この迷宮の案内人・銀狐です。
不定期連載小説「Punishment―疑わしきは罰せよ―(8)罪と罰」完成・投稿しました。
まるでB級映画のような体裁を取っていますが、それはあくまでも精神世界の主題を効果的に表現するための演出であり、茶番劇にしかならなかったのはいかんせん哀しいかなきつねめの筆力の乏しさ故で、忸怩たる思いです。
しかし、いつかは書こうと思いながらも機が熟さず今までは書けずじまいだったテーマで曲がりなりにも作品として完成したのは至上の喜びであります。
私事で恐縮ですが、最初に小説を書き始めた頃は、創作は自分探しの一環でした。この1年半の間に現実世界でもいろいろな出会いや別れ、そして再会を通じて少しは成長できたかなと思います。
その中で今まで自分の中でどうしても解決できないいくつかの過去のトラウマがあったのが、解決は出来ないまでも幾分はほぐれ、きちんとした答えまでは出せないものの、何となくあまりこだわらずに済むようになってきたのは、物語の形にすることで俯瞰できるようになり、近視眼的なものの見方に固執しなくなって来れたおかげだと思います。
自分が気に病み続けてきたものは単に自分が忘れ去ってしまうことに対する罪悪感からの執着に過ぎず、他人は例えその時の当事者であってもそれほど気にしている訳ではないと気付かされました。
事実は何年何十年たとうと消えたり変わったりすることはないけれど、良かれ悪しかれ事実の記憶はあってもその当時の感情はいつしか薄れ、風化して行くものだと言うことです。
日々生きて暮らしていく中でいつまでも過去に囚われていてはやっていけません。
どんなに強い怒りや憎しみも深い悲しみもいつしか薄らいでいくものなのです。
しかし、言葉は悪いですが、いわゆる被害者的な立場なら忘れて水に流してもいいけれども自分がいわゆる加害者的な立場であった場合、忘れてしまうことには罪悪感が付きまといます。
忘れたからと言って事実がなかったことになる訳ではないのだけれど、何か後ろめたくて無意識に忘れてはいけないと反芻する。
そんな精神のメカニズムによってトラウマは形成されるのです。
今回は自分の中では最大の未解決のトラウマについて整理しようと思いこの物語を書きました。
今までのトラウマと同じように解決はしないまでも、何とか消化できないかと試みてみた訳です。
今はまだその手ごたえを感じるには至りませんが、少々心が晴れた気がします。
やっと肩の荷が下りたというか…。
お喋りが過ぎたようです。最後に少々解説を。
既にお気づきの方も多いと思いますが、主要な登場人物のネーミングは「不思議の国のアリス・鏡の国のアリス」がモチーフです。
ラビット=白ウサギ、ハッター=イカレ帽子屋、マウス=眠りネズミ、プス=チェシャ猫、ドルダム&ドルディもそうです。
女性キャラのセリア、エシラ、レイカは全てALICEのアナグラムです。
他はカルマ=ドイツ語の「業」、ロード=英語の「主」、クラモチ=きつねめの実名の姓とよく似た音なので電話などで聞き間違えられることがある姓です。
今後のことについては少々思うところもあるのですが、今のところは言及せずにおきます。
よろしければまた時空城へお越し下さい。
心よりお待ち申し上げております。