こんにちは。
乳児チーム主任兼りす組(0.1歳児)担任の土居美由紀です
今回は子どもの脳の育ち方についてお話します。
今、「脳」とか「能力アップ」といった言葉が巷にあふれています。
〝頭脳パン〟なる食品を目にしたこともあります。
子育てにもキーワードとして「知育」や「脳を鍛える」といった言葉が
とり上げられていますが、脳は〝知力〟のみではなく、〝心〟もコントロールしています。
〝知力〟を伸ばしたいならば、まず〝心〟を育てなければいけないということが、
近年の脳科学の進歩によって明らかになってきました。
心が豊かに発達するということは、言い換えれば脳が豊かに発達する、
ということでもあるのです。
〈胎生期の脳の育ち方〉
人の脳は、受胎後18日目頃からすでに形作られ始めます。
心臓ですら出来始めるのは25日頃です。
脳が人間にとっていかに重要で複雑な臓器かがわかります。
〈出生後の脳の育ち方〉
人は、他の動物と比べてごく未熟な形で生まれてくる動物です。
それが生後1年ほどの間には発語があり、立ち歩けるようになり、
家族をしっかり認識して目を合わせて笑えるようになります。
さらに2~3年も経つうちに、何でも食べ、しっかり走り回り、
自分の意思を人に伝えられるようになります。
これは、全て生まれた後に脳がその内部の神経を増やして
どんどん育っていった証拠なのです。
この脳内の神経の発達は、生まれる前からの素因(遺伝子)で決められている
部分も多くあるのですが、実は、最近それ以上に大きく影響するのは、
回りの環境からの刺激、特に“楽しい刺激”であるということがいわれはじめています。
また、“楽しい刺激”以外にも、子どもの脳が育つのに重要な役割を持つと考えられている
“セロトニン”という物質があります。
セロトニンは、「神経伝達物質」といわれる脳内物質の仲間で、
脳のあらゆる部分に広く存在し、睡眠や食欲などといった
人間が生きていく上で基本となる働きもコントロールしている大事な物質です。
また、不安や恐怖の感情をおさえ、穏やかな気分にしてくれる働きがあるため、
「癒しホルモン」などとも呼ばれています。
セロトニンは体内で遺伝子から作られるわけではなく、食事から摂取されるアミノ酸から作られます。
偏りのないバランスのよい食事をきっちりとることや、太陽の光を浴びること、
早寝早起きの規則正しい生活をすること、適度な運動、ストレスの少ない生活が
セロトニンを増やすのにとても重要であると考えられています。
乳幼児期早期から知力トレーニングを詰め込まれた子どもよりも、
いつもニコニコと楽しく、健康で食事を楽しむことができる「当たり前の生活」を
している子どもの脳のほうがうまく育ちやすいということは、脳科学の研究成果からも明らかです。
子どもを育てる=脳を育てる=知力と心のバランスをとっていくことを心がけましょう。
心を豊かにすることを意識して育てた脳は「知力」にも溢れます。
参考文献:芽ばえ社 「子どもの脳は食から育つ」
成田 正明、成田 奈緒子、小川 雄二