風立ちぬ。

公開が待ち遠しくて初日に駆けつけた・・・と言う訳ではなく、たまたま観に行けるのが今日だったというだけです。これは大人の映画だなぁ。単にキスシーンがあるからとかではなく、物語を理解するには、「働く」とはどういうことかが、経験に基づいて理解出来ていないとピンと来ないんじゃないかと思うから。労働をテーマにした物語ではないけど、やりたい仕事、任された仕事を全うするのがどういうことかは当然子供には分からない。だからおそらく二郎の本当の辛さは子供には理解出来ない。僕は現代に生きるいちサラリーマンで、二郎が生きた時代の男達のように仕事にまっすぐに情熱を注ぐようなことはないけれど、少なくともその部分は理解は出来る。二郎が仕事を全うし、やっと菜穂子のもとへ戻れたのに、疲れ果てて眠ってしまうシーンは切ないですねぇ・・・。その後の展開を観ると尚更。物語を完結させるようなオチがある訳でも、後日談ですっきりさせる事も無く映画はバッサリと終わります。よく新聞などの記事の内容が「事実関係のみで論評無し」というパターンがありますが、誤解を恐れず言うならそんな感じ。観た人が自分で何かを受け取りに行かなければ、何も感じる事が出来ない映画のような気がします。難しい映画作ったなぁ・・・。心配だった庵野監督の声は、第一声は「うわ、違和感ありすぎ」て感じでしたが、いつの間にか二郎として受け入れる事が出来ました。菜穂子の声も含めて過去の作品ほどしっくりは来ないけど、リアリティがあって良いかも。出演する方はおわったんだから、後は二郎みたいに作る方をがんばってくれ。