きつねの戯言

銀狐です。不定期で趣味の小説・楽描きイラストなど描いています。日常垢「次郎丸かなみの有味湿潤な日常生活」ではエッセイも。

銀狐通信

2013-02-28 22:53:31 | 日記
どうも。銀狐です。
いつもお参りありがとうございます。

不定期連載中の「desire」第6・7幕投稿しました。
タイトルに「夜の章」と入っている物語は全部で4つ。その前半2つの物語です。
後半2つは既に下書きは終わっており、一気に公開を予定していたのですが、残念ながら半分までしか推敲が終わっていなくて前半のみ投稿する事となりました。

「夜の章」というタイトルからも挿絵からもお判りの通り少しエロティックな物語が展開されています。
非リア充の狐めは非常に照れまくりながら書いていたりしますが、これも物語の主題である「望み」すなわち人間を罪に導く「欲望」というものを現すのに必要な展開ですので粉骨砕身努力しておりますよ。

後半以降の予告を少しだけ。
「夜の章・第8幕 上弦月(じょうげんのつき)」は主人公・水藻が正室・狛妃に呼ばれます。男勝りの奥方の秘めたる“望み”とは何か?
「夜の章・第9幕 十六夜(いざよい)」は久々に武官・猿彦が登場です。彼の物語はこの後の第10・11幕からなる「昼の章」に繋がって行きます。

「昼の章」は第10・11幕の2つの物語からなります。
「夜の章」が極めて私的な感情をベースに展開するのに対して、「昼の章」は戦世の中に渦巻く人間模様がベースの物語。
今まで割合影の薄かった文官・龍狼と、彼とは全く正反対の武官・猿彦が出てきて、ここで物語は急展開。
さて、いわゆるラスボスは誰なのでしょうか?
いよいよクライマックスとなります。
そして11幕で一応物語は完結です。

そしてその後のエピローグを読んだ人が
「ああ、なるほどね。そうだと思った」
と思うのか
「ええっ、そうだったのか」
と思うのか…まだエピローグの展開は流動的です。

鋭意制作中ですので、「desire -傾国妖狐伝説・夜の章-」後半及び「昼の章」「エピローグ」どうぞご期待ください。

又のお参り心よりお待ち申し上げております。

desire 7 -傾国妖狐伝説・夜の章-

2013-02-28 18:53:56 | 日記


第7幕 朔(さく)

 晦(つごもり)の翌日は朔の日。月の無い朔の夜はいつもに増して暗かった。
その深い闇の中、水藻(みずも)は自分の寝所(しんじょ)の前に人の気配を感じて目を覚ました。戸を開けると既に人影はなく闇に白く浮かぶ置き文だけが残されていた。部屋の灯りを燈して読んでみるとそれは人目を忍んで寝所へ忍んで来る様にという主・獣王(ししお)の妹・愛(めぐ)姫からの直文だった。

