水沢司法書士・行政書士事務所

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成年後見制度の疑問

2006年01月16日 | Weblog
 半年以上更新サボってしまいました。

 久々の投稿は、私が思う成年後見制度の疑問です。
 司法書士関連団体のリーガルサポート東京支部から、昨年10月末頃、20歳前半の方の成年後見の申立、後見人就任の要請(命令ともいう)を受けました。リーガルに相談があった事件を振り分けする八王子地区担当者から紹介された事案ですが、それまで立て続けに3件ほど業務多忙?のため受任を拒絶してしまいましたので、さすがに今回はそれもできず。

 事案の概略としては、20歳前半の男性が勤務中交通事故に遭われ、財産管理はおろか、立つこともしゃべることもできなくなり、またご両親は8年以上前に死亡、一人弟がいるが7年以上所在不明というものです。もちろん、財産などありません。勤務先がかけていた団体保険から将来保険金が下りるだろう、という程度のものです。

 受任した以上、放っておく訳にもいかず、この件で昨年より、勤務先会社の社長に会ったり、病院のケースワーカーと今後の診療方針等について相談したり、本人の叔母3名等に後見開始の申立人となることを説得しに行ったり、後見申立に必要な情報を聴取したりとしてきました。

 また、行方不明と言われた弟の所在までも調査して判明に至り、着々と申立の準備を進めていたのですが、本人が八王子市内の病院から山梨県の病院へ転院が決まったため、念のため八王子家裁に相談したところ、八王子家裁より、山梨の家裁に申し立てるよう指導を受けました。

 他の仕事もありますし、とても八王子と甲府を往復することは不可能なので、急遽リーガルに、ここまでやった以上申立までは私がやるが、後見人は山梨在住の司法書士に就任して欲しいと申し入れることになりました。

 無事、後見人となってくれる山梨の司法書士も見つかったものの、その後、申立人となることを引き受けた叔母がその意思を撤回、急遽7年ぶりに再会した弟に申立人となることを説得し、なんとか受諾してもらったものの、その後弟も翻意。申立人が不存在となってしまいました。

 結局の所、住民票上の住所地である八王子市に交渉し、いわゆる「首長申立」をするよう八王子市にお願いし、何とか八王子市長が親族に代わって後見の申立をしてくれることにはなったものの、八王子市の内部規定?により、後見人候補者との面接を行いたいので、関係者として私もその場に同行してほしいと言われました。

 八王子市長申立となった以上、八王子市に司法書士報酬を請求するわけにはいきません。八王子市が私の分の甲府までの交通費を負担してくれることもありません。リーガルも負担してくれないでしょう。
 身内も匙を投げた以上、身内に報酬を請求することもできません。
 報酬については、世のため人のため、ボランティアと思えば、、、と考えるものの、八王子から甲府までの交通費までも自腹を切らなくてはならない?そんな馬鹿な?

 おまけに後見人の報酬は後払い。しかも1年間後見事務を行い、1年経って初めて裁判所に報酬付与の申立をし、裁判所がその報酬額を決定するものです。
 1年間、報酬額がいくらかも分からない仕事を一生懸命やらなくてはならないのです。

 おまけに、今回のケースでは手続報酬を貰えないばかりか、実費まで自己負担です。このような制度では、後見人の受け手がなくなっていってもしょうがない、と思ってしまいます。