仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

おくりびと

2009年12月28日 | ムービー
『おくりびと』(2008年/滝田洋二郎監督)を見た。
物語は、「チェロ奏者・小林大悟(本木雅弘)は、借金をして新しいチェロを手に入れたばかりだったが、所属していたオーケストラが突然解散してしまう。演奏家として生きる夢を諦め、妻の美香(広末涼子)と2人、出身地・山形へ戻ることにしたものの仕事のあてはまったく無いのだった。ある日、"旅のお手伝い"と書かれた求人広告に応募した所、社長・佐々木(山崎努)の面接で即刻採用が決定する。それは気が進まない納棺の仕事だったが、妻には"冠婚葬祭関係"とあやふやに伝え、内緒のままに働き始めるのだが・・・」という内容。
"第81回アカデミー賞外国語映画賞"等、様々な賞を受賞しているように海外での評価が高いようだ。
チェロ奏者として生きていくのか、新しい職業を探すのか。
決心というものは、ああだこうだと色々悩んでみても中々つかないものだが、"やめよう"とか"こうしよう"と決断する瞬間は、きっと突然にやってくる。
ある時、何かが吹っ切れるのだ。
序盤からそのような展開で始まるのでナカナカ面白い。
また、上村百合子(余貴美子)や富樫(山田辰夫)など、どこか暗い過去を持っている登場人物が多いような気がしたが、それはこの作品で取り上げられている業界で働く人たちや、関わった人たちがそこを目指してきている人たちではないからなのだろう。
大悟は親友の山下(杉本哲太)から非難され、納棺の際には遺族から蔑まれたような言い方をされる。
そして、2度目の決断の時を迎えるというわけだ。
"諦める"のではなく、いくつかの選択肢から"決断する"、そういった大悟の葛藤が、この作品が世界的に受け入れられた理由なのだろう。
上映時間は130分とやや長めなのだが、飽きることなく見られた面白い作品だった。