*25周年のご挨拶
2013年、数多くの素敵なゲストに支えられ、ゲストハウス・ノーサイドは開業25周年を迎えました。皆様に心より御礼申し上げます。
北アルプスが聳える美しい風景に加え、清らかな水と空気を湛えた安曇野。その素晴らしさを生かした宿でありたいという想いに賛同してくださるゲストの方々と共に歩んだ歳月は、私たちにとって宝物となりました。
「ノーサイド」とはラグビーの試合終了後、互いに相手をたたえ合い交流する、という意味であり、この館の中では、国籍、文化、社会的地位、その他すべての差異を互いに認め合い、交流して欲しいという願いを込めた名前です。
そして、訪れてくださるゲストの方々に喜んでいただきたいと、拙いながら努力を重ねた結果、ノーサイドは2人の「辰さん」を手本とする宿となりました。
お一人目の「辰さん」は元朝日新聞論説委員で天声人語の筆者でもあった辰濃和男さんです。辰濃さんは著書「ぼんやりの時間」(岩波書店)の中で、豊かな創造・発想力はよりよい仕事の礎であり、それには、自然の中で心身を休息させ、ぼんやりと無為な時間を過ごすことが大切なことを、丁寧に説かれています。
様々なストレスに疲れている心を癒し、小鳥のさえずりや、風にたなびく木立など豊かな自然で五感を磨いていだけるよう、私達は自然本来の美しさと静けさを大切にしています。そのため、テレビなどの人工物をできるだけ避け、騒音に囲まれた都会では味わえない本当の「ぼんやり」をご提供できるよう心がけてきました。
ただ、現在は災害時等の情報収集に不備がないよう、無線LANは設置しております。
そして今一人の「辰さん」は料理研究家の辰巳芳子さんです。
辰巳さんは「食べることは生きること」と、食を通じて人の営みの大切さを説かれています。
飲食店としてお料理を提供する場合、どうしても見た目の華やかさや、品数にとらわれてしまいがちです。しかし、人手のない個人の宿でそのようなことばかり追求すれば、食の質を保つことは困難となります。
そこで私達は、辰巳さんの、食物本来の淡味を生かし、滋養に満ちた真に豊かな食事を大切にする、という考え方の下に、原材料や調味料の吟味、野菜などの丁寧な下拵え、栄養吸収を考えた素材の取り合わせなど、見た目にはわからない地味な部分に手間をかけた良質のお料理をご提供して参りました。
残念なことに、旅行サイトでご予約された一部の方にはご理解いただけない時期もありましたが、リピーターの方々のお顔を思い浮かべながら、辰巳芳子さんの考え方を守って参りました。
御来館時はどことなく顔色のすぐれなかったゲストの方が、翌朝、「何となく体調がよくなりました」と晴れ晴れした表情でお帰りになる姿を見送るときの安堵に満ちた心持ちは、何ものにも代え難い嬉しさです。
素材本来の力で人の心身を健やかにするための手助けが「料理」であると私達は考えており、これからは病気予防などより明確な視点でお食事のご提供を試みたいと思っております。
開業25年という節目の年を迎え、今後は自然環境を守るため、環境負荷をより低減すること、そして脳機能を守ることにより、認知症をはじめとするあらゆる病気の予防に取り組みたいと考え、その一環として新たに「語りの履歴書」という企画も始めました。
良質をご理解くださる素晴らしいゲストの方々とともに、真の豊かさを次世代へと伝えて参りたいと思っております。
http://www.no-side.com
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これからも多くの方に、ノーサイドを堪能して欲しいです。