大道具さーん ちょっとー!

舞台美術製作 金井大道具㈱ごきげん営業阿部 ここに日々の業務を垣間見る。お気楽に「大道具さーん、ちょっとー!」

松竹大歌舞伎3

2006年11月20日 | 歌舞伎巡業

松羽目です。
「勧進帳」です。
今月は演舞場でもやっていますが、こちらは“松竹大歌舞伎”の巡業です。
松本幸四郎丈の弁慶。
23日(木)勤労感謝の日 秋田県小坂町:康楽館で“松本幸四郎 弁慶”900回目の上演を迎えます。



「勧進帳」のクライマックスと言えば、最後の幕外での見得から飛び六方での引っ込み。

物語の最後に弁慶と富樫が互いに思いを入れて見合います。チョーンと柝が鳴って、定式幕が閉まります。富樫は幕に隠れてしまい、弁慶のみが花道の七三(しちさんと言って、花道を十分割して、舞台から三つ目くらいのところ)に残ります。
弁慶役者の見せ所。富樫への感謝とか、義経への想いとか、いろんな感情を凝縮させて最後の大見得を切ります。そして飛び六方を踏んで花道を去っていきます。この間台詞は一言もありません。役者と鳴り物と附けうちとで絶妙の間を作り出します。

この時、何気なく定式幕が閉まっています。
幕引き係(大道具さん)が、幕の端を後ろへ引っ張って連子窓を見せて、下座の鳴り物を聞かせます。
定式幕のない会館では緞帳でやることがほとんどなのですが、緞帳でやると下座の鳴り物が聞こえにくいんですね。
そこで今回の巡業ではそのような会館にも、持ち込みの仮設の定式幕を吊りこんでいます。
これが結構、手間のかかる作業で、カーテンレールをバトンに取り付けるのですが、会館ごとに条件が違うので、毎回仕込み方が違ってきます。
終演後はすばやく撤収して移動しなければいけません。
各会館の担当者の方、ご協力ありがとうございます。

でも、音的にも、見た目にもやはり「勧進帳」には定式幕が一番ですね。

これから観る方はどうぞ定式幕もご堪能くださいまし。

コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« o-douguでございまーす2(サ... | トップ | 歌舞伎ワークショップ »
最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
幕外って? (TACHIMAWARI)
2006-11-22 14:13:41
先日、歌舞伎を観劇した方から質問を受けたのですが、

『幕外になる時、定式幕は一旦閉めてから下座を見せますが、何故一旦閉めるのでしょうか?何故直接幕外の位置に行かないのでしょうか?』随分合理的な考えだなとは思うのですが、o-douguさんとしてはどうお考えになりますか?
返信する
なるほど~(^o^) ()
2006-11-22 21:05:39
巡業の定式幕、あれ?と思ったんです(@o@)??
地元にはないはず・・そういうことだったんですね。
大道具さん、おつかれさまでしたm(__)m
返信する
幕外って (o-dougu)
2006-11-23 04:05:57
あくまでこれはわたしの感覚ですが。
“お芝居”はここでおしまーい。(幕をしっかり閉める)
あとは“役者”をたっぷりとご堪能くださーい。(下座を見せる)
と言う感じかな。カーテンコールに近い感じもするけど、ちょっと違うかな。

あとは、直接幕外の位置に幕を持っていくと、幕の形が悪くなりますね。これは理屈ではなくて見た目の“おさまり”が悪いということです。逆に“おさまり”がつけばそれでもいいのかもしれませんね。

お答えとしてはこんなところでしょうか。頼りなげな答えですが、どなたかご教示ください。


返信する
初めましてこんにちは! (ピーヒャラ5656)
2006-11-25 13:03:54
「附け打ちエッセンス」のyamato-ruさんのトコから来ました。ピーヒャラ5656と申します。
歌舞伎は好きですが、住んでいるところと家庭の事情で実際に観に行くのは年に5、6回が限度です。
大道具のことや決まり事など、コチラのブログで教えていただきたいなと思います。
昨日は新橋演舞場の昼の部を観てきました。

コチラのブログをブックマークしてもよろしいですか?
もし良かったら私のトコものぞいて見て下さい。
歌舞伎以外のこともあって種々雑多なページですが(汗)
返信する
ピーヒャラ5656さんへ (o-dougu)
2006-11-28 15:58:55
ブックマークの件。どうぞどうぞ。何一つ差し障りありまっせん。よろしくお願いします。
返信する

歌舞伎巡業」カテゴリの最新記事