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ISO成功法

ISOと継続的改善を両立させよう。ISOは継続的改善のための、基盤整備に役立つ。基盤整備と継続的改善のコツを整理したい。

解析と展開

2006-02-14 | 高シナジー経営
品質管理における問題解決に二つのアプローチがあるといわれている。
解析的アプローチと設計的アプローチである。
簡単に解析、展開とよべばいいだろう。


解析的アプローチは、問題からその原因とさかのぼるのに対して、設計的アプローチは目的に対しての手段を考えていく。

QC7つ道具といわれる多くの解析手法は解析的アプローチの手法である。
品質管理がシステムを扱うようになって、ナドラーのワークデザイン(理想システム設計)やVA/VEの機能展開の影響をうけて、品質機能展開という体系が日本で開発された。
これは個別受注生産の品質管理や設計段階の品質管理の手法として活用され、自動車業界に展開されて、アメリカに輸出された。

アメリカに輸出するとき、日本ではQUARITY FUNCTION DEVELOPMENTと決めたが、アメリカでは目的、手段と枝分かれで展開する様をとらえて、軍隊用語である分隊を示すQEPROYMENTを用いた。個人的な好みからいえば、やはり、DEVELOPMENTが正しいと思う。

解析が「はじめに問題ありき」であるのに対して、展開は「はじめに目的ありき」である。この二つの方法を使い分けるとよい。
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スペースシャトルと日本の開発

2006-02-13 | 高シナジー経営
 スペースシャトルの完成まじかに、ロスの近郊の航空会社を見学する機会があった。
その航空会社の後楽園球場ぐらいの広い建物の真中に木型のスペースシャトルの実物大模型があり、その周りをカーテンで区切られた50ちかくの部屋があった。

シャトルの上から見ていると、いくつかのカーテンの中で会議が行われていた。
何か問題がおきると関係者がすぐ集り、その場ですぐ問題解決するとのこと、生産段階で明らかになった問題による設計変更もこの場に関係者が集り短時間で処理されるとのことであった。
宇宙開発の技術の高さとトラブルシューティングのスピードおよび人海作戦には、驚かされると同時に、羨ましく思えた。

1988年、アメリカでコンカレント・エンジニアリングという概念がNASAから発表された。コンカレント・エンジニアリングは設計段階から各部門が協力して、コンカレントに、つまり同時進行で並列的に開発しようというものである。
この内容の大部分は日本の機械や電機業界が1960年から70年代から実施していたことである。

アメリカが日本より20年遅れているということを言うつもりはない。
当時アメリカの技術者は、「設計変更を繰り返し実施するからこそ良いものができる」と確信していた。

資金力に乏しくアメリカに追いつき追い越せと考えていた日本の技術者は、開発段階の手戻りの原因となる設計変更をなくすため部門の壁を越えて開発に取組んだ。
当時のTQCといわれた全社的のとりくみであった。
結果的には、コンカレントな活動であった。

この活動は、手戻りをなくし開発期間を短縮した。
日本の危機感と貧しさが工夫を生んだ。

いま、日本は経済的に成長して、危機感はなくなった。
「迫害のないことが、最大の迫害」という言葉があるが、いまの日本はまさにそのような状況である。
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やぶQC

2006-02-12 | 高シナジー経営
正しい治療のための正しい診断

優れた技術が在り、優れた人材がいて、その割に成果が出ない「宝のもちぐされ」が多い。診断が不足しているからである。
正しい治療のためには、まず、正しい診断ができなければならない。
治療を固有技術というのに対し、診断は管理技術とよばれる。

問題があって対策をとるが、対策は治療である。
問題の原因に合う治療は意味あるが、原因に合わない治療は問題の解決に役立たない。
そのため、どの原因に対してどの治療をするかが整理されていなければならない。
治療の体系化が必要である。
これを固有技術の標準化という。

固有技術の標準化のためには管理技術が役立つ。
固有技術と管理技術は車の両輪の関係にある。
固有技術がないところに管理技術は必要ない。
管理技術があると固有技術を有効活用できるし、固有技術の発展にも寄与することができる。
 
管理技術はものごとを「正しくみる技術」であり、プロセスである。
現象を見て問題を発見する(見る)。
問題と原因の因果関係を観察する(観る)。
その多くの原因の中から、問題に寄与する原因を診断する(診る)。
原因に対策をとり成果を見守る(看る)。
このプロセスは品質管理のPDCAのプロセスであり、解析のプロセスである。

