さくらんひめ東文章

指折って駄句をひねって夜が明けて

終戦のエンペラー

2013年07月28日 | 映画♪



せっかくの浴衣びっしょり憎い雨


昨晩は隅田川の花火大会も途中で中止になるほどの土砂降りの雨
それも急に来たので花火に出かけられた方たちはさぞかし大変であったろう。
その雨の中、私は「終戦のエンペラー」へ。

昭和天皇の英断による終戦の事はなんとなく知ってはいたが
原作を読んだこともなく、かの玉音放送の前に「宮城事件」があったことなどは
恥ずかしながら今回の映画で初めて知った。

ばあさんでも「戦争を知らない子供たち」世代なので
ニュージーランドで撮ったという焼け野原の東京は
東日本大震災の被災地とだぶりなんともやるせない想いになった。

孝太郎丈演ずる昭和天皇は、今は亡き十八世の後押しがあったそうで
穏やかな中に確固たるハラがあった♪♪♪

昭和天皇にお仕えした関屋貞三郎宮内次官を祖父さまに持つ奈良橋陽子さんが
プロデューサーをつとめる今回の映画。

その関屋貞三郎宮内次官を亡き夏八木勲さんが演じておられ、
品格あるお姿が深く心に残った。


「よもの海みなはらからと思ふ世に など波風のたちさわぐらむ」


世界各地における戦争や国内紛争が未だに続く現代においてこの映画は
宗教・文化・経済事情等様々な違いを乗り越えるためには、
その違いを認識した上でお互いの立場を尊重して見下したり押しつけたりしあわぬこと。

そんなメッセージがあるように思った。




アンコール!!

2013年07月26日 | 映画♪




しみじみといい映画であった♪

深い愛で結ばれているテレンス・スタンプとヴァネッサ・レッドグレイヴの老夫婦が素敵で、

私はあんな夫婦関係で老後が送れたらいいなぁと思ったが、

となりの席で観ていた主人はどう思っていただろうか(笑)


ジェマ・アータートンという女優さんを初めて知った。

声も話し方も好きだったし、好感のもてる若手の女優さんであったので

早速オンデマンドで「ヘンゼル & グレーテル」を観てしまった(笑)

「アンコール!!」の音楽教師の役からはとても想像できない

初めから終わりまでひたすら魔女と戦いまくるグレーテルであった(笑)



七月花形歌舞伎 夜の部

2013年07月25日 | いざ銀座歌舞伎座



通し狂言「東海道四谷怪談」


花形奮闘の中、

宅悦の市蔵丈、女房おいろの小山三丈、四谷左門の錦吾丈、伊藤喜兵衛の團蔵丈がいぶし銀の味わい♪

とくに序幕から小山三丈のおいろが登場すると観客は大喜びの大拍手!

