水沢司法書士・行政書士事務所

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高齢者虐待の問題

2010年02月10日 | Weblog
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ここ最近、司法書士会やリーガルサポートにおいて、「高齢者虐待」に関する研修や行政等との取り組みが盛んに行われています。

「高齢者虐待」と聞いてまず頭に浮かぶのは、暴力や介護放棄などで、司法書士が業務として直接的に関わることは少ないだろうし、できれば関わり合いを持ちたくない、と思っていました。

しかし、ここ最近は「経済的虐待」のケースもよく耳にするところです。

「経済的虐待」とは、高齢者の身内などが、高齢者の年金を搾取したり、預貯金を勝手に引き出したり、高齢者名義のクレジットカードを作り借金をする等が当てはまります。

現に今、この経済的虐待が数年に亘って行われていた高齢者の保佐人に就任しています。

保佐人には、後見人のような代理権は原則としてありません。
代理権を求めるのであれば、裁判所へ、個別の行為についての代理権を付与する旨の審判を申し立てなければなりません。
裁判所の審判があって初めて保佐人に代理権が付くことになります。

成年後見制度になって10年がたった訳ですが、いまだに成年後見制度が浸透しているとは言えず、金融機関などにおいても十分な理解がされていない所もあり、後見人として就任している事件でも、窓口で「上の人間を出せ!」などと喧嘩になることもあります。

しかし、

 ほ さ

となると、その程度はより強いものとなります。

窓口の人間に「保佐人だ!代理権もある!」と言っても、まず理解されません。

その度に、上の人に代わって貰ったり、上の人もだめなら本部の人間を出して貰い、それでもだめなら代表者宛に内容証明を送りつけることになります。

また、個別行為を代理するにあたり、一つ一つ「これは代理権の範囲内か」を考える必要があり、それはまるで司法書士の代理権のような実に中途半端な代理権です。
代理権目録にない代理権を行使したいのであれば、別途裁判所へ追加代理権付与の申立をしなければなりません。


ところで、身内による「経済的虐待」が行われる背景には、その身内の経済的事情があります。

その身内が、借金をしていたり、無職で収入がないため親の年金に手を付ける、という事情が少なからずあります。

逆に言えば、その身内の借金を整理したり、生活保護の受給申請をすることによって、経済的虐待の解決が図られる可能性があります。


また、長年にわたって経済的虐待が行われていた場合、その高齢者の預貯金はほぼありません。
ただ、預貯金はないが、不動産はあるというケースもあります。

今回のケースについても、預貯金はないが不動産がある、というケースのため、自宅売却を視野に入れて話を進めていました。

しかし、ご本人は、「施設なんかに入りたくない。家にいたい。」という意志。

成年後見制度の根幹を考え、本人の意志を尊重するならば、自宅売却は避けた方がいいです。

しかし、サラ金からの借金を返すためには、自宅売却しか方法がありません。


そんなときに思い出したのが、「リバースモーゲージ」という方法です。
これは、

居住用不動産を担保にして、自治体や金融機関から定期的に生活資金の融資を受け、死亡したときに担保不動産を処分して借入金を一括返済する、というものです。

通常の住宅ローンが「一般抵当融資」であるのに対し、「リバース=逆、モーゲージ=抵当」と言うことらしいです。

亡くなるまで自宅に住み続けることができる、というのが最大のメリットでしょうか。

それはそうと、「リバースモーゲージ」なんて舌を噛みそうな名前でなく、「逆抵当」と普及させればいいのに・・・。

ただ、この場合、高齢者の死亡によって不動産の処分が必要になるので、推定相続人の同意が求められるようです。

おもしろいもので、この問題に関わり合いだした途端、別件で、この「逆抵当」の登記申請の依頼を受けることになりました。

金融機関によっても違うと思いますが、

①代物弁済予約による所有権移転請求権仮登記
②根抵当権設定登記

を行うとのこと。

登記が完了してから、融資を実行するとのこと。
融資が実行されたら、依頼者に費用を請求してください、と。

お金がないからリバースモーゲージを利用するのよ、と。

登録免許税は約50万円。

なるほど、

立て替え、ですな。