岩井作品をちゃんと観たのはすごく久しぶりな感じがします。あぁ、これだよな、と懐かしい感じになりました。瑞々しさの象徴の広瀬すずと森七菜と神木隆之介、ちょっとくたびれた感じの福山雅治と松たか子、「Love Letter」で主役だった豊川悦司と中山美穂のある意味汚れ役。なんと贅沢な。ただ単に映像がきれいとか、ストーリーが切ないとかいったことだけでなく、そこに登場する人物に重力というか、根っこがちゃんとある感じが、いままでの岩井作品より感じられたような気がします。監督自身を反映させた人物であるという乙坂鏡史郎を、しっかりと体現した福山雅治はすごいと思いました。が、たったワンシーンでしたがその福山雅治を圧倒した豊川悦司はさらにすごいと思いました。終盤、このうちの３人が偶然出会うシーンは、まさにタイムマシーンを使わないタイムスリップ。悔いの残る結末だったとしても、過去を昇華できた乙坂鏡史郎は幸運な男だなと思いました。