 『お呼びでございますか?』
愛姫の寝所の戸の前で水藻は小声でそっと呼び掛けた。
「水藻…。早速来てくれたのね。ありがとう。入っていらっしゃい。」
『はい。失礼致します。』
静かに戸を開けて部屋の中に入ると、寝衣(しんい)姿で寝床から半身を起した愛姫が居た。
「驚かせてごめんなさい。はしたない女だと思ったでしょう?こんな時間に殿方を寝所に呼びつけるなんて…。」
愛姫は恥ずかしそうに言った。
『…いえ…。僕に何か…?』
淡々とした口調で水藻が訊ねた。
「貴方は…その…昨夜兄と…。」
愛姫は頬を赤らめて言いにくそうに口籠った。
『はい。明け方までお傍についてご奉仕しておりました。僕は獣王様の従僕(いぬ)ですから。』
愛姫の言わんとする言葉を察して水藻は問われる前に答えを告げた。
「…やはりそうだったのね。兄の噂は聞いているわ。今までの小姓も度々寝所に呼ばれていたらしいと。でも、水藻。…貴方は…特別だとか…。」
『はい。愛姫様のご想像の通りです。』
(!?)
はっきりと言葉にはし辛そうな愛姫に代わって水藻は先に答えた。
「…そうなのね…。やはり…。」
『愛姫様。僕は昨夜獣王様がずっと心に秘めて来られた“望み”をお聞きしました。
貴女にもお訊ねします。何故貴女は今夜僕をここにお呼びになったのですか?貴女の“望み”とは一体何なのでしょう?』
大きな瞳を見開いて愛姫は哀しげに水藻を見つめた。
水藻はその金茶色の瞳でじっと愛姫の深い黒色の瞳を覗き込んで言った。
『お気づきなのでしょう?獣王様の“望み”とは何なのか。獣王様が何故昨夜僕を呼ばれたのか。そして僕に何を“望んだ”のか。
…だから貴女は今夜ここへ僕を呼んだのではありませんか?』
愛姫は目を伏せてふっと溜息をついて言った。
「…何もかもお見通しなのね…。昼間兄が不思議な事を言ったわ。貴方は人の“望み”を映す水鏡だと。
それなら私が何を“望む”のか、貴方は既に知っているのではないかしら?」
『はい。貴女もまた獣王様と同じ事を“望んで”いらっしゃるのでしょう?』
そう言うと水藻は腰の柔らかな細帯を解き、するりと寝衣を脱ぐと、その何一つ身に着けていない白い躰を愛姫の隣に滑り込ませて耳元でそっと囁いた。
『聞かせて下さい…。貴女の“望み”とは何なのですか?貴女は僕に何を“望む”のですか?』
愛姫は水藻の躰にしがみつき、振り絞るような声で言った。
「…私は幼い頃からずっと兄に憧れて来たわ。強くて賢くて優しい兄。私をとても大切にしてくれる兄。
私達兄妹は二人きりで居城に引き取られ、周りから孤立していたわ。
そんな中で兄はいつも私を守ってくれた。私はずっと兄が大好きで愛していたわ。
…そして…いつしかその気持ちは単に兄妹だからというのではなく、一人の男性として兄を愛しているのだと気付いたの。
でもそんな事が許される筈がない。同じ父を持ち、母同士が姉妹である私達が愛し合うなんて、人間としてあってはならない事だもの。
家同士の都合で勝手に決められた結婚で兄の元にお義姉(ねえ)様が嫁して来られても、同じ様に家同士の都合で私の縁談が進められても私の気持ちは決して変わる事はなかった。それはきっと兄も同じだったと思うの。私には痛いほどわかるわ。
もしも私達のこの互いへの気持ちが思い違いで、単なる兄妹の情に過ぎないと言うのなら、私はまだ本当の愛も恋も知らない。
それなのに明後日好きでもない人に嫁ぐ事になるのよ。一度もあった事もなく顔も知らない相手の所へ。
…だからきっと兄はいたたまれない思いで貴方を…私の身代わりに…。
水藻。…お願いがあるの。…貴方は男にも女にもなれると聞いたわ。
…兄が貴方にした通りに、貴方が兄にされた全ての事を、そっくりそのまま私にして見せて…兄の身代わりになって頂戴。
…それが…私の“望み”…。」
愛姫は泣きじゃくりながら必死になって偽らざる想いを一気に吐き出した。
水藻はその唇で愛姫の頬を伝う涙を吸いとると柔らかな笑みを浮かべて言った。
『…愛姫様…承知致しました。
僕の中の女に対して獣王様が与えた全てを、僕の中の男が貴女にお返ししましょう。』
「水藻…。」
愛姫ははにかみながらゆっくり寝衣を脱ぐと水藻に寄り添いその頬にそっと口づけた。
水藻は線は細いが筋肉の引き締まったその両腕で愛姫の体を抱き締め昨夜の獣王の行動をなぞる様に愛姫の胸に顔を埋めた。
 不思議な事に昨夜はたおやかな女性の様だった水藻の躰つきが今夜はどう見ても華奢ながら美しい青年のそれにしか見えなかった。
いつもきつく晒を巻いている胸は薄いながらも広く、細い腰も長い手脚もしっかりとした骨格を感じさせた。
 愛姫は水藻に身を委ね、生まれて初めて感じる悦びに打ち震えた。
目を閉じた愛姫の瞼の裏には兄・獣王の姿がくっきりと浮かび、愛姫は兄の腕の中に抱かれていると思い描いていた。
一夜限りの仮初の夢の中で愛姫は現実には叶う筈のない兄への想いを遂げたのだった。
(ああ…お兄様…。私は今お兄様に抱かれているのね。…水藻の躰を借りてお兄様の魂が私を抱いているのね…。嬉しい。お兄様と繋がれて…一つになれた…。やっとお兄様と結ばれた…。)
愛姫の目から喜びの涙がすうっと糸を引く様に流れ落ちた。

