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インテリアコーディネーターのブログ。
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11月7日 京町家総論

2008-11-07 | イベントレポート
今日は10月14日(火)に訪れた「町家をトーク2008 10月度セミナー」をレポートします。その前に「町家をトーク」について簡単にご紹介しておきましょう。
これは、毎月第二火曜日の19:00~21:00 「ひと・まち交流館 京都」B1F ワークショップ・ルーム(河原町五条下る東側)にて行われているセミナーです。2008年度は10月から始まり2009年3月まで計6回開催され、通期テーマを具体的な『町家の改修・リフォーム』に絞り展開されます。
会費は1回1,500円。ご興味のある方は誰でも参加できます。

「町家をトーク」事務局 http://machiyatalk.web.fc2.com/
〒600-8875 京都市下京区西七条石井町52
TEL:090-6550-2468 FAX:075-315-2394
代表 岡田 優様まで、お問い合わせください。

さて、そろそろ第2回の開催が近づいて来ていますが、ようやく10月度の内容をまとめることができました。第1回は「京町家総論」。株式会社アラキ工務店 荒木会長を講師にむかえて京町家に関する全体的な概要を講義頂きました。
内容は町家の変遷から耐震補強-継手や仕口といった少し専門的なお話にまで及びましたが、私が聞いた中で特に興味深かった内容だけご紹介させて頂きます。

現在ハチセが改修する京町家は、「リ・ストック京町家」という名称で販売をされています。その改修コンセプトの主たるものは「自然素材の利用」と「アフターメンテナンスの充実」。今回荒木さんのお話を聞いて、改めて、京町家はこの2点が欠かせない大切なポイントだなぁ。と思いました。いえ、本来住宅とは、ここをおろそかにしてはいけないのかも知れません。
昨今、「200年住宅」などという言葉を耳にするようになりましたが、日本の住宅寿命はとても短く、二十数年程度とされてきました。ところが、遠い昔に建った京町家は、たった20年そこそこでその価値を落としたりはしません。それは、現代より良い材を使っていたからなのか?現代より丁寧に時間をかけてつくっていたからなのか?いいえ。決してそれだけではないと思うのです。もちろん、それらの要因も多少は関わってくると思いますが大きく違うのは「日々のメンテナンス」だと思います。
昔の人は、毎朝床を雑巾掛けしたり、柱を磨いたり、畳を干したり・・・各家庭で「家」というものをものすごく大切にされていたんですね。それに加えて、「三月・五月の節句、衛生掃除、祭り、暮れ」など、一年に何度も大工さんが入り、住宅と関り、メンテナンスを施してきました。
このようにして、大切に扱って来たからこそ、長く住み続けることができるわけです。
現在は、年齢に負けないようにお肌のお手入れをする等、自分自身の容姿に関ることに対する意識は高まっていますが、毎日生活をする場である住宅に対する思い入れが希薄ですよね。少しずつでも家に対するメンテナンスの心がけが広がって行ったらなぁ。と思います。

それから自然素材に関る話を少し。
特に印象深かったのは、雨が吹き降って天井板や出窓のカウンター等を濡らしてしまった場合の対処法です。
そのまま、乾いてしまえばシミになってしまいますよね。そんな時は濡れている内に全体を同じように濡らしてやるのだそうです。霧吹きやなんかで水を吹きかけて。そうすれば、天井板の一部にシミ跡が残らない。
続いて、壁の汚れの対処法。
しっくい壁の場合、ちょっとした汚れはカッターナイフ等を用いて削ってしまい、表面を濡らして手で馴染ませれば元通り♪調質性にもとっても優れているんですよ。
「調湿性」といえば最近流行の「珪藻土」を思い浮かべる方も多いでしょうが、荒木さんいわく、しっくいとは比べものにならないのだそう。珪藻土は自ら硬化しないため固化させるのに接着剤として樹脂が混入されている、いわばつくられた製品。それに対してしっくいは消石灰を主成分し、空気中の炭酸ガスを取り込んで硬化する気硬性の塗り壁材です。ちなみに、セメント・石膏などが水と反応して固まる水硬性ですね。ある意味生粋の自然素材であり、この性質が手軽なメンテナンスを可能にしてくれます。
それから、ハチセのリ・ストック京町家でも時折利用する「中塗り仕上げ」。「中塗り仕上げにしておけば30年位は持ちますよ。」というお話も印象的でした。
「中塗り仕上げ」という仕上げ方は今ではあまり一般的ではないと思いますので簡単に解説しておきますね。
現在、たとえば和室の壁を「じゅらく」で仕上げる。という場合、プラスターボード(石こうボード=壁の下地材)に下塗りをした後、仕上げ材である「じゅらく土」を塗ります。現在はクロスで仕上げる場合も「じゅらく」で仕上げる場合も、基本的には下地材が変わらないのです。
しかし、従来の日本の住宅は違いました。竹小舞の下地にまずは下塗り、それから中塗り、上塗りをして仕上げます。この中塗りから上塗りまでの期間をなるべく長く取ることで乾燥収縮によるクラックなどを防ぐことができます。ですから、中塗りの状態で1年から2年の期間を経て上塗りをされることも珍しくはありません。
この中塗りですが、「中塗り土」と言われるものにスサを練りこみます。土の持つ温かみと重量感がうまく調和した壁で、この状態でも十分に素晴らしい壁に仕上がります。
何年かした後、気分転換・模様替え気分で上塗りをする。なんていうのもとても贅沢な住宅との付き合い方だと思います。

結局何が言いたいのかというと、既製品は経年によりただ汚れ、劣化していくのに対し、自然素材は経年で味わいを増すことができます。雨染みの対処方や漆喰壁の汚れの対処法など、ある意味裏ワザ的な手法を用いることができるのも自然素材ならではのメリット。改めて、つくりものには真似できない、自然素材の良さと面白さを感じることができました。

さて、次回は11月11日(火)。左官のお話です。
なるべく早くこのブログを通じてレポートしたいと思います。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (さぶ)
2008-11-12 23:00:00
メンテナンスが大切なんですね。
あまり磨くようなところはありませんが、20年経過したので、ところどころ気になるところがありますので、補修したいと思います。

「しっくい」の話、興味深く、伺いました。
ありがとうございます。
返信する
Unknown (ogawa)
2008-11-13 09:15:03
「しっくい」にしても「天井板」にしても、こういったメンテナンスの裏ワザができるのは、自然素材ならではのこと。
「いかに、掃除をする手間を省くか?!」
そんなことばかり考えていた私ですが、京町家に触れて、随分考え方が変わりました。
返信する

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