水沢司法書士・行政書士事務所

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簡易裁判所と認定司法書士

2010年07月01日 | Weblog
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司法書士が簡裁代理関係業務ができるようになったのは平成15年から。
私は、当時多くの司法書士が見向きもしなかった裁判関係業務を平成11年から携わり、平成15年からは訴訟代理関係業務に携わってきています。

私は、簡裁代理権が付与されてから、

 140万円以下であれば弁護士と同様の活動ができる

との認識でやってきました。

依頼を受けるかどうかは、訴額が140万円以下かどうか、140万円を超える場合は弁護士に依頼するか、本人訴訟で遂行するか、依頼者に確認の上、依頼を受けていました。

しかし、この認識は改めなければならないようです。

ここの所、たとえ訴額が140万円以下であっても、職権で地方裁判所へ移送されてしまったり、不信感とまでは言わないですが、簡易裁判所に対する考えを改めざるを得ない事件が続きました。

140万円以下のため訴訟代理人となって簡易裁判所へ提訴する。
   ↓
第1回期日で相手方が全面的に争い、裁判官の職権で地裁へ移送。
   ↓
司法書士の訴訟代理権消滅

これじゃ、何のための裁判所なのか、何のための訴訟代理人なのか?

簡易裁判所の裁判官は、1人か2人。
民事事件も刑事事件も担当するようです。
簡易裁判所には大量のクレサラ事件が持ち込まれ、想像を絶する忙しさであることは私にも分かります。

そんな状況の中、面倒な事件は、専門部がある地裁に移送した方が良い。
その考えも分かりますけどね。

簡易裁判所の意義、認定司法書士の意義って何でしょう?

地裁に移送されて訴訟代理権消滅となるような意味のない代理権であれば無くした方が良いと思います。

もちろん、司法書士会が切望している、控訴審での司法書士の代理権やら、執行・家事代理権が司法書士に付与されることに超したことはないですが、

基本的に私は、その代理権が欲しければ、司法試験に受かって弁護士になればいい、と思ってます。

しかしながら私は、今の仕事や取引関係を全部放り出してまで、司法試験に挑戦することはできません。
小さいこどもも2人いて、とてもじゃないですが、そんなギャンブルはできません。

だから私は控訴審での訴訟代理権も、執行・家事代理権も無いのは仕方ないと思います。
どうしてもそれが必要なときは、弁護士さんにお願いすればいいし、
費用の問題などで弁護士さんは頼めないという方は、裁判所提出書類作成業務として受ければ良いと思います。

今後は、訴額が140万円か否かで判断するのではなく、
地裁移送となった場合に、本人訴訟で耐えられる事件か否か、で代理権を行使しようと思います。

そうなると、必然的に、簡裁代理権を行使するのは、
貸金請求や家屋明渡請求、未払給与請求、売掛金請求など、書面での証拠書類が歴然としているものに限られると思います。
未払給与でも、賞与や退職金、残業代請求など、証人尋問などの人証が必要な事件は、それが140万円以下であっても、地裁移送がほぼ決定的ですから、迷わず弁護士さんを紹介することになるでしょう。

ただ問題は、例えば30万の残業代請求を弁護士さんが受けてくれるのかどうかだと思います。良心的な弁護士さんでも、おそらく報酬としてそのくらいの金額は取らざるを得ないと思います。

その結果、依頼者は泣き寝入りをせざるを得ないことになるんじゃないかと思います。

思いは複雑です。

簡裁に持ち込まれる大量のクレサラ事件を、ADRやらで処理させ、各地に分散してる簡裁をある程度統合させ、簡裁判事を大量に導入し、簡裁にも専門部を作るくらいの勢いがあったら良いのにとも思います。
それであれば、司法書士に控訴審の代理権も、執行・家事代理権も必要ないでしょう。

良い考えだと思うんですけどね~。

今日は、私と同い年の弁護士さんと飲みに行きます。
色々貴重なお話ができそうで、楽しみです。


4 コメント

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所感(雑然としてますが…) (utti)
2010-07-31 00:26:46
大変興味深いお話です。