 明け方愛姫が覚めた時、既に傍らには水藻の姿はなかった。
愛姫は寝所を出て隣の間に行き、翌日の婚礼の為に用意されていた純白の婚礼衣装に着替えると獣王から手渡された懐剣を取り出した。
(…お兄様。…これが私の花嫁衣裳よ。この世では兄妹として生まれたばかりに許されなかったけれど、私はお兄様の花嫁になりたかった。生まれ変わったら次の世できっと巡り合って今度こそお兄様の花嫁になりたい。
…他の殿方には決して嫁ぎません。私はお兄様のもの。ずっとお兄様だけのもの。愛しているわ…。お兄様…。)
愛姫は懐剣を鞘から抜いて左胸深く突き立てた。純白の婚礼衣装は瞬く間に真紅に染まり、血の海の中に倒れている愛姫が発見された時には既に息はなかった。
 愛姫はとても安らかな幸福そうな微笑を浮かべて絶命していたという。

to be continued

desire 6 -傾国妖狐伝説・夜の章-

2013-02-28 14:31:59 | 日記


第6幕 晦(つごもり)

 「東方に猛々しき若獅子・琉斯覇獣王(るしは・ししお)あり。」
君主となった獣王の名は津々浦々に知れ渡り、地の果ての辺境の寒村に至るまで遍く轟いた。
 獣王は東国の戦況不安定に対する懸念から西方の居城(しろ)には入らず、側近の武官豊川猿彦(とよかわ・さるひこ)に留守を任せて自身は東方の前線に近い自らの居館(やかた)に留まった。それは遠からず行われるであろう獣王の妹愛(めぐ)姫と東隣の国の君主の御曹司との婚礼に備える為でもあった。
 その許婚は今を時めく琉斯覇一族と姻戚関係を結ぶ事で今や飛ぶ鳥をも落とす勢いの獣王の力にあやかろうとして一日も早く婚礼をとの矢の様な催促を送って来た。
 獣王はこれまでは戦況が激しく私事を行う余裕がないとし、今は君主交代による国内の地盤固めが優先だ等と実しやかな理由をつけては毎回のらりくらりと婚礼を先延ばしにしてきたがもうそれも限界に近づいていた。
 隣国との交渉に当たっていた文官の佐田龍狼(さた・たつろう)が帰館して獣王と愛姫に訴えた。
「獣王様。かの国の忍耐も既に限界。度重なる延期に痺れを切らし最早抜き差しならぬところまで来ております。これ以上の婚儀の遅延は戦にも発展しかねません。
 西の隣国、正室・狛妃(こまき)様の父君とは同盟関係にあるとはいえ、豊川殿が留守居をしておられる西方の居城には未だ面従腹背の亡き父君、前君主・高望(たかもち)公派の輩も潜んでおります。その輩がかの国と密かに手を結べば直ちに火種となり東西から挙兵されて挟み撃ちにされましょう。
 今は出来るだけ早く愛姫様にお輿入れ頂き、東国全体の安定を図らねばなりません。
…私はかの国と約して参りました。婚礼の儀は次の三日月の日に執り行うと。
重要な国事の全てを独特の占術によって決定するかの国の慣例に従い、吉日のその日に婚礼を執り行う事だけは決して譲れぬと極めて頑なな態度にございました。
