さくらんひめ東文章

指折って駄句をひねって夜が明けて

河東節と旦那衆

2010年04月09日 | さよなら歌舞伎座
歌舞伎で演じられる「助六」の芝居。

よくよく注意してみると、演ずる俳優によって
「助六~」の「~」の部分が違うのに気づく。

團十郎家の時は「助六由縁江戸桜」
仁左衛門丈が演ずると「助六曲輪初花桜」だし
音羽屋さんなら「助六曲輪菊」だったり、
みな市川宗家に敬意を表して題名を違えている。

その市川宗家の十八番の「助六由縁江戸桜」の時に限り、
「河東節十寸見会御連中」が特別出演される。
この「御連中」の「御」が物語っているが

海老蔵丈が口上を述べて、最後に舞台の奥の地方の御簾にむかって手をついて
「河東節ご連中様、どうぞお始めくださりましょう」と
挨拶をして芝居がはじまるのであるが、

では、なぜ地方に挨拶をするのでしょうか?

それはこの「河東節十寸見会御連中」が旦那衆であるからなのだ。
市川家独特のもので、九代目さんの時もこの「河東節」で演じられたそうだ。

この河東節と旦那衆については、小山觀翁著「歌舞伎通になる本」に
詳しく書かれているのでそちらを参考にご覧いただきたいが、
「旦那」の意味は演奏して出演料を貰うのでなく、
反対に出演料を払って舞台に出られておられる素人さんたちなのだ。
もちろん素人と云っても芸はセミプロのような実力者もおられるが、
いわゆるそれを本職にしていない方々ということ。

今月の筋書きに「河東節十寸見会御連中」の皆様の名が連なっているが
この写真は本日出演される方々を紹介するもの。

こういうのが今にも伝わっている「助六」がなんかいいいですねぇ♪
さよなら公演のそれも最後の興行の最後の第三部。
綺羅星のごとく居並ぶ俳優さんたちと同じ舞台を踏むわけですから
みなさまさぞお力が入っていることでしょうね。





御名残四月大歌舞伎 第三部

2010年04月09日 | さよなら歌舞伎座
昨日、第三部を拝見した。

「実録先代萩」

「助六由縁江戸櫻」

あまり好きではない実録と大好きな助六のライナップ(笑)

「実録先代萩」の芝翫丈の浅岡はさすが人間国宝の貫録だし、
幸四郎丈の片倉小十郎も存在感があるが、
なんと云っても最後の興行に!
これから半世紀先の歌舞伎界を担う、
お孫さんたちの活躍が嬉しい舞台であった。
この演目にした歌舞伎座の意図もここにあるのでは?と思っている。

楽しみにしていた仁左衛門丈のお孫さん千之助丈の亀千代が実にいい!
気品が漂い、若年でありながら家来を想う幼君の風情が出ていた。
またそれにこたえる宜生丈の千代松も母への愛と主君への忠義心を
しっかりと演じ分けておられた。
お二人とも立ち振る舞いが美しくすでに歌舞伎役者のオーラがある。

芝翫丈も御子息橋之助丈とお孫さんの宜生丈・児太郎丈と親子三代ご一緒の舞台で
きっといい思い出になられることだろう。


「助六由縁江戸櫻」

さよなら公演の掉尾を飾るのはおそらく「助六」だろうと思っていたっとおり、
限りなく何もかも華やかな舞台!

もちろん歌舞伎十八番の助六は、市川宗家の團十郎丈
揚巻・玉三郎丈 
白玉・福助丈
髭の意休・左團次丈
曽我満江・東蔵丈

それにご自身も過去に助六を演じられている
白酒売は菊五郎丈
くわんぺら門兵衛は仁左衛門丈
福山かつぎは三津五郎丈のお三人。

そして朝顔仙平は歌六丈
通人は勘三郎丈…

とまだまだ書ききれないほど(笑)

5月演舞場でこれまた助六を演じられる海老蔵丈の口上から始まる。

團十郎丈の助六はお江戸のヒーローの風格があって出端が素晴らしかった!
菊五郎丈はつくづく上手い!
玉三郎丈もきれい!
意休といえば、左團次丈!
廓の女房を演じたら並ぶものなしの秀太郎丈も舞台にいるだけで存在感在り!
勘三郎丈はとにかく客席を沸かせて!
でも楽しみにしていた仁左衛門丈のくわんぺら門兵衛がやっぱり一番いい(笑)

舞台も観客席も名残の歌舞伎座への想いで一体となって高揚しており
その空気感に浸っている幸せを感じだ夜であった。












名残の歌舞伎座 -29-

2010年04月09日 | 名残の歌舞伎座
道具方さん

私は道具方さんの裁着袴姿が大好き♪
歌舞伎の歴史と伝統を感じることが出来るし、
幕間に花道の準備などされておられるかっこいい姿に憧れてしまう。
裁着袴はもともと作業着で働きやすいように機能的に作られているが、
形が実に美しく、日本人によく似合いジーンズなんかより百倍も素敵だ。

写真は歌舞伎座の大道具さんの通用口付近。
道具方さんたちが休憩されていたり、
お天気の日には足袋やTシャツなどが干してあったりして
こういう日に行き合うとなんだか嬉しく得した気分になったものだ。