二銭銅貨

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08国立劇場9月/近頃河原の達引、本朝廿四孝/文楽

2008-09-17 | 歌舞伎・文楽
08国立劇場9月/近頃河原の達引、本朝廿四孝/文楽

(第1部)

近頃河原の達引   
四条河原の段

 伝兵衛と官左衛門の剣劇場面が興味深い。剣劇にはふさわしくない、ゆっくりとした唄と三味線を黒御簾の中から使い、ここだけ通常の竹本ではなくなる。人形の動きは唄には合わない激しいつばぜり合いで、火花飛び散るような厳しい場面だ。映像の激しさと音楽の静寂の組み合わせは現代劇で良く使われるパターンだけれども、文楽の演出としては面白い。刃傷沙汰の悲劇性、無常観が良く出る。

 上演プログラムによるとこの唄は上方唄「ぐち」で、このような音楽の使い方はメリヤスというらしい。メリヤスとは演奏時間をメリヤス生地のように伸び縮み自由にできるという意味のようだ。

 人形は伝兵衛が玉女、官左衛門が勘緑。勘緑の悪人ぶりは大きくて良い。番傘を天にかざし、得意絶頂の姿がかっこ良い。伝兵衛の方は結局刃傷におよぶ精神的な弱さ、それが良く出ていたと思う。色白の悲劇の主人公。

堀川猿廻しの段

 全体に物悲しい雰囲気の物語だけれども、コミカルな猿回しの与次郎が芯になる。登場人物だけでなく観客の気持ちをも、その暗い雰囲気の中から救い出す。与次郎は紋寿で元気いっぱいめいっぱい、動いて動いて動いて、数々の笑いを会場に巻き起こしていた。この役の人の良さと純朴さが良く出ていて、劇全体の背景として十二分な働きをしていた。前景となるべき、おしゅんを蓑助、母を紋豊、伝兵衛を玉女が遣った。大夫は住大夫に綱大夫。上手が多く、深くて厚みのある舞台だった。

 冒頭は紋豊が遣う婆さんで、三味線を弾く。つれが手習いの娘役の人形。これが本物の三味線を弾くかのようで、じっくりと婆さんが三味線に没頭する姿を描く。猫背、ややうつむき加減にじっと音に聞き入るようにして、弦に集中しバチに集中する。手が本物と同じように動く。かなり長い時間演奏していた。

剣劇の演出や、悲劇の中に喜劇を混ぜ合わせるシナリオが良く、よくできた丸本ものだと思った。

吉田清之助改め五世豊松清十郎襲名披露口上

 司会は文字久大夫で良く通る声で古風な挨拶、大夫さんの代表が住大夫でやはり古風な言い回し、三味線は寛治でふつうの現代文の話し方。師匠の蓑助は一言だけ。以前の病気の影響であまり話せないのかも知れない。最後が兄弟弟子のあたるのだろうか、勘十郎がすこし長い挨拶をした。

本朝廿四孝 
十種香の段
奥庭狐火の段

 清十郎の襲名披露狂言。清十郎も含めて、全体に硬い感じがした。時姫が清十郎、勝頼が蓑助、濡衣が文雀、信玄が勘十郎。奥庭狐火の段は元気が良かった。時姫の左手を勘十郎がやる他、他のメンバーが全員頭巾無しで足や狐をやり、元気いっぱい美しく華やかな幕切れだった。

08.09.07 国立劇場
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08二十一世紀歌舞伎組/新・水滸伝/歌舞伎

2008-09-17 | 歌舞伎・文楽
08二十一世紀歌舞伎組/新・水滸伝/歌舞伎

出演:市川右近、猿弥、笑也、春猿、笑三郎、弘太郎、金田龍之介

 舞台装置を極力少なくして、短時間に転換できるよう舞台を工夫している。転換のための時間がほとんど無く回数が多い。映画やTV、漫画を見ているようだ。テンポが速い。

 水滸伝は梁山泊の話。梁山泊の髭もじゃ勇者、猿弥はすこし緩んだ気分。敵方の若い女性は笑也のキリリと締まった動き。主役の林冲は右近で、全体を引っ張る。その他、それぞれの役者が個性を発揮して舞台全体が元気良く若い。

 この劇のキーワードが替天行道(タイテンギョウドウ)。これは天子の代理として世を治めるの意味であるけれど、読み替えれば、天子を廃して自分が世を治める意味にもなる。革命の意味を持つこの言葉を旗印に、友情を基礎にして仲間達が立ち上がる瞬間を描いた物語。

 歌舞伎界に新しいやり方を創造しようとする猿之助一門の熱い決意が感じられる物語でもあり、また芝居である。若い人が沢山見に来ていた。

 脚本・演出は横内謙介で、多分昔見た、高校を舞台にして、仲間と友情をモチーフにした演劇が、どうもこの人の作品だったらしい。何だったかは忘れてしまったけれど。

08.08.30 ル・テアトル銀座
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