 獣王様には大変余日少なく承服し兼ねると仰りたいところではございましょうが、ここは何卒ご了承賜りたく…それが今この国の為に最も必要な事なのでございます。」
「…お兄様…。」
愛姫が縋る様な目で獣王を見た。龍狼の言葉は正しい。それが間違っていない事は誰もが知っていた。
「…愛…。止むを得ん。そういう事だ。そんな目をして見るな。この戦世(いくさよ)で君主の家に生まれた女の運命(さだめ)とお前も覚悟はしていたろう。来るべき時が来たまでだ。…俺だってお前をこんなに早く手放したくはなかった。
いつかはそんな日が来るとしてももっと先だと思っていた。口惜しいが、あの男の言う事は間違ってはおらん。絶対に正しい事しか言わん男だ。忌々しい程にな。
…愛。非力な兄を許せ。俺にはもうこの手で直接お前を守ってやることは出来ん。
正室とは名ばかりで要は人質。お前をそんな目に遭わせたくはない。だが拒否する事は許されん。俺も辛いのだ。
…狛妃も義父(おやじ)殿が俺を見込んで下された正室だが、あれはよくできた女だ。義父殿も
〈狛妃は女にしておくのが勿体ない。この娘(こ)が男でさえあればとつくづく思う。〉
と仰せになる程だ。
天下を目指す俺と志を共にし、俺を立て俺を支え、しかし決して俺におもねる事がない。はっきりと自分の意見を言うし、極力俺には頼らん。何一つ言わずとも俺の意志を察し、俺の事国の事を慮って自分のすべき事をを判断し、行動する。
お前に狛妃の様になれとは言わんが、お前も琉斯覇獣王の妹だ。凛として自分を見失うのではないぞ。…水藻。あれを。」
『はい。』
背後に控えていた小姓の尾咲水藻(おさき・みずも)が獣王に一振りの懐剣を手渡した。
「お前が嫁ぐ日の為に異国から取り寄せた護身用の懐剣だ。
これからお前はたった一人で敵地に赴くに等しい。
だが怖れることはない。俺達兄妹がかつて琉斯覇の居城に引き取られた時とさして変わらん。ただ今度は俺はお前の傍に居てやれん。
自分の身は自分で守れ。それ故お前にこの懐剣を授ける。持って行くがいい。」
獣王が愛姫の眼前に突き出した懐剣は金銀宝玉を散りばめて贅を尽くした美しい鞘に収められていた。愛姫ははらはらと涙を流しながらその懐剣を胸に押し頂いて言った。
「…お兄様…。ありがとうございます。お兄様のお気持ちは良く判っているわ。…この懐剣をお兄様だと思って肌身離さず後生大切に致します。」
愛姫はきらきら輝く宝剣を胸に抱いて広間を去った。

 「…水藻。今夜は晦だったな。今夜庭の一番高い糸杉の上に月がかかる頃獅子の間で待っている。寝衣(しんい)のままで人目に触れぬ様忍んで来い。勘のいい貴様の事だ。その意味は…判るな?」
獣王は水藻の方を振り返り、ニヤリと笑って言った。広間には今二人だけしか居ない。
「…貴様に聞いて貰いたいもう一つの“望み”があるのだ…。」
獣王は遠い目をして半ば独り言の様に呟いた。水藻は妖しく美しく微笑んで答えた。
『はい。獣王様。承知致しました。僕は貴男の従僕(いぬ)ですから。全て貴男の“お望み”のままに…。』