十八世亡き後中村屋を支えお元気にご活躍されておられることがなにより嬉しい♪♪♪


お岩/小平/与茂七と三役の菊之助丈

伊右衛門の染五郎丈

直助の松緑丈   

みなさん初役での挑戦であるから、いきなり歴代の名優たちが演じてきた舞台と比べるのは酷というもの。


恨み・怖さというより哀れでか弱い女お岩

「色悪」の艶を抑えた自分勝手で非情なDV男伊右衛門

お袖に惚れてはいるが結局は小悪党な直助


それぞれの工夫で現代にも通じるキャラクターを感じさせてくれた。


美しいお岩と伊右衛門をみせる蛍狩の場を久しぶりに上演したのもいい♪


情感あふれる「瑠璃の艶」が流れる中でお岩が髪梳きをする名場面

顔面が崩れ髪が抜け落ち血がしたたるような凄惨な場面を醜悪なものに感じさせず、

人間の心の奥底に観客を誘う歌舞伎の演出はとにかく素晴らしくいつも魅了される♪♪♪


髪梳きのお岩あわれや夏芝居








七月花形歌舞伎 昼の部

2013年07月24日 | いざ銀座歌舞伎座



通し狂言「加賀見山再岩藤」骨寄せの岩藤


発端、幕があくと一面花盛りの春景色
そこに染五郎丈の多賀大領と菊之助丈のお柳の方が花道から舟に乗って登場する。
咲き乱れる花々に劣らずお二人はとにかくキレイ♪

が、

やはり見ごたえがあるのは、鳥井又助と岩藤二役を初役で演じ分ける松緑丈♪♪♪
善の又助は情が溢れ、悪の岩藤に凄みがあった。
フワフワの岩藤もキレイでカワイイ。

又助内切腹の場では、松緑丈をはじめ
又助妹おつゆの梅枝丈と弟志賀市の玉太郎丈が素晴らしく泣かされる♪♪♪

蟹江主税の亀寿丈も若さがあって良かった♪





今月より3ヶ月間は花形が古典の大作に挑む企画。


目の覚めるような強烈な赤と青、強いタッチの筋書にビックリしたが、
これも花形世代にあわせあえての試みのようだ。

期待を裏切らず今の花形世代は本当に頑張って精進していて、
成果が芝居に感じられそれが心地よかった♪♪♪

歌舞伎鑑賞教室 芦屋道満大内鑑

2013年07月23日 | 歌舞伎座以外の歌舞伎



時蔵丈初役の「葛の葉」を拝見した。

まず、萬太郎丈とくろごちゃんで「歌舞伎のみかた」についての解説があった。

萬太郎丈は、こういう解説が大変わかりやすく説明も上手い♪

私が拝見した日は若い観客が半分以上で、開演前や休憩時かなりうるさかったが、

幕があくと皆さん静かになってかなり真剣に観劇していて、

国立劇場のまわり舞台やセリ・スッポン等の舞台機構や動物の小道具など楽しんでいたようだった。


もとより早替わりや曲書きなど見せ場の多い演目であるが、

登場人物について芝居が始まる前にアニメによる大まかな紹介があるので

初めて歌舞伎を観る人たちもすんなりと芝居に入っていけたのではないだろうか?


時蔵丈の「曲書き」は素晴らしかった♪♪♪


国立劇場はこういう「歌舞伎鑑賞教室」を今以上にもっと開催して、未だ歌舞伎を観たことのない人たちに

「歌舞伎は難しいものではなく、とても楽しいもの」と思ってもらえるように企画してもらいたいと思った。









信念

2013年07月22日 | 日記



ねじれ解けされど憂いの残る夏


予想通りの展開で自民圧勝の結果が出た。

自民に替わり託したい野党が無いことが一番の要因だろう。

奢る平家にならないように、自民党の政治家の皆さんは「信念」をもって

待ったなし問題山積の日本を救うために粉骨砕身昼夜を厭わず働いてもらいたい!!!



藤団子♪♪♪

2013年07月19日 | 今日のおやつ♪



京都から名古屋に立ち寄った娘が、熱田神宮に参拝してお土産に頂いてきた「藤団子」

歴史のある老舗の銘菓とのことであるが、形状・色彩こんな可愛い御菓子に出会ったのは長い人生でも初めて♪


大感動である♪♪♪

伊藤若冲の名品展

2013年07月19日 | アート 伊藤若冲♪♪♪


14時ちょっと前ホテルを出た時は晴れていたのに、北の方は曇っており
相国寺までの道程はまさにその黒雲に向かって進んでいて、着いた時にはゴロゴロと雷が鳴りだしていた。








幸いタッチの差で雨には遭わずにすみ、雨宿りがてら相国寺承天閣美術館で公開中の「伊藤若冲の名品展」を堪能させてもらうことができた。




第一展示室では江戸時代の絵画と工芸品が展示されていて、

若冲に画を学んだという相国寺百十一世、維明周奎筆の「四祖像」四幅対

雲谷等作筆「花鳥図屏風」が心に残った♪





第二展示室では、鹿苑寺大書院旧障壁画五十面の他、若冲の作品が主であるが、

この若冲の障壁画に囲まれていつも思うことは、若冲に仕事をさせたお寺も凄い♪♪♪


大典さんとのコラボ「竹虎図」「芭蕉図」がやはりいい♪

「ほのぼのとしたものだったんだろうなぁ・・・」なんて

来館者も少なかったので、画の前でしばらくたたずむことも出来て、
勝手に若冲さんと大典さんお二人のやりとりを想像したりして楽しんだ(笑)


