日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

短刀 兼門 Kanekado Tanto

2016-06-15 | 短刀
短刀 兼門


短刀 兼門 永禄五年八月日

 九寸強の寸伸び短刀。身幅は相応にバランスよく、重ねも比較的しっかりとしている。地鉄は頗る綺麗だ。杢を交えた板目肌は緊密に詰んでいるが、地景によって肌が鮮明に立ち、躍動感に満ちている。これに地沸がついて映りが重なり、地中は意図せぬ景色が展開している。もちろん映りの様子は備前物のそれとは異なり、凄みがあると評したい。刃文は直刃に湾れ小互の目の組み合わせで、帽子が地蔵風に乱れている。匂口の閉まった焼刃は明るく冴え冴えとし、匂いの所々に沸が付き、刃境はほつれかかり、これが刃中に流れ込み、繊細な一面を見せる。比較的年紀作の少ない美濃物の中でのこの短刀は、いずれかの武士の注文による、特に上手の出来。

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