 深夜庭園の一番高い糸杉の上に消え入りそうに細い晦の月が上った頃、水藻は一人密かに広間の奥のからくり扉を開け、獣王の秘密の部屋・獅子の間に足を踏み入れた。
「水藻。こっちだ。」
奥の方から獣王の声がする。今まで気づかなかったが飾り棚の裏側にもう一つ隠し部屋があるらしく、そこから微かな灯りが漏れている。
 水藻が部屋に入るとそこは獣王の寝所(しんじょ)だった。
仄暗い部屋の中央には異国風の大きな寝台があり、ふんわりとした大きな羽枕に片肘をついて横になり水藻を待っていた一糸纏わぬ獣王の姿を傍らの小卓に置かれた小さな灯りが照らし出していた。真鍮の枠で縁取った八面の硝子板に囲まれた異国風の燭台の中央で蝋燭の炎がゆらゆらと儚げに揺らめいていた。
 獣王が片手を上げて迎えると水藻はふっと微笑んで何も言わずに腰の柔らかな細帯を解いた。両肩から襟を外すと寝衣はするりと足もとに落ち、その白い躰には何一つ身に着けていなかった。いつもは胸に巻いている晒(さらし)さえも。
「…美しい…。」
獣王は隻眼を細めて上から下まで水藻を視姦し、存分にその美を堪能した。
細い頸、長くて細い手脚、括れた腰、そして胸には形の良いふくらみまでがあった。
『獣王様。貴男のもう一つの“望み”をお伺いいたしましょう。』
水藻の柔らかく艶めかしい声が獣王の耳を擽る。
「貴様にはおおよそ察しがついているのだろう?だからその様な姿で現れた。違うか?」
水藻は音も立てずにゆっくりと寝台に近づき、そっと寝台に上がると静かに獣王の隣に躰を滑り込ませてその耳元に囁きかけた。
『僕は男でもあり女でもあるもの。そして男でもなく女でもないもの。
男は僕の中の女を抱きたいと欲し、女は僕の中の男に抱かれたいと願う。
だから僕は与えるのですよ。それぞれが求めるものを。ただそれだけです。
僕は貴男の“望み”を映す水鏡。…お聞かせください。貴男の“望み”とは何なのですか?』
水藻の金茶色の瞳に見つめられ獣王は苦悩の表情を浮かべた。
「…水藻。俺のもう一つの“望み”、それは…。俺にはずっと心に想ってきた女がいる。その女を俺だけのものにしておきたい。
だがその想いを遂げる事は人の道に外れる。決して許される事ではない。…それでも俺はその女以外の女を抱けない…。」
『…だから今までもずっと小姓がお相手だったのですね…。』
(!?)
『初見の時の僕に向けた狛妃様の視線と言葉…そうではないかと思っていました。
…そして貴男が本当に心から愛する女性とは…愛姫様…ですね…・。』
驚いて言葉を失った獣王に水藻は淡々と言った。
「…そこまで気づいていたのか。しかし貴様は今までの小姓とは違う。
俺は今夜小姓としての、男としての貴様ではなく、貴様の中の女を求めてここへ呼んだのだ。
妹はもうすぐ他の男のものになってしまう。そう考える事は耐え難いが、俺にはどうする事も出来ない。
この体の奥に燃え盛る炎をどうにも抑えられなくなりそうで、俺は自分が恐ろしい。
俺の中にはあの男の血が…俺の母と妹の母を玩具にして捨て、その手から愛し子の俺達兄妹を奪って殺したあの男の悍ましい血が流れているのだ。俺は妹が欲しい。恋しくて愛しくて今にも気が狂いそうだ。
…今夜初めて俺は妹以外の女を抱きたいと思った。しかしその一方で他の女を抱くことは妹への想いを穢す汚い裏切りの様な後ろめたさを感じてしまう。こんな矛盾した俺の“望み”は貴様以外には聞かせられない…。」
苦渋に満ちた表情で絞り出すように獣王は言った。
『でも、貴男には狛妃様という奥方がいらっしゃいます。』
水藻は極めて冷静な口調で言った。
「…判っている。…いずれは狛妃に俺の子を産んでもらわねばならん。狛妃はその為に嫁してきたのだからな。
…狛妃は信頼に足る同志だ。俺が女に興味を示さない男だと知っても狛妃は何も言わん。
俺は別に狛妃を嫌っている訳ではないのだ。ただ、狛妃を女としてみる事は出来ん。とてもそんな気にはなれんのだ。」
水藻は獣王の頬を両手で包み込んでじっと深い黒色の隻眼を見つめて言った。
『…貴男は正直ですね…。さあ、もう一度僕に貴男の“望み”を聞かせて。貴男は今目の前の僕に何を“望む”のですか?』
口を開こうとした獣王の唇に白くて細長い指を当てて閉じ水藻は獣王の耳元に自らの唇を寄せて熱い吐息と共に甘く囁いた。
『言葉ではなく、貴男の感情の赴くままに、貴男の体で示して見せて…?』
「…愛!…愛!」
獣王は水藻の白い胸に顔を埋め、妹の名を繰り返した。