「群鶏蔬菜図押絵貼屏風」のそれぞれの野菜と鶏の取り合わせの面白さ♪

若冲の傷心が表われているような「菊虫図」♪

「負けないぞ!」と若冲の決意表明のようにも感じられる「中鶏左右梅図」三幅対♪


又兵衛の「三十六歌仙画帖」もあったが、
様々な若冲と対話のできた2時間あまり、至福の時であった♪♪♪


若冲につつまれ雷雨去るを待つ


























松本奉時と伊藤若冲

2013年07月18日 | アート 伊藤若冲♪♪♪



松竹座の前に大阪歴史博物館に寄った。


若冲がらみでなければ、大坂にこんな施設があることなどはおそらく知らずにいただろう。

そもそもこの博物館は難波長柄豊碕宮という宮殿跡で
それらの遺跡を見学できる地下ギャラリーと、古代から現代に至る「大阪の歴史」を紹介するための博物館。
今回は9階にある中世・近代の常設展中の「松本奉時と伊藤若冲」のみを拝見した。


木村兼葭堂との親交や西福寺障壁画などをとっても若冲と大阪は切っても切れない関係であるが、
若冲は大坂の表具師兼蛙愛好家の松本奉時とも交流があり、その奉時と若冲が画いた掛軸が2幅ずつ展示されていた。

松本奉時筆 「蝦蟇図」 「白象図」

伊藤若冲筆 「柳下馬図」 「芭蕉図」


松本奉時は京に若冲を訪ねているらしいが、もう少し詳しい二人の関係についての説明が欲しかった。
勝手に想像すれば当時の文化人のサロン的存在だった木村兼葭堂を通してだったのかなぁ?と・・・

ユーモラスな「蝦蟇図」筆の勢いもなかなかのもの。「ひきがえる」は「客を引く」との意味で縁起ものだったそうだ。

「白象図」は若冲を倣ったものと記されているそうで、枡目描きの「白象群獣図」に良く似ている。


若冲の「柳下馬図」は大岡春卜の馬図に類似するとあった。
若冲が狩野派を学んだ師であったとされる人物であるから参考にしたのかもしれない。

「芭蕉図」は筋目描きであるが、試行錯誤中、技法が未だ発展途上のものかな?とも感じた。


広いフロアには、経済都市の大阪、船場の家並みや芝居小屋を再現したものも展示されていた。






夕顔

2013年07月17日 | 植物



10日前に我が家に仲間入りした夕顔がグングン成長している♪





鉢をひとまわり大きいのに植え替えたのでそれも良かったのかもしれないが
毎日1~2輪の花を咲かせて楽しませてくれている。




15時頃 まだ蕾は閉じられた日傘のよう




それが16時過ぎになると徐々に開きはじめる。





20時過ぎ、昨晩は上弦の月であったので外に出てみると闇の中に真っ白な花が1輪咲いていた♪





上弦の月待ち開く夕顔よ







宵宵宵山

2013年07月16日 | 都へ上る
娘との旅も楽しいが、いつも半日損をしたような気分になる(笑)


朝食をホテルですませ、朝一で相国寺の承天閣美術館に行く予定であったが
娘が起きずホテルを出たのが10時過ぎ、結局三条でブランチとなる。
ところが窓辺の席に案内された直後にバケツをひっくりかえしたような突然の雨!




雨宿りがてらゆっくり食事を楽しめたが、この日の予定は空模様次第となった。





空が晴れてきて、毎年粽を頂いている「菊水鉾」についたのは12時半をまわっていて
それから、150年ぶりの巡行が期待される「大船鉾」へ。
会所で大金幣・懸装品とともに新調された飾り房などを拝見してチェックアウトのため一旦ホテルに帰った。





本来は午後には京都を発つつもりであったが、また雷雨にあって相国寺を出たのが16時過ぎ、
山鉾の提灯に灯りがともりだす頃になると、後ろ髪ひかれやはり帰れなくなってしまった(笑)




山鉾に灯りともれば帰られず








娘にとっては一番重要な「保昌山」へむかう時はまたまたどしゃぶりの雨、
会所へは娘だけをやって私は四条の駅で待っていて、今度は駅構内を南から北へ、
これまた最近ロト6やロト7にハマっている娘の要望で「郭巨山」へ。


ちょうどcocon烏丸で買い物もあったので外にでてみると雨も上がっていたので
「郭巨山」へは夜店が立ち並ぶ綾小路通を歩いた。





主人のお土産の山鉾町のオリジナルTシャツを頂いた「芦刈山」の会所近くでは
巡行の「くじ改め」の練習をされておられて、そのしっかりとした少年の後姿が心に残った♪♪♪














