく)」です。別名「吉凶尺」とも言われるこの目盛の寸法は一尺二寸を八等分し、一等分を一寸五分として、財、病、難、義、官、劫、害、吉としています。それぞれの意味するところは次の通り。
「財」:幸せよく、財宝を得る。建築では棟木や大黒柱の寸法に用います。
「病」:家内一同が病気多く、悪き事多し。
「離」:早く親と別れ、子供とも離れ、すべてのこと悪し。
「義」:すべてのこと良く、仕合わせで思い通りになる。
「官」:家の者出世して、すべての者、長生きができる。
「劫」:家の者に非義、非道が生まれ、散財、盗難のおそれがある。
「害」:家の者、死人多く、災難も多く、不吉の寸法である。
「吉」(中国では本):すべてのこと望み通りになり、なすことすべて発展する。

そして、今回1月のテーマが「瓦」でした。
お話は、「瓦」にはいろいろな意味をあらわす言葉がある。という話から展開されましたので、調べてみました。例えば次のようなものです。
「瓦礫(がれき)」瓦と小石。価値のないもののたとえ。
「瓦解(がかい)」物事が瓦のように砕くだけること。
「瓦合(がごう)」信念を曲げ、他人に迎合すること。
「瓦全(がぜん)」つまらないものが完全に保存されること。人が為すことなく生きながらえるたとえ。
「瓦裂(がれつ)」瓦のように裂けること。世の中の乱れるたとえ。
「瓦鶏(がけい)」土製の鶏。外見のみ備わってその用を為さないたとえ。
それから、スライドを交えて瓦の種類や施工例の他、雨漏りを引き起こした原因などをお話し頂きました。中でも興味深かったのが、最近の人たちの「瓦」に求めるものの傾向です。以前であれば、新しい色の揃ったものが美しいとされるのが共通の概念でしたが、最近は「色がバラバラなのが良い」であるとか、「瓦が水を吸ってコケが生えるのが美しい」「屋根の全てを古い黒味を帯びたもので葺いて欲しい」などの希望があるそうです。その話から、「古いもの」「朽ちたもの」にこそ「美」というのでしょうか?整然と均一した美しさよりも奥行きのある深い味わいを求める人たちが増えてきているように感じました。
そして、これまでのセミナー全てに共通して感じることは、「町家」を形成する「人工的」ではない「自然」で「機械による大量生産」ではなく「手づくり」のものは、「経年劣化」ではなく「経年美化」という考え方が似合うと感じました。
汚れたら取り替えるのではなく、手を入れながら一生付き合っていく・・・これこそが本来の人間らしい生活スタイル=ECOなのかも知れません。

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