 夜明け前獣王がふと目覚めると燭台の蝋燭は燃え尽き薄暗い寝所の中には既に水藻の姿はなかった。
早朝から本陣へ見廻りに出かける為支度を整えて獣王が居館の表に出ると、愛馬の白馬・疾風(はやて)の手綱を持って跪く水藻が待っていた。
『おはようございます。獣王様。見廻りには僕もお供致します。』
立ち上がった水藻から手綱を渡された瞬間獣王はふと違和感を覚えた。
「水藻?」
『はい。』
「貴様はそんなに背が高かったか?こうしてみると貴様は俺よりも少し背が高いのだな。」
(昨夜は俺の腕の中にすっぽりと収まっていたはずなのに…?)
『ふふふ…獣王様。ご存知ですか?ある種の魚は海中をより速く泳ぐために胸鰭を体内に収めることが出来るそうですよ。
僕は生まれつき躰も関節もとても柔らかく、自分の意志で少しだけ姿形を変えることが出来るのです。背の高さは勿論、突起や隆起を外に出すも内に収めるも自在なのです。
…昨夜の僕は確かに女だったでしょう?それは誰よりも貴男が一番よくご存知の筈ではありませんか?』
水藻は獣王の耳元に唇を寄せ、小声でそっと囁いた。
獣王の脳裏に昨夜の水藻の美しい姿態が甦った。
容姿の美しさだけではない。今まで経験した事のない感覚に溺れ酔いしれた。
それはまるで噂に聞く異国の媚薬の如く。人を夢中にさせとろけるような夢心地に誘う甘き毒薬。
まさに傾国の妖(あやかし)の名にふさわしい不思議な魅力の持ち主だった。
 獣王はその幻を振り払う様にぶるぶると頭(かぶり)を振るとひらりと疾風にまたがり鞍上から手を差し伸べて水藻に言った。
「貴様も乗れ。」
そしてその細い手首を掴んで水藻を背後に乗せると鐙に掛けた両足で勢いよく疾風を一蹴りして振り返りニヤリと笑って言った。
「しっかりと俺につかまっていろよ?」

to be continued

2月27日(水)のつぶやき その2

2013-02-28 01:35:21 | 日記

夜の8時から翌朝6時は食べれば太る魔の時間帯。これは時計遺伝子が作り出すビーマルワンという物質が深夜2時にピーク、昼の2時にほぼ0の増減を繰り返すから。ビーマルワンは脂肪の合成を促すだけでなく脂肪細胞を分裂させる。この時間帯に食べないだけで太らなくなる。 #有益なことをつぶやこう

ぎんぎつね@ブログ小説不定期連載中さんがリツイート | 1716 RT

【喘ぎ声】 梶くん→辛そう 下野→ハイテンション、感じすぎ たっつん→ビッチくさい のじけん→ひたすらエロい  神谷→犯されてる感  てらしー→可愛い  代永→女子、非処女  石田→石田 杉田→戦ってる 小野D→リアル喘ぎ 星野さん→必死  緑川→プロ←new! masir


人はあらかじめ自分の価値というものを自分なりに決めていて、それに見合った相手を無意識のうちに選んでしまう。これを「マッチング効果」という。


ノートはとりますが読み返しません。とった時点でだいたい覚えるので。語られたことを自分の手で再現することで頭の中に植え付けることがノートを書く目的。それに成功していれば読み返す必要はない。ノートを読み返す必要があるような勉強の仕方は非常に非効率。(RT:keigomi29) 


おれはレディー達とお友達になる為に生まれて来たんじゃねぇ!! レディー達を愛する為に生まれてきた男だ!! (byサンジ:61巻)