マネジメントは治療よりも診断に重点を置いた技術といえるだろう。
治療はうまくても診断ができない医者は「やぶ医者」である。
最近、そのような品質管理が増えたので、不良が絶えない。
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企業の成長モデル

2006-02-11 | 高シナジー経営
開発:developmentの意味は、囲まれた領域(velope)から外に(ve)でることを意味するそうである。

以前、教育学者と人間の成長モデルについて研究したことがある。
彼は欲求の段階や自己実現の研究で有名なW.マズローの弟子で、人間の意識の進化についての研究をしているが、組織の進化(発展)と驚くほどの共通点があるのが解った。
 
人間の成長モデルについて考える。
人は生まれながら大きな能力と可能性をもっているが、成長の過程で多くの制約条件を学習するため、能力が限定されてくる。

その制約から外に飛び出し、新しい領域を手に入れることで成長する。というのが基本である。

ものごとを肯定的にとらえるだけでは、問題の発見はできない。
批判的に考えるから問題は見つかる。
解決しようと考え始めると、制約を言い訳に「できない理由」を並べる癖がある。

否定と肯定という能力も切り替えて、使い分けないと役に立たない。
逆の能力を出すと解決できない。
まことに厄介である。

まして、組織の問題である。制約をはずすことは、方針に逆らうことになりかねない。
リスクマネジメントというが、多くのリスクは組織内部のリスクである。
経営者の支援が必要である。
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ISOとリスク

2006-02-10 | 高シナジー経営
経営の問題の氷山における底の部分であるリスクゾーンは経営の根幹に関わる問題があるところで、システム化の対象とする範囲ではない。
ISO規格は、顧客(買手)の要求が明確で、その要求を選択する自由度を売手が持っている事を前提としたシステムである。

経営者のすべき意思決定が、顧客の要求に対する選択のみなら単純でよいのだが、経営革新や現状打破は近未来や将来の経営環境の変化を予測した意思決定である。

そのような意思決定Pにたいして、実施Dの段階では、従来の多くの改善の経験が役に立つ。イノベーションという言葉を流行らせたドラッカーでさえ、イノベーションを強い点から始めることを強調している。
 
ここで、システムの改善つまりISOシステムのPDCAについて整理したい。大部分の企業にとって、ISOのシステムは、ISO規格を下敷き(テンプレート)にして審査に間に合うように作り上げたものであり、現状の組織の問題から始めたPLANではない。

だから、運用して、内部監査を繰り返し、システムの是正を行う。
これがISOのPDCAであるが、現実の問題とはかけ離れていることが多い。
現実の問題でPDCAをまわすこと、ISOで構築したシステムを現実の問題で再構築することが必要である。
 
リスクへの挑戦は現状打破の言葉が示すように、現体制を打破し創造的に組み立て直すことである。
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ハイリスク・ハイリターン

2006-02-09 | 高シナジー経営
リスクとは「海図なき航海」を意味するポルトガルやスペインの言葉が語源だそうである。
当時の冒険家はリスクを承知で敢えて大海にのり出した。
地球の果てに行くと海が滝のように落ちていると信じる船員を説得しての冒険である。
不安と新しい発見、名誉を得ることへの期待で冒険をくり返した。

そのためにできる限りの準備も惜しまなかった。
スポンサーは国王や貴族であるが、新しい植民地や貿易の拠点の発見や開発が、リターンである。
そのようなものが、リスク管理の本質である。

前向きな経営者は冒険家の心を持っている。
ハイリスク・ハイリターンに挑戦する勇気と楽しみを持っている。 

「改善とは強い点をより強くすることである。」と日本の改善を評価したドラッカーが「マネジメントとは人の強みを発揮させ、弱みを無意味なものにすることである」といっている。

人間は自分の強さを自覚してないことが多いが、組織も強みを自覚してないことが多い。方針が抽象的で、何をどのように強くしたいかという具体的目標がないことが多い。
 
デミングのサイクルでは、品質に関する意識と責任感つまり品質文化をベースにPDCAの継続的活動がくり返される。
品質管理は経営の道具であるから、強くしたい目標とリーダシップ、目標達成の気構えがなくては何も生み出さない。

組織の強い点を見直し、戦略的に継続的改善活動にとり組む必要がある。
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正しい内部監査

2006-02-07 | 高シナジー経営
ISOで注意することは、現状把握のための内部監査が認証取得の合否のみに向けられ正しく機能しないことである。
特に抽象的なシステム監査を繰り返すため、製品監査や工程監査も具体的な品質問題の解決に結びつかない。