関西・歌舞伎を愛する会 七月大歌舞伎

2013年07月15日 | 歌舞伎座以外の歌舞伎



松竹座の七月大歌舞伎を拝見した。

昼夜通しのチケットを取ってあったが、

昼の部の「保名」と夜の部の「曽我物語」「一條大蔵譚」を拝見、

関西上演が37年ぶりの「柳影澤蛍火」と

やはり関西ではめったに上演されない「杜若艶色紫」はあきらめることとなった。


と云うのは、今回は早起きが苦手な娘との旅で、新大阪着は11時半過ぎ

また私の我儘で大阪歴史博物館に立ち寄ったことで、

昼の部は「保名」から

そして昼の部が終了して、夜の部の入れ替え中に友人から電話が入って、

お会いしたかった懐かしい方と一緒に宿泊先の京都のホテルに訪ねてくれることとなり

急遽、「一條大蔵譚」までで帰ることになった。


もとより今回は「中村屋ゆかりの演目で十八世を偲ぶ」という仁左衛門丈を拝見したかったので

仁左衛門丈8年ぶりの美しい「保名」と、品格のあるつくり阿呆の大蔵卿を堪能させてもらっただけで大満足で劇場を出た♪♪♪












松嶋屋さんや成駒屋さんはもとよりであるが、私は子供のころから河内屋さんが好きであった。


多くの名優を輩出した関西歌舞伎、関西での興行の隆盛を願うばかりである。






蓮ひらく

2013年07月12日 | 日記




今日は、三十二候「蓮始めて開く」にあたるらしい。

こちらのお寺では早いものは7月の初めから咲いているが、

やはり今日お参りに行ってみると蕾の数が一段と多くなった。




「蓮は泥より出でて泥に染まらず」


ピンク色の透き通るような花びらがそれはそれは美しかった♪♪♪













仁王門ぬけて蓮花見に行かん



赤塚山慶学院乗蓮寺

蓮の花が良く似合うお寺である。

四万六千日

2013年07月10日 | 日記



週明け早々落ち込むことがあって、昨日は予定していた歌舞伎座にも行かれなかった。

そんなどんよりとした気持ちを払拭するために、朝早く家を出て、

四万六千日分のご利益がある功徳日にあたる浅草寺にお参りに行った。





本堂内で信徒さんたちに混ざって、一心に観音様を拝んだ。

早いテンポで打ち鳴らす太鼓と読経は独特の高揚感があり

特別な祈祷札「黄札」を授けていただくと

元来の不信心者であっても観音様に救われる様な清々しい気持ちになった♪





境内ではほおずきの市がたっていて、こちらも夏の風物詩であちこちのお店を見て歩くのも楽しい♪

まねきとふうりんがおまけについているほおずきを一鉢頂いた。





子供のころ、ほおずきの中身を取って鳴らす遊びがあったことを思いだした。

帰宅してからふうりんを吊るした。


ふうりんも手持無沙汰な無風かな



夏目漱石の美術世界展

2013年07月08日 | アート 伊藤若冲♪♪♪



「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」

漱石「草枕」の有名な冒頭


漱石はその住みにくい世をつかの間でも住みよくするのは、

「ここに詩人という天職が出来て、ここに画家という使命が降る。

 あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、人の心を豊かにするが故に尊い」

と主人公を通して漱石独自の芸術論を語っている。


そして、


「床にかかっている若冲の鶴の図が目につく。これは商売柄だけに、部屋に這入った時、すでに逸品と認めた。

若冲の図は大抵精緻な彩色ものが多いが、この鶴は世間に気兼ねなしの一筆がきで、

一本足ですらりと立った上に、卵形の胴がふわっと乗かっている様子は、

はなはだ吾意を得て、飄逸の趣は、長い嘴のさきまで籠っている。」


と100年以上も前から若冲を高く評価していた。


今回の東京芸術大学大学美術館の「夏目漱石の美術世界展」は

文豪夏目漱石が美術に関しても鋭い感性と審美眼をもっていたことを

私たちに教えてくれた大変面白い企画展であった♪♪♪


若冲ばかりでなく、近年やっと注目されはじめた江戸絵画にも見識があり、

日本美術・東洋美術ばかりでなく西洋美術にも造詣が深かったことにあらためて驚いた。




「ターナーが汽車を写すまでは汽車の美を解せず、

応挙が幽霊を描くまでは幽霊の美を知らずに打ち過ぎるのである。」




漱石を読みかえそうと思う夏