電車のれんかった…携帯してる場合じゃなかったのに…┓( ̄∇ ̄;)┏


まあええか…この前も1分くらいしか遅れなかったし。


最近めんどくさくてECOモード切り換えまめにしないから充電が減るのが早いのかな


友達が(笑)とwの使い方を人種別に教えてくれた pic.twitter.com/yqtQMWyaWG

ぎんぎつね@ブログ小説不定期連載中さんがリツイート | 2100 RT

浮気性な男性の特徴。「仕事の内容や職場に不満があり、自分の仕事を楽しんでいない」「口達者で、絶対に言い負かされない」「マメな性格で、女性にやさしい」「計画性があり、多忙スケジュールも上手に管理する能力がある」「行動力があり、自分が望むことは多少無理をしてでもなんとか実行する」。


10年前にこれを見てた私はきっと別の感情を抱いてたことでしょう。今見てる私の抱くそれはもう言う間でもないでしょう。 pic.twitter.com/W0iTfU5s5L


#7RTされたら書くバイトの世代…バイトをするキセキのチャット話。くろちゃんもあるよ。バイト先黒子さん→本屋黄瀬→ペットショップ(笑)緑間さん→コンビニ青峰くん→ファミレスむっくん→マジバ赤司様→厨二ストア厨二ストアってなんだよ


色々書き出したい感情が溜まってる



2月27日(水)のつぶやき その1

2013-02-28 01:35:20 | 日記

女の子なら、"女"というツールを最大に活かせば良い。しかし、女というツールだけで戦うと失敗する。


『ジョジョの奇妙な冒険ASB』にナルシソ・アナスイ参戦、CVは中村悠一ッ!! 平野綾さんがラジオでポロリ blog.esuteru.com/archives/69480… [PR] amzn.to/Za1xlt


二人の距離を近づける三原則1. 単純接触2. 類似性3. 自己開示メール、チャット、SNSなどを使うとこれらは非常に実現しやすい。


そない「いいね」思ってへんのに「いいね」せんでもいいね! #ちっちゃいおっさん


ぼくが言いたいのはこの惑星上の生命がある日消滅する可能性があるってことさ… スヌーピー


「女の子とデートするときのアドバイスが欲しいです―――」 「口説くのではなく『安心させること』に注意すること。『好きだ』と言わずに『一緒にいるとすごく楽しい』と言うこと」(岡田斗司夫)


There is a difference between using three swords... and using Santouryuu!【Roronoa Zoro】


出来るようになりたいって、大好きなそれをもっと知りたいってことだよね。誰かより出来るようになりたいは、そのずっと下位の動機に思える。


まぶたを閉じたらじゅんじゅわぁ~。寝よう合図だな。おやすみなさい。


出来ないことを出来るようになりたいと思う原動力はもっと先を見たいという欲求が一番だと思う。この動機は強力だ。


ツイッターとFBの見回り終了。第2稿の続き書きたかったが明日ダブルヘッダーなんで自重しよう。大分原稿押してる。明日の後半戦の内職でどんだけ進めるかだな。


どうやらリア友の教えてる心理学占いによると私は「死」から逆算して物事を考えるタイプらしい。言えてる。


一度闇堕ち前にやったエゴグラムもっかいやってみたいんだがな。改善されてるのかどかね。鮮やかなV字を今も描いてるのかどうか。


何しろ鬱度70%越え。今すぐ精神科へGO!って結果が闇堕ちだったんだから…


また凹んだぜ…ほんと第17使徒くんがらみはろくな事がない。またしばらく逃亡したい。


ひらめきメモ:「好かれたい」はいいけど「嫌われたくない」は危ない気がする。最低限の事しかしないから。


再会が近いから連絡事項とかもあるかもなんて思って戻った私が馬鹿でした。


暫くは自分の小説執筆に没頭して(たことにして)遠ざかっていようかしら。前日にでもちゃんと見りゃいいんでしょ?どうしても必要があれば携番も知らせてるし彼のも知ってる。だったら怖いもんなんかないじゃん。


うわ~めっちゃ寒くなってきた。右手の冷たさパネェ。明日は絶対かいろ持ってかなきゃ。凍え死ぬよマジで。