きつねの戯言

銀狐です。不定期で趣味の小説・楽描きイラストなど描いています。日常垢「次郎丸かなみの有味湿潤な日常生活」ではエッセイも。

R/G・B あとがき解説 改

2023-06-01 00:08:42 | 小説
 初の試みとしてマルチエンディング方式を取り入れた小説『R/G・B 』を昨夜完成・投稿しました。恒例のあとがき解説をさせていただきます。
 時系列的に言うと、そもそものきっかけが何だったのか、しかと記憶がないのですが、資料の日付などによると昨年11月頃、新選組をモチーフに、主人公のモデルを土方歳三、準主人公を山南敬助でメインのストーリーのアイディアが浮かびました。その後どうもしっくりこなくて中断していたところ、今年2月頃、一応完成していた物語にマルチエンディング方式を取り入れたらどうかという発想を得ました。ヒントになったのは、家族が録画して見ていたアニメの原作RPGでした。
以前友人と
「昔は情熱だけでいくらでも書けたのに、最近はそれがなかなかうまくいかないというのは、技巧の方に走っちゃったのかな?」
みたいな話をしたことを思い出し、ならば、といくつかのifストーリーを用意して、それぞれの物語の展開と結末を描けばいいのではないかと思ったわけです。

 近年の物語には共通の世界観のようなものがあり、2021年の『聖母の子供たち』の頃にはまだ漠然としていた設定が徐々に固まって2022年の『Thanatos』でその骨子が大体固まった感じです。大好きなRPGシリーズのとある作品について資料検索してした時「クトゥルフ神話」を知りました。そのRPGシリーズの中には他のタイトルと相互に共通した世界観をもつものがあり、自分の物語にも根底には共通する世界観がありましたが、それをある程度明確に表したのが、今回の作品の終章になるかと思います。それぞれの物語が何度も繰り返される『破壊と再生』の円環ないし螺旋の一部分を切り取った世界という感じです。
ざっくり言えば「人型生物の種族が繫栄し、世界を蝕んで結果的に滅亡することを繰り返し、毎回間違った発展の仕方をするから、正解は人型生物の種族が絶滅する世界なのかもしれない。それでもなお、いつかは人型生物の種族がその過ちに気づいて正しい未来を育んでくれるかもしれないから、何度も破壊と再生が繰り返されるのかもしれない。」みたいな。
何故毎回同じような間違いを繰り返してしまうのか。それは人型生物の種族にとっての原罪のようなものかもしれません。
 そして地下に生命エネルギーの大河が存在し、それが魔導の力として疑似魔法を生むこと、魔術師は生まれながらにして魔法が使え、人工的な魔導の力によって疑似魔法を使う魔導士と対立する世界。才能や素質を持って生まれて来た天才と努力と何らかの犠牲の下に力を得たもの。Thanatosでの主人公たちの設定と共に、この世界の設定が生まれました。

 Thanatosでは魔術師サイドの視点でしたが、今作では魔導士サイド視点。
「本当は魔導(エネルギー)の力に依存することは良くないことだけど、豊かで便利な暮らしと引き換えにはできないし」みたいなところが現実世界と少し似ています。
「資源が枯渇してはいけないから、SDGsとEcoとか言ってはいるけど、今の快適な暮らしが出来なくなるのは嫌だな。だからって今のままでいいとは思ってない。誰か良い方法考えてくれないかな?未来には科学技術の向上とかでどうにかなるんじゃない?」
のようなことでごまかしながら、のらりくらりと問題を先延ばしにしている。
簡単に答えが出るような問題ではないので、特に今回のように魔導士目線になると余計に、書きにくくはありましたが、それもまたマルチエンディング方式を取り入れた理由の一つです。世界はこの先どうなって行くのか。物語の終章の最後の分岐点に繋がります。

 最後に創作上参考にしたものなどのお話を少しだけ。
主要キャラクターのビジュアルについては、グレンは「Pandra Hearts」のグレン(オズワルド)、オリベはFFⅦシリーズのツォン、イワンは近藤勇ですが、ビジュアル的にはFFⅦのバレットをぎょろ目にした感じです。シオンは沖田総司で、ビジュアルはFFⅦのセフィロスを若くしたような銀髪美少年のつもりでしたが、実際は佐々木小次郎が病にかかった感じです。
名前は伝統色の和名とキャラの属性から付けました。グレンは赤魔導剣士なので「紅蓮」から。オリベは緑魔導剣士なので緑色系の「織部」から。イワンは黄色系の「不言色(いわぬいろ)」から。シオンは白色系にこれというものがなく、紫色系の「紫苑色」からつけました。剣術の流派は天然理心流と北辰一刀流からです。
固有名詞(地名・人名など)はドイツ語もじりが多いです。四天王は召喚獣の「方角+色」のドイツ語からです。貴族の爵位についても調べています。
使用する剣については西洋の剣の種類を調べて各キャラに合うものを選びました。魔法については、基本的にFFシリーズを参考にし(作中に登場しないものも含めて考えました)小魔法は語尾の母音が「a」とか大魔法は「o」とか全体化は「ザ+魔法名」とか決まっています。
都市は「サイト」が京都、「トート」が東京(江戸)、「ホクト」が仙台のイメージです。北メイガス島は北海道(蝦夷地)に当たります。大陸とメイガス島はヨーロッパとイギリスの地図を改変しました。獣人の女性はウサギっぽいのでピーターラビットの「カトンテイル」から。男性はライオンぽいのでライオンキングの「シンバ」から。帝国・王国・公国・共和国などについても調べました。
五芒星城は五稜郭がモデルで、五稜郭の資料検索をした時に、新選組の慰霊碑「碧血碑」が実在することを知り、元々の設定にあった「碧眼は魔導士の証」と繋がるのでそのままの名前で使いました。
いろいろなアニメ・コミック・ゲームからの直接的・間接的オマージュは随所にちりばめられていますので、元ネタをご存知の方なら、もしかしたら気づいてくださるのではないでしょうか。

 なかなかまとまった時間が取れない中で、GWを利用して何とか約半年がかりで今作を仕上げることが出来ました。今はまだ次のことは何も考えられないですが、創作活動にも段々長い期間を要するようになってきています。いつ次回作が出来上がるかわかりませんが、長い目で見て頂ければ幸いです。

追記 タイトルの解説が抜けていました。
Rは赤、Gは緑、Bは青を表しています。
赤魔導剣士と緑魔導剣士、碧眼の意味です。