仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

もう半分 / 桂米助

2018年11月03日 | エンタメ
落語『もう半分桂米助
噺は、「永代橋のたもとに小さな居酒屋があった。一合一勺ほどの酒を注いで十六文(約200円)で、芋の煮っころがし程度しか出来ない小さな店だ。そこへ行商の老人が毎晩やって来るのだが、この老人は一合の酒を一度に頼まず、まず半分の五勺だけを注文し、飲み終わると"もう半分"とまた五勺を注文するのだった。ある夜、いつもより多く酒を飲んだ老人が風呂敷包みを置き忘れたまま店を出ていった。"また明日も来るだろうからしまっておこう"と包みを持ち上げてみると・・・」という内容。
ずっしりと重いというその包みには五十両ほどの小判が入っていた。
噺の端々から伺えるこの居酒屋の主人は実直で、人間性は良さそうな感じに演じられていたのだが、その女房がどうにも良くないようだった。
亭主をそそのかし、老人の風呂敷包みを騙し取ってしまう。
せっかく地道な商売を心掛けている亭主なのに、女房によってすっかりダークサイドに引きずり込まれてしまったのは残念だ。
さて、演者の桂米助師匠は、四代目桂米丸師匠の弟子。
テレビ番組『笑点』のレギュラーだった兄弟子・桂歌丸(1936年~2018年)師匠の推薦があり、一時、大喜利の座布団運びをしていた時期があるという。
また、"ヨネスケ"とカタカナ表記で活動してもいるのだが、関西においては米助を"ベイスケ"と読まれてしまい、桂米朝(1925年~2015年)師匠門下であると誤解されることが多かったからとのこと。
カタカナ表記の落語家というのは他にはいないのかもしれないが、せっかく知られただろう自分の名前を変えて芸能活動をするだなんて、いろいろな苦労があるものだ。