水沢司法書士・行政書士事務所

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虐待のその後

2010年08月26日 | Weblog
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その後も、私が保佐人として就いている事案について、虐待者との攻防が続いています。

先日は、裁判所からも、「後見人が健康保険証を渡さないから本人を病院に連れて行けない」という親族からの苦情があったんだけどどうなってんだ??、と連絡が入りました。

事情を知る担当の書記官が夏休みだったようで、事情をご存じない書記官からの電話でした。

保険証を巡る攻防については、すでに裁判所へ上申書を提出し、裁判所としての意見も聞いて処理したところだったので、その旨を説明したところ、書記官から「早とちりですまない」と言った対応を頂きました。

そんな中、先日、ご本人の特別養護老人ホームへの入所が可能となりました。
特養への入所は通常2・3年かかるようですが、わずか2ヶ月程で可能となりました。
すでにその施設に入っている人の後見人を何件か受けているので、そういう融通が利いたのだと思います。

あとは、主治医による健康診断書を揃えればいつでも入所が可能という段階になったのですが、未だに特養への入所ができない状態です。
過去に本人の年金搾取、本人名義のクレジットカードの無断作成等数々の経済的虐待を行っていた虐待者が、特養への入所を妨害するため、本人の自宅に居座ったり、自分の家に本人を連れ去ったりして、病院への通院も妨害、毎日の訪問介護のヘルパーを怒鳴りつけて追い返しているのです。

関係者からの話では、過去に虐待者が本人の自宅に1年以上入り込んだことがあったそうです。虐待者は生活保護(住居費も支給されている)を受給しながら。

その結果、本人は1年間で3回精神病院に入院し、また退院した直後、何らかの理由で大腿骨を骨折してまた入院となったそうです。

今回も虐待者が本人を翻弄し、本人が同じような精神病を煩ってしまい、食事も1日1回取れなくなり、飲むべき薬が切れたのに病院に薬をもらいにも行けない、という状態で、かなり危険な状況となっていました。
自分の家にいながら、
「ここは自分の家じゃないから、弟のいる家に帰る」
「犬がいるはずだが、どこにもいない。探してくれ。」
という。もちろん、弟とは十数年音信不通で、また犬なんていないのです。

好意で入所を受け入れてくれた特養に対しても、いつまでも引き延ばす訳にはいきませんし、かといって入所を拒む本人を半ば強制的に入所させることは、いかがなものか。

裁判所に上申したところ、正式回答ではないものの、
「強制的に施設入所させるまでの保佐人の『義務』はない」
「仮にそれによって本人に何かあったとしても、保佐人が『責任』を問われることはない」
「行政による保護を期待するしかない」
と言ったものでした。

かといって、見過ごす訳にもいかず、
行政に対して、これまで私からは5回以上高齢者虐待の通報をし、またケアマネ、他の親族からも通報をしてもらっていたのですが、行政は、
「月曜日までに本人が自宅に戻らないようであれば、戻すよう虐待者に連絡する」
「対策会議を設けて検討する」
というものでした。

その1ヶ月後に、進捗状況を問い合わせると、
「その後、何の連絡もなかったので何もしていない。どうなったのか気になっていた」
等、お粗末すぎる対応でした。

高齢者虐待防止法では、
「市町村又は市町村長は、生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認められる高齢者を一時的に保護するため、迅速に老人短期入所施設等に入所させる等、適切に、措置を講じ、又は審判の請求をするものとする」
とされています。

衰弱する本人を危険と判断し、この規定に基づいて、保護を要請するも、
「重大な危険とは判断できない」
とのことです。

行政の担当者は、
「高齢者なんとかセンターに問い合わせたら、代理権のある保佐人であれば施設入所はできるはずだ、と言われたが」
というまるで見当違いの回答を寄越し、
「契約を締結できても、強制的に入所させることは人権に反することだから、高齢者虐待防止法に基づく行政の介入を要請しているんだ」
と言っても、担当者は理解すらできず。
「親族が本人を説得すればいいんじゃないですか」、と。

行政の担当者は、虐待に関する研修会に参加したり、色々努力されているようですが、現実の虐待事件にこのような対応しかできないお粗末なもののであれば、まったく意味がありませんね。期待していただけに、本当にがっかりです。