私はSEをしていまして、例えばお客様の作りたいシステムが、見積もるとン億円とかになった場合、まず第1段階(Step1)としてここまでの機能を作りましょう(そうすればン千万円で済みます)、で、Step2ではここまで機能を拡張しましょう、といった提案をします。

先のブログを拝見して思ったのは「簡裁や認定司法書士にStep2はあるのか?」ということです。(決して否定的な意味ではありません)

つまり、最終的に司法書士にはこういった役割を担わせたい、しかしいきなりそこまでは難しいから、まずは140万円を基準にしましょう(=Step1)、といった背景というか経緯はあるのでしょうか。単に私が知らないだけかもしれませんが。
※司法書士側が主張する"Step2"が「控訴審での司法書士の代理権やら…」のくだりの話ですよね。

(関係ありませんが、以前の限度額は90万円ではなかったですか?)

ただ、将来的な話は話として、私は、現実として司法書士に簡裁代理権が認められているおかげで「泣き寝入りはしたくないけど、弁護士さんにいきなり頼むのはちょっと…」といった方々には希望というか、心強い存在なのではないか?その点だけとってもすごいことなのでは?と思ったりします。

とりとめなくなってしまいましたが、そんなことが頭をよぎりました。
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uttiさん (管理人)
2010-08-03 13:19:14
司法書士に訴訟代理権が付与された経緯は、司法過疎の問題があったからです。
今後、弁護士が大量に増えていき司法過疎が解消されたとき、果たして司法書士に訴訟代理権は必要か?

過払いバブルとともに、訴訟に参入する司法書士が大量に現れ、司法書士による訴訟実績は年々増加しているようです。が、過払い以外の訴訟事件は面倒くさいし費用も安いから受けない、という司法書士がいることは事実です。
過払いバブルが収束に向かい、果たして訴訟案件を扱う司法書士はどれだけ残るのか?そういう司法書士にStep2の訴訟代理権は必要でしょうかね。

ちなみに、簡易裁判所の訴訟は、過払い案件を除き、「まあまあまあまあ、お互い半々でどうです?争って控訴されたら費用も時間もかかりますよ」という和解勧告がされるケースが殆どだと私は思っています。そう言われて、控訴上等で争いたいという人は今まで見たことがありません。それも紛争解決手段の一つではあると思いますが、心から満足する人はいないんじゃないでしょうか。
まあ、このことは、簡裁に限ったことではないのかも知れませんが。
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大変勉強になります (utti)
2010-08-07 01:32:54
なんだか大人の事情、といった感じですね… >和解勧告

弁護士が増えて「量的過疎」が解決されても、力量不足の弁護士ばかりであれば「質的過疎」は改善されないので、やはり司法書士への代理権付与も(人材を広く求めるという意味でも)意義が認められるのではないかと思います。

もっとも、法科大学院の導入後も思ったように司法試験の合格率は上がっていないようですし(「国による詐欺だ!」という人もいるらしく…)、「量的過疎」の解消じたいもまだまだ先のような気がします。。。

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uttiさん (管理人)
2010-08-10 11:14:42
一部の司法書士が主張していますが、司法書士は控訴審代理権・家裁代理権など「ミニ弁護士化」を目指すのではなく、弁護士とは違った役割を担うべきだと私も思っています。
弁護士が増えていく中で、料金も弁護士と同じ程度取る「ミニ弁護士」なんて存在意義はないように思います。

司法書士は、訴訟を代理するのではなく、訴訟を支援する方法で生き残ってきたのですから、その姿勢を崩すべきじゃないと思います。
現にその需要はたくさんあると実感しています。

その中で、「補佐人」として司法書士が認められれば十分だと思っているのですが、それもなかなか難しいようです。

民事訴訟法
第六十条  当事者又は訴訟代理人は、裁判所の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。
2  前項の許可は、いつでも取り消すことができる。
3  補佐人の陳述は、当事者又は訴訟代理人が直ちに取り消し、又は更正しないときは、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。
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