これでは何のための内部監査か、何のためのISOか、解らなくなる。
まず、ISOをPDCAのCに重点を置いたシステムとしての見直しをして、内部監査を強い点と問題点の発掘の場とすることが大切である。

デミング賞の審査では、強い点や特色となる事例の報告とその質疑をAスケジュールとよび、通常の監査であるBスケジュールの両方で構成される。

Aスケジュールでは、組織にとって重要な問題解決と大きな成果が上がったものを取り上げる。この審査を繰り返すことで、組織独自の管理手法となるものも多い。
QC工程表や品質機能展開、方針管理など多くの手法の開発に役立った。

弱い点を引き出す内部監査も必要だが、強い点を引き出し育てることを忘れてはならない。
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システム化、標準化の限界

2006-02-06 | 高シナジー経営
品質問題のうちシステム化で対応できる範囲を考える。

ノーベル経済学賞受賞者のH.サイモンは、企業においてシステム化、標準化できる部分とできない部分を区別している。すべての経営活動が、システムで解決できるとは誰でも思わないが、ISOでの限界は明確になってない。

ぼんやりしていると全てシステムで対応できると勘違いする。
とくに、継続的改善という活動はシステム化するのは難しい。
あれほど日本の高度成長と品質管理の関係を解明しようとしても、明確にならなかったのは、その証拠であろう。

また、最近の事故や経営上の問題が起きても、ISOが問題解決の指針とならないのは、
ISOに限界があるからである。普及段階が過ぎたので、ISOの役割を明確にしていい時期である。

ISO9001は品質経営を実践するという顧客に対する契約書であり、宣言である。
それ以上でもそれ以下でもない。
その契約を実践するのは、経営者であり、従業員であり、審査員である。

全てに人の品質が関わってくる。実践しやすいシステムか、どうかをもっと評価しなければならないだろう。

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小集団活動の成功の条件.5

2006-02-04 | 高シナジー経営
事務局は小集団活動と上位者の調整を行うこと

どのような事務局でも同じであろうが、小集団活動の事務局は、組織の上下の調整をすることから、まず、「たいりょく」が必要な仕事である。動き回る「体力」と両方の利害を調整するための「耐力」である。「だめもと」という言葉があるが、うまくいってもともとが事務局に対する評価である。

上位者に要望することは、
まず、業務遂行上の障害となっている問題の除去である。この大部分は、日常発生する異常の早い処置と正確な再発防止である。これを放置しておくと不平、不満、不安になる。

次に、小集団活動の成果の水平展開である。本来、自主的活動を目指す小集団活動に多くの成果を期待すべきではない。決められた仕事を決められた通り実行することで成果が得られるように、仕事が設計されていなければならない。
成果は、小集団活動の成果を同種の職場や活動の内容を普遍化することで多くの職場に展開することで得られる。この成果は、小集団活動に対する管理者の「お礼」と呼んでいた会社がある。

小集団に伝えることは、方針や問題点の再発防止に関係することである。



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小集団活動の成功の条件.4

2006-02-03 | 高シナジー経営
上位者は小集団活動の障害を取り除く活動をすること。上位者の改善は望ましくない仕事を直すことに向けられること。

通常、第一線の業務は正常に業務が進むことを前提に計画されている。そのため、不良や不具合の処理に時間が取られると予定の業務がこなせないことになる。このような異常の処理のルールは標準化されていることが多いが、ことが、異常のため標準どおり進まないことが多い。

第一線の立場から考えると、自分が発見した異常に対する処置の指示があるまで待たなければならない。この時間がイライラのもとである。文化人類学者梅棹先生は「効率や生産性ということは、本当はイライラをなくすこと」と書いてあったが、第一線の感じる効率はこのようなものだろう。

ある会社で小集団活動を導入するにあたり、その活動に理解のある管理者は事務局に現状調査を命じた。その内容は、「どのような時、あなたはやりがいを感じますか」「逆にどのような時に、やりがいをなくしますか」というものである。
やりがいを感じるのは、仕事に対する達成感を感じたとき、順調に仕事が進んだとき、正しく評価されたとき、などであった。
やりがいをなくすのは、問題を報告しても反応のないとき、あいまいや理不尽な指示、など異常処理に関するものであった。

このようなイライラは仕事の障害になる。これらの原因は上位者の応答(response)のまずさである。責任とは、応答できる能力、response できる能力(ability) responsibilityである。
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