本人が万一のときは、行政の責任は重いです。

いずれにせよ、親族による本人の説得も現実味がなく、本人が同意しない限り施設入所は不可能、ということです。

特養に入れるせっかくの機会ですが、申し込みを取り消すしかありません。

近い将来、訪問介護では対処しきれない(今でも限界に来ている)状況に陥り、施設入所が必要になったとしても、入所をキャンセルした人を再度特養が受け入れてくれることはないでしょう。
お金もない人ですから、有料老人ホームは不可、3ヶ月ごとに老人保健施設を転々として貰わなければなりませんね。

本当にそれが本人の為なのでしょうかね。
つくづくこの後見業務が嫌になります。

不在者財産管理人・後見申立・受継手続

2010年08月10日 | Weblog
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ここの所、どうもうまくいかないことが続いています。

1.遺産分割調停の申立後、不在者財産管理人の選任が必要となる。
2.後見開始の申立後、申立人の意思能力が問題となり、取下。
3.係属中の訴訟において、依頼者が亡くなる。

難しいものです。

1については、遺産分割調停の管轄と不在者の最後の住所地の管轄が異なるため、
別の家裁に不在者財産管理人選任の申立をしなければなりません。
管轄が異なるため、遺産分割調停時に添付した戸籍関係の書類をまた集め直さなければなりません。
コピーを付けて戸籍原本を還付して貰う方法があったようですが、後日、不在者財産管理人選任が必要になるとは想像しておらず、また戸籍も20通程度のものであったため、そのまま原本を付けてしまったのでした。
遺産分割の関連事件として、同じ管轄で受けてもらえるようになればいいのですが・・。


2については、法律上、後見開始の申立権者には、「本人」も含まれています。
後見開始を必要とする本人が、自分で申立をすることも可能、とされているのです。
当然、事前に本人とお会いして、「これから必要な金銭の管理などを候補者である私が行っても良いか」「そのために裁判所に手続をお願いしなければいけないが良いか」という、かなりかみ砕いた表現で、意思確認を行った上での申立だったのですが、
いざ、裁判所に出頭し、調査官から、
「今日、あなたについて、後見開始の申立があったのですが」

本人は、「まったくそんな話は聞いていない」
「今日初めて聞いた」
と始まってしまいました。
待ち時間もあり、緊張と疲れから本人がイライラしているときに、
調査官が世間話をしないで、いきなり本題に入ってしまったことも一因かもしれませんが、まあ難しいもんです。

途中から、
「自分では金銭管理をすることはできないので、誰かに手伝ってもらえれば助かる。」
「(手伝ってもらう人は)この人で良い」
ということになり、何とかクリアしたかと思ったのですが、
裁判官が、「金銭管理をお願いしたいという意思は確認できても、後見の制度趣旨を理解していない人を申立人と認めることは難しい」と判断されてしまいました。

元々、市長申立は親族がいるため不可、親族の協力は得られない、という状況で、事前に管轄へ、「後見類型の本人が申し立てて問題ないか」という確認を取り、「可能」という回答を得たので、やむをえず、本人に申立人となってもらったのですが、

大事な調査官面接時に、本人があの状態であれば、取り下げもやむなしと思いましたので、本人に話し、素直に取り下げに応じてもらいました。

まあ、「後見」にも、「鑑定も省略できる(重度の)後見」と「保佐に近い(軽度の)後見」があり、後者については本人を申立人として受理することは可能だが、本件は前者にあたり申立の意思確認ができないとの裁判所の判断でした。

その後、一度断られた親族に事情を説明したところ、親族において申立人となることを快諾してもらえ、11日に再度申立をすることになりました。
取り下げた事件に添付した書類を援用することができ、今回の申立は申立書と申立人の戸籍謄本、収入印紙のみで受理してくれるそうです。


3については、、
次回期日に弁論終結、次回判決という段階にあったのですが、
次回期日の1週間前に、本人が亡くなってしまいました。

本人が死亡しても訴訟代理権は消滅しないので、特段手続は必要がないだろうと考えていましたが、裁判官より受継の手続を指示されました。
相続人は7名いるようで・・・。


夏休みを10日から15日まで取る予定でしたが、
8月12日から18日までに変更しました。

何もなければいいのですが・・。