ここまで何のてらいも無く妄想爆裂な映画はなかなかないんじゃないでしょうか。観ていて爽快なくらい。映画を作っている時のブラッド・バード監督やスタッフがニヤニヤしている様子が目に浮かぶようです。中には「いやそれ死んじゃうから」というシーンがいくつもありますが、まぁそれもオッケーな訳です。クライマックスはなんといっても◯◯の中から◯◯が出て来て!!!のシーン。サンダーバードかって言うの!そして音楽もワクワク・ドキドキを演出するとても楽しいものでした。以下ややネタバレです。テーマ自体はやや重たいものの上に物語は立脚しています。だからこそ、あの物語の終わり方(実は始まり方も含めて)に救いがあります。エピローグの、あのピンバッヂにまつわる部分は観ていて鳥肌がぞわわ~~っと立ちました。きっとこの映画が一番言いたいことはこのシーンにこそ込められているんだろうと思います。あきらめないこと。夢を持ち続けること。そしてそれは特別な力ではなく、身近な人たち誰にでもあり、それこそが世界を変えるのだということ。そして役者達も素晴らしい。ジョージ・クルーニーがどっしりと構え、そのおかげでケイシー役のブリット・ロバートソンとアテナ役のラフィー・キャシディが実にのびのびと立ち回ります。ラフィー・キャシディのお人形さんのような可愛らしさと言ったら!(役の中身はすごいんですけど)。秘密結社「プルス・ウルトラ」の話しをもっと掘り下げたらもっと面白かっただろうなぁ。でもそれやっちゃったら3時間オーバー確実。終盤に説明台詞が多くなっちゃうのと、登場人物同士は目を合わせるだけで意思が通じちゃう的なアメリカ映画の得意技があったりしてついていくのが少し大変ですけど、それでも十分楽しい映画でした。