時空城へようこそ。
この迷宮の案内人・銀狐です。
先日完成・投稿しました小説最新作「永遠と刹那」お楽しみいただけましたでしょうか。
また要らぬお世話とは思いつつ少々解説をさせて頂こうと思います。
そもそも今回の作品はある方から「永遠と瞬間(仮)」というお題を頂いて書いてみようと試みたものです。
最初に漠然と浮かんできたのは主人公の少年少女。
「今しか生きられない少年」と「永遠に生き続けなければならない少女」のイメージでした。
ずっと昔から考えていたキャラ名があったので、そのまま「永遠(とわ)」と「刹那(せつな)」と名付け、それがタイトルにもなりました。
大体いつも基本的なキャラ設定と名前が決まればビジュアルの設定になり、原稿執筆と並行して、或いは前後して挿絵を描くのですが、今回の場合、私は元々(自分でコスプレとかはしませんが)ゴスロリに憧れていたので、永遠は迷わずゴスロリ少女になりました。刹那の方は如何にも今風の少年にしたかったので、そのイメージに近いビジュアルのキャラとしてストリート系のイメージが出来上がりました。
あとは至って中二臭いきつねワールドの肉付でストーリーが出来上がって行き、当初思いもしなかった方向に転がって行くのがまさにきつねワールドのきつねワールドたる所以です。
後半を大きく改変した時に「メメント・モリ」というキーワードも出て来ました。
実はエンディングには複数の案があったのです。
「…俺はこの世のものじゃなかったのか…」とでもいうように刹那の体が透けて、永遠が抱きつこうとしたら消えてしまうとか、百年後転生した刹那が偶然永遠と再会した時に、記憶をリセットされていて全く彼女を知らない筈なのに、何故か涙がぼろぼろ零れるとかいうような場面も考えてはみたのですが、今回の課題が「コンパクトな作品にする」という試みでもあったので、一番コンパクトにまとまるエンディングが「融合~消滅」でした。それでも当初の予定の1.5倍くらいの長さ(字数)にはなりましたが。
用語・表現についても少々コメントを。
詳細に興味のある方は検索してみて頂くとして、ごく簡単にご紹介します。
・片翼の天使:堕天使の象徴。天使の翼は本来真っ白。片翼の堕天使の翼は鴉(からす)か蝙蝠のように描かれることもある。
・ガフの部屋:キリスト教でいう、生まれる前の魂が順番待ちをしている場所。空っぽだと子供は生まれない。今回はガフの部屋そのものではなく、それと似た『時間の牢獄』に刹那だけが居た、ということになっています。
・堕天使:キリスト教でいう、元は天使だったが神に反逆して悪魔となったもの。代表的な堕天使はルシファ(ルシフェル)。
・明星:金星のこと。明けの明星、宵の明星と言われ、夜明けや日没に一際大きく明るく輝く星として見られる。
・マリス・ステラ:「聖母マリアの星」という意味で金星を指す言葉。物語の中の「聖母星」は造語です。
・ルシファー:元々は堕天使の名前で、金星の別名。
・メメント・モリ:ラテン語で「自分は(いつか)必ず死ぬということを忘れるな」という警句。 元々は「今を楽しめ」という趣旨であったが、キリスト教の影響で「現世の楽しみや贅沢、手柄は空虚で虚しいものである」とし、来世への誘引、天国への憧れという意味に用いられることが多い。今回はたった一日だけ生を楽しむ双生児への「今を楽しめ」というメッセージであるだけでなく、無意識に半身を失ったまま生きるより融合して消滅する道を選ぶという一種のデストルドーも暗示しています。これはある意味後付けの理由であり、自然とそういう流れになったという方が正解なのですが。
・空蝉:蝉の抜け殻。地下で数年間幼虫として暮らした後、地上に出てからは数日の生命である蝉と、百年間囚われていて一日だけ地上で生きる刹那を重ね合わせました。刹那が自分のことを語る際にずっと空蝉を見つめていたのはその暗示です。
・大川:時間の流れを川の水の流れに例えるため、川を背景に用いました。「流れないで澱んだ水」の例えはずっと同じ姿のまま生き続ける永遠を表しています。
さて、きつねの脳内のガフの部屋は現在空っぽです。
前作執筆途中に今回の企画が生まれたので、少し間隔が詰まってしまいましたが、そのどちらの作品も無事この世に産み落とした今、新たなるネタはまだ降臨しておりません。
日々アンテナを張っていると引っ掛かって来るものは無きにしも非ずですが、いまだそれが芽吹くまでに育つ段階には至っていないのが現状です。
暫し充電期間をいただきまして、新ネタ発掘に勤しみたいと存知ます。
落書きイラストギャラリーも先日全てストックを蔵出しいたしました。
もう少し画力も上げたいのですが、現実世界の野暮用も山積みにしたまま執筆活動に集中しておりましたので、模写すらもなかなかできずにおります。又おいおいゆるゆると描いて参ります。
次回作に向けてますます精進致しますので今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
よろしければまた時空城へお越しください。
あなたを摩訶不思議な異世界の旅へとご案内致します。
またのお越しを心よりお待ち申し上げております。